チートを貰ったが、異世界では……。   作:月詠 秋水

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森の中で出会ったのは、まさかの眞弓だった。しかしアーシュと出会い、眞弓は傷心してしまい泣きながら森の入口へと走り去ってしまうのだった。

追いかけるが、眞弓は一言も話してはくれなかった。雪咲は謝罪の言葉だけ述べ、森の奥へと戻っていく。それを目で追いかける眞弓、すると雪咲が一瞬振り向いた気がした。

そして……”死ぬなよ”、そう言っていた気がした。眞弓は裏切られたのではないと感じ、その場で泣きじゃくってしまう。それを木陰で優しく見守る雪咲、アーシュには同情できぬ感情だった。

雪咲達は遂に、次の街へ行く決心を固める!


第15話 いざ、初活動!

「んぅ……?」

 

ユリナは目を覚ます、そしてゆっくりと起き上がる。まだ重たい瞼をゴシゴシと擦り辺りを見渡してみると、雪咲が何処にも居ないことに気が付く。

 

「……何処にいるの?」

 

立ち上がりふらふらとした足取りで歩き回る、すると何かにボフッとぶつかる。ゆっくりと上を向いてみると、ぶつかったのは雪咲だった。

 

「……!」

 

ユリナは嬉しそうに抱きしめる、すると不意に視線を感じる。雪咲の後ろの方に視線を向けると、ユリナと同じ年頃の見た目の少女が恨めしそうな顔で睨んできていた。

 

「雪咲……この子は?」

 

「あー……何ていうかな」

 

雪咲は頭を掻きながら悩んでいると、寝ていた盗賊団員達が目を覚ます。

 

「ここは……」

 

「確か森の中で……」

 

それぞれぶつくさ言いながら起き上がる、グランも目を覚ましたようでムクッと起き上がる。

 

「すまん、いつの間にか寝てしまっていたようだ……いや何、新生盗賊団結成が嬉しくてな」

 

ガタイの良さに不釣り合いな程の純粋な微笑みを浮かべるグラン、雪咲はそれに苦笑していた。そして案の定その場に居た全員が、アーシュの存在に気付き動揺を隠せずに居た。

 

「お、おい……お前、まさか……」

 

「まさかなぁ……」

 

全員の脳裏に浮かぶ言葉は一つ、誘拐だ。だが雪咲はそんな事をする気なんてサラサラ無く、全力で首を横に振る。そして観念したかのように、アーシュとの出会いの件を包み隠さずに話す。聞いている最中誰もが”信じられん……”みたいな表情を浮かべていたが、グランとユリナは真剣な顔で最期まで話を聞き続けた。

 

そして雪咲は全てを話し終える、全員は頭の中で話を整理するので精一杯だったようだ。

 

「え……想像魔法?」

 

「何っすか、それ」

 

「ユグドラシルも、初めて聞いたっすよ」

 

この時雪咲は確信した、此処に居る殆どの団員達が無知だと。その事実に先が思いやられ、頭を抱える。

 

項垂れていると、グランがポンポンっと肩を叩いてくる。

 

「それで、その娘はどうするんだ?」

 

「確かに……」

 

ちらっとアーシュの方に視線を向けてみると、今朝戻ってくる時に取ってきたきのみを食べながら首を傾げていた。雪咲はアーシュが食べ終えるのを待ち、ゴクンっと飲み込んだ後にいくつかの質問をする。

 

「アーシュは、これからどうするの?」

 

「どうすると言われても……」

 

「行く宛は?」

 

「無い……」

 

「住む宛も?」

 

「無い……」

 

殆ど手詰まり状態に、雪咲は更に頭を抱え項垂れていた。

 

「じゃあ、どうするのさ……」

 

独り言のように呟くと、少しアーシュは黙り込む。そして……。

 

「勿論、雪咲に付いていく……退屈しなさそう」

 

アーシュの言葉に雪咲よりも、団員達(グランとユリナを除く)は一斉に盛り上がる。

 

「おっしゃ、華が増えたぜ!」

 

「やりがいがあるな!」

 

