MHWの5期団君(主人公ではない)になってしまった男 作:ヘタレのゆみ
「ッ頭いてぇ…。」
昨夜の宴を開けて朝、まぁ予想通りに二日酔いになった。これはしょうがない。ラギアクルスに追われた恐怖はなかなかのものだったのだ。まして、つい先日まではただの大学生だった俺だ。この恐怖を忘れるには酒を飲むしかなかったんだ。こういう時に大人だったら酒か女かみたいに言うだろうが、彼女いない歴=年齢の童貞に女は無理だった。いや、まぁ、それはいいんだ。よくないけど…
そういや、ライルとゴーランはどこいったんだ?正直昨日は飲み過ぎてなんだか記憶もあやふやだ。
周りをよくみてみれば、この大部屋には沢山のベッドがあった。そこに昨日の酔い潰れた五期団の全三部隊総勢300人余りが眠っていた。ちらほらと空いてるいるベッドはもう起床したのだろう。
そうして自分も起きてみれば、みな二日酔いの頭を抱えながらも、一様に外に行く準備をしていた。そうだった、今日は朝から古代樹の森で実地訓練だったな。早く拠点入り口前に行かなくては…。
集合場所にはソードマスターもとい拠点防衛隊長は既におり、半分ぐらいのハンター達も既に集まっていた。皆の防具はレザーやチェインが殆どで武器は、太刀、片手剣、双剣、チャージアックス、スラッシュアックス辺りが多く、ランス、ガンランス、ハンマー、大剣は重さを嫌ってか少なく見える。笛はいなかった。また、なぜかガンナー職はほとんどいない。なぜだろうか?
取り敢えず周りの観察はそれぐらいにしておいて、自分の武器と防具の確認をしようと思う。武器は片手剣のハンターナイフIを選択した。この選択が吉と出ると恐と出るかは分からないが、ガードが出来、身軽さを重視して片手剣を選ぶにいたった。
正直に言って大剣は無理だった。なぜかって?ただ単純に重すぎた。同じ理由でハンマーもダメだったし。やはり武器の中では太刀、片手剣、双剣辺りが身軽さを考慮すると安パイな気はする。
なにせこの世界、モンハンのくせにアイテムポーチがデカイリュックサックなのである。このリュックがデカイのにも意味があり、ハンモックや肉焼き機、砥石、回復薬、着替え、食料(1日分)を考えれば仕方のないことだろう。これは身軽にしないと動きも取れないと妥協した結果、片手剣に止むを得ず決定となった。まぁ、訓練やフィールドワーク、モンスターの討伐に慣れればまた武器を変えていくチャンスもあるだろう。そう納得しておく。
そして防具は先行特典お馴染みのオリジンシリーズだった。これは何故か始めから着ており妙にフィットしたので良いとしよう。これに加えて「追い風の護石」が腕に巻かれている。この世界でまだスキルがどのように発生するのかは未知数だがそこのところもこれこから検証していきたい。
さらにスリンガーだが装備されていない。これにはマジかよ!?と思ったが従来の通りに投げろということだろうか?これはこれでどうにかなるはずだ。
ーーーーーーー
「では諸君検討を祈る!!一週間後にまたこの場所で会おう。死ぬなよ!!」ソードマスターからの諸説明が終わると、
「訓練開始!!」ソードマスター付きの副官から開始の合図が出された。
始めに半分ほどしか集まっていないように見えたのは推薦組と調査員を抜いた第3部隊の面々と現地の新人ハンター30人を合わせた全員で120人ほどらしい。
つまり、彼ら推薦組と調査員の護衛は別の訓練があるらしくこちらの訓練には参加しないようだ。
ソードマスターからは一週間の間、古代樹の森か大塚蟻の荒地で生き残ることが課せられた。しかもこの二ヶ所を選ぶ方法がクジ引きというのだから呆れた。
またハンター同士で殺しあうこと以外は一切のことが禁止されていない。との説明もされた。このルールにはかなりビビっている。なにせ殺し合い以外はしても良いということなのだから。 流石に初日から盗みを働く奴はいないだろうが、警戒するに越したことはないはずだ。
「おーい。ザイン。お前も俺たちと一緒に組まねぇか?」
そんな様々なことで悩んでいる俺に、チェインメイルに全身を包んだ二人組を連れたライルから気軽な声がかかった。
「おおライルか。一緒に探索出来るなら心強いよ。後ろにいる二人は誰だ?」
「ああ、コイツらは…オットーとサンテっていう昔からの腐れ縁でな。あまり話すのは得意じゃないんだがまぁ、良くしてやってくれ。」
