ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―   作:Nation

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今回は祐斗視点でお送りいたします。

是非見ていってください。


第42話

 僕―木場祐斗―は今長年の怨敵を追っている。

 エクスカリバーを持つはぐれ悪魔祓いのフリードとすべての元凶、聖剣計画の首謀者のバルパー・ガリレイだ。

 ようやく見つけた同士たちの仇、ここで逃がすわけにはいかない!

 僕に併走しているのは教会の使徒でエクスカリバーを持つゼノヴィアと紫藤イリナさんだ。

 本当なら彼女たちの持つエクスカリバーも破壊したいところだけど朔夜君たちがお膳立てをし組んでくれた共闘関係にあるんだ。それに彼女たちが許可を出してくれたおかげで何の問題もなくフリードの持つエクスカリバーを破壊することが出来るんだ。ここは手を組んでいた方がいい。

 さっきまで後ろには朔夜君が僕たちを追っていたみたいだけど見失ったみたいだ。

 もともと出遅れてた。それに朔夜君は悪魔の僕見たく身体能力が優れているわけでも、ゼノヴィア達みたいに何かしらの加護があるわけじゃない。魔法を使えば身体能力を上げれるみたいだけど現状、燃費があまり良くないからついて来れなくなったんだろう。

 うん、これでいい。これは僕の復讐。彼らを巻き込みたくない。教会の二人はともかく、イッセー君たちはこの一件に関わる理由は元からなく、朔夜君も僕がフリードを倒してしまえば狙われる理由も無くなる。

 なんて考えているとバルパー達が建物に入って行く。

「ここか。なんかの廃工場か?」

「工場って言うよりも倉庫の方があってる気がするけど?」

 二人の言う通り見るからに廃れた工場のような建物だ。

 正面から堂々と行くのは危険すぎるため、横側に有った窓から中の様子を窺う。

 天井から差す月明かりだけで薄暗いが僕は問題なく見える。ゼノヴィア達も何かしらの方法で見えるみたいだ。

 中にはバルパーとフリードのほかに男が一人、計三人が何かを話している。その男から恐ろしいまでのプレッシャーが放たれている。

「あれがコカビエル。堕天使の幹部で今回の首謀者だ」

 あいつがコカビエル。古の大戦を生き延び聖書に記されている堕天使の一人。さすがにその名が知れ渡っている堕天使だ。対峙しているわけでもないのにとんでもないプレッシャーだ。正直、戦って勝てるかどうか。

 だがそんなことも言っていられないし、そもそも僕の標的は残りの二人。それにここが奴らのアジトだと言うのなら奴らが盗んだ残り2本のエクスカリバーもここに在るはずだ。

「さて、どうするか。正面から突っ込むのは危険すぎるか・・・」

「二手の別れましょうか」

「そうだな。グレモリーの『騎士』。おまえはどうする?」

 勝手にやらせてもらう。と言おうとしたがその前に。

「そこの三人。いい加減出てきたらどうだ?」

 コカビエルがこちらをはっきりと向き告げる。

「人数まで言い当てられたらごまかしようがないね」

 僕たちは覗いていた窓から中に入る。

 警戒して周囲を窺うが相手は3人だけしか見当たらない。他の堕天使どころかはぐれ悪魔祓いすら見当たらない。

「コカビエル。貴様が盗んだ三本の聖剣、返してもらうぞ」

「聖剣使いが二人に悪魔が一人か。実につまらん。天使の一人も寄越さないとは」

「教会を愚弄する気なの?」

「ああ、してやるとも。それで戦争が再開されるならいくらでも愚弄してやろう」

「つまり貴様の本当の目的は戦争を起こすことか」

「そういうことだ。エクスカリバーを俺が盗んだとなればミカエルが仕掛けてくると思ったんだが寄越したのは雑魚ばかり。期待外れも甚だしい」

「それが堕天使の選択と言う事ね」

「いや。これは俺の望みだ。アザゼルもシェムハザも消極的だからな。だが起きてしまえば動かざる負えないだろう」

「悪いがそうなる前に止めさせてもらおうか」

「次の段階まで少し時間があるから付き合ってやろう。ついでに貴様らの持つ聖剣も奪えばミカエルも重い腰を上げるだろう」

 五対十翼の翼を広げコカビエルは天井から出て、二人もそれを追う。

 僕はそれを気にせずにバルパー達と対峙する。

「バルパーッ!!」

 僕はバルパーを射殺すような目で睨みつける。フリードが居なければすでに斬りかかっていただろう。

「ふむ。私は悪魔にその様な目を向けられる理由に心当たりがないのだがね」

「僕は聖剣計画の生き残り。いや、死んで悪魔に転生した者だ」

「なるほど、あの時の被験者か。このような極東の地で会うとはな。いや、礼を言おう。君たちのお蔭で研究は完成した」

 研究が完成した?

