三大欲求が全滅している(いつもお腹いっぱいで、おめめバッチリで、賢者タイム)。
コミュ欲はあるが、奴隷にしか相手にされなかったので、友達ゼロ(次の日会えるかわからない友達を作る勇気がなかった)。
転生したことによって、若干中二病に。
TSは、まだ気にしていない。
魔物を殺戮しまくって、グロ耐性がついた(悪人なら殺しても問題ないレベルの倫理観に)。
前世は、ゲーム廃人でロリコン(紳士)だった(学業に影響がない範囲で)。
これぐらいかな?ストーカーとか危ないことしているから、念の為。
サトゥーは虚空を見つめると唐突に方向転換して歩き出した。
(どこ行くんだろう?)
原作で覚えている次のイベントはナディさんと一緒にいるときに上級悪魔との戦闘に巻き込まれることだ。時系列的に迷宮の前だから、そろそろのはずだけど、ナディさんがいたはずだ。
確か、そこで自爆して死者が多数でたはずだから、ここで自爆させなかったらサトゥーの好感度もアップするはずだ。しなくても、原作の証拠になる。
最後に不意打ちで心臓を打ち抜くだけなら、いけるはず。
見知らぬ人のために命を懸けるのは無理だけど、経験値的なリターンは十分だ。むしろ、高レベルの魔族を安全に倒せるチャンスといえる。
だから、そう、僕は機会をうかがっているだけだ。ストーカーじゃない。
本当だよ? 実際、レベル上げもこれ以上は揺り篭でも厳しいし、他にやることもないのだ。
しいて言えば、新しい技を覚えるために修行ぐらいだ。
ポチ達に会いにいっても、僕だけ自由になっている罪悪感がすごいのだ。今まで、できるだけ考えないようしていたけど、これもそろそろ終わる。
(ふふふ、あと少しの我慢だ)
レベルが上がってから、ポチ達の首輪を壊して街から逃げると選択肢もできたけど、レベルが足りなくて守り切れなかったという事態にはなりたくなかったのでレベル上げを優先してきた。
もしも、レベル40になっても流星雨がなかったら、ポチ達の様子を見にいって虐待がひどそうなら実行しようと思っていたから、あの流星雨のタイミングには本当に運命を感じる。
歩いていると、周りの建物が服屋系にかわっていき、サトゥーはその内の一軒に入っていった。
(よく考えれば、わざわざ近くにいる必要ないかもしれない)
原作が変わってて、次の瞬間現れるとしても最後に遠距離からでも一撃心臓を打ち抜けばいいだけだ。
僕は店の前で立ち止まる。
そして、店の入り口が見えるように屋根の上にあがって魔素隠蔽を維持しながら、空間を素早く操れるように歪曲させて元に戻すのをくり返した。
◆◆◆
夕方。
あれから、靴屋さんにも行ったりした後、門前宿に帰ってきた。
悪魔襲撃は今日じゃなかったようだ。
帰るとすぐに、サトゥーがマーサさんに風呂は無いか尋ね、領主の城にしか無いと言われてへこんでしまった。
(風呂かー 入りたいと思ったら川で代用していたから、生まれて一度もあったかいお風呂入ったことないなぁ)
入り口の外からそんな会話を聞きながら圧縮した魔力を足場にして空中を歩き出す。
(悪魔襲撃は夜ではなかったはず)
ナディさんと机に座って食事をしていたときだ。 対策を考えるためナディさんを守るために机を壁に使ったことを思い出したときに、思い出した。
(どちらにせよ、夜中に襲ってきたらサトゥーが起きる前に決着がつくはずだ)
悪魔のレベルは62ぐらいだったはず。僕一人で挑むのは危険すぎる。
僕の知らない方法で僕を感知したり、不意打ちしても生き残って反撃する可能性のゼロではない。
間違えたら、死ぬのだ。
今までは反転と危機感知で切り抜けてきたが、今回はレベル差が20以上ある。危機感知が反応してから対応しては間に合わない可能性が高い。迷彩中はMPなどに反転を使っているので、防御力は紙なのだ。
それに、反転を展開できても、防げるかは半々だと思う。
(さて、今日は朝までに帰らないといけないけど、時間はある。揺り篭の西の山にいるヤギにしようかな)
宿を振り返る。
(今日のことは秘密にしよう)
そして、物理的に干渉できるまで圧縮した魔力で自分を包み、目的地まで動かすことで空を飛ぼうとする。
(あっ)
しかし、MP消費が激しかったようで、反転できなかった。
(・・・仕方ないか)
僕はさっきのように足場としてだけ、魔力を使って空中を駆け出した。
◆◆◆
「よっと」
アイテムボックスから鹿の魔物の死体を取り出すと、ヨナさんの家の横に置く。もちろん、血抜きは終わっている。
そろそろ起きてくるはずだから、腐ることはないだろう。
僕は門前宿に屋根ではなく空を駆けて向かった。
・・・修行しながら、サトゥーを追う。
宿の前で2時間ほど待っていると、サトゥーが出てきた。そのまま詰所の横のなんでも屋にいって、しばらくするとナディさん(らしき女の人)と一緒に出てきた。
そして、二人は馬車に乗って街を内壁沿いに回りだした。
(今日かな?)
そんな予感がするけど、まだ時間があるはずだ。机がない。
たまに、修行しながらナディさんの話に意識を傾けると、今世でお目にかかったことのないWikipediaのような話が聞けた。
しかし、基本的に店の詳細情報など興味が全く惹かれない話題で、興味がある話題は既に原作知識で知っていたりと、僕は説明開始から3分で興味をなくしてしまった。
(多分、もうサトゥーの方がこの街のことに詳しいんだろうなぁ)
二人が馬車を降りているのを空中から眺めながら、僕はそう思う。
しかし、その思いも長くは続かず、二人がテラスで大理石のテーブルに座ってお茶をしだしたことでかき消された。
実は、完全迷彩って言っているけど、感知できないこともないです。