鋼線使いの武偵   作:鋼線使い

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 詩蓮 side

 

 

 寮に戻るハズ……だったのだが、未だに校庭に居た間宮の都合を訊いて、了承を得たから一緒に男子寮に向かう。

 

 

────長い黒髪の子からドス黒いもんが出ていた気がする。さっきの教授(プロフェシオン)の教えが頭の中を通った気がした。気のせいかな?

 

 

「あぁ、そうだ。あかりって呼ぶがいーか?」

 

「はい!大丈夫です」

 

 

 自室に入り、あかりに合い鍵を渡す。

 

「これ、部屋の合い鍵。荷物とか置きたかったら置いといていいからな」

 

「荷物置いていいんですか?他の人はいないんですか?」

 

「ここは俺しかいないよ。部屋に入る時、俺に連絡しくれればそれでいいよ」

 

 

 同期のヤツがいたら後々面倒になるしな。

 あかりって夾竹桃に狙われているかもしれないからな、夾竹桃に会ってアイツが俺の事を言うかもしれんから時間の問題か?

 

 ま、バレたその時考えるか。

 

 

 

「そういえば、家族に連絡してあるか?」

 

「はい、妹に先輩の家に泊まっていくって連絡しました」

 

「そうか……時間も時間だし夕飯作るか」

 

「あたしもお手伝いします!」

 

 あかりってドジッ娘ってヤツ──情報源は理子──と思ってたが料理出来るのか……。

 

 同期でまともに料理出来るヤツいたか?

 

 理子は甘い物しか作らない。

 ジャンヌはどっちかと言えば食べ専。

 夾竹桃は分からん。

 エルはレーションだったし。

 セーラはブロッコリーオンリー。

 パトラとヒルダとカツェは作ってるところを見たことない。

 金一さんは作れるだろうな。

 

 よくよく考えてみると全員分作ってるリサはスゲーな。流石、できるメイドだな。

 

 そんな事を考えながら料理を作る。

 オムライスとコンソメスープを作って食べた後に今後の方針を話す。

 

「あかり、お前の悩みは体に染み着いてしまった暗殺技術…だな?」

 

「ど、どうしてそう思うんですか……」

 

 警戒したな。

 やっぱり分かりやすい。

 

「動揺と警戒、答えを言っている様なものだぞ」

 

「なんで分かるんですか……」

 

「あかりは、感情が顔に出やすいのもあるが、模擬戦と戦兄妹(アミカ)試験。この二回でお前は、俺の殺気に反応して無意識に攻撃していた。模擬戦の時は、喉を抉ろうとし、試験の時は、心臓に二発。心当たりあるだろう?」

 

「……はい」

 

「言っておくが俺は、あかりが暗殺技術を持っていることに忌避も軽蔑もせん」

 

「え……」

 

 どうして?って顔をしているな。イ・ウーにいたせいかな?無法者にとっては関係なかったし、武偵でもあるエルはメッチャ使ってたし。

 俺も使ってるし。

 

「むしろもっと使えって俺は思ったよ。臭いモノに蓋をするようにひた隠し、してても教わった意味がないじゃねーか」

 

「詩蓮先輩!分かってるんですか、これは命を奪う技!武偵が使うモノじゃあないんですよ!」

 

「そうだな、武偵が使うもんじゃあないな。じゃあ、訊くがお前はその技を使ってないと言い切れるか?」

 

「そ、それは……」

 

 使っているのか……だけど殺さない様に改良若しくは加減が出来るのか、どちらかに成功はしているな。

 

「俺も暗殺技術はケッコー使ってるからな、俺の戦妹でいる間は、持っている暗殺技術を改良若しくは加減を覚えてもらう。俺の使う技術も教える。覚悟しておけよ?殺すという考えすら起きないぐらいに厳しくやるからな」

 

 おーおー、顔色がコロコロ変わるな。さっきまで赤だったのに青になった。

 

 さてと、あかりに道を拓くための力を覚えてもらわねーとな。

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 あかり  side

 

 ライカと志乃ちゃんと別れて詩蓮先輩と一緒に先輩の部屋に向かい部屋の合い鍵を貰った。

 

 詩蓮先輩と一緒に夕食を作って食べ終わった後、詩蓮先輩が言った言葉は、あたしが抱える問題の核心を突くモノだった。

 

 あたしが暗殺技術を持っていても気にしないと言ってくれた。

 

 でもそれは、先輩も暗殺技術を使っているから。

 

 その後の方針の話しを聞いたあたしは、この先やっていけるか心配になった。お母さんの教えが優しいモノになってしまうのだろう。

 

 

 

 話しが終わった後、先輩にトランクに入ってある五十万ドルを十枚ずつに分けてと言われ黙々と作業した。

 

 なんでドル札があるのか訊いたらアメリカにいる武偵の友達に自分が使うワイヤーを売った時のお金らしい。

 

「あかり~、キリが良いなら風呂入りな~。寝間着は悪いが俺のジャージで我慢してくれ」

 

「は、はい、大丈夫です!?」

 

 そうだった、忘れてた!?

 泊まるのに何も用意してなかった!

 

「下着の方は、すぐに洗濯機入れて乾燥させてよ~。ついでに、脱衣場の棚にある歯ブラシも選んじゃって~」

 

「分かりましたー」

 

 作業を一旦中断して机の上に置いてある寝間着とタオルを持って風呂場に向かう。

 

 

 

 お風呂に入って着替えたけど黒のタンクトップ、白のジャージ上下、下着はさすがにない。あったら問題の様な気もするが……。歯ブラシも選んでスタンドに、詩蓮先輩の隣に差しておく。

 

 先輩も風呂に入ったらしく、タンクトップとジャージの下を着て、髪の毛は濡れたままだった。

 

「詩蓮先輩!髪の毛は乾かさないとダメですよ!」

 

「メンドイ」

 

 この人意外と無頓着というか、面倒臭がりなのかな。

 外、人が見てるところではしっかりしてると思ったら、人が見てないところではこうなるのか……。

 

 

「あたしが乾かしてもいいですか?」

 

「好きにしな~」

 

 詩蓮先輩の髪って長めなのにさらさらしていて少し羨ましいな。

 

「そうだった、あかり?そのままでいいから、ちょい話しを聞いてくれ」

 

 乾かしが終わってあたしが持っていた櫛で髪を梳かしていたら先輩が改まって訊いてくる。

 

「あかり、三日内解消規則(スリーデイズ・キャンセル)って知ってる?」

 

「スリーデイズ・キャンセル?」

 

「知らないのはまぁ、仕方ないか。そこまで知られてないからな。そのまんま、戦妹になって三日以内で私闘で負けたら戦兄妹の契約が解消になる規則だ」

 

「戦兄妹じゃあなくなるんですか!?」

 

「そうだよ。そこまで気を張っても意味はないよ知ってる人の方が少ないからな」

 

 そ、そっかぁ…。せっかく先輩の戦妹(いもうと)になったのに負けたら台無しになっちゃうのか……。

 

「そういえば、明日始業式だったな。今日はもう寝るか」

 

「あ、そうでしたね。お金、まだ分けれてない!」

 

 どうしよう……半分くらいしかまだ終わってないのに!

 

「ん?それは暇な時でいいよ。すぐに必要な訳じゃあないからな」

 

 よかったぁ…。

 いきなり雑用すら出来ない娘とか言われなくて……。

 

 

 それから歯を磨いてから下着の確認と荷物の確認をして寝室で二段ベッドの上、先輩の寝ている上で寝ることにした。

 

 ふと思ったが、男の人と同じ部屋で寝るのって初めてだっけ?

 

 

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