アーマードライダーD×D(再投稿)   作:神崎桃哉

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第34話

Side:匙

 

あのベルトを手にしてから俺の中でいろいろなものが変わった。

大好きだった生徒会やいつものクラス、さらには悪魔稼業や自宅ですらつまらなく感じていた。それに加えクラスメイトが「匙って何か最近口悪くなったよな」やら「前の違って何か変」だとか言われている。まぁそんなことどうでもいいが。

そういえばらあのベルトのおかげなのか『黒い龍脈(アブソリュート・ライン)』の強度も上がっている気がする。フリードの聖剣のオーラには勝てなかったが大体の奴らは拘束できるようになるまでになった。

 

俺が足を止めたのは町外れにある荒んだ教会だった。あのベルトを手にしてからここを特訓場にしている。理由としては町にはあまり広い場所がないのと同業者が集まりにくいってことだ。

 

「おい、いるか。」

 

俺は声をかける。

普通ならこんなところに住んでいる奴なんていない。だがここには一人だけいる、但し『人』ではないのだが。

 

「何よ、また来たの?」

 

現れたのは黒髪の少女。綺麗な黒髪を腰まで伸ばしていて、顔も整っている。そこらへんのやつ、特に変態三人組だったら一目であっちの目線を向けるだろう。だが、それよりもボロボロに破れている彼女の服に目がいってしまう。

 

「飯とか持ってきてやったんだ。少しくらい感謝しやがれ。」

 

俺は手に持っていたスーパーの袋を彼女に渡す。会長たちと別れて近くのスーパーで買ってきた残り物の惣菜や割引のパンなどが多い。俺の所持金だとこれくらいしか買えない。

 

「まぁいいわ、ありがとう。」

 

彼女は横を向きながらスーパーの袋を受け取り、中のパンに手を出した。

会長たちが彼女とのことを発見したらどう思うのだろう?なんで少女がこんなところに?親や兄弟は?などと思うかもしれない。

だが、それよりも真っ先に疑うことはーーーーーーーーーーーーーーー

 

「体調とかは平気なのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイナーレ?」

 

そう、彼女の名前はレイナーレ。以前ぐれも眷属の『兵士』兵藤一誠を殺し、『僧侶』であるアーシア・アルジェントの神器を抜き取ろうとした『堕天使』だ。

 

「ホントあなたもよくわからないのよね、こんな堕天使を助けている悪魔なんて。」

 

「俺がしたいだけだ、勘違いするな。」

 

「ハイハイ。」

 

レイナーレ曰く、グレモリー眷属に負けて消滅する寸前、謎の裂け目を通り、別の場所にいたと言う。その場所は日本とは全く違う言わばジャングルのようなものだったが、この世界のものではないと彼女は言う。その後数時間後くらい経つと元の教会に戻っていたらしい。

彼女から教えられた知識が俺があのベルトを手にした時にいた男の背後に見えた植物の情報がほぼ同じで、俺は彼女に食料を与える代わりに彼女から情報を受け取っている。

 

「で、いつもの特訓はするの?」

 

「あぁ、頼む。俺は強くならなければならない。」

 

これほどまでに強さを追求することがあったのだろうか?会長の眷属になったのだって真っ当な理由があったわけじゃない。ただ会長の側にいなかっただけだ。

だが今ではどうだ?会長から離れて堕天使を助けている。

やはり俺の中で恋愛感情も変わってきているのか………?それはそれで嫌だな。会長のために生徒会になって眷属にまでなった、それなのに結局はこれか。

 

「何してんのよ、早く行くわよ。」

 

「悪い、すぐ行く。」

 

部屋をすでに出ていたレイナーレに呼ばれ俺は彼女の後を追うように部屋を出た。

これがリアス先輩のところの変態だったら喜びそうだが、俺はそうじゃない。強くなるために悪魔、いや堕天使の力まで借りている。

その結末が一体どこへ行くのかは俺は知らないーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

Side:レイナーレ

 

 

私はレイナーレ。

私のことを簡単に説明すると、兵藤一誠を殺すために兵藤一誠の彼女になって殺してアーシア・アルジェントから『聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)』を奪ったが、結局一誠くんにボコボコにされてリアス・グレモリーにやられた。

