朝日が昇りきる前、人々がまだ眠っている中、悠一が街道で魔獣を一掃していた
「飛天御剣流“昇龍閃”」
刀を振り上げると悠一を中心に螺旋状の斬撃が真上に放たれ、青年に近づいた魔獣を斬り刻む
「クロスベルの魔獣に比べると弱いな」
「悠一殿、あそこと比べるのはいかがなものかと」
生き残っている魔獣がいないことを確認すると悠一は刀を鞘に納め、一息つく。すると、頭に耳、腰辺りに尻尾を生やした少女“ユキカゼ・パネトーネ”が呆れ気味に声をかける
「悪かったなユキカゼ、俺の早朝訓練につきあわせちまって」
「なんの。主をサポートするのも使い魔の務めでござる」
悠一はユキカゼに頼み、町の住民が起きないよう町全体に結界を張って貰っていたのだ
「しかし、街全体に結界を張るのは初めてでござったが、存外うまく行くものでござるな」
「今日の晩飯はユキカゼの好物を用意する」
「それは嬉しいでござるな。あと、あっちのほうもお願いするでござる」
「明日に支障が出ない程度ならな」
「言質はとったでござるよ。っと、なれば悠一殿には精のつくものを食べて貰わないといけないでござるな」
「(やばいかもしれない)」
嫌な予感しかしない悠一は冷や汗を大量に流す
「所であそこでこちらを見ているあの鳥はどうするでござる?」
「ただ見てるだけだし無視でいいだろう。まぁ、ちょっかいをかけて来るなら斬り刻むだけだ。さっさとセピスを回収して戻るぞ。シャワーを浴びたいし、朝食の準備もしないといけないからな」
悠一は落ちているセピスを回収すると袋に入れ、街へと戻る
「おはようございます、悠一さん」
「おはよう悠一」
「ん?おぉ、エマにベルベットか。おはようさん。今日は早いな」
寮に戻り、シャワーを浴び終えた悠一はキッチンで人数分の朝食を作っていると、エマとベルベットがやってきて朝の挨拶をする
「今日は悠一さんのお手伝いをしようかと思いまして」
「そうか。だったら、皿をテーブルに並べておいてくれないか?」
「解りました」
エマは悠一に言われたとおり棚からサラを取り出しテーブル並べていく
「悠一、私は何をしたらいいかしら?」
「ベルベットはサラダを人数分に分けて入れてくれ」
「解ったわ」
悠一は作業を進めながらエマをちらりと見る
「(あの人の妹分って言うからどんな子かと思っていたが・・・中々いい子じゃないか。そっち系は専門外というか別の系統だから解らないがかなりの資質を持ってる。鍛え方次第では化けるな)」
「悠一さん?どうかしましたか?」
「いや、何でもない。それとそろそろフィーの奴を起こしに行って来てくれないか?起きないようなら耳元で今日の飯は無しとでもいえば跳び起きる」
「あははは、はい」
エマは苦笑いしながら3階に上がって行った。それを見送った悠一は小皿にミルクを淹れると、窓を開けて、置く
「いつも通りここに置いておくから飲むか飲まないかは自分で決めな」
「誰と話しているの悠一?」
「気にしなくていい。さてと、仕上げにかかりますか」
朝食を作り終え、並べるといつも通り口げんかをしながら降りてくる男子二人を物理的に沈める。これが朝の寮での日常である