あれから2年がたった。
昼は勉強、夜は特訓をする生活を続けていたらいつの間にか経っていた。勉強は奴隷の教育用の絵本とかをねだったら貸してくれたのでそれで勉強した。 おかげで、文字も少し読めるようになった。
しかし、この2年間、とても辛かった。だって、インターネットが繋がっていないんだよ?
この二年間、本当にいろいろなことがあったけど、見ていた小説の続きを読めない悲しみや、新しいアニメを見れない絶望よりひどいことはなかった。
(唯一の希望はデスマーチからはじまる異世界狂想曲をこの目で見れることかな・・・)
あの後、僕自身の獣耳に意識を集中して言葉を覚えていく中でいろいろなことがわかった。その中で、一番うれしかったことはここはセーリュー市だということだ。しかも、近くにある酒場らしきところの会話の中でマーサちゃんの名前が出てきた。
(原作開始まで長くとも10年ぐらいかな?)
発音がマーサという別人かもしれないけど、門前宿の娘さんらしいからほぼ本人だろう。かわいいか、かわいくないかぐらいしか話してないから何歳かまではわからない。
まあ、わかってもすでに原作開始時の年齢を忘れているから意味ないけど。
ここがセーリュー市であるとこも確定事項だろう。
近くに竜の谷のあるセーリュー市なんてここしかない。
(原作開始したら星降りがあるからすぐわかるけど、今のままじゃそれどころじゃない)
今の僕の現状も大体把握できた。
獣人の上、忌み色とされる紫色の髪のせいで今の主人である奴隷商人からも気味悪がられているみたいで、早く売り払いたいけど買い手がつかなくて困っているようだ。
僕のことをいつも狐って呼び、ヒナタという名前自体を知らないようだ。見る価値も理由もないのだろう。
僕が生まれてから売り上げが悪いとか体調が悪いとかよく言っているけど、狐アレルギーでもないならそれどう考えて僕のせいじゃないから・・・
あと、僕の母親は僕を産んでくれた後、衰弱して死んでしまったみたいだ。盗賊に父親が殺されて奴隷にされたようだから、仕方ないのかな?
産まれたとき両親に「おやすみ・・・」って言ったけど、それそういう意味じゃなかったからね! むしろ今は、産んでくれてありがとうって言いたい!
あの金髪獣耳のお姉さんは数ヶ月僕の元に来てくれたけど、その後どうなっているのかわからない。僕の今世の母親のような人だから幸せになって欲しいけど、忌み子の僕の世話をしていたことを考えると未来は明るくないかもしれない・・・
ちなみに、いなくなったあとは赤ん坊で他の奴隷から隔離されていたので食料不足か1ヶ月ぐらいご飯なしでの生活を余儀なくされた。絶対、これで生き延びたのが気味悪がられている原因の一つのような気がする。
三日目ぐらいから何か食べないと成長できないと思って何か食べようとしたけど、自分で動けるようになるのと食べても大丈夫そうなものを見つけるのに時間がかかった。
もし光適性で光合成ができなかったら、焦って変なものを食べてお腹を壊して反転のリソースが足りなくなくてそのまま死んでしまったかもしれない。
光合成ができると気が付いたのは、始めて太陽を見上げたときだ。 あ、なんかスタミナが減っていると常時起動している
水と酸素があればしっかり成長できると思うけど、本当にできるかちょっと不安だったのと消化器官が発達しなくて何も食べられなくなるのは嫌だったから、食べれるものがあれば口に入れるようにしている。
あと、いつの間にか付けられた首輪やした覚えのない契約のせいで主人に危害を加えようとしたり、逃げようとすると首輪が締まるけど、「
やろうとおもえば町の外に行っても生きていけるけど、獣とかの危険がある森より今は王国の法で命の安全は保障されているこっちの方が安全だと思っているからまだ奴隷としてお世話になっている(そもそも、この周辺は獣人は奴隷以外存在を許されていないから逃げても奴隷じゃないことがばれたら、捕まるか殺される)。
でも、万が一何か大変なことがあったらそうしようと思っていた。
そう、
さっきは、買い手が見つからなくて困っているようだって言ったけど、あれは昨日までのことで、なにかあったのか奴隷商人は僕をお金を払ってまで売ることにしたようだ。
手のある方へ目を向けると、手首に鎖が巻き付いている。
寝ている間に、鎖に繋がれてしまったようだ。
(逃げられない・・・)
反転で拘束を解けないか試してみるが、高価な鎖でも使っているようで無効化されてしまった。
「この子をもらってくれたら、金貨5枚?」
「ええ!」
石に囲まれた部屋の中で、ご主人の奴隷商人と狐みたいな目をした男が会話している。
(拘束反転右手200%!)
僕のユニークスキルは限界を超えることもできるけど、リソースを偏らせたほうがより強力になる。限界を超えようと試したこともあるけど、1%でも限界を超えていると一瞬しか展開できず、こんな状況でしか使えない上、使うと超えた限界に応じて1%つき1秒間再展開ができなくなる。しかも、その上さらに限界があるようで200%が限界だ。それ以上はできる気がしない。
それに比べて、右手に全リソースを割り振れば例え100%でも全体を100%で反転させるのに比べて5倍近い強度で反転できる。
今回は、どっちも使ってさっきの反転の10倍だ! 危機感知が警報を鳴らしたけど、もう遅い(よく考えればこの時優先するべきは現状把握で、わざわざ拘束を解く必要はなかったけど、縛られていると思うと反射的に拘束が解けるか確かめたくなったのだ)。
ーガシャン!
繋ぐものを失った鎖が音を立てて地面に落ちた。
「「あ・・・」」
「バカな!この鎖、金貨100枚はしたんだぞ・・・!」
奴隷商人がなにかを言っているけど、それどころじゃない。反転が切れてしまった。まだ、左手と首輪が残っている上、何か命令に逆らったのか首輪が締まる。
(拘束反転左手200%!)
・・・あれ?
さらに、限界を超えてユニークスキルを使おうとしたけど、上手く力が入らずユニークスキルを展開できなかった。
「はぁ、はぁ・・・」
「旦那ぁ、もう限界らしいみたいですぜ」
「あ、あぁ」
息を切らして、呼吸を整えようとするけど首輪がしまって上手く呼吸できない。
「金貨10枚なら、引き受けてあげますよ」
「わ、わかった。これが代金だ・・・」
「おぉ、ありがとうございます」
「■■■■■■■■■■■ ■■■ ■■■■ ■■■■■■■■
奴隷商人は代金を渡した後、素早く懐から契約書らしきもの取り出して契約の儀式を始めた。
(コントラクト使えたんだ・・・)
そんな意味のないことを考えていると契約書らしきものが燃えて幻想的な青い光が狐目の男と僕を繋いでいった。
流石に明日は無理です。本当ですよ?