オーディナル・スケール 少し違う世界の物語   作:夜桜の猫の方

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4コマ漫画みたいにタグが変わりますがあと一つ増えればタグ欄は完成です。
やったね多恵ちゃん!タグが増えるよ!


≪3話≫そうだ、レクチャーしてみよう。

あの後、泥の様に眠ってしまい起きたのは昼過ぎになってしまった。OS(オーディナル・スケール)でランキング1位となって―—―実際には1位の権力を使って―—和人の虚血性心疾患と言う病気を完治して貰おうと意気込んでいる時に紫苑がやって来た。

なぜか頭を下げて

 

「どうか私に稽古をつけてください木綿季様。」

「いいけど……どうしたのさ急に。」

「いえ、あのーよくよく考えてみればOSの事を何も解っていなかったと言いますか………」

「だから、僕に稽古を?」

「はい。ですが時間が惜しいと言うなら別にしなくても」

「大丈夫だよ。むしろ、中途半端な知識で戦いに望むのは危険だからね。」

 

情報というリソースは自らの命を救う命綱にもなり得る。と、エギルや和人が言っていたような………情報は数だよ兄貴!

 

「じゃあ、何処か広い所に行こうか。流石に、病院で剣を振り回すのは危ないからね。」

 

少女移動中―—―に聞いたけど、基本的な事(安全ルールや使用上の注意)は知っている様で戦闘面に関してだけは知らないみたい。

 

「ええっと、僕も教えるのは初めてだから上手く伝わらないかもだけど、始めようか。」

「はい。お願いします。」

「まず、紫苑のステイタスや武器ってどんな感じかな?」

 

OSはランキングによって決まる『基本ステイタス』に、レベルアップやイベント戦で手に入る『振り分けポイント』の合計値がその人のOSのステイタスになっている。他にも、『武器や防具のボーナス値』や『アビリティによる増減』もあるけど、今回は割愛。

 

「武器はメインに≪大鎌≫サブに≪ハンドガン≫ですね。」

「あ、結構珍しい組み合わせだね。う~ん…となると中距離でダメージを稼ぐ戦闘スタイルになるのかな?僕も余り大鎌には詳しく無くて……ゴメン。」

「いえ。それよりも、『ソードスキル』って何ですか?」

「それは、口で説明するより見て貰った方が早いかも。」

 

ちょっと離れてもらうと訓練用の案山子を呼び出して付近に人がいないか確認する。それからOS専用のコントローラーを出してっと

 

「………綺麗な剣ですね。」

「そうだよね!僕のお気に入りで“マクアフィテル”って言うんだ」

 

僕が持っている剣は紫色を帯びたアメジストの様な幅広の両刃片手剣で、一目見た時から不思議な親近感を持った剣だった。直葉ちゃんが言うには僕に似合っている剣と言ってくれた。

 

「それじゃ、行くよ。まずはSS(ソードスキル)を使わない攻撃から」

 

剣を案山子に向け右腕一つで中段に構えて呼吸を一つ。すると、全身から余計な力が抜けていくのが感じられる。

 

「はッ!!」

 

地を蹴って瞬く間に標的に接近し剣を振り下ろし、返すように斬り上げる。すぐさま後ろに跳んで与えたダメージを確認する。基本攻撃なので二つのウインドウが案山子の頭上に表示されていた。

 

「981と990ですか。私が昨日やった時は200ちょっとだったのに……」

「僕はイベントに参加する事も多いし、順位も高いしレベルも74だからね。紫苑もいつかはこれ位のダメージが出せるようになるよ。むしろ、大鎌の特徴的にもっと出せるかも。じゃ、次はソードスキルを―—―の前に、一回オーグマーを外してくれるかな?」

「何故ですか?」

「ソードスキルを撃つためにはステイタスの装備画面でソードスキルの選択をする他に、コントローラーのボタンを押さないと発動しないんだ。オーグマーを付けていると分かりにくいからね。」

「なるほど」

 

彼女がオーグマーを外したので近寄ってボタンがある所を見せる。ちなみに、僕は付けたままなので手の感触だけで当たりを着けている。戦闘中は気にならないけどね

 

「このボタンはコントローラーを起動するものと思っていましたが、ソードスキルを発動するためのモノだったのですね。」

「そう。このボタンを押すと………」

「おお、剣が光り出しました!」

 

元々アメジストの様な輝きを持っていた剣が淡い光を纏う事によって一種の宝剣と見間違うほどの美しさを持った。僕も最初は感動して、振ったら壊れてしまうのでは?と危惧していたけど一度使ったらそんなものは杞憂だと如実に語ってくれた。

