Side:コータ
リアスちゃんと朱乃ちゃんと一緒に新たな眷属、『騎士』(ナイト)木場祐斗くんがリアスの眷属となった。当の本人はまだ眠っているが、いずれ眼をさますだろう。
「で、これからどうするの?」
「私に聞かれても……リアスは何かある?」
「お兄様から一度本家に来いと言われてるの。朱乃とコータも一緒に行かない?」
サーゼクスさんか。すごい久しぶりに会う気がする。
「朱乃ちゃんは初めてだっけ?すごい面白い人だから話しやすいと思うよ?」
「え……!?そうなの?」
「はぁ。お兄様をそう思える人はコータぐらいだわ。ということだから行くわよ?」
「「今から!?」」
「今からに決まってるでしょ?なんで今話したと思ってるの?」
「いやぁ、普通に考えるとせめて明日からとかじゃないの?」
「早くに越したことはないじゃない?」
「まぁそうだけど……。」
「はい!じゃあさっさと行きましょう!」
リアスちゃんが手を叩き、グレモリー本家行きが決定してしまった。
グレモリー本家に着くと、相変わらず多くのメイドさんがお出迎えしてくれた。当然だけど朱乃ちゃんはびっくりしていた。
そして今はグレモリー卿とヴェネラナさん夫婦とサーゼクスさん、グレイフィアさん、その二人の息子であるミリキャスくん、リアスちゃんと僕と朱乃ちゃんの8人で夕食を取っていた。
「それでお兄様。お話とはなんでしょう?」
「そうだね。近頃猫又の姉妹を保護した上級悪魔がいて、そこにいる猫又を保護してほしいんだ。」
「何故保護なのですか?」
「その上級悪魔はあまりいい噂を聞かなくてね……。この前も眷属の能力強化を強制的に行っているという噂があったんだ。」
「それで保護ですか。」
「そういうことさ。」
「サーゼクスさん。それは僕も行った方がいいの?」
「そうだね。これは兄ではなく魔王サーゼクス・ルシファーとしてのお願いだからできれば行ってほしいかな。」
「わかった。まぁサーゼクスさんがダメっていっても僕はリアスちゃんについていったけどね。」
「ッ!///」
急にリアスの顔が赤くなった。それに朱乃ちゃんがほおを膨らめた。
「ねぇ、母様。なんでリアスお姉ちゃんは赤くなってるの?風邪なの?」
「リアスは風邪ではありませんよ、ミリキャス。」
こんな慎ましい親子の会話も見ることができて、グレモリー卿もヴェネラナさんもなんかとても楽しそうだった。
「それじゃあリアス、任せたよ?」
「わかったわ!」
「コータくん、朱乃ちゃん。リアスのこと頼んだよ?」
「はい!」
「リアスちゃんのことも朱乃ちゃんも守るから大丈夫。心配しないで!」
「なら安心かな。じゃあ頑張ってくれ!」
こんな感じでその日の夕食は終わった。
その次の日、僕とリアスちゃん、朱乃ちゃんはその上級悪魔が住むという屋敷周辺まで来ていた。木場くんは相変わらず寝ている。だいぶ辛かったのだろう。
「リアスちゃん?どんな感じ?」
「待って!あっ、いた。猫又の姉妹とデカそうな態度な悪魔。えっ!?殺した!?」
「ッ!?」
「えっ!?どういうこと!?」
眷属が主である悪魔を殺すこと。これは重大な違反であり、これを犯すとはぐれ悪魔となり、懸賞金がかけられて、悪魔やその他の賞金稼ぎにも狙われる。
「リアスちゃん、朱乃ちゃん。早くあの二人を追いかけよう?」
「えぇ、そうね。早く行きましょう。」
二人は悪魔の羽を広げて飛んでいき、僕はオレンジアームズに変身してその場へと向かっていった。
「あなたたちっ!何をしているの!?」
「悪魔っ!早すぎるにゃ!絶対捕まるわけにいかないのにゃ!」
え……「にゃ」?
「二人は猫又の姉妹なの?」
「そうにゃ!お前たちもあの悪魔の手下にゃんだろうにゃ!なら倒すだけにゃ!」
戦闘態勢に入った黒猫の女の子。傍には白猫の女の子が気を失って倒れていた。
「待って!私たちは何故あなたたちが主である悪魔を殺したのかが知りたいだけよ。」
「ッ!?…………ホントにゃ?」
警戒しまくっている黒猫。
「当たり前じゃない。私はリアス・グレモリーよ。黒い髪の子が朱乃で、こっちの男の子はコータよ。」
「グレモリー!?魔王の妹!?」
「えっ!?リアス のお兄さんって魔王だったの!?」
「そうね、朱乃はまだ知らなかったわよね?実はそうなのよ。こちらも名乗ったんだからそっちも名乗りなさいよ?」
「いいにゃ。私は黒歌にゃ。こっちの白猫は妹の白音にゃ。」
黒髪で和服を着ている黒華と白い巫女装束のような服をしている白音。黒歌は和服から漏れ出す妖艶さ、白音は守ってあげたくなる寝顔をしていて…………
「可愛いな……。」
「「「ッ!?(///)」 」」
急に3人の目線がこっちに向いた。黒歌は頬を赤く染めて、リアスちゃんと朱乃ちゃんはこっちを睨んでる。なんか前にもあったような……?
