「待ち合わせの場所はここだったかしら?少し早かったわね」
私は腕時計を見ながら時間の確認をし、早く来すぎたとため息をつく。今日は私の大事な人に内緒で贈り物をしたいと思い、「今日はバイトがあるから早く行くわね」と、私の大切な恋人ーー白金燐子にそういい、家を出てきたのだ。
私たちは高校の頃から付き合いにより、大学も一緒にし、近くのアパートを借りて、同棲している。
そして、今日はいつも側にいる燐子に何か贈りたいと思い、ある人に相談をした。
「すみません、遅くなりました…」
「いえ、大丈夫ですよ美咲さん」
彼女の名は奥沢美咲。私の通っていた高校の後輩にあたり、なにかと交流を持つ人である。
彼女もお世話になっている恋人ーーーいや、最近結婚されたそうで美咲さんの薬指がなによりの証拠でお嫁さんに贈り物をしたいという私と同じことを連絡で受け取ると「では、一緒に探しませんか?」と私が持ちかけ、今に至るというわけだ。
「それじゃあ、行きましょうか?」
「そうですね…。ふぅ、花音さんに言い訳するの結構大変でした」
「あら、そうなの?あっ、ご結婚おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます紗夜さん。花音ーー妻も今日どこか行くの?私も行こうか?とか言ってくるものですから」
「私も燐子にバイトと嘘をついて来てますから、お互い様ですよ」
ということでまずは美咲さんの場所から行くことになりました。
駅の近くで待ち合わせと言われたので遠出するのかと思ったら、この近くにある水族館に行くということ。まあ、一駅で降りるので
「ここの水族館、よく花音さんと来ててクラゲとかをいつも見てますね」
「クラゲを?ほかの魚や動物たちは見ないんですか?」
「いや、それは見ますよ。見ますけど、クラゲを見てるとなんかとても落ち着くんです。その時の花音さんの嬉しい表情が可愛いのもあるんですけど」
私たちは改札へ向かい水族館行きの電車に乗り、他愛の話をしながら、水族館に到着した。
海沿いに立地しているここの水族館は割とそこそこの大きさで、人気のスポットとのこと。
受付でチケットを買い、入場し、中に入った。
そういえば、私はあんまり水族館に行ったことはなかったな、今改めて思った。
燐子と動物園や遊園地には何回か行ったことはあるが、水族館はない。
今度、休みの日にでも誘って行こう。
中に入ると、出迎えてくれたのがアクアロードだった。360度あたりに一帯にガラスで覆われ、右を見れば泳いでいる魚、左を見れば泳いでる魚とまるで海の中にいるみたいな体験が出来る道だ。
「綺麗…ですね…」
「本当にそう思いますよ、紗夜さん。ここを通る時、いつも言葉が出て来ませんから」
美咲さんは少し笑い、私はこの幻想的な光景を少しでも多く見てみたいと思いました。
それからいろんな魚や動物たちを見ました。
その後にイルカショーがあるとスタッフの声が聞こえ、行ってみることにしました。イルカショーのステージは海側に開いており天井もなく、中央のプールに空から縦に陽が差していた。ステージとなるプールを中心に扇状に観客席が広がっており、目算でも7,8割ほどは家族連れ、カップル客で埋まっている。
イルカショーでは水族館のスタッフさんが笛や声などでイルカに指示を出し、パフォーマンスを披露する。
また、イルカはとても賢い生き物でまさに人間とほぼ変わらない…とは言い切れませんが動物の中でも屈指のものでしょう。
また、ジャンプなどで着水の時に水飛沫がかかる恐れがあるので前列部分の方はカッパなどを着ている。
私と美咲さんは離れたとこでみており、イルカショーに私は釘付けになった。
ショーが終わると美咲さんがある場所に案内してくれた。
「ここは…」
「ここはクラゲ館です。ここが私と花音のオススメスポットです」
さっきの太陽からの光が四方から入るイルカショーのステージとは一転して部屋の中は照明が落としてあり、水槽がその空間に浮いているかのように青い光を周囲に薄く放っている。
