鳴り止まない音楽、楽器、ファンの歓声。
私はいつものように本番前の緊張をほぐすため、曲の音源を頭に入れ、一からどこから違うとこはないかとギターの弦を弾く。
辺りを見回すと、私のバンドメンバーが各々各自で最後の仕上げにかかっていた。
控え室の端の上にあるテレビを観ると、他のバンドの演奏が終わったようだ。
それと同時に、
「『Roselia』の皆さん、スタンバイお願いします」
スタッフさんが控え室のドアを開け、私たちに言ってきた。
「みんな、行くわよ」
「うん!」
「ええ」
「は、はい…!」
「はい!」
私たちのリーダー&ボーカルの声に私たちは返事をし、ステージに向かう。
ステージに着くと、ファンのみんなが大盛り上がりだった。
「キャー!!『Roselia』!!」
「今日も、最高のライブをしてくれよ!!」
「ユキナ〜!!」
「……私たちの頂点を目指す音楽が聴きたい?」
『ワアアアアアアッ!!!!』
熱狂する観客。
湧き立つ興奮。
もっと『音』を響かせたい!
言葉ひとつひとつが
音にのって
情景にかわる
色になって
香りになって
会場が、観客が、全体が包まれていく……
私は見つけたんだ……『本物』を!!
Roseliaで!!!!!
ここは音楽を制するものが君臨し続ける都市ーー『MIDICITY』ーーー夢の為、名誉の為、モテる為、金の為... それぞれの目的は違えど、仲間を集めバンドを結成し、音楽活動をしている。
世界中に様々な種族が存在し、姿形もさまざま。唯一共通している事は、「みんな音楽が大好き。」 『MIDICITY」には約2,000万人のミューモン達が暮らしているーーーこれは、私達のバンドーー『Roselia』のちょっとした日常を描いた物語。
「今日も楽しかった〜!!」
「そうだね……」
「お疲れ〜みんな〜!」
「お疲れ様です」
「みんな、お疲れ」
私達はライブを終え、控え室で休憩を取っていた。
「ユキナさぁ〜ん〜、アコー、お腹すきました」
「今、それを言う時なのですか?」
「わ、私も…お腹すきました…」
「そうだね〜、ねぇ、ユキナー」
「そうね。にゃっ!あっ、待ちなさ、い!この、もう!にゃにゃっ!みゃー!!」
「あははは、ほれほれ〜ユキニャー、捕まえてごらん〜」
「「「…………」」」
今、どういう状況かと説明しますと、うちのボーカル、ユキナさんがベースのリサさんに猫じゃらしで遊ばれているんです。
まあ、仕方ないですよね…。猫の本能には逆らえない…いや、でもユキナさんって、確かライオン族でしたよね?あっ、でもネコ科だからいいのか。
えっ、何故ユキナさんがライオン?
