Roselia 短編集   作:最弱氏

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人見知りな獣人と紗夜

命とは尊いものだと私は思ったことがある。

この世界に生きる全ての人や生命は生を持っている。

しかし、私はこれほどまでに命とは一緒にいるとしても一瞬で終わってしまうなんて思っても見なかった。

 

「おかあーさん…ねぇ、おきてよ…おかあーさん…」

 

道端で倒れて起き上がらない一人の女性をさすっている一人の女の子。

その女性や女の子を見てみると、頭には耳、腰の後ろには尻尾が生えていた。

『獣人』である。

この世界には『人間』と『獣人』の二種族が暮らしている。

昔は色々と問題視されていたそうだが、何十年間前に法律で『獣人も人間と一緒』という憲法が改正され、今となっては『獣人』は同じ人間だと誰もが当たり前となっている。

しかし、『獣人』にも少しだけ『人間』と違う点がある。それは耳と尻尾、それと動物としての本能である。

『獣人』は獣の血を代々と受け継ぎ、それにあった行動や習性と言った特徴を持っている。

あとは殆ど人間と変わらない。

この意味がわかるであろうか?

 

 

 

人間と変わらない……つまり、歳を取って死ぬし、大怪我をすればその傷は残るし、病気にもかかるし、車に跳ねられても死ぬのだ。

 

 

今、私の目の前ではそのような出来事が起きているのだ。

学校の帰り道、いつものように登下校として使っている道で事故があったのだ。

横断歩道を渡っている『獣人』の母と娘が猛スピードで突っ込んできた車に跳ねられたのだ。

この一部始終を見ていた私は一瞬のことのように思えた。

普通の人は驚きでその場を動かないことが多い。が、私はなぜか、駆け出した。それから私を見たのか、何人かの人が警察や救急車に電話していた。

私は急いだその親子の元へ。

私は数メートル先で倒れている女性に駆け寄り、声をかけたが、

 

「大丈夫で…す…か…」

 

私はその場に行った時に言葉が出てこなった。

頭から血を流し、ピクリとも動かない女性が横たわっていた。その側には娘が母親に声をかけ、体をさすっていた。しかし、さすっても母親は起きない。

娘を守るために自分を盾にして、娘を守った母親はこの世からいなくなってしまった。

 

「おかあーさん…おきて…はやくかえろう…ねぇ….おかあーさん…。ねぇ……おねーちゃん…おかあーさんが…おきないの…ねぇ…なんで…?」

 

娘は何度も何度も母親をさするが母親は起きない。私は娘にその質問された時に答えられなかった。

私はその光景を見るのも耐えられず、涙を流していた。

私はその子にそっと近寄り、抱きしめた。

 

「あなた……。貴方の母親はもう…」

 

「えっ…なに…おねーちゃん…?」

 

「よく聞いて、貴方の母親はあなたを守って……遠くへ行ったわ…」

 

私が娘にそういった時、その意味がわかったのか、娘は涙を流した。

 

「う…うぅ…うわあぁぁぁぁぁあんん!!」

 

私は娘を強く強く抱きしめ、一緒に泣いた。

それからして救急車や警察が到着し、私は娘の事が心配で救急車に同行することになった。

それからはまるで風のように思えた。

猛スピードで突っ込んだ車の運転手は逮捕されたということ。

そして、あの娘の母親が亡くなったこと。

即死だったそうだ。

それから娘の名前がわかった。

 

名は燐子ということだ。

 

救急車に同行し、病院まで行き、彼女の検査を受けている時に警察にこんなことを聞かれた。

「彼女をこれからどうするか」と母親のいない彼女は一人で生きられない。それはどの世界に言っても同じことだ。

彼女は施設に入るか、誰かに引き取ってもらうと警察の人に言われた時、私はこう言った。

 

「だったら、私が彼女を引き取ります」

 

私は親にこのことに話すと了承してくれて、改めて親に感謝したい。

そういい、私の元に燐子の退院とともに私が引き取った。

最初は戸惑っていた燐子だったが私に抱きつき、離れなかった。

 

「燐子、これから私と私の家族と一緒に過ごすけど…大丈夫?」

 

「うんっ!さよちゃんっといっしょだったら、だいじょうぶ!」

 

こうして、私は燐子と一緒に暮らすことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さよちゃんっ、さよちゃんっ!おきておきて!あさだよ!」

 

「……ん?ふあ〜、おはよう燐子」

 

