「ふ~~~ん、言うだけの腕前はあるってことか」
途中であったユーシスと共にゴールを目指す、悠一、エマ、フィーの3人。襲い来る魔獣の攻撃をかわしながら悠一はユーシスの腕前を確認していた
「てかいい加減うぜぇ!」
しつこく攻撃してくる猫と蝙蝠を合わせた魔獣にイラつき、悠一は魔獣を思いっ切り蹴り上げ、天井にめり込ませた
「どうした?ハトが豆鉄砲をくらったような顔して?」
振り返ると、ユーシスが唖然として悠一を見ており、フィーとエマは苦笑いを受かべていた
「何故その剣を使わない?」
すぐに気を取り直したユーシスが悠一になぜ刀を使わないのか尋ねる
「自信家だと思われるかもしれないが、この程度の魔獣に使う必要が無いからな。それに鍛え抜いたこの身体もまた俺の武器だ」
悠一は拳をユーシスに突き出しながら答えた。悠一の解答にユーシスはそれ以上何も言わず、一人歩き始めた
「認めたって事・・・でいいんでしょうか?」
「さぁ?」
ユーシスの態度にエマとフィーが首をかしげた
「それでフィー、後どれぐらいで着くんだ?」
「ん~~~そろそろかな?」
先に最奥まで到達したフィーに悠一が尋ね、フィーが答えると
『ガァアアアアアアア!!』
魔獣の叫び声が鳴り響いた
「・・・奥の方からだな」
「だね。入らなくて正解だった」
「何故貴様たちはそんなにも冷静なんだ?」
叫び声を聞いても冷静でいる2人にユーシスがあきれる
「取りあえず急ぐか。ちょっと失礼」
「え?きゃぁ!?」
急ぐ必要があると判断した悠一はエマを抱えるとフィーと共に走り出す。悠一の突然の行動に驚いたユーシスだったが、気を取り直し、3人を追いかけた
「あれは・・ガーゴイルだと!?」
最奥に辿りついた悠一達が見たのはこの時代にいるはずのない魔獣だった
「知ってるのか?」
「暗黒時代に生息していたと言われている石の魔物だ」
「な、何でそんな魔物がここ(旧校舎)に」
「考えても仕方がないだろう。エマとユーシスはアーツでガーゴイルの注意を俺達から逸らしてくれ。フィー、二人の攻撃が放たれたと同時に仕掛けるぞ。足を潰せ」
「ラジャ」
「了解しました。ARCUS駆動」
「ふん、よかろう。ARCUS駆動」
悠一の指示を聞いた3人はそれぞれ行動を起こす、エマとユーシスはアーツの詠唱にはいる
「ルミナスレイ!」
「エアストライク!」
白銀のエネルギーの奔流と風の刃が同時に放たれガーゴイルに当たり注意が2人に行く
「シュッ!」
素早い動きでガーゴイルの背後に移動したフィーは2丁のガン・ソードを振いガーゴイルの足を斬り裂く
「沈んでろ」
フィーの攻撃を受け、苦痛の叫び声をあげるガーゴイルに悠一の容赦ない鉄拳が頭部に振り下ろされ、地に沈む。流れるような一連の動作に2人を覗いて呆然としている、者達に
「何ボーっとしてる!畳み掛けるなら今だぞ」
悠一が一喝すると
「っ!皆で一斉攻撃だ!!」
悠一に言われ、黒髪の少年が叫ぶとこの場にいる全員でガーゴイルを囲み、一気にたたみかけた。その際、淡い光が全員を包んでいた
「や、やった?」
「あぁ、我らの勝利だ」
ガーゴイルを倒し、全員が歓喜の声を上げ、騒ぎ出す。ただ一人を除いて
「どうしたの悠一?」
「まだ終わってないみたいだぞ?」
「どういう・・・・」
上を見上げている悠一に不思議がったユリシアが尋ねると、悠一は上を見上げたまま答える。シルヴィアが真意を確かめようとした時、今倒したガーゴイルと同じ叫び声が上から鳴り響き、地に降り立った
「そ、そんな・・」
「もう1体いただなんて」
「ただのオリエーティングにしては用意周到過ぎよ」
「はぁ~~お前等はそこで休んでろ」
悠一は溜息を吐きながら全員に動かないように伝えると一歩前に出る
「待て、そなた1人であの魔物と戦うつもりか!?なら私も」
「疲弊しきった状態で戦われても足手まといになる。そこで大人しく見てろ」
青髪の少女の申し出を断ると、悠一は旧校舎に落とされてから初めて自分の意志で鞘から刀を抜刀する
「あれってリィンと同じ」