いや、正確にはそうではない……のだろうか?あの時私は確かに死ぬ寸前だった。なのに目が覚めたら教会の外れにあった小さな部屋のベットにいた。

何がなんだかわからなかったが九死に一生を得たと思って街を歩こうとしたが、服がボロボロ。兵藤一誠くんを殺そうとした天野夕麻の服も街中に出るには卑猥すぎる格好だ。

どうしようか悩んでいたら一人の男性が現れた。彼の名前は匙元士郎で、この街の支配者の片割れであるシトリー眷属の『兵士』だった。

私は当然警戒したが、彼はただ手に持っていたスーパーの売れ残りを差し出して「さっさと食え、あとここに適当に服用意した。街に出るならこれ着てけ。」と言った。

訳がわからなかった。こいつはなんで私にこんなことしてくれるのだろうか?兵藤一誠みたいな人じゃなくても普通の男なら気絶している女性をみたら襲いかかるだろう。だが彼はしない。

それに加え、彼は悪魔でシトリー眷属だ。

犯さなくても、彼の主人であるソーナ・シトリーに連絡してさっさと私を駆除すればいいはずだ。なのに彼はそれをしない。

一体なんでだ…………?

私は貰った食べ物を口にしていたら、突如彼が話し出した。自分を鍛えてほしい、と。

彼曰く、彼は今以上の力を求めているらしい。力を得るにはそれなりの相手が必要だと言う結論に至り、私を相手に指定したのだった。

たぶんこれが目的だと思った。

丁度いいサンドバッグ、学業で疲れた疲れやストレスを私相手に発散する。性的な目的じゃないとしたら暴力かもしれない。

 

と思っていた。特訓を始めたら彼はあまり強くはなかった。正直兵藤一誠よりも弱い。兵藤一誠みたいな馬鹿力はなく、単純な火力はほぼない。

だが、彼には兵藤一誠とは違う点があった。神器である『黒い龍脈かっこを利用して相手の力を吸い出し、自身の力に加える。白い竜のような力だが彼の『黒い龍脈』は神器から放たれる黒いロープのようなものに巻きつけていないと吸い上げることができない。

これだけではない。というより、こっちの方が大きい点だ。

それは狂人的なまでの力への欲求。

今は悪魔だが、元人間には致命的なダメージだろうが彼は痛くもかゆくもなく、「これだよこれ」みたいな顔をしてまたかかってくる。しかもその十分後にはその傷がほぼ癒えている。

始めは恐ろしかった。彼は一体何者なんだ、と。

だがそれを続けていくと案外慣れてしまった。そのため私も最大火力の魔力で彼に攻撃する。彼は飛んでいる私を必死に神器で捉えようとしている。

このような生活がもう少しで一週間続く。彼は始めに比べ相当成長した。悪魔で言えば中級悪魔と肩を並べられるほどにまで。

そしてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー私を殺せる程度まで。

殺される日がいつ来るのかわからない。当然だが、私は彼の思考を読むことはできない。

だからとりあえず一日でも長く生きてられるようにしよう。

私は彼との特訓をしながらそう考えていた。

 

Side:匙

 

 

「今日はありがとな。」

 

「ふん、別に。」

 

一時間強の特訓を終え、元いた教会の部屋に入る。

その部屋はあまり女の子がいるような部屋ではないが、しっかり整えられている。と言っても日常用品は俺が揃えたんだがな。

 

「ねぇ、一つ聞いていい?」

 

レイナーレが聞いてきた。

 

「なんだ?唐突に。」

 

「いいでしょ、別に。」

 

やはりまだ警戒しているのだろうか。

流石にレイナーレも悪魔に殺されそうになった身だ。警戒レベルは相当高いだろう。

 

「あなたが強くなったら私はどうなるの?」

 

「……………。」

 

俺が強くなったら。それはレイナーレが特訓相手として相応しくなくなった時ということだろうか。

 

「別にどうもしねぇよ。」

 

「……どういうこと?」

 

「そのまんまの意味だ。別にこの教会に住んでたっていいし別の街に行ってやり直すでも、堕天使の本部でも行けばいい。だが、その時になったらお互いのことは忘れてくれ。」

 

何故忘れてくれと言ったか。それは簡単だ。

レイナーレはきっと嫌々やってくれているのだろう。こんな下級悪魔のためにわざわざ時間を割いてやってるんだ、屈辱だと思う。

だからお互いがお互いのことを忘れればここ一週間で会ったことは忘れればレイナーレも悔しくならないはずだ……記憶を忘れない限り。

 

「…………別にいいわよ。」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「なんでもない!私もう寝るからさっさと帰って。」

 

「はいはい、わかった。じゃあまたな。」

 

俺は部屋を後にする。

部屋のドアを開けると後ろから微かだが声がした。

 

「私は…………私だけはあんたの味方になってやるから……。」

 

小声だったがそう聞こえてきた。

 

(そっか……わざわざありがとな、レイナーレ。)

 

ドアを閉めて出口へと歩き始める。

また明日からバルパーたちの捜索が始まる。今日はフリードに逃げられたが明日は絶対に倒す!

意気込みながら俺は帰途への道を歩き出した。

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