ソードアートオンラインオルタナティブ イモータルブラッド   作:さくやそん

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第十二話 新たな力

 結局、コスプレをすることになったのだが、今回の衣装はメイド、だそうだ。

 決して自分で選んだ訳ではない。

 トモエから、

「女顔だし絶対似合うって!ほら早く着てこい」

 と、言われてしまい今に至る。

 着たは良いが、鏡の自分を見て、とても二人の前には出られないと自覚する。

 だが、

「遅い。開けるよ」

 トモエの容赦ない連れ出しにより、二人に見られた。

 二人の感想は揃って、

「か、かわいい」

 だった。

 しかも、ウィッグまで付けられたせいで、今や完全に女の子である。

 そして、二人はというと、これまた驚く獣耳だ。

 ベルは黒い衣装に狐耳、トモエは赤い衣装に猫耳。

 店内はかなりカオスに包まれている。

「ねぇ、もう着替えても」

 俺がそこまで言ったところで、

「「駄目」」

「あ、はい」

 としか言えなかった。

 こんな時だけ無駄に息が合っていた。

 ずっとこれで良いのになぁ、と思わずにはいられなかった。

 そして、時は十分ほど経過し、ようやく終わりが見えてきた。

 が、そんな安全な静寂はトモエによって破られた。

「イザヨイ、あんたら結婚したんでしょ?なんで今更?」

「え?」

 それは禁忌だった。

「イザヨイ君と関わって何か問題が?」

「いや、ただ横取りしたのをどう考えてるのかなぁ、ってさ」

 プチン、と両者の怒りが込み上げたのを感じた。

 どうにかしなければ、と思った時には既に手遅れだった。

「横取り、ねぇ。イザヨイ君は私を選んでくれたのよ?何か問題あるかしら?」

「元々、イザヨイは私がパートナーだったのよ?」

「攻略組にも居ないあなたと、攻略組の私では実力に差があるわよね?」

「証明できるの?ご自慢の強さとやらを」

「圏内戦闘でもする気?やめておきなさい。流石に対人戦闘はあなたに勝ち目はない」

「舐められたものね。私だってイザヨイに育ててもらったんだからね」

 どんどん白熱していく喧嘩は、ついに圏内戦闘に発展した。

 圏内戦闘とは、圏内であるためにHPが減らないことを生かしたpvpの一つだ。

 なによりも目の前で剣が止まるので、どうしても衝撃に大きく仰け反らされることが多々かる。

 そんな戦闘をするようだが、武器はほとんど関係なくなるため、二人ともメインの武器は使わず、予備の剣を手に握る。

圏内と言えども、武器が破壊されることはある。

ここでメインアームを失えばその損失は大きくなる。

その事を考えた、テンプレになっている戦い方だ。

2人の間で火花が散る。

互いの視線が交錯し、決戦の火蓋が切っておとされた。


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