「ねぇ、コータくん?あとでお話があるんですけどよろしいですか?」
「ん?別にいいよ。黒歌ちゃんと白音ちゃん助けたらね?」
「はぁ。コータも天然でこういうのしてるから憎めないのよねぇ………。」
ドゴォォォン!!
急に魔力の球が飛んできた。リアスちゃんと朱乃ちゃん、黒華ちゃん、そして僕は白音ちゃん抱えて回避した。
「まさか猫又を庇っている悪魔がいるとは。これは報告ものですな。」
現れたのは人間界でいう中年にあたる細身で白髪の男性だ。
「あなた!ここで何をしてるの!?」
「こちらも聞きたいですねぇ?何故『はぐれ』悪魔の味方をするのかを?」
「「「ッ!?」」」
「そ、そうにゃ。私は主を殺したから今ははぐれ悪魔扱いなのにゃ。」
「では早く身柄をこちらに引き渡していただきたい。」
「だけどあんたのとこになんか絶対いきたくないにゃ!」
きっぱり断った黒歌ちゃん。この言葉に中年悪魔は驚きを見せなかった。
「まぁそうでしょうね。力ずくといってもこちらは未だに上級悪魔。そしてあなたはここ最近最上級悪魔に匹敵する程の実力を持っている希少な猫又であり悪魔……。」
「それくらいだったら余裕で返り討ちにするにゃ!」
「ですが、これならどうでしょう?」
男が取り出したのは《ロックシード》の元になっている実だった。あれを口にすれば最後、人いや悪魔としての自我を失ってしまう。
「この力があれば、あなたなど余裕に屠ることができるでしょう。」
そう言うと、男は果実をくちにしてしまった。喉を通る途端、男は体が震え始めて無様な声を出し始めた。
「みんな……下がって……。来るっ!」
僕の言葉通り、次の瞬間には男はサーゼクスさんが見たという魔物『インベス』に変わっていた。角が二本生えており、サーゼクスさんが見たインベスとは別種みたいで、名付けるならシカインベス。
「ギャアアァァ!!」
男、いやシカインベスが我を忘れたようにこちらに突っ込んできた。先程同様に避けたが、あのインベスの走っている衝撃は圧倒的だった。
「《変身》!!」
『ソイヤッ!オレンジ、アームズ!花道、オンステージ!』
手に持っていたオレンジで変身し、武器である剣でガードするが、
(お、重いっ……。)
どうもシカインベスは先程と比べ、速度はなくても攻撃力と防御力はとても高い。まるで悪魔の駒の『戦車』(ルーク)のようだ。
「グァァアアッ!」
速度はあまり早くないが一撃一撃が重く、僕は防戦一方だ。ならーーー
『パイン!ソイヤッ!パインアームズ!粉砕デストロイ!』
僕はシカインベスの攻撃に現れた偶然の隙を利用してアームズチェンジをした。同じく戦車と同じような特徴を持っているパインアームズへと姿を変えて対抗した。のだがーー
(くっ……。やっぱり一撃が重すぎる。)
シカインベスの体はまだ子供である僕の身長の2、3倍くらいあり、その巨体から放たれるのは強力な一撃。
「朱乃!コータをサポートするわよ!」
「はいですわっ!」
「私も手伝うにゃ!」
リアスちゃんと朱乃ちゃんが魔力で、黒歌さんが仙術僕をフォローしてくれる。本当にありがとう……でも……。
「リアスちゃん!白音ちゃんを連れて早く退却して!」
「なんでよ!?私たちは「この人数でも勝てないかもしれないから早く白音ちゃんを安全なところへ送ってあげて!」……わかったわ。朱乃!私をフォローして。」
「……わかりましたわ。」
2人が離れて転移の準備をし始めた。アイツに邪魔はさせない!
「ハァァアアッ!」
『シャイン!シャイン!シャイン!ソイヤッ!パインスカッシュ!』
今の僕の最大の攻撃、パインスカッシュ。
これなら……ッ!?
「ギ……ギャアアァァ!!」
「嘘にゃ……あれレベルの技を受けてまだ生きてるにゃんて……。」
パインスカッシュを耐え切った巨大シカインベスは何やら口元にエネルギーを集めて……え?
「リアスちゃん!朱乃ちゃん!」
僕は身を挺してリアスちゃんたちのところへ向かう。ただ黒歌さんやシカインベスの動きなど一切見ずに。そして彼女とシカインベスの間に着いた途端。
「ギャァアアア!!」
シカインベスから火炎放射が放たれた。リアスちゃんたちとの間にいた僕は両手を広げリアスちゃんたちを庇う形で守った。
「コータ!?」
「リアスちゃん、早く転移を……。」
「ッ!わかったわ。朱乃!」
「はいですわ!」
2人が白音ちゃんを抱えて転移したのを最後に僕の意識は落ちていった。