「うんっ!おはよう!」

 

私は燐子に起こされて、ベットから出る。

燐子を抱き抱え、リビングへ向かう。

リビングに向かうと母が朝食を作っていた。

 

「あっ、おはよう紗夜、それに燐子ちゃん」

 

「ええ、おはよう母さん」

 

「おはよう…ございますっ!」

 

「今日も元気がいいわね〜燐子ちゃん〜♪」

 

「ひぃ!さ、さよちゃんっ!」

 

母さんが燐子の頭を撫でようとした時、燐子は怯え、私のズボンの裾にしがみついた。

燐子はまだここに来て、数週間。

母さんや父さんは燐子を受け入れ、可愛いががりたいのだろうか、頭を撫でるや抱っこしようするが殆ど空振り。燐子は私と妹日菜にしか懐いていない。というか、人見知りなのだこの子は。

 

「あらあら、まだ無理かー」

 

「ふふふっ、燐子大丈夫よ」

 

「ううっ…」

 

燐子を抱き上げ、ご飯の用意をする。

彼女はまだあまり犬歯が発達していないので、ミルクを飲ませている。哺乳瓶を持ち、ミルクを温めて、燐子に近づける。

 

「ほら、燐子。ゆっくり飲むのよ」

 

「んくっ…んくっ…んくっ…」

 

「ふふふっ、慌てなくていいのよ」

 

急いで飲もうとする燐子に言っても今はミルクに夢中で聞いていないだろう。

燐子のミルクを飲ませながら、私は朝食を食べる。母さんは朝食を作った後仕事に行ってしまい今はいない。

燐子のミルクが飲み終わったと同時に妹の日菜が起きて来た。

 

「ふあ〜、おはよう〜おねーちゃん、燐子ちゃん〜」

 

「おはよう、日菜。美味しかった、燐子?」

 

私は燐子の口の周りについたミルクの雫をフキンで拭き取り、燐子に聞いた。

 

「うんっ!おいしかった!」

 

「燐子ちゃん、美味しかった?」

 

「おいしかったっ!」

 

燐子は日菜に懐いている。私は最初燐子は日菜を嫌うかと思ったら、あった瞬間に日菜に懐き、私の次に懐いている。私の次にね。

日菜は燐子を抱き上げ、高い高いをする。

燐子はキャキャと喜び、尻尾を大きく振るう。

その姿を見るのが、私は好きです。

燐子が楽しく日菜と仲良くして、人見知りなのに私たちには開いてくれている。

今日は外で遊ばせよう。

 

「燐子、今日は外でも散歩しようかしら?」

 

「するっ!こうえん、いきたい!」

 

燐子はそういうと、はやく行きたいという眼差しを送るがまだ朝。

少し早すぎるので、それまでは室内で遊ぶことになる。

 

「いいな〜私はこれから練習があるからおねーちゃんと燐子ちゃんと散歩に行けない〜」

 

「仕方ないでしょ?あなたは練習をきちんとする。私は今日と明日がバンド練習が休みだから平気よ。それにバンド練習にも燐子を連れて行くつもりよ」

 

「えっ…。連れて行くの?」

 

「当然よ。この子を家に残していけないわ」

 

燐子はまだ子供でしかも人見知りで親にもあんまり心を開いていない。もし、お留守番してねと言っても付いてくるだろう。

 

「日菜、考えて見なさい。もし、私と日菜がどこかへ出かけると言った時の燐子の反応を」

 

私は日菜にそういうと、日菜は考え込んだ。

ちなみに私の考えはこれです。

 

 

 

『それじゃあ、行ってくるわね』

 

『やだっ!いかないで!』

 

『えっ、燐子…』

 

『やだやだやだ!いっしょにいく!りんこもさよちゃんといっしょにいく!』

 

『燐子…』

 

『ひとりはやだよ、さよちゃん!…!ううっ…』

 

『燐子……それじゃあ一緒に行こうかしら?貴方を一人にはさせたくないわ』

 

『っ…!うんっ!』

 

 

 

とこんな風になるわけです。

うん。我ながらのイメージ力だわ。

何処かの世界のアイドル兼カードファイターのイメージ力と比べ物にならない筈よ。

私は日菜の方に目を向けると、日菜もうんうんと頷いている。

 

「分かるよ、おねーちゃん。燐子ちゃんを一人にしちゃいけないね」

 