「あぁ。だが、あの“太刀”はリィンのと違い刀身が黒い」
「“紫微垣”それが悠一君が使う刀の名前だよ」
『グルルルル・・ガァアアアア!』
身構えたガーゴイルはその鋭い爪と牙で悠一に襲いかかる
「無明神風流“みずち”」
だが、ガーゴイルの爪と牙が届くよりも早く、悠一はガーゴイルを斬り抜ける。ガーゴイルは後ろに移動した悠一に攻撃しようとするが、ふと何かを感じた
「聞こえたみたいだな。神風の清響が」
次の瞬間、ガーゴイルの体に無数の剣閃が現れ、光の粒子となって消えた
「今、何が起こったんだ?」
「は、早すぎて見えませんでした」
「相変わらずの速さね」
感心した口調でサラが悠一達の居る階に降りてきた
「ガーゴイルがもう1体いたことには驚いたけど、やっぱり最後は友情とチームワークの勝利よね。さて、これにて入学式のオリエンテーリングは全て終了したんだけど・・・・君達、もっと喜んでもいいんじゃない?」
自分の話に全く持って反応しない生徒達にサラが尋ねると
「よ、喜べるわけないでしょう!?」
「正直、疑問と不信感しか湧いてこないんですが」
「そう?」
「バレスタイン教官、単刀直入に問おう。特科クラスⅦ組・・・一体何を目的としてるんだ?」
ひょうひょうとしているサラにユーシスが尋ねる
「身分や出身に関係ないという事は確かにわかりましたけど・・・」
「なぜ我らが選ばれたのか結局の所、疑問ではあるな」
「そうね~。君達がⅦ組に選ばれたのは確かに色々な理由があるんだけれど・・・一番の理由はその“ARUCUS”にあるわ。エプスタイン財団とラインフォルト社が共同で作った次世代型の戦術オーブメント。アーツが使えたり、通信機能があったりと様々な機能があるけど、真価は“戦術リンク”にあるわ」
「それはまさか、俺達が最後に感じた?」
「その通り。これが使えれば仲間の行動を把握したり、言葉を発することなく連係をすることだって可能よ。まさに夢のような力ね」
「確かに、魅力的だね」
サラの話を聞き、フィーは手にある“ARUCUS”を見て呟く
「でも、現時点で“ARCUS”は個人的な適性に差があってね。新入生の中で君達は特に高い適性を示したのよ。それが身分や出身に関わらず君達が選ばれた理由でもあるわ」
「(俺的にはどうやって適性を調べたのかが気になるんだがな)」
「さてと。約束どおり文句の方を受け付けてあげる。トールズ士官学院はこの“ARCUS”の適合者として君達12名を見出した。でも、やる気のない者や気の進まない者に参加させるほど予算的な余裕があるわけじゃないわ。それと、本来所属するクラスよりもハードなカリキュラムになるはずよ。それを覚悟してもらった上で”Ⅶ組”に参加するかどうか、改めて聞かせてもらいましょうか?あ、ちなみに辞退したら本来所属するはずだったクラスに行ってもらうことになるわ」
「リィン・シュバルツァー、参加させてもらいます」
「ふぅん、どうやら事情があるようね」
「いえ、我が儘を言って行かせてもらった学院です。自分を高められるならどんな場所でも構いません」
そして黒髪の少年“リィン・シュバルツァー”を筆頭に次々と生徒が参加を意志をしめしていく
「さて、残りはアンタ達4人になったけどどうするのかしら?」
「勿論、参加させてもらうぜ。一度しかない学生生活、楽しまなきゃ損だからな」
「私も参加させて貰います」
「私も参加するわ。折角の学生生活、刺激的な方が楽しみがいがあるわ」
「アンタはどうするのフィー?」
「私はどっちでもいい。サラ、もしくは悠一達が決めていいよ」
「駄目!“自分の事は自分で決める”そう約束したでしょう?」
「めんどくさいな。じゃ参加で」
「悠一?あんたちゃんと教えたの?」
「一応」
「はぁ~~~、まぁいいわ。必要なことはここで教えればいいわね。んん!これで12名、全員参加って事でいいわね。それでは、この場を持って特科クラスⅦ組の発足を宣言するわ。この1年、ビシバシしごいてあげるから楽しみにしてなさい」
サラがウィンクをしながら全員にそう伝えた