転生からはじまるデスマーチ   作:nani

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リザは赤髪の細身の女性。
タマは猫耳付きの白髪の少女。
ポチはなのですって言っている茶髪の少女。たれ耳付き。


ご飯

 魔素隠蔽自体は実は反転を使えば可能で、感覚を覚えるために魔素の流失を対象に反転したこともあるんだけど、頭に周囲の情報が単語ごとにばらばらのパズルみたいになって流れ込んできたので、これを組み立てれば鑑定の代わりに使えそうなんだけど正解のないパズルなんてやってられないので使っていない。

 

 僕は反転できる限界ぎりぎりまで魔力を使いながら、魔素の流れを反対に投影するように操る。所々出来ていない場所があるから、今度はそこを意識を集中して魔素を操る。

 それをずっと繰り返す。

 

 昔は片手だけでも難しかったけど、今は立ち止まって集中すれば全身に精度の低い光学迷彩をするところまでは可能だ。周囲の色が基本木一色なのでリザからは消えたように見えるだけで、裏から見られるとぼやけたりブレたりして上手くリザの姿を映せていないだろう。

 これであっているかわからないけど、いつか全身の魔素の流れを偽装出来るようになりたいものだ。

 

「そこにいるんですか?」

 

「うん」

 

 別に魔素に光をのせて操っているだけでここにいるので、音も熱も匂いも消しきれていない。むしろ、魔素にのせにくいので全く操れない。

 

 ◆◆◆

 

 そのまま、疲れたらスタミナ消費の反転に変更して腹筋などの筋トレをしながら待っているとポチ達が僕が入ってきた方のドアとは反対側のドアから薪を抱えて帰ってきた。

 

「くま~」

「くまにあったのです」

 

 くま?

 動物のくまはいないはず。奴隷の熊人族かな?

 そう思いながら、光学迷彩をやめてリザに聞いてみる。

 

「熊人族の奴隷?」

 

「はい。同じドブネズミというギルドの長に買われたんですが、私たちはそこから今のご主人様に譲り渡されました」

 

 初耳だ。

 そういうことなら、原作開始は近いのかな?

 

「はじめまして?」

「はじめまして、なのです」

 

 汚れているけど、かわいい・・・

 この世界は何故こんなかわいい子に厳しいのだろうか・・・?

 わかっている、主人公がくればやさしい世界になることは。けど、今この瞬間に死にそうになっている女の子もいるはずだ・・・

 

(僕の役目は少しでも子供を生き残らせることなのかもしれない)

 

 主人公が来なかった可能性は考えない。色々な問題が未解決のままになっていつか世界ごと滅びそうだ。

 まず、セーリュー市は最初のワガハイ悪魔によってどうにかなってしまうだろう。これをどうにかしても公都や首都、迷宮都市を落とした魔王や悪魔が襲ってくるだろう。

 ちょっと難易度が高すぎる・・・

 迷宮都市に行ってレベル上げするべきか?

 

「猫~」

「犬なのです」

「私は蜥蜴と呼ばれています」

 

「僕は狐です。これからよろしくお願いします」

 

 自己紹介が始まったので僕も名乗る。偽名だけど。

 よく考えると、リザの名前も聞いていなかった。

 

「よろしく~?」

「よろしくなのです」

 

 まずは、野生動物を狩れるようにならないと迷宮でも戦えないな。

 そう考えていると、ポチ達が近づいてきた。

 

「さっきのなに~?」

「すごいのです。もう一回やって、なのです」

「確かに、私も気になります」

 

 ・・・もうこれだけで満足だ。

 今まで苦労がすべて報われた気分だ。

 

「ふっふっふ、これでどうだ!」

 

 そう言って、魔素をもう一度操って光学迷彩をする。

 

「これは、魔力を使って僕を見ても僕の反対の景色が見えるようにする光学迷彩?だ!」

 

 自分でもこの技の名前がよくわからない。光学迷彩だけど、魔素迷彩だしどっちなんだろう?

 

「こう~?」

「すごいのです」

「魔法ですか?詠唱が聞こえませんでしたけど」

 

 タマが消えた。

 タマ・・・

 タマ・・・、なんで初見でできるんだ・・・?