「そうでしょ?だから、私がいないときは日菜に相手してもらうけど、私と日菜が学校やバンドの練習でいないときは私が燐子を連れて行くわ」

 

といい、燐子に目を向けるとソファーに座り、絵本を読んでいた。

日菜は朝食を食べており、私は燐子の隣に腰掛け、燐子が読んでいる絵本を覗き込んで、楽しいそうに読んでいる燐子の横顔を見る。

目をキラキラと輝かせ、お話に夢中になっていた。

 

「燐子、面白い?」

 

「うんっ!おもしろい!」

 

燐子はにっこりと笑う。

それからは燐子に読み聞かせをした。

日菜は練習の為、家を出て行った。

私は外に出る準備をし、燐子に帽子を被せ抱き抱え、ドアを開けた。

私は公園に向かって歩いていた。

公園に着くとあまり人はいなく高齢者の人たちがベンチに座り、寝ていたり、新聞を読んだり、将棋を打っていたりした。燐子を下ろし、あまり遠くに行ってはダメよと言い聞かせ、近くのジャングルジムへ燐子は走って行った。

私は近くのブランコに腰掛け、燐子の様子を見守っていた。

楽しいそうにはしゃぐ燐子はジャングルジムの鉄棒を次々と登っていき、一番上まで到達した。

 

「さよちゃんっ!みてみて、さいごまでのぼれたよ!」

 

「ふふっ、そうね。気をつけて降りるのよ」

 

「うんっ!」

 

燐子は私に手を振りながら叫んで、私も手を振る。燐子はゆっくりと降りてきながら、私の元へ来た。

 

「さよちゃんっ!みてた?みてた!」

 

「見てたわ。上手に上がれたわね」

 

「うんっ!えへへっ……」

 

燐子の頭を撫でてやると燐子は笑った。

それからはかくれんぼをしたり、砂遊びをしたり、ブランコを一緒に漕いだりと遊び、次は滑り台に来た。

 

「いってくるね!」

 

「ええ、気をつけるのよ」

 

私は燐子にそういい、燐子は滑り台に向かった。私は燐子を見送ると、先程まで老人たちに使われていたベンチに座り、休憩した。

そして滑り台の方に目を向けると、てっぺんの方に二人の獣人の子供がいるではありませんか。

私はここに誰かと遊び来ているのかと思い、しばらく見つめていると、

 

「こ…こんにちは…!お…お隣いいですか…?」

 

少し緊張気味の声で言われ、私は振り返った。

あれ?この声…、何処かで聞いたことあるような…

 

「ええ、いいで…す…よ…」

 

「あ….ありがとうござ…いま…す…」

 

私が振り返った時、そこには見知った人物がいた。

長い黒髪に少し目が隠れるくらいの長さで人見知りで私と同じクラスと同じバンドに所属している我がRoseliaのキーボード担当、白金燐子だ。

 

「し、白金さん…っ!?」

 

「ひ、氷川さん…っ!?」

 

「「どうしてここにいるですか……!?」」

 

私と白金さんは同時にそういった。

 

「いや、私は家で飼っている獣人の散歩に連れてきただけです……。し、白金さんは…?」

 

「わ…私も二人の獣人を散歩がてらにこの公園に…」

 

どうやら私と白金さんは同じ理由でここに来たようだ。

すると……。

 

 

「さよちゃんっ〜〜!!」

 

「えっ、燐子!ど、どうしたの!」

 

「ううっ………」

 

燐子が泣きながら私の元へ走って来て、私の後ろに隠れた。なんで、隠れるのと聞こうとした時。

 

 

「まってよー!!いっしょにあそぼうよ!!」

 

「ひなっ!こわがってるでしょ!」

 

「ええっ…。だって、いっしょに遊んだ方がたのしいよ!」

 

先程、滑り台で遊んでいた二人の獣人だ。

よく見てみると、アイスグリーンの髪でロングとショートヘアの女の子。

そして、顔が似ているとこから双子とわかる。

恐らく姉がロングで妹がショートだろう。

 

「その子たちが…?」

 

「はい…私の飼っている狼の獣人の紗夜と日菜です。 二人とも…この人は私の…クラスメイトの氷川紗夜さん…です」

 

「こんにんちわ!さよちゃん!」

 

「ひな!さよさんでしょ!ご、ごめんなさい、さよさん!いもうとが」

 

日菜ちゃんが私にちゃん付けしたことに姉の紗夜が注意をした。

なんか、私たち姉妹に似てる。

 