 

「それじゃあ、ソードスキルを放つからよく見ててね。」

 

再び案山子に向き直り、再度ボタンを押して剣を発行させる。

 

「ソードスキルを発動させるためには≪初動モーション≫が重要になるんだ。例えば、今から放つ≪スラント≫はこうやって………」

 

剣を上段から背中に回し溜めるような姿勢になると、視界の端に水色の光が見える。そして、機械的な女性の声が脳内に響いてくる

 

『片手剣SS(ソードスキル)≪スラント≫』

 

それが聞えた瞬間に駆け出し水色の軌跡を描きながら裂帛の声を上げて剣を振り下す。

横で見ていた紫苑には、先程より木綿季が加速したかのように感じられた。

 

「やああああ!!!」

 

振り下した剣が強く振動し対象に直撃したことを木綿季に知らせる。水色の軌跡は容易く練習用の案山子を切り裂きポリゴン片へと姿を変えさせた。

紫苑が中々カッコいいですねと口を開いたが、()()()()()()()()()を見て硬直する。

 

「………ダメージ“9661”って高過ぎじゃありませんかね…」

「確かに高いけど、この剣には≪SS(ソードスキル)の与ダメージ上昇≫が付いてるから。それも加味してのダメージかな。」

「その剣って、あれ?その剣は何処に?」

 

木綿季の右手には何も握られてなく剣を落としたのか?と周りを見るがどこにもない。キョロキョロと見渡す紫苑に笑みを零しながら説明する。

 

「剣はソードスキルを撃ったから一時的に消えているだけだよ。しばらくすれば、ほら。」

 

シャリンと音がして木綿季の手元にマクアフィテルが現れる。時間にして5秒程度だが、戦闘中に突然武器が手元から消えるのは初心者にとって怖い事なのではと紫苑は思った。木綿季もそれを解っているのか話を続ける。

 

「確かに戦闘中に武器が消えるのは怖いけど、それ以上に見返りも大きいし何よりカッコいいからね!」

「あ、それは私も解ります。見ていて惚れ惚れしましたよ。」

「そう!あ、でも気を付けなきゃいけない事もあって。SSには再使用不可時間(クールタイム)が設定されていてその間は同じSSは使えない。戦闘中に使用できるのはスキル欄に設定した技―—つまり4種類までしか使えないんだ。」

「………クールタイム。武器が消えていたのとは別の時間って事ですね。」

「そう。あと、さっきのスラントみたいな単発技なら気にしなくて良いけど、連続技を途中で辞めてしまったら本来の2倍くらいかな―—武器が消えちゃうから気を付けてね。」

 

その後、スイッチやらローテーション等を伝え、解らなければその都度答えるといった感じで説明を受け大体は紫苑が理解した所で、ふと疑問に持ったことを聞いてみる。

 

「そう言えば、木綿季達は対人戦やイベント戦で攻撃を弾いていましたよね?あれはどうやったのですか?」

「ん?結構簡単だよ。相手の振る剣よりも『早く振って垂直に当てればいい()()』だから。ちなみに誤差角度は10度までだよ。」

「………さらっと凄い事言ってますが、自覚してますよね?」

「?」

「もう何も言うまい。ちなみに、ソードスキルを弾く事は出来ますか?」

「勿論出来るよ。目には目を、ソードスキルにはソードスキルを!!てね。ちなみに銃弾も弾く―—斬る?事も出来るよ」

「……そんな人いませんよね?」

「大丈夫だよ。弾道予測線(バレットライン)って言う赤い線が出て来るから、そこにタイミングよく斬撃かソードスキルを当てれば弾けるよ。」

「…………銃の初速は現実と同じ速度だとマニュアルに書いてあったと思いますが」

 

紫苑の言葉に首を傾げてそんなに速いかな?と呟く木綿季に唖然とさせられる。つまり、この人はコ〇ンの蘭さんよろしく銃弾を避けれるどころか叩き切ると。

 

(そういうのはゲームの中だけで納めてください!)

