MHWの5期団君(主人公ではない)になってしまった男 作:ヘタレのゆみ
あの後は何事もなく拠点まで戻ることが出来た。
しかし、毒塗れの道具と潰された回復薬などで回収した意味がなかったことには、拠点まで荷物を運んでから気付いた。
体にダメージを負っていたことで焦っていたとはいえ、確認もせずに回収してきたのは間違いだった。しかもそのせいで胴鎧の一部に毒が付着してしまった。明日の朝はまずそれを洗うことから始めることになりそうだ。
それはそうと気絶した弓の女はあれから一向にに目を覚まさない。
恐怖で漏らしたであろう粗末なズボンと下着を脱がせ、水で濡らした布で股と足を拭き、彼女のリュックの中に入った着替えを着せた。
ここで童貞の俺がよく寝込みを襲わなかったと褒めてもらいたい。自分で処理することによってどうにか耐えられた。
またライルの時のような二の舞を踏むのは嫌なので、彼女の足と手首をその辺で採取したツタ系の植物を使い3重に縛り、すぐ横の木に縛りつけておくことにした。ここまですれば寝首を掻かれることはないだろう。
ーーーーーーー
朝日に目を覚ますとすぐ横から女の声が聞こえる。
「あ、あの!!この手と足を縛ってる紐を解いて貰えませんか!?昨日はモンスターと戦って、今さっき目が覚めたらこうなってたんです。助けて下さい!!」
先日はプケプケを倒すことに意識を割いていた為に姿をキチンと見ていなかったが、改めて彼女の容姿を見ると黒髪のショートヘア、翡翠色の瞳、ペタンコの胸にシュッとした細身の10代前半の美しい少女だった。
「あ、あの…聞こえてますよね?よかったらコレを外してくれると嬉しいんですが…」
正直に言おう、彼女に見惚れていた。童貞の俺にこのレベルの可愛さはかなり危険だ…。なんでこんな子が態々危険なモンスター討伐の実地訓練に参加しているのか謎だ。
いくら可愛いとはいえ油断は禁物でだ。 一先ずは心を落ち着けて、昨日のプケプケとどうして戦ったかの経緯となぜこの第5期団に参加してるかの理由を聞こう。
「縄を解く前に君の名前と何故五期団に参加したかの理由を聞きたいんだ。」
「分かりました…。そうですよね…、こんな怪物が沢山住んでいる森の中で出会ったらいくら五期団の同期の方でも警戒しますよね。」
「こちらを害する気持ちがないのはわかるが俺も警戒してるってことだ。で、君の名前は?」
「私の名前はエルフリィア・ソワレスって言います。孤児院にいたのですが、15歳で成人して孤児院から出なくてはならなかったんです。それで孤児院出の身寄りもない女が付ける職は娼婦かハンターぐらいしか無かったんです。それで友人もハンターになるというので、私も娼婦になるぐらいならと思って五期団に参加しようと思ったんです。」
「そうだったのか。ハンターに向いているとは思えないが…。これは偏見みたいで悪いんだが、孤児院にいたにしては口調が丁寧なのは何故なんだ?」
「あっ、それはですね…、私…元々は貴族だったんですけど御家の食品家業が上手くいかなくてそのまま没落してしまったんです。それでこの口調なんです。」
「それでか。もう一つ聞きたいんだが、何故昨日は勝算も無そうなのにもかかわらずプケプケに挑んだ?」
「孤児院から着の身着のまま出た私達にはほとんど手持ちの金銭がなくて、それならバウンティハントに出されていたプケプケを倒して褒賞を手にいれようという話になったんです。でも私はいきなり鳥竜種の討伐を訓練でするなんて危ないから止めよう。って止めたんですけど、ゾイが『絶対に俺が仕留めるから大丈夫だ』って言ってそれにナゴも『ゾイが言うなら大丈夫だ。』って言って付いて行ってしまったんです。そうしたら私も一緒に行かないわけにはいかなくなってしまって。
それで弓を構えた後に私は気を失ってしまったんですけど、2人はどこですか?もしかしてもう目を覚まして何処かに探索に行ってくれてるんですか?」
エルフリィアは、確かに目の前で2人が死んだのを目の前で見ているはずだ。それなのにそれを認識していないということは、昨日のショックで記憶が混濁しているのかもしれない。
精神的な強いショックを受けると記憶の混濁を起させるというし早いうちに現実を直視させて乗り越えさせた方が良いだろう。この森の中では、いつまでも悩んでいたら直ぐに死んでしまう。
