転生からはじまるデスマーチ   作:nani

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最後の方にちょっとしたネタバレがあります。
Web版の384話を見ていない人は気を付けてください。

リザを書いていると、NEW GAMEの阿波根うみこさんを思い出した。


出会い

 二時間かけてファンタジーな直径50㎝はある葉っぱいっぱいに木の実を集めた。

 

 持ち上げると、せっかく集めた木の実がこぼれ落ちていく。

 

「集めすぎた・・・」

 

 もう一枚葉っぱを取ってきてその上に落ちそうな木の実をのせてどうするか考える。

 

(そうだ!ご主人のとこに持っていこう!)

 

 お金にはならないと思うけど、ご主人が金欠になってご飯が食べられなくなって木の実でもいいやって思ったときなら役に立つと思う。

 その時には、腐っているけど・・・

 

 そうして帰ろうと思ったけど衝撃の事実に気が付いた。

 

「道がわからない・・・!」

 

 どうしよう。

 とりあえず、元いた奴隷商人のところの周辺の地理はわかる。 そこまでいけばなんとかなるはずだ。

 

 時間がかかりそうなので、沢山木の実がのっている方の葉っぱを木の上において隠した。 置いた木はわかりやすい場所にある木だから今度は忘れないはずだ。

 

 僕は、新しいご主人の隠れ家を探しに少し木の実がのった葉っぱを持って歩き出した。

 

 ◆◆◆

 

 とりあえず、治安が悪い西通りにやってきた。

 東通りは露店と人に溢れていて危ない。今は昼頃だからさらに危険だ。

 中央の通りは通りを歩く人は身なりが良い人が多く、奴隷は荷車を引いているぐらいしかいない。

 そういうことで、そもそも他の通りは歩けない。

 

(元ご主人も現ご主人も西街にいるのはありがたい)

 

 もし違ったら、今の僕はスキルなしで隠密レベル5ぐらいの隠密をできるようになっていただろう。

 髪色は紫色に戻っている。流石にあの髪の色は目立ちすぎる。

 

 極力、下を向いて暗い雰囲気を出して普通の奴隷になりきりながら歩いていると今まで知らなかった場所に興奮してくる。

 

(へー、夜に屋根の上から見るのとはまた違う景色だ)

 

 知っている場所を見つけたけど、人が歩いているだけで結構印象が違う。

 

 僕は路地裏に入って朝通った道をなぞるように走っていく。

 

 誰か僕に難癖をつけたり、殴ったりするかも知れないと警戒していたけど、杞憂だったみたいだ。

 もちろん、周囲の警戒は切らしていない。もしここで誰かにぶつかったらそのまま殺される可能性を否定できないからね。

 

 

 10分ぐらいで隠れ家についた。

 中から物音がする。誰かいるみたいだ。

 

 僕は葉っぱを玄関の横において、ドアに耳をあてる。 これはご主人の役に立つものを知るために必要なことだからか、首輪は閉まらないようだ。

 

「おい、犬、猫。まきが少ない。取ってこい」

 

「はい、なのです」

「あい」

 

「蜥蜴は掃除と留守番だ」

 

「はい、わかりました」

 

 どうやら、出かけるらしい。ポチ達もいるし、ご主人はウースで間違いないだろう。

 

 おっと。

 足音が近づいてきたので重力を反転させて上に落ちるように屋根の上に避難する。 

 案外、これが難しいのだ。最初は屋根の上に乗れなくて落っこちてしまった。途中で再度重力を反転させたからあまり痛くなかったけど。他にも、30mぐらい上に落ちて死ぬかと思ったこともある。

 

「ん?ああ、狐か。まあ、ガキの獣じゃこれが限界だろう。奴隷どもの餌にするか」

 

「おい。獣ども、ここに餌があったら好きに食ってもいい。ただ、金になるものがあったら机の上においておけ」

 

 そう言って、ご主人は木の実の乗った葉っぱを指さすとまた歩き出した。

 

 ・・・

 

 ご主人は角を曲がって見えなくなったけど、今さらこんな格好でポチ達にあっていいのか不安になってきた。

 

(元々、夜ご主人が寝てから会う予定だったんだけどこんなに早くチャンスが訪れるとは・・・)

 

 屋根の上で、宝物庫(アイテムボックス)に入った水の入った桶を取り出し自分の顔を眺める。

 