それは私達が『ミューモン』だからです。
ミューモンとは、私達ーー半獣人のことを意味し、この世界ーーサウンドワールドで暮らす音楽生命体です。
サウンドワールドとは、この世界のことを意味し、全世界に12の音楽都市国家がある。
そのひとつがこの『MIDICITY』。
全てが音楽で成り立っているとてもカオスな音楽都市です。
「そういえば、今日もユキナさんのメロディシアンストーン、ものすごく輝いていましたね!」
「そうだね…」
メロディシアンストーンーーそれは、我々の音楽生命体にとって重要なものだ。サウンドワールドに存在する全ての生命に秘められた音のエネルギーで、優れた音楽とオーディエンスが共鳴することで高純度の結晶体になる。
「それより、早くご飯食べに行きたい〜」
この子はドラムのアコさん。
デビル族の女の子で、元気な子だ。
時たま、よくわからない言葉を使いますが、かけがえのないバンドメンバーです。
「アコちゃん…もう少し、待ってみよう…」
キーボードのリンコさん。キツネ族で、人見知りが激しいですが、幼少期からピアノを習っており、コンクールでも何回か、優勝したことがある。凄腕のピアニスト。よくアコさんとゲームなどの話をしている。
「そうですね、あの二人を早く止めないと」
私はギターをしているサヨです。
よく珍しいと言われるのですが、幻獣ーー麒麟族です。
天才と言われる双子の妹と比べられたくなく、いつも影で努力してきた。
私には、ギターしかないの。
好きなものは、ジャンクフードでしょうか?あれは至高の食べ物といってもいいですね。
「ほれほれ〜」
ベースのリサさん。ハイイロオオカミ族でユキナさんとは幼馴染。
いつもユキナさんと一緒に行動し、我らRoseliaには欠かせない人でもある。
また、お母さん気質なのか。
家事などがとても得意。よく練習終わりにクッキーなどを作っては私たちに配っている。
ユキナさんはそのクッキーを一目散に食べますね。前に私とリサさんのクッキーをごちゃ混ぜにしたんですが、ものの一瞬で見抜きそこだけを食べるという離れ業をやってくれました。
「みゃ!にゃー!!シャアーー!!」
そして、我らがRoseliaのボーカル、ユキナさん。ライオン族でリサさんとは幼馴染。
芯が強く自分の信じたものを決して疑わない純粋な人で、面倒見のいい人でもありまた、仲間思いな人です。
よくリサさんと一緒に行動し、リサさんのクッキーが好物であります。
「あのー、早く行きませんか?」
「にゃっ!?……コホン、そうね。失礼、少々取り乱してしまったわ」
「いや、ユキニャー〜全然、取り乱したレベルじゃあないよ〜」
「……うるさいわね」
「それじゃあ、行きましょうか?」
「うんっ!アコ、早くご飯食べたい〜!!」
「わ、私も…です…」
「それじゃあ、一旦外に出ようか?」
「そうね。それから考えればいいわ」
私たちは、楽屋を出て出口まで歩いていた時、ユキナさんがトイレに行ってしまい、私たちは待つことにすると前方から二人の女性が来た。
「おや?これは、『Roselia』のみんなさんではないですか」
「あら?『BUD VIRGIN LOGIC』のベースとドラムじゃないですか」
「こんなとこで何をしてるかしら?麒麟」
「それはこちらのセリフですよ?闇麒麟」
二人の間に火花が散っていた。
彼女たちは『BUD VIRGIN LOGIC』。
この『MIDICITY』でも有名のバンドで、闇の歪みから生まれ落ちた、徒花の蕾…。所属不明、目的不明、正体不明、謎の3人組ガールズバンド。研ぎ澄まされた茨のように鋭いメロディラインと、残酷な程に無垢で繊細なヴォーカルがシンクロ。そのサウンドは聴く者の闇を貪り、論理的な純血の香りがその魂を支配する。
彼女たちは私たちの言わば、ライバルと言える。王ライオンのボーカル&ギターのアイレーン、闇麒麟のベース、ペイペイン、白虎系統ミューモロイドのドラム、ハンドレッコ。
「いつもうざいんですよ、あなたは!」
「それは、こちらも同じよ!」
くっ!この闇麒麟、いつも腹が立つわね!
ペイペインが鋭い爪で私に攻撃してきますが、私はそれを自身の鋭い爪で受け止める。
えっ?何故、私とペイペインが仲が悪いかですか?