「エルフリィア…、君も昨日目の前で2人が殺されるのは見ただろう?ツライかもしれないが現実を見るんだ…でなければ君も死ぬ事になる。」
俺が意を決してそう言うと意外にも彼女は取り乱さなかった。
「そ、そう、です…よね…。分かってはいたんです…でも昨日起こった事が…ゾイとナゴが死んでしまったんだって事が自分だけでは…受け取められ…なかったんです。」
彼女は言葉を途切れさせながら、悲しそうな顔で涙わ溢した。
「すまなかったな…。2人を助けられなくて。でも、そうするしかなかった。」
俺は思ってもないような言葉を彼女と彼らへの罪悪感を打ち消す為だけに並べ立てた。
「いえ…。いいん…です。私たちの無謀が招いてしまったんだということは理解しているつもりです。この森の中じゃ自分の事だけでも精一杯なのに私を助けてくれた貴方が良い人だって事は分かりますから…。」
彼女のその言葉に少し胸を救われた。
「………」
だが俺は何も言えなかった。
「そう言えば貴方のお名前をお聞きしていませんでしたね?是非にお名前を教えて下さい。」
「ああ、いいぞ。俺の名前はザインだ。姓は無い。」女の子の前だから緊張してぶっきらぼうな自己紹介になってしまった。
「ザインさんって言うんですか。いいお名前ですね。私のことはエルって読んで下さい!!親しい人はそう呼んでくれます。これから宜しくお願いします!!」
「おいおい。一緒に来る気か?」
「はい!!足手纏いとは思いますが頑張ってお役に立ちますのでどうかお願いします!!」頭を下げながら精一杯そう頼んでくる。
足手纏いになってもこんな可愛い子の上目遣いからのお誘いを断ることも出来なく
「じゃあ、薬草や木の実などの採取をやってくれ。これから宜しく頼む。」
ただそう言ってしまった。
だが、残り後2日だけの付き合いと思えばこの関係も悪くないように思える。
「はい!!宜しくお願いします!!」
「それで早速お願いがあるのですがいいですか?」
また上目遣いでそう言ってきた。
エルは天然の男殺しじゃないのかと思わせられる。
「なんだ?言ってみてくれ、今出来ることならやって……」
俺の喋りを遮ってエルの小さい体が俺の胸に抱きついてきた。突然の事にどうしようも出来ないでいると
「急にこんな事してごめんなさい。でも今はこうさせて下さい…。誰かに縋らないと悲し過ぎてどうにかなってしまいそうなんです…」
「ううっっ…うわぁぁぁ……。止めてあげられなくて…2人とも…ゴメンね…」
俺は泣き続けるエルをただただ抱きしめ続けた。
ーーーそれから数時間後ーーー
「良し!!恥ずかしい所お見せして申し訳ありませんでした。元気出てきました!!それじゃあ行きましょう。食料確保に出発です!!」
泣いて気分も少しは晴れたのだろう。数時間前までの死にそうな表情も幾分か元気を取り戻して回復しているように見て取れる。
これなら、俺なんかの胸を貸した意味もあったというものだ。
女の子1人を元気づけられたのだから上出来だと思おう。
「いやいや、元気になってくれたのはいいんだがエルはどこに肉や植物を取りに行くのか分かってるのか?」
「えっと〜。あっちですよ。あっち。」と明らかにガノトトスがいた湖の方角を指しているがその周辺にはあまり食用に適した植物はない。
「いや、そっちは特に何も無いぞ」
「え、えっと…。じゃあ拠点前の広場辺りをもう一度探しましょう!!何か食用に適したものがあるかもしれません。」
他の訓練者達もいるのだから、あまり広場には残っていない気がするが、エルからの折角の提案なので行ってみる事にする。
「じゃあ、折角エルが提案したんだからエルの案内で行ってみるか。エルのモンスターへの対応も確認できるしな。」
「わ、わかりました。頑張ります」
若干声が震えているが、まだ日も高く広場周辺なら大丈夫だろうと思いたい。
「あ、でも大型のモンスターが出てきたらザインさんにお願いします!!」
「いや、戦う必要がないなら逃げよう。エルもいるし余計な危険を冒す必要はないしな。プケプケの時も人を助ける必要があったから飛び込んだし。」
「そ、そうですよね。戦う必要ないですもんね。大型のモンスターがいたら逃げましょう。」
「じゃあ行くかエル。」
「はい。ザインさん!!」
読んでくれている方は退屈で申し訳ないかも知れないが、後1話サバイバルして新しい話に入ります。
ここまで私の拙い話について来ている方に感謝します。