ソードアートオンラインオルタナティブ イモータルブラッド   作:さくやそん

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第壱話 イザヨイの軌跡

 回想を終えるのと同時に、主街区«アレムゲト»へ入る。

 SAOにはHPが減る圏外と、減らない圏内が存在する。

 当然ながら、主街区をはじめとする多くの街は後者に位置する。

 圏内では、プレイヤーが泊まれる宿屋が多くある。

 手頃な価格の宿屋に入り、一休みする。

 そこで、ある約束を思い出す。

 急いで、街の北にある転移門広場へ行く。

 そこに、もう待ち合わせの相手は居た。

 赤の服に白のマント。

 攻略組で最も強いとされる男、ギルド«血盟騎士団»のギルドリーダー、ヒースクリフはすでに俺を待っていた。

「遅かったな。君の敏捷から察するに忘れていたのではないかね?」

「ぐ……」

 図星だった。

 彼が最強たる由縁は、彼の持つユニークスキルことサーバーに一つのスキル保持者であることもさることながら、この分析力にある。

 どんな状況でも恐ろしい程冷静に考え、最善を導き出す。

 彼は、それで何度もピンチを救った。

 で、そんな彼が、攻略組の中でもソロを貫く変わり者の俺を呼ぶときはあの要件以外あり得ない。

「単刀直入に言おう。我がギルドに入ってくれ」

 予想通りだった。

 彼はこれまでも何度もこのように誘ってきた。

 血盟騎士団は例外なく強者の集まりだ。

 そこに入れる、ということは強さを認められたということであり、戦闘職の憧れであった。

 しかし、答えはずっと前から変わっていない。

「嫌だね」

「どうしてかね」

 いつもならここで食い下がっているヒースクリフが珍しく、問いを発した。

 理由は二つあった。

 一つは、昔から大人数での行動が苦手なのだ。

 十人程度ならまだしも、血盟騎士団はそれより人数が多い。

 そしてもう一つは、この男、ヒースクリフはおそらく運営、制作のいずれかと関係があると思ったからだ。

 とりあえず、適当に返事をしておく。

「あんまり馴れ合いとか得意じゃないし、俺が入っても戦力にならないだろ?」

「そんなことはない。君は全プレイヤーの中で最も敏捷が高く、反射神経もいい。攻撃が当たることなんてほぼ無いそうじゃないか。それに、武器スキルの完全習得の早さ。その実力はかの黒の剣士より上かとも思うが?」

 俺は敏捷にステータスを極振りしたため、防御はおろか、重い武器すら持てない。

 しかし、その速さを活かした戦闘スタイルでノーダメージで戦闘をこなしていく。

 さらに、武器系統のスキルを1000まで熟練度を上げたのは、俺が最初だ。

 そして、黒の剣士というのは、俺と同じβ上がりの鬼のような強さの片手直剣使いである。

 強さのトップ3をあげるなら、ヒースクリフ、キリト、そして俺の三人が入るだろう。

 だが、それは認めるが、ヒースクリフの知る俺ではキリトには勝てない。

「黒の剣士は強い。それこそ、俺なんかよりもな」

「そんなことはない。キリト君の強さがあの反応速度なら、君の強さは反射神経、そして私と同じ分析力だ。それに君の速さが加わればキリト君とも互角以上に戦えるはずだ」

「でも、あいつはどんな時も必ずどうにかしてきた。速さなんて飾りだよ」

「良いかね?君にはソードスキルを改変してしまう程の適正があるんだ。いくらキリト君と言えど、初めて見る技には対処しきれないだろう」

 ソードスキルの改変。

 それは本来打たれるソードスキルの動きの途中に、素早く手を動かし、別のソードスキルに繋げる技だ。

 本来ならソードスキルがキャンセルされ、技後硬直を課せられるが、あまりの速さにそれを上書きしてしまうのだ。

 理論上はいくらでもソードスキルを繋げられる。

 確かに未知の連撃である。

「でも、ギルドは入らないよ」

「そうか。またいつでも連絡したまえ」

 ヒースクリフは転移門に入り、消える。

 俺は宿屋に帰り、すぐに休んだ。

 しかし、その日は上手く休めなかった。

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