 水面には、汚れた貫頭衣を着ていて狐耳が付いている紫髪の幼稚園児が映っている。 目も薄い紫色でたれ気味だ。

 

(うーん、狐耳族なのにご主人の方が狐っぽいってなんか屈辱だ)

 

「そこのもの、出てきてください」

 

 ポチ達と出会っていいのか迷っていると玄関の外に出たリザが片手に木の棒、片手に石を持って僕に話しかけてきた。恐らく匂いで気付いたのだろう。

 

 えっと。

 とりあえず、下に降りよう。

 

「あ、怪しいものじゃないからぁ!ちょっと待って!」

 

 急いで、水の入った桶をアイテムボックスにしまう。水は僕の成長に必要だからレベル1で一つしかしまえないアイテムボックスの中身はいつも水を入れている。 もしかしたら、光だけも成長できるかもしれないけど水すら飲めない生活なんて嫌だ。 この水も川まで行ったりして厳選した美味しい水だ。

 

「とぅ!」

 

 半分以上落ちたら重力を反転し音を立てず膝を使って着地する。

 リザは絶句していたけど、すぐ復帰して僕に質問してきた。

 

「それで、あなたは何者ですか?みたところ奴隷みたいですが」

 

「えっと、君のご主人の新しい奴隷。ですかね?」

 

 身長差が倍近い上、原作キャラだ。どうしても、緊張して目を逸らしてしまう。

 

「さっきご主人様が言っていた狐ですか。それで、何をしていたんですか?」

 

「ご主人から隠れてたんです。・・・えっと、僕はご主人から近づくなって言われていて、それで割と自由に行動できるんです。だから、えー・・・」

 

 僕は説明しようとするけど、緊張で上手く説明できない。 とりあえず、「奴隷は主人の命令に従う」って契約をご主人からの命令を無効化していることは伝わればいいんだけど。

 

「新しい命令を受けないように。ですね?」

 

「そうです!ご主人がいるときは、会いに来れませんけどこれからよろしくお願いします!」

 

 そう言って、僕は頭を深く下げる。

 

「そうですか・・・。犬、猫、早く薪を取ってきなさい。彼女は新しい仲間のようです。挨拶は命令が終わった後でいいでしょう」

 

「あい!」

「です!」

 

 家の中からそんな声が聞こえる。

 

「えっと、僕も手伝います!」

 

「・・・ばれたくないんでしょう?とりあえず、私が掃除しながら話を聞きます。ついてきてください」

 

「はい!」

 

 リザ(今は蜥蜴)に招かれてご主人の家に入った。

 

「ここって、ご主人の家ですよね?僕が入って大丈夫なんですか?」

 

「ここは納屋です。ご主人様の家には私たちも許可がないと入れません。しかし、

納屋には誰かを入れるなとは言われていますせん。入っても気にしないでしょう」

 

 入る時に、そう確認したらこう返ってきた。

 恥ずかしい・・・。

 

「何か質問があれば聞いてください」

 

 そうしてリザは納屋の掃除を始めた。

 

「えっと・・・」

 

 今の生活についてとか、年齢について聞こうと思ったけど流石にデリカシーがなさすぎる。

 そうだ!

 

「何か持って来て欲しいものってあります?次来るときに取ってきますよ!」

 

「あのドングリの山で十分です。自分のことを優先してください。なんでしたら、困ったことがあったら何でも聞きに来ていいですよ。奴隷ですから、いつでもは無理ですけど」

 

「僕は(精神年齢)20歳です!」

 

 ちょっと優しすぎですよ、リザさん。

 それに、前世の年齢を足して四捨五入するとそれぐらいのはずだ。

 

「・・・何があったんですか?」

 

 さっきの大ジャンプをみたのとこの歳では考えなれない受け答えからか、一応、信じてくれたようだ。とりあえず、聞いてみたなんてことだったら、プライドがズタズタになる。

 けど、なんて答えればいいのかなんて考えていない。

 

「・・・僕は未来を見たんだ。詳細は言えないけど」

 

 一瞬で冷静になって、考えた結果そう神妙に答えた。

 

「そうなんですか・・・」

 

 リザは藁を拾いながらそうつぶやく。

 僕はリザが俯いて暗くなっているように見えて、思わず言ってしまう。

 

