ソードアートオンラインオルタナティブ イモータルブラッド 作:さくやそん
世界最強のPK、ラフコフリーダー、PoHがナイフを手に迫ってくる。
少し右にずれただけで回避し、お返しに一撃喰らわせる。
PoHが怯んだ隙に、ソードスキルを叩き込む。
かなりHPは減ったはずなのに、まだPoHは余裕を見せている。
「なあ、紫の暴風よぉ、お前はユニークスキルもってんだよな?」
突然の問いに驚くも、こいつに教えてやる必要もない。
「実はな、こっちももってんだ。ユニークスキルをなぁ」
これは恐らくブラフだ。
しかし、その恐らくという考えが恐ろしい。
九割違おうが、もし残り一割だったら、俺は間違いなく死ぬ。
「俺のユニークスキル、特別に教えてやるよ」
さっきまでの余裕もユニークスキルがあるから、と考えれば筋が通る。
「俺のユニークスキルはよぉ、深界剣。背面からの攻撃にダメージ追加と、気配の完全遮断、索敵能力アップってとこだ。あともう一つとっておきがあるが、実際使ったら教えてやるよ」
見事にPK向きのスキルだ。
背面からの攻撃は、気配遮断と索敵能力アップで上手く使え、簡単に人は殺せる。
「なあ、PoH、お前、何で教えてくれたんだ?」
「決まってる!ここでお前は確実に死ぬからだ」
予想通りの発言。
俺の短剣はPoHを上回る速度で放たれ、確実にHPを奪っている。
なのに、なぜあいつはいまだに余裕そうなのか。
その答えはいくら考えようと、ユニークスキルのとっておきとやらしか思い付かない。
俺の一瞬の油断をつき、PoHの短剣が俺に襲いかかる。
PoHの短剣に纏われている光は濃い青色。
そして、初動のモーションからソードスキルを予測する。
俺はその予測したソードスキルと同じ軌道で、より多い連撃のソードスキルを放った。
「甘い。まだまだだな」
PoHの声とともに、俺の腹に拳が刺さる。
体術スキルに存在するソードスキル«キャンセルスプリング»
ソードスキルをキャンセルし、技後硬直なしでパンチを繰り出す技で、ダメージ自体は大きくないものの、相手から確実にスタンを奪える。
つまり、このままだとPoHは簡単に俺のHPを0に出来る。
PoHの短剣から今度こそ濃い青色の光を纏うソードスキルが放たれる。
短剣が俺を斬る、その寸前、それは起こった。
俺の姿が掻き消え、PoHの後ろへ回る。
「何をした!?」
「簡単さ。ソードスキルを使ったんだ」
「あんなソードスキルは知らない。貴様まさか!?」
PoHが知らないのも無理はない。
本来、鳳凰剣スキルに設定されたソードスキルを使うには、一度死に、炎を纏う必要がある。
だが、熟練度が500を越えてからは多少なら使えるようになったのだ。
その、使用出来るようになったソードスキルの一つ«アクセルアラウンド»を使ったのだ。
アクセルアラウンドは、任意の方向に状態異常を無視して、瞬時に回復しながら移動、という効果を持っている。
スタンも立派な状態異常として認められている。
そのため、俺は片手をついてダッシュ、という荒業が可能だったのだ。
「ちっ!めんどくせぇ!一気に片付けるぜ!」
PoHの声に合わせ、四人ものオレンジプレイヤーが現れる。
昨日襲ってきたラフコフ幹部、ジョニー。
そして、同じくラフコフ幹部、赤目のザザ。
残る二人は知らないが、少なくとも俺らの味方ではない。
「数で攻めるってことねぇ」
「そうだ。お前に、勝ち目は、ない。おとなしく、ここで、殺されろ」
ザザが言ってくる。
確かに、勝ち目はないに等しい。
だが、逃げるなら出来る。
「さて、勇者さんよぉ、こんな絶望的な状況、きっとあんたなら乗り越えられんだろぉ?見せてみろよ、お前の本気ってやつをよぉ。始めようぜ、真のデスゲームをな。ラウンド2開始だ」
PoHの声が開始の合図かのように、四人は一気に俺へ迫ってくる。