心優しき少女は森に落ちる   作:小説チーム・ハスタート

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あとがきに設定など有り


第1話

南西海域のフィリピン付近。そこで6隻の艦娘が深海棲艦の掃討を行っていた。

その艦娘らはすでに中部海域まで進行している鎮守府の艦娘だったのだが、輸送船の撃沈任務のために南西海域に出撃していたのだ。

 

「これで輸送艦の撃沈任務は終わったわね。」

「です、ね。司令官さん含めた人間達の平和のためにも、深海棲艦は撲滅しなくては…。」

「最近大本営さんのところに大規模演習の計画が持ち込まれたみたいです。なんでも私たちとは違う人型の船と行うようで…。」

 

水の上を滑りながら会話を交わす艦娘達。彼女たちは、鎮守府への帰投の途中であった。・・・その最中。

空に雷が走ったかと思うと穴が開き。・・・茶色の髪をした一人の少女…電が吸い込まれ始める。

 

「!?い、電ちゃん!?」

「羽黒さん!そ、空に吸い込まれて・…!」

「落ち着いて!私たちの手を…!」

 

加賀の言うとおりに手を伸ばす電。・・・しかし、手は届かない。

 

「駄目、届かない…!」

「っ…!雷、必ず探し出して見せるわ。・・・私たちが見つけるまで生きていなさい。」

「わ、分かりました!」

 

電はその言葉の後、穴に吸い込まれ…落ちた先は、どこかの森の中だった。

その森はうっそうとしていて、どこからか獣が飛び出してきそうな雰囲気を醸し出している。

 

「此処・・・どこなのですか…?こんなところ…鎮守府の付近にはなかったのです・・・。」

 

一人さびしく森の中を歩いて行く電。途中、白い体の甲虫のような生き物に襲いかかられそうになるも、自身の主砲で生き物を倒していく。

・・・やがて、電は一つの古びた建物の前にたどり着いた。

その建物は屋根が瓦で、壁が土のようなものでできており、壁にはツタが張っていて窓ガラスに至ってはガラスが割れていた。

 

「・・・こ、この家は…いったい・・・。」

 

建物の惨状に電は驚き。一度深呼吸をして・・・建物の扉を二回ほどたたいた。

 

「すみません、誰かいませんか…?」

 

稲妻が声をかけても、返事はない。・・・少しして、電は勇気を出し。扉を開いた。

建物の中は薄暗く、薄汚れている。そんな建物の中を電は通過して…地下に続く階段を下りた。

そこには。

 

「・・…!!?」

 

他の幼虫に食われていたり、カビが生えていたり、体が黒ずんでいたり、体からキノコが生えたり…とまあさまざまな理由で死んでいる幼虫が8つの部屋に1匹ずつ、合計8匹いた。

その凄惨(せいさん)な光景に、電は口に手を当てて驚く。

 

「こ、この幼虫さん達…ど、どうなっちゃったのです・…!?」

 

目を見開いたまま見渡す電。彼女は少しするとくるりと反転し、建物のある方向へと歩いて行く。

 

「・・・冥福を、お祈りするのです・・・。」

 

途中、そう小さくつぶやいて。

次に彼女は、地下室へ続く階段のある方向とは反対側の方角へと歩いて行った。

そこには大きな広場とぽっかりと空いた穴があった。

一歩、電が広場に足を踏み入れた、その時。

どこからかナナホシテントウが飛んでやってきた。

 

「!?な、なんなのです!?」

「あっ、驚かないで!私はナナホシテントウ。このおうちにいるテントウムシなの。」

「あ、あのー・・・ナナホシテントウさん、この建物は一体・・・。」

「・・・この建物にはね、前まで虫使いがいたの。その虫使いは腕の立つ虫使いだったのだけど一つの場所でとても珍しい虫が取れる事を知ったとたん人が変わったかのようにそこに向かい続けて…目的の虫が取れなかったと知るや否や虫に暴力を働き続けたの。その暴力で小型虫を中心に犠牲になって・・・甲虫たちは心を荒ませていった。」

「そ、そんな…。」

「横行して行く虫使いの悪行。それに我慢の限界の来た甲虫たちは…ある日、虫使いを殺した。それからはずっと、ここには虫使いがいないのよ。・・・貴方、名前はなんというの?」

「わ、私は電です。」

「電ね。・・・電、お願い。・・・私たちの虫使いになって。・・・ここには虫使いが必要なの。」

 

電にお願いをするテントウ虫。いきなりのことに電はびっくりしたが、少しして首を縦に振り。

 

「わかりました、私ここの虫使いになるのです。」

 

そう答えた。

その返事を聞いてテントウムシは喜ぶかのような様子を見せる。

 

「ありがとう、電。さっそくだけど仲間の虫達に会ってもらうね。こっちにいるよ。」

 

テントウムシはそういってぽっかりと空いた穴の方へと飛んでいく。電もそのあとに続いて、ぽっかりと空いた穴をのぞいた・・・その時。

穴の奥の方から二つの光が輝いたかと思うと。影が電へと突進した。

 

「わわっ!?」

 

突然のことに驚く電。それに対し影・・・足の付け根がオレンジ色で胴体の部分に茶色い紋を持ちたてに歪曲した特徴的な大顎を持つクワガタムシ、ディディエールシカクワガタが怒鳴るような声で言葉を発した。

 

「今度の虫使いはてめえかっ!ハサミ殺してやるっ!!!」

「お、落ち着いてディディエール!この虫使いは違うの!」

「うるせえ!そんななりしてどこが違うっていうんだ!」

 

暴れるディディエールをいさめるテントウ虫。

 

 

最初から波乱含みの電の虫使い生活は、ここから始まったのであった。




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以下設定

・敵甲虫達について
アダーが死んでから数年たった後の森に突如としてやってきた甲虫達。6匹で一つの群れをつくり、森を荒らし回っている。

・甲虫達について
スーパーコレクションと同じように幼虫の内に餌をあげたり、森で虫とバトルして買ったりすれば強さが上がって能力値もパワーアップする。スーパーコレクションと違うのは一定のダメージを負った時に覚醒必殺技が使える事。

・覚醒必殺技について
新ムシキングのシステム「覚醒」での覚醒後に覚える技とは違い、一定のダメージを受けた後に必殺技を発動させた時、虫が発動する技。攻撃力も普通の必殺技とはかなり違う。

・虫使いについて
原作スパコレで虫達を率いている主人公たちの役割のここでの名称。
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