「あと、5年、恐らく5年以内にみんな肉を好きなだけ食べれるようになる未来を見た。その未来には僕がいなかったから、それがどう影響するかわからないけど、僕も全力で頑張るから!」

 

「・・・それは本当ですか・・・?」

 

 何故か声が怖いけど答える。

 

「た、多分・・・」

 

 僕の声は震えてなかっただろうか?不安だ。

 

「・・・すいません。もう私の部族はないですし、聞いた話では犬と猫も同じような境遇ですから、そんなことありえないと思ってしまいました」

 

「えっと、ごめんなさい?」

 

 そうだよね。信じられないよね。次来るときは肉をもってこよう。

 

「いえ、いつかまた肉を食べれる可能性があるんです。その時まで、いっそう死ぬわけにはいかなくなりました」

 

「ふぅ、なら良かった。ところで、この話・・・犬たちにしたほうがいいかな?」

 

「いえ、1年なら待ちきれると思いますが5年は待ちきれないと思うので秘密にしておくべきかと。衝動的に反抗してしまったら目も当てられません」

 

「そうだよね」

 

 僕も「まだ~?」「まだなのですか~?」と聞いてくるポチ達に耐えられる自身がない。

 

 

 ・・・。

 

 

「何か手伝えることある?」

 

 暇になったので聞いてみた。

 

「それより、これからあなたはどうするのですか?」

 

「これから?」

 

「はい、これからです。私たちは今まで通りに過ごせば大丈夫みたいですが、あなたはなにをするんですか?」

 

 何をする予定か指を折り曲げながら数える。

 

「とりあえず、食料を確保して、悪魔に備えて特訓して、今が未来のどこらへんなのかと違いを調べる、かな」

 

 これくらいかな。

 

「悪魔ですか?」

 

「うん。もし、未来で見た知識が本当なら僕は未来の知識とは別に狙われているからね」

 

「そうですか。すいませんが、今の私ではどうすることも出来ません。でも、頑張ってください」

 

「ありがとう」

 

 なんか、やる気が湧いてきた。

 

「ポ・・・犬たちってあとどれくらいで帰ってくる?」

 

「後、2、30分でしょうか」

 

「了解。ちょっと特訓するけど、邪魔だったら教えて」

 

 そう注意して、準備運動を始める。

 

「それは?」

 

「準備運動」

 

 気休めだけど、いきなりやるよりはいい。 目を閉じて集中する。

 

(MP消費反転)

 

 そう設定した直後に、魔素を竜脈に情報が流れないようにするため光学迷彩のように操作した。

 これは割とすごい技術で、確か原作でもあとの方ででてきたはず。 鑑定などのスキルは竜脈から情報を得ているからそこに情報が流失しないようにすればあらゆる索敵スキルから逃れられるのだ。さらに、主人公はこれを使って光学迷彩をも可能としていたはずだ。

 この技術の問題は使用中消費する魔力が膨大で、外部からの魔力回復ができないということだけど、僕のユニークスキルはこの問題を解決できる可能性がある。 これだけでもやらない理由はないのだけれど、魔力消費反転は光属性魔術を使えるようになった時にも役立つのだ。というわけで、魔力操作をできるようになってから今までの鍛錬はこれしかやってない。

 

 問題は、魔力消費反転のハードルが異常に高いことだ。スタミナは徐々に減っているのに対して魔力は一気に全部減少することだってある。 

 毎日、スタミナに余裕ができたら魔力減少反転に設定を変更して魔素隠蔽の練習と反転の熟練度を上げること2年間。 全力でやっと秒間5割までなら反転できるようになったけど、レベル1の総魔力量では未だ魔素隠蔽は全力でやってしまうと一瞬で0になる。

 だから、日々鍛錬しているのだ。

 

 ちなみに、技能隠蔽(ハイド・スキル)は竜脈に偽り情報を流す消費0のスキルなので要らないというわけじゃない。

 これを極めれば、不可知の斥候として原作パーティーでも居場所があるはず・・・!

 

 リザが急に透明になった僕に驚いているけど、光適性のおかげか光学迷彩は割と楽に出来るんだよね。

 




ちなみに、主人公の容姿はアズールレーンの如月をイメージして書いています。 ・・・タグに入れるべきですか?

それと、これ書いたあとに「リザの古馴染み」を読みました・・・なんで先に読まなかったんだろう?
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