種族が一緒で幼馴染みたいな関係なんですが、小さい時からよく喧嘩ばかりしてました。
そんなときに彼女はある財団に引き取られてメイドになったと聞いた。
それから音信不通だったのですが、こうしてバンドとして巡り合った瞬間、私とペイペインは喧嘩しましたね。
今もですけど……。
「くっ!」
「くうっ!」
「メイドも同じなら、アタイも容赦はしないよ!」
「アコ、リンコ!下がって!」
「は、はい…!」
「う、うん!」
ハンドレッコのドラムスティックは刃にもなっており、それをリサさんに向けて振り下ろす。
「それは、ちょっとお姉さん、許さないかな!」
リサさんが鋭い牙で右のドラムスティックを受け止める。
「にひひひひっ」
「このっ、オオカミ!!」
ハンドレッコは悪態を吐き、左のドラムスティックをリサさんに向けて振りかぶるが、リサは咄嗟に放し、鋭い爪で受け止める。
そして、私とペイペインは外に向かって走りだし、外に出た瞬間に鋭い爪で攻撃する。
ペイペインはそれを避けて、私の首を掴み、地面に叩きつけた。
「がはっ!?」
「……大人しくして下さい」
「誰が、大人しくするとでも思いますか?この闇麒麟……!」
叩きつけた衝撃で、肺の空気が全部吐き出され、抑えられているため身動きが取れない。
すると、鋭い爪をかざし、私に狙いを定めた瞬間、私はその手を右手で受け止めた時、
「何やってるの、サヨ、リサ!」
「何をやっているのだ!ペイペイン、ハンドレッコ!」
私たちのリーダーの登場である。
「あ、アイレーン様!こ、これは、その…!」
「マスター、これは…」
「ゆ、ユキナさん!これは、そのーー」
「ユキナ!ち、違うの!これは、あれだよ!」
私たちはなんとか弁明しようとするが、
「結構なのだ。予想はわかっておる」
「結構よ、だいたい予想はつくから」
二人はそういうと、向き合った。
「いつもすまない。うちのメンバーが」
「いいえ、こっちこそメンバーが」
というようにどちらのバンドも謝る結果に終わるのだ。
「それじゃあ、我はこれからライブがあるので。行くぞ」
「ええ、それじゃあ。行くわよ」
『BUD VIRGIN LOGIC』はライブハウスの中へ『Roselia』は街へ向かい、それぞれのバンドグループは別れた。
街に出ると賑わっている。
タワーの方には特大電光テレビがあり、そこにはこの『MIDICITY』で活動しているバンドの楽曲ランキングが載っている。
そんなことを思いながら、私たちは夕食をどこで食べるか考えていた。
「ご飯、どこで食べます?」
「いざ、街に出たもの…」
「な、なかなか…見つかり…ませんね…」
「どうしますか?」
「………」
「あっ、そういえばこの近くに美味しいラーメン屋があるんだった!」
「ラーメン屋?」
「うん!前にテレビと雑誌で特集されてたんだよ〜。そこに行かない?」
「まあ、ほかに行くとこがないなら、決まりね」
「行きましょうか?そのラーメン屋さんに」
「レッツゴー!!」
「ゴー…」
ということで私たちの夕食はラーメンになりました。
噂のラーメン屋さんは路地裏にあるというので私たちは路地裏に来ていた。
「ここにあるの?リサ」
「うん。そのはずだけど……あっ、あれだよあれ!」
リサさんが言う方向に目を向けると、ラーメン屋がありました。名前は「珍竹林」と書いてあった。
「ここですか?」
「うん、ここだよ」
「それじゃあ、早く中に入りましょう!アコ、お腹空いて」
「私も…です….。早く、食べたい…です…」
アコさんとリンコさんがそういうと、私たちは中に入る。すると、
「それは呪われし、漆黒の星屑が秘めた奇跡
ふっ、クロウ降臨!!!」
「闇の中で永遠に香る、禁じられし業魔の吐息
ウレスブレイカー、アイオーン」
「拙者の獲物はあれ喰らう炎撃三舞の地獄池
レンジェンド・オブ・タンフレイム
故に竜剣伝、ヤイバここに参上!!」
「大人の〜男にはファッティオイルが必要なんだ!
シャイニング・ジャスティス 俺はロム!!」
「「「「歌え、さあ〜家畜共 真紅を纏い
今ハーモニーを奏でよう !
とんこつラーメン〜!!!
と〜ん〜こ〜つラーメン〜!!」」」」
「「「「「……………………」」」」」
えっ?なんですか?いきなりドアを開けた瞬間、よくわからない四人組がなんか、とんこつラーメンとかなんとか歌っているんですが…。
ていうか、一人目の人….どんだけ、胡椒ふりかけるんですか、辛いでしょ。
二人目の人はなぜに、ニンニク?
