ソードアートオンラインオルタナティブ イモータルブラッド   作:さくやそん

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第五話 不死鳥の転臨

 俺のHPはベルセポネの放った一撃によって0になり、俺は死んだ。

「あっけねぇなぁ!あの紫の暴風でも麻痺の前には無力だったな!」

 ジョニーの声が、聞こえる。

 直後、辺りを紫の炎が包んだ。

「あ?なんで炎なんか!?」

 ジョニーとベルセポネ、そしてエニグマが何事か、と驚いている。

 炎は徐々に集まり、人の形を作り上げる。

「てめぇ!?何で生きてやがる!?」

「死んださ。だけど生き返ったんだよ。お前には理解し得ない力でな」

「まさか、二人目のユニークスキル使いだとでも言うのか!?」

 そう、恐らくは俺の習得した«鳳凰剣»というスキルもユニークスキルなのだろう。

「あぁ。恐らくな」

「死なねぇって能力か!?そんなのゲームバランスが崩れている!?」

 鳳凰剣に設定された能力は3つ。

 1つは炎の鎧が身を包み、あらゆる状態異常を受けない。

 また1つは、炎を自在に操ることが出来る。

 そして、最後1つは、まるで不死鳥のように、死んでも蘇る。

 当然制約もある。

 まず、ストックという要素があり、これが0になれば俺は本当に死ぬ。

 今の俺のストックはたった今使ったので2。

 つまり、あと2回死ねる。

「ユニークスキルの強さはヒースクリフでわかってるだろ?」

「ちっ!退くぞ!」

「逃がすかっ!」

 俺は持ち前の敏捷を生かし、逃げようとした二人に追い付く。

 が、突如として視界が煙に埋められた。

「煙幕か!?」

 煙幕が晴れた後、そこにはもう何もなく、ただ静寂のみが残響していた。

 俺はエニグマのもとへ行き、解毒結晶を使う。

 動けるようになったエニグマが俺に問う。

「お前ぇ、ホントに死なねぇのか?」

「あぁ。ただ制限はあるぜ」

「何かは聞かないが、その力使いすぎねぇ方が良くないか?」

「同感だ。これがバレたらインタビューとか来てめんどくさい」

「秘密にしといてやるよ」

 エニグマは俺の気持ちを憚ったのか、黙っていてくれるようだ。

 その後はすぐに主街区へ入り、宿屋を探すことにした。

 案外早く、空いている宿屋を見つけられ、チェックインを済ませる。

 部屋へ向かう最中、エニグマが話しかけてくる。

「なぁ、ベルセポネを悪く言うんじゃねぇが、あいつはもう本物のPKだよ」

「だからどうした」

 俺の冷ややかな声に圧倒されたのか、エニグマは一瞬息が詰まる。

「だから、トモエに危害がないように、もうあいつのことは忘れて、ただのPKとして見ろ」

 そんなことは分かっている。

 今は、守るべき、トモエ、という存在が居る。

 だが、ベルセポネは、ベルは、まだ人を殺していない。

 そう信じたかった。

「いや、あいつに人は殺せない」

 ベルがPKということを認めたくない。

 その感情のせいか声が震える。

「あのな、お前はホントにそう思ってるのか?」

 当たり前だ。

 だが、口は、まるでのり付けされているかのように動かない。

「例え、大切な人が殺されかけていたとしても、同じことが言えるか?」

 それは、それは、言えないのだろう。

 しかし、ベルは、かつてのあの優しいベルはどこへ行ってしまったのか。

「ベルセポネはもうラフコフの一員だ。次会ったら殺す覚悟をしとけ」

 そんなことはあり得ない。

 あり得てはならない。

 俺はこれまでも人を何人と殺した。

 だが、例えPKだったとしても、俺はベルを守ってしまうだろう。

 それほどまでに、心を許したのだ。

「とにかく、ベルセポネはもうお前の知ってるベルセポネじゃねぇよ」

 その言葉が、俺の中の何かを狂わせた。

 目から涙が止まらない。

 部屋に入ってからは、夜遅くまで、ずっと泣きじゃくっていた。

 かつての恋人が、どこか遠くへ行ってしまった。

 そんな気がした。

「ベル。お前はもうあのベルじゃないのか?」

 俺の問いは、夜の静けさに掻き消え、ただ沈黙だけが返ってきた。

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