「ねぇねぇ!そこにかくれているあなたのなまえは?」

 

「ひぃ!?さ、さよちゃん!!」

 

日菜ちゃんが燐子に質問して来たが燐子は人見知りでこの有様である。後ろで私のズボンの裾をぎゅっと握りしめた。

 

「ごめんなさい、この子人見知りなんです。代わりに私が教えるわ。この子の名前は燐子。ダックスフンドの獣人よ」

 

 

「へぇー、りんこちゃんっていうの?わたしたちのりんこちゃんと同じ名前だ!」

 

「日菜、それいうなら紗夜も…氷川さんと…同じ下の名前だよ」

 

「ああ!ほんとうだ!」

 

日菜ちゃんはそういうと、白金さんのとこへ駆けて行った。

しかし、紗夜ちゃんだけが燐子のことをじぃーと見つめていた。

当の燐子は紗夜ちゃんからの圧に怯えていた。

すると、紗夜ちゃんがこっちに近づいて来た。

燐子は怖がり、逃げようとしたところを私は抱き上げた。

 

「さ、さよちゃん!?」

 

これにも燐子も驚き、

 

「燐子、せっかくのお友達になれるチャンスよ?逃げちゃダメ」

 

私はそういうと、紗夜ちゃんが燐子の目の前に来た。

そして、手を差し出した。

 

「ねぇ、いっしょにあそびませんか?りんこさん?」

 

ただ純粋な言葉。

これまであまり友達が出来なかった燐子に友達が出来た。

 

「……う、うんっ!あそぼ!さよさん!」

 

燐子はにっこりと笑い、紗夜ちゃんの差し出した手を取り、一緒に駆けていった。

その隣に日菜ちゃんも加わり、三人は仲良く遊んだ。

私はその光景をベンチで白金さんと見ていた。

 

「いいですね……」

 

「ええ」

 

「……氷川さん、あの子の…燐子ちゃんの母親…代わりにですよね」

 

「えっ……」

 

「あの子の母親は恐らく……氷川さんはあの子を一人にさせたくない一心で引き取ったんですよね」

 

な、何故彼女は私が燐子を引き取ったのを知っているのか。

 

「し、白金さん…その話どこで…」

 

「……内緒です」

 

彼女は人差し指を口元に付け、にっこりとそういった。

 

「私も紗夜と日菜を拾ったんです……」

 

「えっ、拾った?」

 

「捨てられていたんです、母親から」

 

「っ!?」

 

「雨の日に急ぎ足で家まで帰っている時に近道をしたんです。その時の路地裏の端っこにダンボールの入れられて…私が保護しました」

 

「………」

 

「最初は…物凄く警戒されました。……撫でようとしたら……手に噛み付くとかで」

 

「どうやって…今の仲に?」

 

「正直……覚えてないんです…。いつの間に仲良くなったのか….って」

 

「………そうですか」

 

「でも……私には……目標があるんです」

 

「目標…?」

 

「はい……。あの子達の母親になる…ことです」

 

私は彼女の口から出た言葉に目を見開いた。

 

「あの子達…は母親に捨てられた。なら…私が母親としてあの子達を……育てて行こうって」

 

 

「……ステキな夢ですね」

 

「いいえ、そんな…」

 

「私も白金さんと同じ夢を持ってるんです」

 

「…どんな夢ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………あの子の……燐子の母親になることよ」

 

 

「………」

 

「あの子は母親を亡くし、悲しんでいた。ならば、私が彼女の母親になる。あの日からこの想いは今も変わらないわ。あの子に愛情をいっぱい注いで育って欲しい。それがあの子の母親も願いだから」

 

そう。燐子の母親からの託された想い。

あの子の母親になってくださいと言われた気がしたのだ。

 

 

「……お互いいい母親になりましょう…氷川さん」

 

「ええ、白金さん」

 

私と白金さんはそういうと微笑んだ。

 

「あっ、そろそろ夕飯の支度しないと…」

 

「そういえば、もうそんな時間ですね」

 

公園の時計を見た白金さんがそういうと、私も自身の携帯の時計を見た。

時刻は午後6時。夕方である。

私と白金さんは燐子と紗夜ちゃんと日菜ちゃんの名を呼んだ。

 

 

「燐子〜帰るわよ〜」

 

「紗夜…日菜……帰るよ…」

 

 

