ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―   作:Nation

19 / 47
修行一日目の話です。

是非見ていってください。


第18話

 俺の最初の訓練は小猫との戦闘訓練。

 普段やっている組手ではなく、魔法有りの実戦形式。

 もっとも俺の武器は杖だから全力というわけではないが、現状あの二つに頼っているのでこっちの方がいい。

 そしてアーシアという回復担当もいるので多少の怪我なら癒やすことが出来る。

 というわけでかなり本気でやっているのだがなかなか決まらない。

「ウィンドカッター!」

 また、躱された。

 小猫は小柄を生かした俊敏な動きで捉えられない。

 捉えても『戦車』としての高い防御力で防がれる。

 回避と防御を使い分けて戦っている。

 おかげで攻撃が決まらない。

 せめてもの救いはまだ距離を詰められていないため、一方的な攻撃が出来るということだ。

 格闘技主体の接近戦である小猫は、魔法主体の俺に近づけないでいる。

 だが、この状態も時間の問題だ。

 種族の差もあるが、回避防御のみに集中している小猫と、魔法による攻撃と距離を離すように動く俺とでは体力の使う量が違う。

 だからこの辺りで勝負に出ないといけない。

「グレイブ!」

 小猫のやや前方の地面から岩を作り攻撃する。

「・・・」

 小猫はそれを下がることで躱す。

 これで小猫との距離は少し開いた。

 俺はこの隙に法力を集中させ、決め手となる魔法の準備にかかる。

 小猫もそれに気付いたのか一直線に向かってきた。

 だが、距離的にも十分であり、さらにさっきの岩が阻んでいてやや迂回しなければならない。

 これなら、魔法を放つことが出来る。

 そう思ったが

「・・・えい」

 小猫は俺が作った岩を殴り飛ばしてきた。

「うおっ!」

 俺は魔法を中断し、回避をする。

 だが回避した先には、こぶしを構えた小猫が居た。

「・・・えい」

「!!」

 即座に防御を展開し、防げた。

 だが、ここから立場逆転。小猫による猛攻が始まった。

 こぶしと蹴りによる連打。

 俺も防御魔法を展開し続けることで防いでいたが、距離を開けられず、結局、防御を突破され一撃で沈んだ。

 

 

「・・・先輩の攻撃は少し直線的な気がします」

 沈められた俺に小猫はそうアドバイスをした。

「操作系の魔法も使っているんだが」

「・・・いえ、そういう意味ではなく、攻撃が順序だっているです」

 そういうことか。

「・・・パターン化されているので、もう少しアドリブを加えた方がいいです」

 いわば教科書通りの戦い方。俺は誰かに教わったわけではないが動きが単調になっているようだ。

「・・・あとは予想外な動きに弱いかと」

「そこは一応自分でも自覚がある」

 考えて動くためか想定外なことをされると動きが鈍る。

「リカバリーは早いと思うんだが、戦闘では致命的な隙だな」

 こういう時、イッセーの考え無しに突っ込むところがうらやましい。

「・・・経験を積むしかないかと」

「そうだな。よし、もう一本頼む」

「・・・はい」

 そうして俺たちは戦闘を再開した。

 

 

 ◇◆◇

 

 