ここが美咲さんと松原さんがよく来る場所。
美咲さんが水槽の向かいにあるベンチに案内され、美咲さんも隣に座る。
青い水槽に浮かぶクラゲがぷかぷかと、ゆっくり傘を開いたり閉じたりしながら浮いている。きっとクラゲには、上も下も、右も左もない。水槽の中でただ目的地もなく、ふわふわと幻想的に漂っている。前に進むわけでも後ろにさがるわけでもなく、同じ場所をさまよっている。
そうやってクラゲは生きてきたのだ。
「ここに来るとまるで時が止まったような感じがして、誰にも邪魔されないその案寧に浸かるのが好きだって、花音さんが言ってたんですよ。その話を聞いた時、私は思ったです。
確かににそうだと。だから、水族館に来るほとんどのメインはここです」
美咲さんはそういうと、笑い私も笑ってしまった。
それから1時間くらいはクラゲを見続けたと思います。
それから物販コーナーに行き、燐子に何かお土産を買って帰ろうと思った。
ぬいぐるみがいいか、それともクッキーとかお菓子がいいか。迷った私はぬいぐるみのコーナーに行き、ラッコのぬいぐるみとペンギンのぬいぐるみをレジに持って行って買った。
美咲さんは新作のクラゲのぬいぐるみが出てると目を輝かせ、二つ手に取り、レジに向かって行った。
「すいません。お見苦しいとこをお見せして」
「いえ、そんなことありません。大切な人の為に一生懸命なのはいいことですよ」
私たちは歩きながら、そう話しお次はショッピングモールに行くことになった。
「ショッピングモールでは何買いましょうか」
私がそんなことを言っていると、美咲さんが突然、足を止め私に言いました。
「紗夜さんは、燐子さんと結婚……しないんですか?」
「………何故、今その質問を」
私はその場で立ち止まり、美咲さんに振り返った。
「いやー、なんといいますか?紗夜さんと燐子さんって、高3ぐらいから付き合い始めましたよね?それから大学も一緒。同棲もしてますよね?これ以上の展開があるとしたら、婚約指輪ですよね?」
美咲さんはそう口にいうと、被っていた帽子を深くする。
何故、彼女はわかったのか?理由を聞くことにしよう。
「何故、わかったですか?」
「………感ですよ」
美咲さんはそういうと、歩き出した。
そう。私は白金燐子という女性と結婚したいと願望がある。高校に入学して最初は臆病であまり話さない人という印象が強かった。高2、同じクラスになるもあまり話さなかったが、Roseliaに加入後は話すようになった。
そんな話すのようになった彼女を見て行く内に私はいつしか恋をしていた。
そして、高3になると私は彼女に告白をした。
告白をした時の彼女の表情は今でも忘れない。嬉しすぎて涙が出ていたあの顔を私は忘れない。
私たちは服やアクセサリー、小物等のお店を周り、いくつか買った。
そして、歩いている時に指輪やネックレスなどが売っているお店を通り過ぎた。
私は立ち止まり、そのお店を眺めていた。
すると、美咲さんが、
「すいません、紗夜さん。ちょっとお手洗い行ってきます」
といい、彼女はお手洗いに行ってしまった。
恐らく気を利かしてくれたのだと私は思った。
彼女の姿が見えなくなったと同時に私は中に入り、店員さんにシンプルな指輪を二つお願いした。一つは箱に入れて貰い、もう一つも同じようにしてもらった。
私が店を出ると同時に美咲さんが帰って来た。
「今、戻りましたー」
「ええ、それじゃあ行きましょうか」
それからカフェに入り、コーヒーを飲みながら雑談をした。
それから、時刻は夕方で私たちは帰ることにした。
「それじゃあ、私はこっちなんで」
「ええ、今日はありがとうございました」
「そんなことないですよ」
「そうですか…。それでは」
私は美咲さんに挨拶をすると、歩き出そうとした瞬間、突然美咲さんに言われた。
「紗夜さん、一つだけ忠告しておくことがあります」
「えっ…なんですか?」
「大切な人を一生、幸せにしてあげて下さい」
「は、はい…」
美咲さんはそういうと、帰って行った。
一体、何がいいたかったのでしょうか?
