Side:葛葉
夜になった。駒王町は田舎の都会って言ってもまだ夜中まで明かりのついているところはなかなかない。
俺と貴虎、そして博士は拠点にしている部屋に集まっていた。
「それでは最後の確認だ。葛葉はチェリーになりオカルト研究部とやらに乗り込む。凌馬は葛葉のドライバーから発信される信号を受信してくれ。私は周辺の監視をする。」
「わかった。もうそろそろ行っていいのか?」
「あぁ、では作戦開始だ。」
「「了解!」」
俺と貴虎は同時に変身した。
何故貴虎も変身できるかって?そりゃ俺のドライバーをユグドラシルが解析して「ゲネシスドライバー」なる人口ドライバーを作り上げたからだ。あれは専用となるロックシードが現段階四個しかないのが欠点だが、火力と特殊性能は本家の戦極ドライバーにも負けていない。
「「変身!」」
『メロンエナジー!ロック、オン!ソーダ!!メロンエナジーアームズ!』
『ソイヤッ!ミックス!オレンジアームズ!花道、オンステージ!ジンバーチェリー!ハハッ!』
貴虎は人口ロックシード「メロンエナジー」で変身した。黄緑と白を基調としたアームズで手には人口武器「ソニックアロー」が握られている。
俺は新披露、ジンバーチェリーだ。なんとも博士曰く陣羽織をモチーフにしたらしくオレンジアームズにも関わらず鎧は黒で、時折赤が見える。
「では行くぞ。」
俺たちは駒王学園旧校舎のオカルト研究部室へと向かった。
駒王学園は悪魔の気配がしたのだが特殊なものの気配はない。雰囲気は昼とは違い全くの無人だ。
「ここか。葛葉!ここからはコードネームで会話だ。オレンジ、周囲の警戒を頼む。俺は右から、お前は左からだ。」
「了解!」
チェリーの高速移動を使って旧校舎周辺を調べても特に異常はなかった。
『ロック、オン!オレンジアームズ!花道、オンステージ!ジンバーピーチ!ハハッ!』
ジンバーピーチに変える。ジンバーピーチの特徴としてはチェリーで赤だった部分が桃色に変化し、高速移動ではなく聴力が上昇するアームズだ。
キィィィィィン
耳を澄まして聞いてみると、旧校舎内部から声がしてきた。
「匙!」
「はい!」
「葛葉さんに連絡を取ってください。彼から聞きたいことがいくつかあります。」
「いいですけど場所は…………?」
「生徒会室でいいでしょう。日時は五日以内でお願いします。頼みましたよ?」
支取さんと匙くんの声だ。
なんか怪しい。もしやここにいる悪魔と関係があるのか。
「葛葉!」
貴虎が戻ってきた。
「ここから支取さんと匙くんの声がした。きっとあの二人も、いや生徒会も悪魔と関わりがあるのかもしれない。」
「そうか…………。よし、私が奴らの気を引く。その間にオレンジは中に入って証拠を集めてくれ。」
「わかった。」
俺はジンバーチェリーに戻し、旧校舎の入り口へ入った。中は夜だからかとても暗く、いかにも悪魔が住み着きそうな建物だ。
「ここが旧校舎……。」
「ッ!?そこのあなた!そこでなにをしているのです!」
後ろから突如聞こえてきた声。聞き覚えがある。この声の主は……
「私を七十二柱の次女ソーナ・シトリーと知ってここを狙ったのですか!?」
昼間の大人しいイメージとは違い、激しい勢いで話してくる支取、いいやソーナ・シトリーさん。これで確定だ。
「君は悪魔………なのか?」
この人口ロックシードには声を意図的に変えることができるシステムが搭載されている。
そのためこのような相手に自分の姿をわからせたくない時にはとても有効だ。
「知らないでここを狙っていたのですか。いいでしょう、ここから先は通しません。」
ソーナさんが右手を挙げると、どこからか水が出てきた。いや、違う!ソーナさんが水を操っているんだ。しかもなんかちゃっかり龍の形をしてるし!