「魔力は体全体を覆うオーラから流れるように集めるのです。魔力の波動を感じるのですよ」

 次は朱乃さんと魔法に関する修行だが、メインで受けるのはイッセーとアーシアだ。

 それに朱乃さんは魔力を扱うことに長けており、魔法はお門違いだ。

 だから朱乃さんから法力について学び、魔法は持ってきた本で行う。

 今はイッセーたちに教えている光景を見ながら魔法の練習だ。

「ぐぬぬぬ・・・」

 イッセーは魔力を出そうと必死に腕を伸ばしている。だが、何も出ない。

 完全に力んでいる。

 まぁ、イッセーは魔力全般は難しいだろう。転移できないほど魔力量が少ないのだから。

「できました!」

 イッセーの隣でアーシアが緑色の魔力を出現させていた。だいたいソフトボールほどの大きさだろう。

「あらあら、やっぱりアーシアちゃんは魔力の才能がありますね」

 それを見たイッセーはアーシアを褒め、喜んでいた。

 アーシアが強くなってくれることが嬉しいのだろう。

「イッセー、アーシアを褒めるのはいいがお前も出せるようになれ」

「うっ・・・そんなこといってもよ。出ないんだから仕方ないだろ」

「お前は生み出そうとしてるのが間違っているだ。朱乃さんが言ってただろ。覆うオーラを集めろって」

 魔力は生み出されるものではあるが、使う時は生み出すのではなく集め放つ。

「出すことよりも、まず魔力を感じることから始めろ。悪魔は超常的なものを感じやすい。意識を体に集中させてみろ」

 イッセーは俺の助言を聞き、目を瞑る。魔力を感じようとしているのだろう。

 一分ほどその状態が続き、突如イッセーが見開く。

「はぁ!!」

 その掛け声と同時に腕を突き出し力を込める。

 すると手の先に米粒ほどの赤い魔力が出現した。

 一応魔力を出すことに成功したようだ。

「必死にやってこれだけって・・・」

「まぁ、お前に魔力が無いのは前からわかってたことだろ」

「そうなんだが・・・」

 落ち込んでいるがほっておこう。正直、無いモノをどうしろと。

「次は魔力を炎や水と言ったものに変化させます。これは魔力そのものを変化させることもできますが、初めは実物を動かした方がいいでしょう」

 朱乃さんはそういうとペットボトルに手をかざす。

 すると中の水が氷となりペットボトルを貫いた。

「アーシアちゃん次にこれをしてください。イッセー君は引き続き魔力を引き出す練習を。大切なのはイメージ。思ったことを具現化するのです」

「思った事ねぇ・・・ん、もしかして」

 イッセーは何か思いついたのか朱乃さんに耳打ちをする。

「あらあら、イッセー君らしいですわね」

 そういうと朱乃さんは席を外し、少ししたら戻ってきた。

 大量の野菜を持って。

「合宿中、これを魔力で剥いてくださいね」

 イッセーの奴何を考えたんだ?