「どういうことだ!?僕たちを処分したじゃないか!?」

 そうだ。あの時研究員たちは要済みだと言って毒ガスを巻いた。同士たちに適合できた者はおらず、誰一人残らず殺されたはずだ。

「私は聖剣や聖剣使いについて研究して行く内に、聖剣を使用するのに必要な因子の存在に気付いた。そして集めた被験者の少年少女の適性数値を調べた。全員が多少なれど持ち合わせていたが、エクスカリバーを扱うには不十分だった。だから私はこう思ったのだよ。『因子だけを抜き取り集めることはできないか』とね」

 バルパーの話を聞いた僕はあの時の真実(答え)にたどり着く。

「つまり、あの時僕たちが殺されたのは適合できなかったからじゃなく・・・」

「そう。因子を抜き出すためだ。そしてその因子を結晶化したものがこれだ」

 バルパーが懐から光り輝く球体をを取り出した。

「・・・どうしてそれほど命を弄べる・・・」

 怒りに震えながら言う。

「私は聖剣が大好きでね。幼少の頃からエクスカリバーの伝記には心が躍った。だから自分にその適性がないと知った時は心底絶望したものさ。故に扱える者に憧れ、扱える者を作り出す研究に没頭した」

「つまり自分の欲望のために同士たちの命を・・・!」

「ふん。そこまで言うのならこの因子を貴様にくれてやる。これはあの時出来た物だ」

 そう言ってバルパーは結晶を僕に向って投げた。

 あの時出来た物。つまりこれは同士たちの因子で出来た結晶と言う事!

 向ってくる結晶を無我夢中で受け止める。

 だがそれがいけなかった。

 

「隙みーっけ!!」

 ザクッ!

 

 今まで静観していたフリードが僕の腹部を刺した。

 バルパーと会話しながらもフリードを警戒していたが、結晶に意識を取られたことで完全な無防備となったところを狙われた。バルパーがこれを狙って結晶を渡したかどうかはわからない。

 エクスカリバーで刺されたせいで全身が力を失っていくのが分かる。

 このまま僕は間違いなく消滅するだろう。

 バルパーだけでも道連れにするか?それとも・・・。

「くそっ!魔剣創造!!」

 一瞬の思考の後、魔剣創造を解放する。

 イッセー君の譲渡も無い上、聖剣で力を奪われた状態じゃ大量の魔剣を創ることはできない。

 でも、この廃れた建物を倒壊させることはできなくない。

「ちょ!おまっ!」

 どごぉぉん!!

 建物の倒壊に乗じて一目さにここから逃げる。

 あそこでバルパーを殺しても良かった。

 でもそれ以上にこの結晶をアイツらの元に渡したくなかった。

 そう想った僕は残っている力を振り絞ってこの場から離れた。

 

 

 ◇◆◇

 

 

「うっひゃー。まさかここを潰してくるなんて思ってもなかったぜぇ」

「貴様が一撃で仕留めなかったことが原因だろう」

「すみませんねぇ。なんせ僕ちん、なぶり殺しが趣味なんで。まぁ、どうせ助からんでしょう。なんせ傷は重症な上、こいつで刺したんですから」

「ずいぶんと派手にやったようだな」

「お帰りなさいませ、ボス。ん、それはなんですかい?」

「ああ、これはサーゼクスの妹への土産だ。一人は逃がしたがな。残りの一人はどうした?」

「こっちも逃げられやした。まぁすぐに消えるでしょうさ。こいつで斬ったんで」

「そうか。あれはサーゼクスの妹の眷属だったな。情に熱い奴らだ。眷属が死んだとなればさぞいい殺意を向けてくれるだろう。バルパー、フリード。次の段階に進むぞ」

「わかった」

「あいあいさー」

 

 

 ◇◆◇

 

 

「・・・っはぁ!・・・かはっ!」

 同士たちの結晶を握り必死に逃げる。

 だけどもう限界だろう。

 追手は来てないだろうか?

 視界が霞みまともに見えない。

 どのくらい離れることが出来ただろうか?

 足を引きずることしかできない。

 体に力が入らない。当然と言えば当然か。

 斬られた場所は致命傷にはならないまでも重傷。そして悪魔の身でエクスカリバーに斬られたんだ。

 出来ることならこの結晶を部員の誰かに渡しておきたかった。

 そうすれば再び奴らの手に渡ることも無く供養してくれるだろう。

 でもそれは望みすぎなんだろうね。

 そもそも即消滅しなかっただけでも。そしてここまで逃げれた事がまさしく奇跡だ。

 ドサッ!

 体が倒れたようだ。もう体の感覚は消えている。

 霞む視界で体がまだ残っていることは分かるが傷口から煙が上がっている。

 僕はもうじき消滅するだろう。

 せっかく聖剣計画の首謀者に会い、エクスカリバーを見つけたんだ。一本くらいは破壊したかったかな。

 まぁ、同志たちの結晶を奴らの手から離すことが出来て、良しとするべきなんだろう。

 あの雪の日に死ぬはずだった僕がここまで生きれたことは幸福なんだろう。

 助けてくれる仲間と共に過ごす日常で十分な事だったんだろう。

 でも僕は自分の復讐に走った。手を貸してくれた仲間を振り切って復讐を成し遂げようとした。

 その報いなんだろう。

 皆に謝りたかったかな。

 

 イッセー君、朔夜君。無関係の君たちを僕の都合で巻き込んでごめん。

 小猫ちゃん。いなくならないでって願い、かなえられそうにないや。

 朱乃さんやアーシアさんにも心配かけただろうな。

 そして部長。救ってくれたあなたを裏切って自分の道に進んですみませんでした。

 

 ―――――そのまま僕の意識は完全に途絶えた。




二週間以内に上げることが出来て良かったかなと思います。

評価・感想お待ちしております。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
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