転生からはじまるデスマーチ   作:nani

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サトゥーが迷宮を作る前に悪魔を殺して、アリサ達に会えないという展開を思いついた。
どうにか会えるように展開を考えるのは面倒だったので、不採用ですが。


腕悪魔

 やっと、見つけた。

 

 丁度、鎖を杭で地面に繋がれるところだったようだ。

 

 ーガンッ

 

「この場から動くな。これは命令だ」

 

(むぅ、間に合ったか?)

 

 あれから、とりあえず悪魔への対策をたてた。その後、1日しかたっていないが、外に出て食料をヨナさんの家に持って行った。そして、日の出ぐらいにポチ達のいた納屋に着いたのだが、誰もいなかったのだ。

 

 戻ってくるか、1時間ほど待っていても戻ってこなかったので、探しに出かけてやっと見つけたのだ。

 

 

「悪魔の眷属に鉄槌を! この聖石を眷属に打ちつける事で徳を積むのだぁああ!」

 

 ウースと入れ替わりに太った神官がやってきて、大きな声で叫んだ。

 

(う、うるさい……)

 

「こいつら亜人は魔族のできそこないだ、いや魔王の眷属だ! こいつらに聖なる裁きを与える事で徳が積める」

「「「オオオオオオ!」」」「「「コロセ!!!」」」

 

(うーん、なら与える相手はご主人じゃ? いや、そう考えると、ポチ達でも積めないこともないのか?)

 ご主人、悪魔に憑依されてるし。

 

「待つのだ! 善良なる民よ!! 殺してしまうと王国の法を犯してしまう。待つのだ!この聖なる石を悪魔の眷属にぶつける事で徳が積める!」

 

(ふっ、そろそろ出番か……)

 といっても、ポチ達への投石を防ぎながら、違和感を抱かせないのは無理だ。せいぜい、石のぶつかるポチ達の体表ぎりぎりに魔力障壁をつくるぐらいしかできない。

 しかし、今まで魔力を圧縮して障壁を作ることもできなかったから、僕も成長したなぁ。

 

 僕はリザの耳元に小声で注意する。

 

「僕ができるだけ防ぐけど、驚かないで」

 

 リザは少し驚いたように目を見開いたけど、すぐ頷いてくれた。

 

 魔力はギリギリ透明で使用して、迷彩はしない。

 多分、これで防げるはず。

 迷彩でするとなると、本物の石を完全迷彩し、偽物の石を投影したり、ぶつかった音を偽装する必要がある。

 技術的に自信がない。

 スペック的にも自信がない。一気にたくさん投げられると確実に追いつかない。

 

「こっちの弟子たちから買うのだ! 並べ! ちゃんと並ばねば徳は積めんぞ!」

 

「「「オオオオオオ!」」」「「「並べ!」」」

 

 ーーガッガッ

 

 リザがポチとタマをかばってる。

 的が小さくなっているからやりやすい。

 

 僕はポチ達と一緒にリザの陰に隠れている。

 だって、危ないし。

 遠いと、魔力操作の消費と難易度が上がる。

 視界は障壁からシックスセンスで確保した。

 

(……遅い)

 

 サトゥーが遅いという意味ではなく、投石速度が遅いという意味の遅いだ。

 実際、投げている住人はレベル10以下は確実だろうし、僕も修行で思考速度が上がったのだろうか。

 

「非道なマネは止めなさい!」

(む、タイミングが悪い)

 

 丁度、テンションが上がってきたところなのに。

 

 ゼナさんと思われる人物が太った神官に呼びかける。

 住民が石を投げ始めても、ゼナさんが魔法で止めてしまった。

 

 そうしていると、ウースが空を放り投げられてきた。

 

「みなさん! この人が首謀者です! 悪魔に憑かれてます!」

 

 投げられた方を見る。

 何故か仮面をつけて変装したサトゥーがいた。

 

(あれ、サトゥーってここで変装していなかったような)

 

 サトゥーがうつ伏せのウースを足で押さえつける。

 

「ククククククッ」

 

 どこからか、笑い声が聞こえる。

 

 ーーギンッ

 

 サトゥーが突然生えてきた黒い腕をはじいた。

 しかし、その拍子に足をどかしてしまった。

 

「な、なんだこの腕は?!」

 

 ……ウースにはまだ意識があるようだ

 

「「昨日、領主様の城を襲った上級魔族の腕です」」

 

 サトゥーとゼナさんが律義に答えた。

 近づいてきた別の神殿の神官が何か聞きたがっていたかも知れないが。

 

「足止めできるかやってみるぞ! ■■■■ ■■■■■ ■■ ■■■■■■……」

「では、その時間稼ぎを! あなたは応援を呼びに行ってください。中央通りまで出て風魔法で声を届けるのが一番早いでしょう」

 

「……すぐ戻ります」

 

 しかし、サトゥーが攻撃する前に、どこからか矢がウースの延髄に突き刺さり、倒れる。

 その後も、何本か矢が刺さる。

 

 住民も石を投げていたが、倒れたはずのウースだった死体がアンデットの如く起き上がると、住民は逃げ出した。

 矢を放っていた狩人も、撤退を開始した。

 

「ムシケラよ、邪魔な宿主の脳を破壊してくれて助かった。ワガハイ感謝」

 

「……■■■■ ■■■■■ 封魔の円陣(サークル・オブ・アンチエビル)!」

「こざかしい。ワガハイ失笑」

 

 近づいてきた神官が結界をはる。

 デブ神官は、すでに逃亡していた。

 悪魔も失笑といいながらも、結界から出れない。

 

 サトゥーが安全を確認したからか駆けよってきた。

 地面に深く刺さった杭を引き抜く。

 

「危ないから、さっさと避難して。鎖を外せないから3人一緒に丈夫そうな建物の影にでも隠れてるんだ」

「むり~、めいれい~」

 

 はっ、僕の出番か。

 

「そこのキサマ。虫けらの分際で無視するとは、ワガハイ立腹!」

 

 僕が姿を現して話をしようとすると、腕悪魔が邪魔をしてきた。

 

光線(レーザー)

 

 レーザーを本体らしき腕に打ち込む。

 

「グッ、勇者ダッタノカ? 吾輩驚愕」

 

 わざわざ、切り札の迷彩を切る必要もなかったので、サトゥーが振り向くのに合わせて仮面の右目から撃ったら、案の定勘違いした。

 

「……先程まデの騒ギ、恐怖、不安、偏見、傲慢、ジツに好ましい! ワガハイ満足」

 

 腕悪魔から一際大きく長い咆哮が轟く。

 空間感知が空間が歪み始めたことを伝えてくる。

 

「しかし、勇者と戦ウにハ足リなイ。故に、コノ地に我が巣穴を創ル、ワガハイ英断」

 

 地面も歪み始めた。

 暗い紫色の光を放ちながら、ゆがみ、ねじれていく。

 不安な光景だが、大丈夫なはずだ。

 僕はリザの手にしがみつく。

 

 目をつぶる。

 空間操作でも少ししか抵抗できなそうなのが、さらに不安を煽る。

 

 僕たちは無抵抗で黒い閃光に飲み込まれた。

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