「あ、明日奈からメールだ。ええっと……ダイシーカフェに緊急集合、だって」

「なら今日はここまでで、明日もお願いできますか?」

「うん!それじゃあまた明日。またね紫苑!」

 

手を振って駆けていく木綿季を見送りって、紫苑は少し練習しようとオーディナル・スケールを起動しようとした時、ふと気になって()()事を呟く。

 

「木綿季……か。どうして私が敬語で話したりすると慌てるのでしょうか?」

 

う~ん。謎は謎のまま。

 

 

「お姉ちゃん。何だか焦っていたような気がする。」

「木綿季の事?確かに普段通りに振舞っているようで逸る気持ちを抑えられないでいたわね。」

「それ、解っててお父さんに行かせたの?」

「さあ、どうかしら?」

 

病院から借りたPCを操作しながらコーヒーを飲みつつ書類を書き、たまに携帯を操作しつつオーグマーを操作する母の何時もの光景を直葉は横目に見つつ思案する。昨日の一件でお姉ちゃん(木綿季)は精神崩壊の一歩手前まで追い込まれたと倉橋先生は言っていた。でも私達がお姉ちゃんを見つけた時は普段の様に明るく元気な姿とまでは行かなくても比較的明るかったはずだ。

だけど

 

「やっぱり、()()()かな?」

 

窓から見える公園で、今はオーグマーを外しているので女子高生が必死に腕を振り回している光景を見つめる。傍から見れば微笑ましい光景だが本人はいたって真剣なのか時折首を傾げたり頷いたりしている。

その仕草や表情が、まるで―—――—

 

「ねえ、お母さん。お兄ちゃん(和人)にさ()()()()っていなかったりしない?」

 

桐ケ谷家の母―—翠はその質問に手を止め直葉に向き直る。その質問の()()()()()を理解したからこそ、作業片手に答えていい事でないと向き直ったのだ。だから、直葉も向き直り真剣な目で翠を見つめる。

そして、翠から出てきた言葉は直葉にとって耳を疑うような事だった。

 

 

()()()()()()()()()

でもね、一人はもう他界して、一人は()()()()()()。誘拐されたのはまだ物心ついたばかりの『次女』でまだ犯人も本人も見つかってない。

他界してしまった長女さんは病気で……名前は確か―—

 

 

紺野 藍子(こんの あいこ)という女の子だったわ」

 

―――――――――――—

 

お父さんに送ってもらった僕はサイコロの看板があるお洒落なお店へと歩いていく。正直、明日奈が緊急集合って言った時は皆で旅行に行くか突発的なイベント会議だったりするのだけれど、今回はどっちだろう?

 

「それとも、和人の事?」

 

プレミアちゃんとも連絡が取れないし…なんて一人呟いていたら目的のカフェが目の前に。危うく通り過ぎる所だったと冷汗をかきつつ扉を開けると、すでに僕以外の皆は集まっているようだった。あれ?と思ったけど、よくよく考えたら僕がさっきまでいたのは横浜で、ダイシーカフェは東京に有るんだったと思っていると明日奈が血相を変えて走って来て両手を広げて!?

 

「あ、明日奈!どうしたの急に」

「如何したもこうしたもないよ!こうしないと木綿季は何処かに行っちゃうと思ってぇ―」

「ハイハイ明日奈。木綿季が困って……ちょっと嬉しそうだからそのままで良いわ。」

「………リズ、助けて、くれないの?」

 

明日奈にムギューとされながらカウンターの近くまで手を引かれ座らされる。そう言えば店主であるエギルさんがいないなーとふと思ったが、それ以上に僕は話せないでいた。

和人の事を。

朝は紫苑にOSでの戦いを教えてしまったが、あれだって本当はしたくなかったのだ。それでも「では、私は木綿季さんの知らない所で命潰えるのですね。」と言われてしまったから。

 

それ以前に、僕は彼女に似ているとだけで和人の面影を乗せているんだ。前は顔が似ているとか話し方が明日奈達と初めて会った時と似ているとかだったけど 

今はそうじゃなくなっていたんだ。まるで、彼その者か―—―和人の双子の姉を相手にしているような

 

「木綿季。私達ね、知っているの。和人の―—―奇病の事」

「ッ!?そ、それは………」

「まったく。兄妹そろって水臭いわね!!」

「あいた!?」

 

リズが声を上げながら僕の額を指ではじく。予想外の強さに涙目に泣ていると、いつの間にか明日奈の抱き着く強さが柔らかくなっている事に気付く。思わず明日奈を見上げると彼女は怒ったような、それでいて泣いているような表情をしていた。

 

「昨日、キリト君から電話があったの。『木綿季を助けてやってくれ』て」

「私達が和人さんを助けるために、OSでランキング1位を取れば良いんですよね」

「私達だってキリト君を救いたいって気持ちは同じ。だから、私達も一緒に戦わせて欲しいの。」

 

明日奈と珪子ちゃんが本心から彼を救いたいと言ってくれている。でも、僕はそれに頷く事なんて出来ない

 

「二人の気持ちは嬉しいけど、やっぱりダメ。二人を失う事なんて出来ないよ……」」

「それってOSのある噂の事?≪HPが全損したら死ぬ≫って言う荒唐無稽な噂」

「………うん。」

「でも、それは結局のところ噂話だって」

『いいえ。噂ではありません』

 