どんだけ、入れるですか、十二個も入れる必要あります?
三人目はラー油をかけすぎ、いやもう足りないから全部入れてるじゃないですか!
最後、四人目の人は調味油をかけておしまい。
意外とシンプルですね。
「ん?なんだ、お前ら……って、『Roselia』じゃねえか!?なにしに来たんだ!」
「……私たちはここのラーメンを食べに来た客よ」
「ここの?確かにここは、我かま行きつけのラーメン屋だが、何故?」
「ライブの帰りに丁度いいと思いまして」
「……あなた達は『シンガンクリムゾンズ』でしょ?」
「俺たちのことを知っているのか!」
「知ってるわ。あなたたちの音楽はいつも聞いてるもの」
「マジか!おい、ここに家畜がいたぞ!」
「ファンのことを家畜と言わないでください…」
この人たちはバンド『シンガンクリムゾンズ』。
まあ、なんといいますかー。宇田川さんみたいな痛い中二病全開のロックバンドで深紅色の心眼でこの澱んだ世界を見続けるなどと意味不明なことを言っているバンドで、いつの日かその音楽センスは一目置いているとのこと。
私たちは『シンガンクリムゾンズ』と音楽の話をしながら、夕飯をいただきました。
「「「「「ごちそうさまでした」」」」」
「いやー、美味しかったね〜」
「うんっ!あんな美味しいラーメン、食べたことないよ、あこ!」
「そうですね、また食べて見たいものです」
「ちょっと…量は多かった…ですけど」
「それじゃあ、帰ろうかしら?」
私たちは寮に帰ることにした。
街を歩いている時、廃墟みたいなビルを通り過ぎようとした時、あるバンドメンバーと鉢合わせてしまった。
『あっ…』
「『Roselia』の皆さん!」
「『Pastel*Palettes』…」
「あっ!おねーちゃん!」
「ヒナ……」
てことは、ここはBRR(BANDED ROCKING RECORDS)の事務所かしら?
「今から帰り?」
「ええ、あなたも?」
「ううんっ!これから仕事だよ。でも、今日はおねーちゃんに会えるなんてるんっ!って来る!」
それは良かったわ。
「それより、あなた。仕事なんでしょ?早く行きなさい」
「うんっ!それじゃあね!」
ヒナはそういうと、みんなの元へ向かった。
「それじゃあ、私たちも行くわよ」
『今日はなんと!あの『Roselia』と『BUD VIRGIN LOGIC』の対バンライブだぁー!!!』
『ワアアアアアァァ!!!!!』
今日はあの『BUD VIRGIN LOGIC』との対バンライブである。
前々から企画されていたらしくそれが実現したとのこと。
私たちは控え室で準備をしていた。
そして、本番が来た。
「『Roselia』の皆さん!スタンバイ、お願いします!」
「みんな、行くわよ」
ステージへ行く道のところで、『BUD VIRGIN LOGIC』の三人とすれ違った。
「楽しみしているのだ、ユキナ」
「それはどうも」
「サヨ、見せてみなさい貴方の音楽を」
「当然よ、貴方なんかに負けないわペイペイン」
私たちはお互いのことをいい、ステージに上がった。
湧き上がる歓声。
ステージを包み込む色。
この場所ではみんながスター!
誰でも楽器弾けば、音楽を奏でれば!
そこに立てる!
「……あなたたち、Roseliaにすべてを賭ける覚悟はある?」
ワアアアアアアアアアアアァァァァ!!!!
「それでは聴いてください………
Roseliaで
『BLACK SHOUT』」
暗い夜も【fighting】
怯えずに今【smiling】
信じた道【running】
迷わず進もう 黒でもいい【all right】
白じゃなくても【ok】
不条理を壊し
私は此処に今を生きているから【SHOUT!】