これ以上盛り上がると収集がつかなくなるので、思い切り手を叩き大きな音で周りを黙らせる。誰一人と話をすることも無くなり、全員が雪咲の方に視線を向けている。そんな中、1人立ち上がる。

 

「無駄話は後、まずは次の街を目指すことが先決!」

 

こうして、フリーダム・シーフ全員で次の行動を決めあった。その結果、リオーネの南側にある街……港街〈ハルカス〉を目指すことにした。しかし、そこで一つ問題が生じた。

 

「どうやって行くんだ?俺らだけで行くのか……?」

 

「んなわけ無いだろ」

 

そこは勿論考えていた、盗賊なら盗賊らしく……とはいかずとも、少しでもリスクを抑える方法はきちんと考えていた。

 

「それはだな……」

 

こうして、雪咲の提案した案はすぐに実行へと移された。

 

……

 

「今日はいい天気ですね」

 

「そうですね」

 

リオーネからハルカスを目指して馬車に揺られながら和気藹々と話しているのは、純白のドレスを着込んだ2人の女性。魔法を駆使して紅茶を嗜みながら出発……しようとリオーネを出た瞬間、急に馬車は動きを止める。その衝撃でなんとか紅茶を零すことは免れたが、衝撃で揺さぶられてしまう。

 

「い、一体何事ですの?!」

 

慌てて片方が飛び出すと、馬車の先頭に立ちはだかっていたのはローブを被った少女(?)と屈強な男達に囲まれた幼気な少女達。ドレスの女性は少女に歩み寄り、全身をまじまじと見つめる。

 

「「……?」」

 

少女は2人同時に首を傾げる、片方は魔族でもう片方はパッと見人間に見える。

 

「貴方達、一体何のつもりですの?私達はこれからハルカスへ……」

 

ドレスの女性が少し腹立たしそうに言葉を発すると、ローブ姿の少女(?)は女性の前に立ち、ペコリと頭を下げる。

 

「これは失礼しました、旅路を邪魔してしまったようですね」

 

「えぇ、邪魔よ」

 

スパッとした物言いに、少し言い淀む。だが負けじと、少女(?)は顔を上げる。

 

「私は雪咲、そして彼等はフリーダム・シーフ……所謂盗賊です」

 

その言葉に、女性は青ざめる。

 

「盗賊……?!まさか、その女の子たちも……?」

 

「えぇ」

 

きっぱりと返すと、まるでこの世の終わりと言いたそうな表情でへたり込む。それはそうだ、晴れやかな旅立ちの日に盗賊に囲まれるなんて……。

 

女性の前にアーシュとユリナが立ち、そっと手を差し伸べる。

 

「大丈夫、襲ったりなんてしないから」

 

「安心して」

 

その言葉に、女性は驚愕を顕にする。

 

「襲わない……?だって、盗賊でしょ?」

 

「えぇ、盗賊です。でも人を襲う盗賊ではないですよ?」

 

柔らかく言うと、女性は首を傾げる。そしてアーシュとユリナの手をそっと取り、ゆっくりと立ち上がる。そしてコホンっと咳払いした後、凛とした表情を取り戻す。

 

「私はアルステン王国第1皇女、コーネリア・リヴ・アルステン……馬車にはもう1人、妹のジュリア・ウル・アルステンが乗っています。それを知った上での狼藉?」

 

「いえ、知りませんよ?」

 

即答すると、コーネリアはキョトンとした顔をする。

 

「へ……?」

 

「俺達はあくまでハルカスに行きたいのです、ですが道のりを知りません。だから交渉をしませんか?」

 

雪咲の提案に、コーネリアは少しだけ食いつく。

 

「言っておくけど、お金なら上げないわよ?」

 

「別に恵んでくださいとは言ってない」

 

「じゃあどうすればいいの?」

 

「それは簡単ですよ」

 

雪咲はニコッと微笑み、そして異次元袋から1枚の紙と羽ペンを取り出す。

 

「俺達がハルカスまで護衛を致します、その代り同行させてください」

 

その言葉に、コーネリアは固まった。




昨晩は投稿できず、申し訳ない!

休みだったので、思わず……

明日は絶対に投稿致します!(夜中)
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