突然、店内に響いた誰でもない少女のような声に明日奈がビクッと肩を震わせて声のした方を見る。すると、そこには先程までいなかった緑の作業服?を来たプレミアちゃんが座っていた。幽霊がてんでダメな明日奈が悲鳴を上げようとして、何かに気付いたのか訝しむ目を向ける。

 

「えっと、貴方は………」

「私はプレミアです。貴方はアスナですよね」

「どうして、私の名前を?」

「ユウキに聞いたからです。綺麗でカッコ良くて「ぷ、プレミアちゃん!今まで何処に行ってたの!?」

 

危うくプレミアちゃんが口を滑らせる前に僕が割り込んで話をぶった切る。それを知られてしまったら弄られる事間違いないから!ただでさえ妹っぽいと珪子ちゃんに親近感を持たれているのに………

 

「プレミアさんと木綿季は知り合いなの?」

「あ、うん。それも含めて皆に説明するよ。」

 

プレミアちゃんの事を説明すると、最初は驚いて、触れられるし温かみも感じられるプレミアちゃんに本当はAIではなく生身の人間では?と思われたけど、オーグマーを外せば見えなくなるので彼女がAIだと理解したらしい。でも、彼女が普通とは違うAI。人工フラクライトを持った電脳世界の本当の人間と言うのは伏せて置いた。

皆はそんな事ないと確信出来るけど

理由はやっぱり“偏見”

僕達と同じ魂を電脳世界で、それも人の手によって創り出されたとなれば嫌に思う人が沢山出て来る。僕達がそれを持たなかったのは多分、和人とプレミアちゃんの会話を聞いていたのが大きいと思う。あの会話を聞いていなければ………どうなっていたかは解らない。

 

「それで、噂ではないってどういう意味かしら?」

 

里香―—リズがプレミアに先ほどの意味を問う。プレミアは言葉ではなく、空中に指を振ってある新聞記事とニュースを皆に見せる。

 

その記事の内容は、昨夜に和人が言っていた事が現実になった記事だった。

 

 

 

『Hello,オーディナル・スケールをプレイしている諸君。私は、GM(ゲームマスター)とでも呼んでくれ。さて、今回のお知らせは諸君にとってもっとも最高でhotなニュースだ!既にテレビで発表されているようにオーディナル・スケールは()()()()()()()()()()()となった。HPが全損してしまえばオーグマーが君達の脳を高出力スキャンしてその負荷に耐え切れず一部が焼き切れてしまうといった風にな。』

 

画面中央に浮遊する赤ローブの物体から声が発せられる。男性か女性か。子供か老人か。その全てが混じり合って不可解極まりない声が木霊する。ローブの周辺にはその声明が嘘でない事を如実に語る様に記事が何枚も漂っている。

いわく

『鹿児島県で男性二人、子供4人がオーディナル・スケールのイベント戦で意識不明の重体』

『山梨県のある所では参加した全員が病院送りとなり死亡者すら出された。

  原因は―—―修復不可能な程のダメージを首裏から脳にかけて負った』

等。死者、重傷者含め総被害者数は200人を超える未曾有の大事件となっている。

生き残った人たちも、等しく≪記憶≫が著しく欠如していたりもする。

その被害者で共通している事は、オーディナル・スケールでHPが全損した者が倒れたという事。

 

『ハーイ。そう言う事でOSで死ぬと現実でも死んでしまう可能性があります。

 

その代わり、報酬は弾みますよ………ホラ、1万位以内だと2500万!5000位以内なら2倍の5000万円の報酬金に、イベント戦での報酬も100万から3400万までの袖振りが良い事よ。あ!ヘッ――—』

 

そこで音声が途切れてまったく別の、それこそ体の底から畏怖が沸き上がるような声質へと変わる。

 

『つまり、これは“ゲーム”であっても“非現実”ではない。“現実”と“人間”を試す“デスゲーム”だ。』

 

無機質に放たれた言葉はまるでモルモットに話しかけるそれである。さっきまでとは違う声に体が無意識に震えるけど息を吐いて押し殺す。

そこで、また口調が変わる。

 

『だからよ、見せてくれよ!人間同士の醜くも美しい“殺し愛”って茶番をよ!!!』

 

 

 

 

明日奈達はその動画を見終え唖然としているが、木綿季とプレミアの様子がおかしい事に気付く。拳や服の裾を強く握っており、木綿季は見た事もない様な親の仇以上に怒りを乗せた目をしていた。

 