 

「つかれる~」

「ねこ、すごいのです!」

「私にもできるでしょうか?」

 

 タマの姿はすぐに現れたけど、思わずつぶやいてしまう。

 

「これが、才能の差か・・・」

 

 そう言って、姿を現す。

 

「蜥蜴、これはとても疲れるから今はやめたほうがいいと思う。猫もご主人の近くでは使わないように」

 

「なんで~?」

 

 なんでって・・・なんでだろう?もしかしたら、干し肉をもらえるかもしれないのに。

 

「ばれたら、危険な命令をされて犬と一緒にいられなくなりますよ」

 

「いや~」

「いやなのです!」

 

 リザがいてくれて助かった。

 

「ありがとう、蜥蜴。助かったよ」

 

「いえ、本当にばれたら何をさせられるかわからないので。少なくとも命の危険はあるでしょうから。あなたも気を付けてください」

 

 リザの耳元で囁くと、割と物騒な言葉が返ってきた。

 

「それでは、ご飯にしましょう。ご主人様の許可もあります」

 

「ご飯~?」

「あるのですか?」

 

「はい、狐が取ってきてくれました」

 

 そう言って、リザが玄関の方までいって木の実ののった葉っぱを取ってくる。

 

「どんぐり~」

「なのです」

 

 嫌がらせのために持ってきたのに喜ばれると罪悪感が・・・

 

「虫は~?」

「どうするのです?」

 

 ポチ達が蜘蛛やムカデを薪の中から取り出した。

 

(・・・食べるの?)

 

「犬、猫、ありがとうございます」

 

 僕が驚いていると、床に葉っぱを置いてその横に虫()を置いてしまった。

 

「狐、食べないのですか?」

 

「えっと、僕は水と光だけで生きていけるっていうか・・・」

 

 みんな座ってしまって僕を上目遣いで見ながら聞いてくる。

 

「だめ~」

「死んじゃうのです!」

 

 そう言って、手に蜘蛛を持って近づいてくる。

 

 くっ、この容姿が仇になったか・・・

 

「これ、おいし~」

「ムカデよりおいしいのです」

 

 とはいえ、逆らえるわけがない。こんなかわいい子が僕のためにおいしいもの?を食べさせてくれようとしているのだ。食べられるもののはず・・・!

 

「あ、あーん」

 

 目をつぶって、極力何も考えず口に入れられたものを食べる。

 

(お腹らしきところが案外柔らかくて、胸のとこ・・・)

 

 何も考えずしっかり噛んで飲み込む。ちょっと、苦い。

 

「お、おいしかったよ」

 

 そんな気がする。

 

「よかった~」

「好き嫌いはダメなのですよ」

 

「あ、ありがとう」

 

 ああ、二人の笑顔が見れただけで食べた意味がある・・・

 

「狐、好き嫌いは駄目ですよ」

 

「・・・」

 

 ◆◆◆

 

 葉っぱの上がからになったので、僕は立ち上がる。

 

「それじゃあ、僕はいくよ。次来るときは出来れば動物を持ってくるつもりだけど、大丈夫?」

 

「にく~!」

「にくなのです!」

「!刃物を持つのにも、火を使うのにも許可がいるので・・・」

 

 リザが悔しそうに呟く。

 

「じゃあ、僕が頑張って焼いてくるよ」

 

 やはり、料理もできないか。

 

「はい。でも、おそらく食べたのを知られると叱られると思うので、私たち以外誰もいないときに持ってきてくれると嬉しいです」

 

「わかった。本当に大変そうだけど、そっちも頑張って」

 

「そちらこそ、気をつけて。」

「またね~」

「またねなのです」

 

 

「犬、猫、そろそろご主人様が帰ってくる時間です。大丈夫ですか?」

「あい」

「はい、なのです」

 

 そんな話し声を背に僕は走り出した。

 立ち止まっている暇はない。まず光学迷彩を使って他の人の解体作業を盗み見してから、動物を捕まえてみんなにお肉を食べさせてあげるのだ・・・!




今の光学迷彩は自力でやっていますので、違和感がすごいって設定です。動きながらやると他に考え事なんてできず、今はばれたら終わりなので移動には使えません。

タマはなんで光学迷彩できたんだしょう?忍者だからでしょうか。

主人公の原作知識ですが、Web版の15章までの予定です。
それと、首輪が締まるのは何もせず休憩しているときだけです。主人公が命令として受けたのはそれだけなので。何を怠けるなと言われてないと主人公が曲解しているのです。そういう設定です。
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