そう言われたライルの仲間二人は会釈を返してくるだけで、俺とは目も合わそうとしなかった。
「確かに得意じゃなさそうだな…。そういやライル達の武器はなんなんだ?」
「ああ。俺が片手剣で後ろの二人は両方とも太刀だよ。そう言うザインは何の武器使ってんだ?」
「俺もライルと同じ片手剣だよ。それで、俺たち4人だけでメンバーはいいのか?」
「悩むとこだが…。ザインと俺たちの4人だけじゃ、この古代樹を歩くには少しばかしキツイかもしれねぇ。もう何人か人を集めるか。」
そんな会話をしていると俺らの後ろから、二人組の男女から声を掛けられ、自己紹介をした後にその男女を合わせた6人で古代樹の森を進むことになった。
6人というより俺とライルに任せるということだったので、一先ずは新人でも倒せるだろうと言われるアプトノスやジャグラスなどを拠点入り口より少し進んだ先の海のまえで狩り、その日の食料とした。
この際に、俺とライルは何事もなくアプトノスとジャグラスを仕留めることができたが、男女の二人はビビってしまって使いものにならなかった。ライルの仲間もジャグラスにはビビって剣を振る得ずにいた。
そしてこの時に気付いたのだが、どうやら俺の体には転生する以前の肉体プラス、モンハン世界での肉体的経験もそのままフィードバックされていることが分かった。
というのもつい先日まで包丁しかもった事のない俺が効率良く無駄のない動きでモンスターに剣を当てられるはずもないからだ。これはこの世界を生きぬく上でかなりのアドバンテージになる。とはいえ、大型のモンスター達には油断出来ない。
そうして、さらに今日の寝床を探す為に、森の中を数時間かけて歩いた。そうすると高台を囲むように樹木が生い茂っている場所を見つけたので其処を拠点とした。
ここまで来る道中でも薬草や食べられそうな木の実をいくつか採取しておいた。今日の夕食はこの木の実と肉を焼いた物になる。
「これで今日の食料は手に入って安泰だ。なぁ、ザイン?」
「そうだな。この調子なら小型モンスターと木の実をとりながらでどうにか一週間耐えられそうで安心したよ。」
「そうだザイン、今日の寝床の用意と食い物の準備はオットーとサンテの奴にさせてくれよ。」
「急にそんなこと言ってどうしたんだよ?別に普通に手伝うぜ?」
「いや、その…な?あんまりオットーとサンテの奴が役に立ってなかったのはザインだって見てたろ?だからせめてこれくらいはな?」
「まぁ確かにあまり役には立っていなかったが、そこまで言うなら二人に任せるよ。悪いな。」
「いやいや、良いってことよ。むしろ今日は頑張ってくれてありがとよ!!」
「まぁ、これでザインお前とはさよならだ。悪いな…」
この去り際にライルが呟いた言葉が俺に聞こえることは無かった…。
ーーーー夜ーーーー
そうして俺たちが夕食の肉を食べている時にそれは起こった。
「グッ!?これは…なんだ?体が痺れて動け…な…い…」突然体が痺れ出しまだ動く首だけで周りを見てみると男女の二人組も同様に蹲っていた。
しかし、ライル達3人は悠然と立ち上がり痺れて動けない俺たちに皮肉げな顔で言った。
「悪りぃな…ザイン…。実は俺たち3人組は小さな盗賊団でな。俺たちみたいなモンスターにビビっちまう奴らじゃ、今日のお前みたいにモンスターを毎日倒すのは無理なのさ。たとえそれが小型モンスターでもな。それにな警戒心の薄い奴や善良そうな奴をずっと狙ってたのさ。」
「な…ん…だと…?」もう俺にはわけが分からない。まさか俺はモンハン世界に来てモンスターではなく人に殺されるのか?それも転生後たったの数日で?
驚愕に動けないでいる俺のすぐ横で、男女の二人組はオットーとサンテに首を搔き切られて生き絶えた。
「まぁ、でもよザイン。お前にだけはラギアクルスに追われてる時に世話になったからよ、命だけは助けることに決まったのさ。それと、盗賊の掟でな、こうやって森の奥地で殺さない時には必ずナイフ一本置いてくのさ。なんでだかわかるか?」
こいつ何を言ってやがるんだ?ナイフ一本置いていった所で…!?
「まさ…か…じ…さつ…する…ためか?」
「その通りさザイン!!やっぱしオメエは良い頭してるぜ!!だがここでお別れだ。アバよ。せいぜい元気でな!!」
そう捨てゼリフを残したライルと二人は身包み剥いだ俺と男女の死体、そして一本のナイフを残して去っていった。
次こそ盛りあがるはず…