チートを貰ったが、異世界では……。   作:月詠 秋水

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少し早いと思いますが、アルステン王国編に突入致します!!

ここでの話は多少長くするつもりで、色々とやってみたいことがあります。

前回までのあらすじ(簡潔)

船旅の途中で巨大な魔物と出会う。だが、雪咲は一人でそれを退ける。悪天候は一瞬にして晴れ、船に乗っていた全員は無事だった。

船も無事に魔法で直し、アルステン王国へと再び向かうのであった。


第27話 上陸、アルステン王国……のはずが!?

アルステン王国に上陸する直前、アーシュとユリナは雪咲を物陰に誘い込む。

 

「どうしたの?」

 

キョトンとした顔で歩いてくる雪咲、後少しで上陸な為か少しだけそわそわしていた。

 

「一つだけお願いがあるの……」

 

「お願い?」

 

そう言うと、雪咲は不思議そうな表情で首を傾げる。

 

「……上陸しても、一人で勝手に行かないで。私達は何かあったらと心配になるし、寂しいから……」

 

若干私欲的な事も交えつつ、2人共通の願いと託つけた約束を取り付ける。雪咲も特には異論なしという事で、承諾されたのだった。

 

話が終わると同時に、船がガタンっと少し大きく揺れる。アーシュとユリナが転ばないようにしっかりと雪咲が支え、揺れが止むのを待つ。揺れはそこまで長くなく、数秒で止む。

 

「っしゃ、上陸出来るぞ!!」

 

船員達は声と同時に船を飛び出し、港町の奥の方へと走っていく。雪咲達盗賊団も船を降り、船員達の後を追うように走っていく。

 

港町方面から走ること数十分、町の出口件王国への入り口らしき大きな門が聳え立つ。門の前には先程走っていった船員達が立ち往生している、何をしているのかと追いついた雪咲達は聞いてみる。

 

「どうやら、内戦状態のせいで門番までもが出払っているらしい。だがこの門を開ける装置が何処にも見当たらなくて、困り果ててるんだ……」

 

ガリガリと頭を掻く船長、話を聞きながら辺りを見渡していると一つ気になるのを見つける。それは門の端っこ辺りに飛び出ている紐、雪咲は気になり力の限り紐を引っ張ってみる。すると門の上の部分から梯子がカタカタとかけられ、門の上の部分へと行けるようになる。

 

推測するにこれは、門を開けられなくなった時の緊急措置だろうな……。

 

そんな事を思いながら、先程かけられた梯子を登っていく。門が大きいせいか門の天辺まではかなり長く、団員達ならともかくアーシュとユリナは後半になるに連れてきつくなる。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「……長い」

 

息を切らしながらも懸命に登ってくる2人、そんな様子を見ながら登っているといつの間にか一番上まで来ていたらしい。

 

「よいしょっと」

 

ひょいっと梯子の所から足場の安定した門へ飛び乗る、そしてアーシュ達に手を差し伸べ次々と門の上へと移動させる。全員が移動し終えた所で街の方に視線を向けてみる、そこに広がっていたのは穏やかな街並みとはかけ離れた戦場みたいな場所だった。戦火は次々と広がっており、建物の殆どは崩れているか燃えている。道の到る所には人が転がっており、真っ赤な鮮血を飛び散らせていた。

 

「これは……!」

 

「酷い……内戦ってレベルじゃ……」

 

見るからに兵士らしき武装集団は壊滅状態、町を彷徨いているのは武装した住民らしき人々……もはや反乱軍と言っても良い。だが様子が何処かおかしく、城の周りを取り囲むような形でわらわらと集まっていた。

 

「……仕方ないか」

 

雪咲は小さくため息をつきながら魔力を少しだけ高める、そして脳裏に浮かべたのは紙飛行機。だがただの紙飛行機ではなく、魔力で制御出来る物だった。そのまま脳裏にイメージを止めつつ魔力を目の前に集中する、そして作り上げられたのは人が数十人くらいなら平然と乗せて飛べそうな巨大な紙飛行機。雪咲はそれに飛び乗り、船員達含め団員全員を乗せて門の上から飛び立つ。魔力で緻密な制御をしつつ飛んでいくと、街の全体が見えてくる。