「木綿季、あんた……」

「ごめん。僕、もう行かないと」

「待って!行くって何処へ「明日奈達は来ないで!!」

 

明日奈の腕から抜け出して店外へ行ってしまった木綿季を追おうと立ち上がろうとしたところでプレミアが扉の前に立っていた。

 

「ユウキは私に任せてください!アスナ達は()()()()()()()()()()()()()()があるなら私を追って来てください!」

 

プレミアの言葉と迫力に里香と珪子は固まってしまうが、明日奈だけは動じる事無くプレミアの前まで歩いて行った。その瞳は覚悟など最初っから出来ていると言わんばかりだった。

 

「プレミアさん。私も行きます。キリト君を助けたいって気持ちは変わりませんし、何より、木綿季を一人に何てさせませんから。」

「死んでしまうかもしれませんよ。」

「絶対に死にませんし死なせたりなんかしません。皆で、皆で生きてキリト君も助けて、またここに集まってパーティーでもしたいですから。」

 

聖母の様に微笑んで簡単に言ってしまう明日奈に負けましたと言ってお店の外に出るために明日奈のオーグマーに触れると、プレミアを白い膜の様な物が覆ってゆき吸い込まれるようにオーグマーに入ってしまう。そして、電話をしているように耳元からプレミアの声が響く。これで、外に行けますと説明受けていざ外へと扉を開けようとし、今度は肩を叩かれる。振り返れば里香と珪子が呆れたように立っていた。

 

「えっと、如何して二人とも呆れた顔を?」

「いやぁ、アンタは惚れた相手にはとことん尽くすタイプだったのを忘れていたわ」

「ふえ!?ほ、惚れて………」

「明日奈さんのお陰で踏ん切りがつきました。私も追い掛けます!」

「ほら!ボウッと立ってないで早くドアを開けなさい!」

 

里香に押し出される形で店外に出され―—―ドアの隙間からエギルさんがまた()()()来いよと言っていた―—辺りを見渡すが木綿季の姿が見当たらない。

 

「木綿季のやつ、何処に行ったのかしら」

「プレミアちゃんは木綿季を探すことは出来る?多分、まだ近くにいるはず」

『もう少し待ってください。今、ユウキのオーグマーにハッキングを掛けて位置情報を割り出しますから』

 

じれったいとばかりに明日奈が歩き始めた所で詩乃から『木綿季の事』とメールが届く。それを素早く開くと

『木綿季が走って行ったけど喧嘩でもしたの?』

と書いてあったので素早く『木綿季を追って!後で何でも驕るから!』とメールを返信する。

 

『出来ました!ユウキの位置を地図に表示しま―—―—ああ!!』

「ど、どうしたのプレミアちゃん!」

『大変です!直ぐにユウキを追ってください!ユウキはイベント戦闘にたった一人で飛び込みました!!』

 

三人から血の気が失せすぐさま駆け出す。形振り構わず駆け出す三人に周囲の人がギョっとして道を譲るが気にする事も惜しいとばかりに木綿季の元へ駆けていく。

 

「木綿季が戦っているって本当なの!?周囲にプレイヤーは?」

『ユウキの他に―—―5人のプレイヤーが。いずれもHPはレッドゾーンに近いです。あ、1人だけユウキと一緒に戦ってますが、その人はユウキの何倍もランキングもレベルも下です!』

「木綿季ッ!!」

 

 

 

ユウキが剣を、隣の少女が身長と同じくらい長い槍を正面の大型ゴーレムに向けている。二人はHPはそれほど減っていないが後方の4人はレッドゾーン手前まで削られて復帰できそうにない。

 

「ユウキさん、助けてくれてありがとう。でも、まだ若い貴方が無茶をする必要は…」

「僕は大丈夫。こう見えて強いから。それよりも集中して

 

 

―—―—サチ。」

 

少女―—サチは複雑な顔をしていたが、ユウキの順位を見て目を丸くする。自分よりも年下の子がこんなにも高いだなんてと驚いていると

眼前の優に3メートルを超える岩石の巨人が動く。

≪The Titan≫ ギリシャ神話の巨人の名を持つモンスターは人を簡単に潰せそうな腕を振り上げユウキ達に振り下した―—―—




タグの”原作設定の交換”とはこの事です。何、AIDS?う~む、これ以上キリト君を虐めるのは……おや?デス☆ガン=サンが此方を見ている。ああ、何処かに行ってしまった。
さて、次回は如何やってユウキと黒猫団を紡いでいこうかな(無計画……?)
ちなみに、次女さんは転生者ではないです。
あと木綿季のお姉さんの名前はあいこでした!本当に申し分けない!

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