「あなたのその仮面を外してじっくりとお話しを聞きましょう!」
「そりゃっ、無理ってもうさっ!」
俺はジンバーチェリーの高速移動で回避する。相手はこの建物を熟知しているが、あの水龍はチェリーに追いつけるほど速くない。
回避しつつ情報を探していこう。
「くっ!なかなか当たりませんね。あっ、こらっ!どこへ行くのですか!」
とりあえず二階へと上がる。
この建物は全三階でオカルト研究部は最上階にあるみたいだが、匙くん曰くこの建物はオカルト研究部専用らしい。だからきっとなにかしら情報があるだろう。
貴虎からはもし上にも悪魔がいるようなら無理に探さず帰還と言われているのであまり三階には行きたくないのが本音だ。
「二階にいる……いやもしかしたら三階……?まずは二階から探しましょうか。」
ソーナさんは俺が今いるところの反対から調べ始めた。
しめた!これで多少調べられる。
この部屋はどうもアルバムやら記録されているものが多く見える。赤いTシャツを着た茶髪の少年やら金髪の少女、それに真っ赤な髪をした美少女がいた。その近くに名前が書いてある。
「兵藤一誠」、「アーシア・アルジェント」、「リアス・グレモリー」。
「リアス・グレモリー」?どこかで聞いたことあるような………。どこだったっけ?
(コータ!早く早く!)
(コータ?大丈夫?)
(コータは私と将来結婚するんだもんね!)
あぁ、あぁぁぁぁああああ!!!!
(リアスちゃん、ちょっと待って!)
(大丈夫だよ。)
(わかったから。僕もリアスちゃんのこと大好きだよ。)
そうだ。思い出した。
忘れてはならなかった記憶。僕、いや俺の大事な人。貴虎や博士、ミッチーには悪いが彼らよりも俺には大事な人がいた。
「リアス・グレモリー。」
「見つけました!さぁ、いい加減投降したらどうです?」
「そうだ、グレモリーだ……。」
「なにを言っているのですか……あなたはん………?」
思い出してきた記憶。
俺を拾ってくれた魔王であるサーゼクス兄さん。人間にも関わらず育ててくれたグレモリー夫妻。わずかな時間しか一緒にいれなかったがリアスちゃんのいい友達になってくれた朱乃ちゃん。
そうだ……俺は全部思い出した。
「そう……俺は……………。」
「なんですか?」
「俺は「コータ・グレモリー」だ!」
「ッ!?」
ソーナに衝撃が走ってたのであろう。後ずさりしていた。
「ソーナ・シトリーさん。」
「な、なんでしょうか?」
ソーナさんが警戒して呼ぶ。
「俺の名前はコータ・グレモリー。数年前おそらく行方不明になっているグレモリー家の次期当主候補だ。」
「やはり貴方が……。」
「そして現在はこういう人だ。」
変身を解く。これでおそらく相手も理解してくれただろう。
「……ッ!?葛葉さん!?貴方がリアスの……?」
「元婚約者です。おそらくですけど今では違いますけど。」
「貴方はあれからどうしていたのですか?」
「記憶を失ってとある企業で働いていた。そこのプロジェクトでこの町に来ていました。」
「今夜リアスが婚約者候補であるライザー・フェニックスとレーティングゲームを行います。リアスはそれに反対しているのですが、グレモリー卿が勝手に婚約を進めてしまったらしいのです。」
「あの人は何をしているんだ!彼女の気持ちも考えないで!ふざけるな!」
俺は当然の如く怒る。
当たり前だろう。俺の大事な人が勝手に婚約してしまうんだぞ!それも本人が拒否しているのにも関わらずに!
「あの……コータさん?」
「あぁ、悪かった。それで?」
「ここで相談なんですけれども、もし負けたら結婚式の当日にその式をめちゃくちゃにしてくれませんか?」
「ッ!?どうしてだ?ソーナさんは何も関係ないのに……。しかもそんなの考えなさそうですし……。」
「そのことについては以前から考えていたことです。もしこのタイミングでコータさんが現れたらこうしようって。」
「なかなかの策士ですね?」
「ありがとうございます。それで返事は……?」
当然決まっている。
「答えはYESだ。当然リアスちゃんを助ける。決まっているだろう?大切な人だからだ。」
「わかりました。もしゲームに敗北した場合は確か三日後に行われます。匙からメールアドレスをもらってもきますのでそちらから連絡しましょうか?」
「頼む!俺はさっきの貴虎たちに言わなきゃならないことが出来たから戻っていいか?」
「わかりました。では、また後日。」
「「リアス(ちゃん)の結婚式をぶち壊しましょう(そう)!!!」」
俺の記憶が戻った。いや、正確には少し戻った、だな。まだあれ以前の記憶は戻っていないが当分の目標は見えた。
俺はそれに向かってやるだけだ!!