 ただろくなことではないだろう。イヤらしい顔をしている。

 野菜の皮を剥く・・・イッセー・・・まさか・・・

 やりかねない。イッセーならやりかねない。そして出来そうで怖い。

 こういったことに無類の力を発揮するイッセーなら出来てしまいそうだ。

「朱乃さん、イッセーの奴まさか―――」

 朱乃さんに確認をしてみた。

「ええ、その通りですわ」

 ・・・イッセーらしい。そして、それは性能次第では戦術として使えるのが何とも言えない。

 イッセーは戦術として考えていないだろうが。

「朔夜君の方はどうですか?」

 呆れている俺に朱乃さんがそう聞いてくる。

「微妙ですね。どうにも法力の制御がうまくいかなくて」

 何度か試しているのだが制御が聞かず失敗している。

「そうですか。気になっていたのですが、その杖はアゾット剣と違ってただの杖ですわよね?」

「ええ、何の変哲もない杖ですが?」

 アゾット剣は俺に合わせた加工をしてるがこれはただの杖。特別な力なんて何もない。

「どうしてそれを使っているのですか?ただの杖ならわざわざ使わずとも直接放ってもいいと思うのですが」

「ああ、実は直接法力を扱うのが下手なんですよ。ですから、杖を通じて魔法を放つんです」

 俺は法力を直接扱うのが下手、詳しくいうのなら制御が不安定になる。

「それは変わってますわね。普通なら杖を使った方が難しいはずですが」

 そうらしい。例えるなら菜箸を使って食事をするようなモノ。

 だから普通は直接使用するか、自分に合った杖を使う。

 でも俺はただの杖でも杖を通して使った方が制御が聞く。あくまで直接使うよりではあるが。

「それからもう一つ。小猫ちゃんとの訓練ですが、どのくらい法力を使いましたか?」

「結構使いましたね。8割以上は」

 あの後も結構戦ったから結構使ったが、少し休憩もしたし回復しているはずだ。

 その答えに朱乃さんは少し考え込んだ。

「・・・法力の回復速度が異常なほど早いですわね」

「そうなんですか?」

「ええ、朔夜君の法力量から考えて普通なら全快なんてしていないはずです。ですが全快しているなんて」

 そうなのか?俺はこれが普通だから分からない。

 特に俺は特別なことをした覚えがない。

「神器の恩恵でしょうか」

「神器の?」

「はい、朔夜君の『源力の湧泉』は普段は法力を吸っているんですわよね?」

「はい、その量も調節できます。完全に遮断することはまだできませんが」

「では、それが負荷になって回復速度を上げているのではないでしょうか。

 法力は使えば量や回復速度を上げていきますから」

 なるほど。確かにそう考えれば辻褄があう。

 吸い上げるのはいわば法力を使っている状態。俺は『源力の湧泉』の影響で常時使っているようなものだ。

 教授はこれを知っていたのだろう。俺に普段の吸い上げを遮断してはいけないと言っていたくらいだ。

 俺は『源力の湧泉』に法力を溜めておけという指示だと考えていたがこっちが本命なのか。

「そうなると、直接法力を扱いづらいのもそれが原因かもしれませんね」

「確かに、そうかもしれません」

 源力の湧泉に法力が流れていっているわけだから扱い辛くなっている。そう考えるのが妥当か。

「そうなると、課題は『源力の湧泉』の扱いに慣れることですか」

「そうなりますわね」

 そうと決まればさっそく取り組むとしよう。

 

 

 ◇◆◇

 

 

 次は祐斗との実践だ。

 小猫と同じ接近戦が主体だが戦い方はまるで違う。

 速度を活かしたヒット&アウェイの戦法。

 素早いと感じる小猫と違い単純に速い。

 小猫には、防御されるが一応当てれるときはあったがこっちは一向に当たらない。

 そして、攻撃も違う。防御を展開しても次には防御の無い場所を狙ってくる。

 せめてもの救いが一撃では落ちない所か。

 小猫相手だと一撃でも貰うと沈んだが、祐斗だと何度かは耐えれる。

 最もこれは魔力で強化した木刀でやっているからで、本当なら剣で斬られているだろうが。

 一向に捉えられる気配がないので戦法を変えてみる。

 カウンターだ。攻撃をもらうリスクも上がるがやってみる価値はあるだろう。

 祐斗が一旦距離を置いたので牽制として魔法を放つ。

「アクアエッジ!」

 水の刃が祐斗を狙うが横に躱しそのまま攻撃を仕掛けてきた。

 それを見てすぐさま魔法の準備をする。威力は落ちるが素早く放てる魔法。

 祐斗が上段から木刀を振り下ろそうとしているため、それを後ろに下がり避け魔法を放つ。

 つもりで、後ろに跳び杖を構えたのだが、

「読めてるよ」

 祐斗は木刀を途中で止め、フェイントをかけていた。

「!? ライトニングアロー!」

 それでも雷の矢を放ったが躱され、逆にカウンターをもらう結果となった。

 

 

「カウンターを狙ってるのが結構わかりやすかったよ」

 その後カウンターを読まれたことについて聞いてみた。

「顔には出てなかったと思うんだが」

「表情とかそういうのは出てなかったけど雰囲気がね」

 雰囲気までは隠せてなかったわけか。

「何度もやって慣れるしかないか」

「うん、そうすれば僕の動きもとらえやすくなるだろうし」

「それじゃ、もう一本頼む」

「了解」

 そうして、祐斗との実践を再開した。

 

 

 ◇◆◇

 

 

「・・・イッセー、大丈夫か?」

「・・・正直、大丈夫じゃないわ」

 俺は今イッセーと向かい合っている。訓練内容はイッセーとの戦闘。

 実戦経験がない同士、切磋琢磨ということで組まれたメニューなのだが、イッセーはその前の部長との基礎訓練で足が震えている。

 ちなみに俺はその間、魔法の訓練をしていた。

「まぁ、この訓練はお前が逃げ回るための訓練としてるから満身創痍の方がいいのか?」

「せめて回避と言ってくれ」

 そういうことだ。俺は少しで実践を積む。イッセーは『赤龍帝の籠手』の倍加時間を稼ぐ訓練。

 俺にも攻撃していいのだが、今のイッセーが俺に攻撃できる余裕があるとは思えない。

「それじゃ、始めるか」

「少しは手加減してくれよ?」

「無理だな。実践経験のない俺が手加減できるとでも?」

 きっぱりと言ってやる。事実だから仕方がない。

「よし行くぞ!」

「あぁ!ちくしょう!きやがれ!!」

 そして俺たちは戦った。

 アーシアが居て助かったと本当に思う。

 

 

 ◇◆◇

 

 