私はそう思うと、燐子が待っている家路を急いだ。
家に着くと、ドアを開けた。
「ただいま、燐子いるかしら?」
私は玄関で靴を脱ぐと、燐子がいるか声をかけた。しかし、返事が帰ってこない。私はリビングに向かった。
しかし、燐子はいなかった。
台所にいるのではと思い、行ってみたがやはりいない。玄関に靴はあった。
じゃあ、寝室は?私は寝室へ向かった。
寝室のドアを開けると、燐子がいた。
暗い寝室の中に燐子はいた。
「燐子、どうしたの?」
「……………」
燐子は黙ったままだった。
すると、立ち上がり私の元へ来た。
「……紗夜さん」
「ッ…!な、なにかしら燐子?」
燐子の口から出た言葉に少し恐怖してしまった私。
何、この異様な空気…。
「今日はどこに…行ってました……?」
「今日はバイトといっ「嘘…です…」えっ」
「嘘です…」
「う、嘘なんか…「今日…少し…ショッピングモールに行って…買い物してたんです…」…っ!」
なっ!まさか、あの場にいたというの!?
いや、そんなはずはない。
し、しかし、私とショッピングモールに行ったと知っているなら、どこかでそれ違った。
「そしたら…紗夜さん…奥沢さんと…いましたよね…?なんで…なんですか?バイトに行くと言ったのは嘘なんですか?理由を教えて…ください…」
完全にお怒りのようね。ここで言い訳をしたら、恐らく…。
「何を言っているのかしら?あなたの見間違いじゃないの?」
「そんな…こと…ないです…」
「証拠はある「今日のカフェで食べていたケーキはショートケーキ。コーヒーを二杯おかわりしていました。奥沢さんはチョコケーキとコーヒーを一杯おかわりしました」…」
「紗夜さん……覚悟はいいですか?」
と、こんな感じにビンタが飛んで来てしまうから正直に話そう。
「燐子、ごめんなさい。あなたに嘘をついていて。ええ、私は美咲さんと一緒に買い物に行ったわ」
「やっぱり……紗夜さん……」
「でもね、私は浮気とかそういうのじゃないの」
「えっ…」
「あなたに、感謝の気持ちでプレゼントをあげたかったの」
「………そうなんですか?」
「ええ、プレゼントはこれよ」
私は懐からケースを取り出し、彼女の前に片膝をついて、中身を開けた。
それをみた彼女は目を見開き、口に手を当て涙を流した。
「……、う、うそ…ですよね…紗夜さん……」
「嘘じゃないわよ、燐子。
白金燐子さん、私と結婚して下さい」
「…………はいっ…!」
私はその言葉を聞くと燐子を抱きしめた。
抱きしめた衝撃により、ベットに倒れた。
私は燐子を押し倒していた。
「夢じゃあ…ないですよね…」
「夢じゃあないわよ」
「これから、よろしく….お願いします、あなた」
「ッ……!か、可愛いすぎよ、燐子」
「…….来て」
その声を聞いた瞬間、私は彼女の唇を奪った。
それから、私たちは愛し合った。
「今頃、やってるんだろうな〜」
「何を?…やってるの?」
「あっ、花音さん。こっちの話だから、心配しないで」
「………」
あ、あれ?黙り込んじゃった……。
「あ、あのー花音さ「花音」えっ…」
「…結婚したら、花音って呼ぶって言ったはずだよ」
もう、かわいいな〜この人は、私が買ってきたクラゲのぬいぐるみ抱きしめながら言わないでよ、そんなこと。
「ごめんね〜、花音」
「ふふふっ、美咲ちゃんが買ってきてくれたクラゲのぬいぐるみ、抱き心地いいね〜」
「うん、ありがとう」