 

どうやらアルステン王国は王城を中心に広がる街らしく、だが王城の周辺360度全てが武装した者達に囲まれている。城門の内側では兵士達が身の回りを固め、いつ突破されても良いように身構えている状態。反乱軍と呼称することにした、雪咲は冷静に分析を開始し始めた。その結果ほぼ全員は特に秀でた魔力を持ったものは居なく、全員平等に近い魔力程度しか持っていないと踏んだ。

 

「ど、どうなんだよ……これ……」

 

柄にもなくグランが不安を口に出す。

 

「城門が破られるのは時間の問題だ……急ごう」

 

雪咲は全速力で上空から城門の内側を目指す、どうやら中は外みたいに石畳ではなく芝生が広がっている。その場所に狙いを定め、急降下しその場に魔力式紙飛行機を止める。だが止めた瞬間周りに兵士共が集まり、槍をこちらに向けて構えてくる。

 

「そ、空から……一体何者だ!!」

 

「反乱軍め、この様な物まで……!!」

 

どうやら兵士達は雪咲達の事を反乱軍だと思い、完全にテンパっている様子。だがそんなのを無視して、雪咲はひょいっと芝生の上へと降り立つ。すると、恐れたのか兵士達はジリジリと後ろへと下がっていく。それに乗じて、軍で一番指揮権の持つ人を探す。だがこの世界の兵士より上の立場、いわば指揮官の見た目はアルザース帝国の兵士達の指揮官の感じしか知らなかった。だが明らかに簡素な兵士共とは違い、3名装備が豪華そうな人達を見つける。

 

「いた……」

 

雪咲は魔力式紙飛行機に手出しが出来ないように結界を張り、指揮官らしき人達の所へ歩いていく。道中槍を散々向けられるが、全て鬱陶しそうな表情で払い除ける。

 

「この兵士を指揮している人は、貴方方で間違いありませんか?」

 

雪咲は指揮官らしき人の一人の前で止まり、優しく微笑みながら尋ねる。

 

「誰だ、貴様は」

 

「答える必要あるかな?」

 

「……」

 

雪咲は失礼と言いながら、懐からギルドカードを一人に渡す。

 

「王印付きのギルドカード……?」

 

「へぇ~……」

 

「……」

 

本当かなと言いたげな視線で見てくる、だが雪咲は表情を一切変えずに話を先へと進める。

 

「俺達は怪しいものじゃありません、確かに盗賊ですが故あって一度とある方をお守りしたことが……」

 

だが、言葉を遮られ何をされるかと思えば抜刀した剣の鋒を雪咲の喉元に突きつける。飛行機の所に居たアーシュとユリナやグランや団員達はざわめくが、大丈夫と視線でメッセージを送り両手を上に上げる。

 

「盗賊だと……?」

 

「信用出来ないね……」

 

「……第一、盗賊なんぞに護衛が務まるものか!」

 

全く信用してもらえず、若干途方に暮れる雪咲。すると、上の方から聞き覚えのある2つの声が聞こえてくる。

 

「あぁ~!!貴方は!!」

 

「雪咲さん!?」

 

城の窓枠らしき場所から顔を覗かせていたのは、コーネリアとジュリアだった。2人はリオーネの所で見た時と服装が変わっていて、白いドレスから少し赤の混じった派手なドレスになっていた。何をするのかと思いきや、2人は風魔法を応用してふわりと雪咲の隣へと舞い降りてくる。すると先程まで剣を喉元に突きつけていた人や後ろで散々言っていた司令官らしき人達は、いつの間にか抜いた剣を鞘へと戻していてコーネリアとジュリアに傅いていた。

 

「コーネリア……ジュリア……何か、随分と久しぶりに思えるね」

 

たははと苦笑交じりに冗談を言う雪咲、だがそれをお構いなしと言わんばかりに2人は雪咲に力いっぱい抱きしめる。




ちなみに、紙飛行機は若干無理があるかなーと思っていました。

でもそれ以外に案がなく、悩んだ結果魔動式紙飛行機になりました。

イメージとしては、巨大な紙飛行機に魔力制御装置を取り付けたような感じです。
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