僕はそろそろだと、曖昧な原作知識から確信した。
上空、地上から50mほどのところに駆け上がり、足場を固定する。
「
(もし違っても問題はない)
そして、僕はその時を待った。
「!後ろっ」
30秒ほどたったとき。
黒い翼を広げた四本腕の悪魔がこっちに飛んできた。
サトゥーのいるテラスがある広場に集中していて反応が遅れたが、シックスセンスのおかげでまだ200mほどの間隔がある。
悪魔の進路から少しずれて、チャージしながら悪魔を観察する。
(えっ)
悪魔が僕に合わせて進路を微調整した。
僕は慌てて、地上に退避する。チャージは破棄せずにだ。
(くっ、これでどうだ・・・!)
屋根の上で次の回避行動ができるようにしながら、悪魔を睨み付ける。
どうやら、悪魔は僕を諦めたらしい。今度は進路を調整せず広場に向かって直進する。
僕はそれを見届けながら、位置を変える。見失ったと思うのは慢心だろう。
広場から300mぐらい離れた建物の屋上にのぼった。
悪魔はここからも聞こえる重低音の叫び声を叫び声をあげると、巨大な火球が出現し城に向かって飛んでいく。
城の手前にあった尖塔が1つ崩れ落ちた。
(ふぅ、空中からの狙撃は危険か?いや、最後なら狙えるかもしれない)
おそらく、僕の一撃は貫通するだろう。確か、悪魔の最後は兵士に囲まれての自爆だったような気がするから、屋根の上からだと誤射する可能性がある。
でも、最後ならそこまで空中も危険じゃないだろうし、大丈夫なはずだ。
「もし、駄目そうなら誤射も覚悟の上で撃たせてもらうけどね」
悪魔が二度目の火球を撃って障壁に阻まれ、地上に降りた。
(よかった。なんで地上に降りるのかわからないけど、原作通り降りてくれた)
降りなかったら、サトゥーも参戦できず、今までの計画が木端微塵になっていた。
「
(ここから、サトゥーたちは見えないけど、大丈夫なはず)
悪魔と騎士や魔法使い風の衛兵が戦っている。
流れ弾を回避できるようにうつ伏せになって戦場を眺めながら、チャージを続ける。もう、着弾まで迷彩状態の一発なら撃てるが、別に攻撃にまで迷彩を維持し続ける必要はない。
「よっと」
(サトゥー!?)
何故かサトゥーが同じ建物の屋根に登ってきた。
「さて戻って来たのは良いが、接近戦で割り込む余地が無いな」
300メートルほどの距離があるのに、ここにくるのか。確かに、広場が見えて背の高い建物は少ないけど。
サトゥーがライフル(魔法銃)を取り出して構える。
僕は危機感知が反応したので、サトゥーを置いて場所をかえようと移動し始める。
(反撃でもあるのかな?)
僕は走って、5mほど下の隣の屋根に飛び降りる。
案の定、サトゥーが三発目を撃った後、反撃の雷撃がサトゥーに命中する。そして、その雷撃はサトゥーだけでは飽き足らず、僕がさっきまでいた足場を破壊した。
幸い、僕は隣の屋根に飛び降りてギリギリ食らわずに済んだが、肝が冷えた。雷撃は空間歪曲で逸らせるかわからないのだ。
チャージしながら、次の場所に向かう。 さっきみつけた候補の一つだ。
目的地に着くと、戦場を眺める。サトゥーはもう戦闘を開始していたようで、金髪のカツラと仮面をつけたサトゥーが武器を捨てまくりながら戦っている。
悪魔の腕を切り飛ばした。
(あっ、いや無視しよう)
久しぶりに、首輪を締まったので焼き切って捨ててしまう。
そうしている間にも、悪魔はどんどんボロボロになっていく。
(もう大丈夫か?)
僕は屋上から飛び出し、空中を駆けて悪魔の頭上50mを目指す。
サトゥーが剣で悪魔の足を、槍で全身を地面に磔にしていく。
そして、いつの間にか準備された大砲が打ち出され、追い打ちをかけるように色々な属性の魔法が追撃する。
しかし、これでは終わらないのだ。
僕は足をはやめる。
悪魔は縫いとめられていない片腕で体を地面から引き起こした。
騎士達が大剣を手に悪魔に近づいていくが、悪魔は手を自分の胸に潜りこませ、赤黒い心臓を取り出した。
(ふっ…!)
僕は悪魔の頭上に到達し、足場に逆立ちして、狙いをさだめる。……実際には、足を固定してぶら下がっているだけだけど。
心臓が早送りされたかのように激しく脈動する。そして、それにあわせて赤黒い光が溢れてくる。
「ソード・オブ・ダモクレス…!」
僕は両手の前で今まで
ージュッ
「あっ、えー」
光は、悪魔を飲み込み、焼却し自爆を阻止した。
しかし、見た目が完全に暗黒の柱だったのだ。
悪魔の死骸は塵しか残らず、その塵も風に乗って消えていった。
幸い、ここまで近づいたこともあって巻き込んだ人はいなかったが、まわりの人たちも目を点にしている。
しかも、決めゼリフまでいったのに緊張で形を上手く整えられず、ピラーになってしまった。
(・・・)
僕は光が減衰しきったことを確認すると、
もやもやした気持ちで空中で逆立ちしていると、頭に血が登ってきたので、重力を反転させて逆さまに立つ。
(・・・次は迷宮だ)
今のことは忘れよう。うん、忘れよう。
悪魔が僕を捉えたのも気になるが、兵士との戦闘で使った重力魔法を見て推測はできた。
次は失敗できないのだ。推測だけど、対策を立てないと!
腕を見逃すときの思考。
あれ、ウースに憑依するやつだ。
でも、憑依しないとポチたちがサトゥーの奴隷にならない。
なら、無視するか。
投石は僕が防いでみせる(ウース?悪い人だけどご愁傷様)。