鋼線使いの武偵   作:鋼線使い

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4.

 間宮あかり side

 

 

 模擬戦が終わって人が帰りだす中、あたしは先程の諜報科(レザド)の先輩の言葉が頭の中でリピートしている。

 

 そのままボーッと立っていたら、後ろから抱き締められた。あたしにこんなことするのは、ライカぐらいのハズ。

 

「ウェッ?!ちょ、ちょっとライカ?!何してるの!」

 

「フッフッフッ、無防備で黄昏れてるあかりにスキンシップとってるだけだろ?いいじゃん減るもんじゃないし」

 

「減るよ!あたしの気力が減るよ!」

 

 

 エロオヤジみたいな事してくるバカライカの対応で減るよ。

 

 

「──にしても、随分呆気なくやられちまったな……」

 

「うん、そうだね」

 

「あーゆう突発的な強い先輩との模擬戦ってさ、あたしらが天狗に成らないようにしてるっぽいよな。この前は特進の一石先輩が相手だったし。諜報科ならって一瞬思ったけど、あの先輩絶対強襲科(アサルト)だとSランク相当だろ」

 

 

 うん、あたしもそう思う。

 

 

 ……と言うか、鳶穿に反応して対処できる人が強くない訳ないよね。

 

 

「そー言えば、あの先輩の名前知らないな」

 

「あたしも名前知らない」

 

 

「名は、絲髪詩蓮師匠でござる」

 

 後ろから掛けられた言葉に驚き振り返ると、眼帯に特徴的な六文銭が描かれていて、喋り方や服装が何処と無く忍者っぽい女生徒が立っていた。

 

「えーっと、確か諜報科の真田百合だっけ?」

 

 ライカの言葉に何となく思い出す。確か、諜報科の二大忍者だっけ相方は風魔忍者だった気がする。

 

 間宮は、公儀隠密の家系だから……あたしも残念な忍者になる(あーなる)可能性があったかも……。

 

「然り。師匠との修行終わりだった故、拙者は参加しておらぬが、見事に師匠の完勝であったな」

 

「真田は、その口ぶりからすると絲髪先輩の戦妹(アミカ)なのか?」

 

「その通りにござる、火野ライカ殿。しかし、今月で戦妹は切れてしまうでござる。師匠には拙者が持つ技を教える代わりに戦妹にして貰ったでござる。四月にまた戦妹契約する時は、実力で勝ち取らねばならないでござろうな」

 

 真田さんの言葉を信じるならあたしの、間宮の技を条件に戦妹契約出来ると思うけど、やっぱり間宮の技を教えるのはダメだ。

 

 真田さんの様に実力で取らないといけない。

 無理かもしれないけど、申請してみようかな。

 

「それにしても絲髪先輩徒手強すぎだろ~」

 

「あはは…確かに容赦なかったね……」

 

「あー二人に言っておくでござるが、師匠、徒手はそこまで得意という訳ではないでござるよ」

 

 

「「えっ……」」

 

 

 嘘でしょ?あんなに体動かせる人なのに、徒手は得意という訳ではない?詐欺だよ、それ。

 

 

「師匠は本来ナイフ、苦無などを投擲してワイヤーで回収したり、ワイヤーで相手を捕縛する戦法にござる。師匠は今回の模擬戦相手は、練習台くらいにしか思ってないでござろうな」

 

 

 何だろう……今、頭がふらぁっとした。

 強襲科新一年の中でもそれなりに強い人は居たハズなのに練習台って……。

 

 

 

 どうしよう、判断に困る。

 このまま戦兄妹の申請出そうか迷う。

 アリア先輩の戦妹にもなりたいけど、絲髪先輩の戦妹にもなりたいと思ったけど、どうしよう……。

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 死神 side

 

 

 蘭豹による突発的な模擬戦から数日後。

 

 ジーサードと約束した日になり、今から受け渡し場所に向かう。

 

 時刻は夜十一時の空き地島にて行うことになった。

 

 

 今の俺の格好は、死神として活動する時の格好だ。

 顔の右半分を隠す仮面(マスク)、左目にモノクル。ちなみにこのモノクル、ジーサードから買ったテラナというHMDだ。

 フード付きの黒コート、腕と足にはプロテクターをはめて、鋼線を自由に出せる黒の革手袋様な手袋、そして鋼線のストックを体中に仕込んでいる。

 

 

 テラナに映っている時刻を確認して、空き地島全体に拡げた鋼線の振動を、誰かが踏んだことを確認して、後ろに来ていた人物に声をかける。

 

「こんばんはー、ジーサード」

 

「チッ、毎回思うんだが何で分かるんだよ。こっちは、光学迷彩(メタマテリアル・ギリー)で見えねーし、テラナがあっても映ってない相手は分からんし、気配も音もなかった筈だ」

 

 

「あーそういえば、種明かししてなかったけ?まぁ、どうやってかと聞かれれば、鋼線を蜘蛛の巣の様に地面に敷いて在って踏んだ時の衝撃が俺に伝わって、そこに誰かが居るって分かるっという絡繰りだよ」

 

 何か、ジーサードが溜め息を吐いた。何故だ?

 

「改めて、テメーが規格外だってことを認識しただけだ、気にするな」

 

「おいおい、それブーメランだって分かってるか?、音速拳(ソニックパンチ)出来るテメーも規格外だろーに、その内銃弾を素手でキャッチするんだろう?」

 

「ハッ、テメーもその内ワイヤーで銃弾キャッチするんだろ?」

 

 

 互いの顔を見て夜の空き地島に緊張が生れたがすぐさま霧散し、規格外二人の笑い声が夜の空に響いた。

 

 

 

 この会話の内容が近い将来に実現することになるのはまだ誰も知らない。 

 

 いや、世界一の名探偵は推理しているかもしれない。

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 近くでそんな規格外同士の会話を聞いていた、ジーサード・リーグの面々は……。

 

 

「サード様とシレン様ならやってしまいそうですな」

 元デルタフォースのアンガスが……。

 

 

「ハハハ、あの二人なら豪快にやるだろうな……」

 陽気なアトラスが……。

 

 

「そうよね、あの二人ならやりそうよね……」

 オカマ口調のコリンズが……。

 

 

「日本だとこーいうのって、フラグが建ったって言うんだっけ?」

 キャラメルを食べてるジーフォースが……。

 

 

「ホントやりそー……」

 オッドアイで超能力者のロカが……。

 

 

「…………(あの二人なら出来るかもな)」

 元KGBのキースは心の中で……。

 

 

「ジーサード様……」

 別のことを考えている狐妖怪、九九藻(つくも)

 

 

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