三人は砂場で遊んでおり、声が聞こえると

 

 

 

「「「はーーーーい!!!」」」

 

 

三人はそれぞれの最愛の母親の元へ向かった。

 

「燐子、楽しかった?」

 

「うんっ!たのしかった!また、さよさんとひなちゃんとあそびたい!」

 

「そうね、また遊びましょうね」

 

「うんっ!」

 

私は燐子の嬉しそうな笑顔で喋るのを見て、頭を撫でた。そして、抱き上げる。

 

「二人とも….どうだった?」

 

「「たのしかった!」」

 

「りんこさんとともだちになったよ!」

 

「あと、いっしょにあそんだ!!」

 

「ふふっ…そうですね…。また、遊びましょうね」

 

白金さんは微笑むと二人を抱き上げた。

 

「それじゃあ、氷川さん…燐子ちゃん。また…」

 

「さようなら〜!!りんこさん!」

 

「ばいばい!りんこちゃん!」

 

白金さんと紗夜ちゃんと日菜ちゃんはそういい、私たちも別れた。

 

「ええ、それじゃあ白金さん、紗夜ちゃんに日菜ちゃんもさようなら」

 

「ばいばい〜!りんこさんにさよさんにひなちゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

「ただいま〜!!」

 

「おかえり〜二人とも〜!お風呂、湧いてるから先に入って来なよ。燐子ちゃん、結構汚れてるしね」

 

 

私と燐子は家に着いた。

玄関のドアを開けると日菜が帰っており、出迎えてくれた。

そして、お風呂が沸いてるということなので遊んで汚れた燐子を連れて、脱衣所へ向かった。

 

「燐子、ばんざーいして」

 

「ばんざーい!!」

 

私は衣服を脱ぐとタオルで身体に巻き、次に燐子をシャツを脱がすと、体にタオルを巻き、抱き上げ、ドアを開く。

 

「燐子、痒いとこはない?」

 

「うんっ!」

 

お湯をかけ、今は燐子の髪と耳を洗っている。

そして、お湯で泡を落とすと次は体と尻尾だ。

ボディソープを手に取り泡立たせ、洗っていく。

それからして泡を洗い流し、私も洗う。

洗った後は燐子を抱き上げ、湯船に浸かる。

私は燐子に百数えるまで出たらダメよと言い聞かせているので、燐子は百まで数えた。

お風呂から出ると、燐子の身体を拭こうタオルを持った瞬間、逃げられた。

 

「キャキャ!」

 

 

「こ、こらっ!燐子、待ちなさい!身体を拭かないと風邪ひくわよ!」

 

「ちょ!?おねーちゃん!タオル巻いて!格好格好!」

 

リンビングに向かって逃げた燐子を追いかけ、私はタオルを巻いて燐子を追いかけた。

それから数分後に、捕まえきちんと拭き、服を着させた。

それからはご飯を食べ、燐子は眠くなったのかウトウトしだした。

 

「眠いの、燐子?」

 

「う…ん…」

 

「じゃあ、寝ましょうね」

 

私は燐子を抱き抱え、自分の部屋に向かった。

部屋に着くとベットに入り、燐子を寝かせる。

すると、燐子が少し目を開き、私を見つめた。

 

「ん?どうしたの、燐子?」

 

「ねぇ、おかあさん」

 

「えっ……」

 

燐子の口から私が聞きたかった言葉が出て来たのだ。

 

「おかあさん…いっしょにねて…」

 

私はその言葉を聞き、涙を流した。

ずっとずっと燐子の母親が亡くなって、私が母親になるんだと決めたあの日から待ち焦がれていた言葉が聞けたのだ。

 

「一緒に寝ましょうね、燐子」

 

私は微笑むと燐子の隣に添い寝した。

すると、燐子が私に抱きつき、胸をすりすりとした。

 

「おかあさん……だいすき……」

 

「私もよ」

 

「これから、ずっ…と……いっ…しょ…」

 

「そうね、これからもずっと一緒にたくさんの日々を過ごしていきましょうね、燐子」

 

「…………………ん……………」

 

とろんとした表情で頷く彼女は、つぎの瞬間もう夢の中へと行ってしまったようだ。

その安心しきった寝顔を見ていると、本当に幸せを感じる。

 

 

「お休みなさい、燐子」

 

私は燐子のおでこに愛と優しさが詰まったキスを落とし、眠りについた。

 

 

 

明日もいい日でありますよに。

 

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