「うめぇ!!マジでうまい!!!」

 夕食、この山で採れたであろう食材が並べられていた。

 山菜、魚、イノシシの肉などなど。それらを持ってきていた食材と調味料で調理されている。

 イッセーの言う通りかなり美味い。訓練の疲れもあってかいくらでも入りそうだ。

「うふふ、おかわりもたくさんありますからね」

 朱乃さんが作ったようだ。

「最高っす、朱乃さん!嫁に欲しいくらいです!!」

「あらあら、困っちゃいますね」

 イッセーが感想を言い、朱乃さんが微笑んでいる。

「・・・私もスープを作ったんですよ」

 そしてイッセーの隣でしょんぼりとしているアーシアが居た。

 どうやらこのオニオンスープはアーシアが作ったようだ。

 こっちも美味い。

 イッセーは学園の男子が見たら殴りたくなる光景をアーシアとしていた。

 そして食事がひと段落したころに部長が問いかけた。

「イッセー、今日一日訓練してどうだったかしら?」

 その問いに箸をおいてイッセーが言う。

「・・・俺が一番弱かったです」

「そうね。それは確実ね」

 部長も随分とはっきり言うものだ。

「朱乃、祐斗、小猫はゲームの経験はないけど実践経験は豊富だから、感じをつかめば戦える。

 朔夜は実践経験はないけど、基礎はできてるから実践経験を埋めればいい。

 けど、イッセーとアーシアは基礎も実践経験もないわ。それでもアーシアの『聖母の微笑み』や、イッセーの『赤龍帝の籠手』は無視できない強力なものよ。相手もそこは分かっているわ。せめて逃げ回れるほどには力をつけてほしいわ」

「逃げるってそんなに難しいんですか?」

 イッセーがそう聞いてくる。

「ええ、実力が同じくらいならともかく、格上の相手から逃げるのは難しいわ。格上の前で背中を向けて逃げるなんて、倒してくださいって言っているようなモノよ」

 部長の後に続くように俺が言う。

「逃げるのも戦術だ。逃げ回ってる間に仲間が援護に向かうこともできるし、下がって体制を立て直すこともできる。

 さらに言うなら、お前の場合は『赤龍帝の籠手』でブーストすることもできるんだ。逃げ回ることが恥だと思うなよ」

 状況として無理をしてでも戦わないといけない場合もあるだろうが、仲間の援護が期待できる状況ならそうした方がいい。

 一番なのは自分自身で撃破することだが。

「二人には逃げ時を教えないといけないわね。もちろん面と向かって戦う術もね」

「了解っす」

「はい」

 二人が返事をしたところで話が変わった。

「食事の後にお風呂に入りましょう。ここは温泉だから素敵よ」

 山奥の温泉か。秘境っぽくてなんかいいな。訓練の疲れを取るには良さそうだ。

 だが、入る前に言っておかないといけないことがある。

「僕は覗かないよ。イッセー君」

「除きは犯罪だぞ。イッセー」

 俺と祐斗がイッセーに釘を刺す。

「ちょ!お、お前ら!」

 俺たちの言葉にイッセーが焦っていると。

「あらイッセー。私たちの入浴を覗きたいの?」

 部長がイッセーに問いかける。イッセーに気まずい雰囲気が流れているが部長の更なる問いに激変した。

「なら、一緒に入るかしら?私は構わないわよ」

 な!この人は本気で言っているのか?

「朱乃はどうかしら?」

「うふふ、殿方のお背中をお流しするのはいいですわね」

 朱乃さんも乗り気だ!

 あれ?俺の常識がおかしいのか?今の女子はこういうものなのか?

「アーシアはどうかしら?愛しのイッセーと入りたい?」

「・・・」

 アーシアも顔を赤くしながら頷く。

 昨日お風呂で鉢合わせた挙句、間違った裸の付き合いというモノを教わっており、さらに部長に乗せられているアーシアはまぁ仕方がないだろう。

「小猫はいいかしら?」

「・・・ダメです」

 腕でバツを作って拒否を示した。

 良かった。これで小猫まで大丈夫だったら俺の常識が崩れる所だった。

「なら駄目ね。残念だったわねイッセー」

 部長もからかうように言っている。つまりこうなることが分かっていて言ったのだろうか。

 そうであってほしいところだ。

 拒否を示されて涙を呑んでいるイッセーは覗こうと思ったのだろうが

「・・・覗いたら恨みます」

 と小猫にくぎを刺されたため断念したようだ。

「イッセー君、僕と裸の付き合いをしよう。背中流すよ」

「うっせぇぇぇ!!!マジで殺すぞ木場ぁぁぁぁ!!!」




朔夜の神器『源力の湧泉』の恩恵とデメリットを。
次で修行パートを終わらしたいです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。