チートを貰ったが、異世界では……。   作:月詠 秋水

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こんばんは、最近は気温も少し上がり過ごしやすい季節となりましたね。

明日からGWという事で、皆様は如何お過ごしになりますか?
私は……一日中寝て過ごす予定です!




第39話 すれ違う思い

抱えていたユリナとアーシュとそっと降ろし、雪咲の元へ駆け寄る皓。だがいつもの元気さは何処へやら、ずっと無言で佇んでいただけだった。何か明るい話をしようとしたが、とても辛そうな雪咲を見て皓も何かあったのかと聞く。そして、あのクリスタルに記録された映像を見せた。

 

「……なるほど」

 

映像を見終え、皓は深くため息をつく。さっきまで興奮気味だったテンションは、一気に下がったのが分かるほどに。剣が刺さっている所に視線を向ける、そこには飛び散った血液と地面に突き刺さった宝剣だけがその場に残る。

 

「……行こうか」

 

皓は優しく呟き、雪咲とリーシアを連れて5人で冬望達の待つ馬車へと戻る。馬車の周りには団員がボロボロの状態で、グランや騎士団の人達も一緒に居た。

 

「雪咲……!」

 

グランが駆け寄るが、リーシアの顔色の悪さに驚く。そして、静かな場所へと2人で行ってしまった。馬車に乗ると、とても嬉しそうな表情の2人が出迎えた。だが余りの雰囲気の暗さに、2人の表情も陰っていく。それから、少しの沈黙の後雪咲は小さく呟く。

 

「……もう……来てたんだ」

 

「当然だよ」

 

「あぁ……」

 

皓と眞弓は即座に返事を返すが、冬望は何やら意味ありげな視線で雪咲を見つめている。そして、話はこれからどうするのかという方向へと進んでいく。

 

「……俺等は、今までどおり旅するさ」

 

膝の上に乗っているアーシュとユリナを優しく撫でながら発するが、そこで冬望がようやく口を開く。

 

「……そんな調子じゃ、すぐ死ぬわよ。アーシュちゃんとユリナちゃんから話は聞いたわ、全く……無茶して……」

 

その口調はまるで諭すようで、且呆れているようだった。その言葉に周りは静まり返るが、雪咲は小さく頷く。

 

「……分かってる、けど……俺は……」

 

この世界を自由に見て回りたい……その言葉が言えずに口を紡いでいた。だが、冬望は断固としてそれを認めようとはしなかった。

 

「雪咲はこの世界の住人じゃない……だから、私達と行動するのが得策なのよ」

 

「だけど……俺はもう盗賊だ、英雄達と行動は出来ない」

 

「それは世界中に広まってるの?広まってないなら問題ないじゃない」

 

「……国王や国のお偉いさんには広まってると思うよ」

 

「なら、事情を説明した上で共に行動すればいいじゃない」

 

「第一、何で俺にそこまで執着する……?俺は英雄じゃない……俺は選ばれてすら居ない……そんな俺に、共に行動する必要なんて無い」

 

断固として意志を曲げようとしない雪咲に小さくため息をつく冬望。

 

「……もういい、なら何処へなりと行きなさい。そして勝手に野垂れ死ねばいい」

 

「そうさせてもらう」

 

即答が意外だったのか、それとも是としたのが意外だったのか、冬望はキョトンと呆けた顔をする。だが知ったことではないと、雪咲は馬車を降りる。アーシュとユリナにどうするか聞いてみるが……

 

「この子達は私達で預かるわ、貴方と一緒だと可哀想だし」

 

冬望は感情を込めずに言おうとしたのだろう、だが声は若干ではあるが震え始め唇を噛み締めている。だが次の瞬間、雪咲の姿は何処にも無くなっていた。慌てて眞弓は馬車を飛び降りるが、団員達を残して雪咲だけが居なくなっていた。アーシュとユリナは不安そうに、瞳に涙を浮かべている状態だった。皓はやれやれと言った感じで、冬望の正面に座る。

 

「……」

 

窓の外を眺めているが、拳を固く握りしめながら震えていた。小さくため息をつき、何もない天井を眺める。そして、独り言のように呟く。

 

「……あいつは、素直じゃないんだよ。あいつは誰にも相談しないから、周りから誤解を受けやすいんだ……」

 

そのまま、静かな時間は過ぎ去っていく。団員達もいつの間にか何処かへ言ってしまい……と言っても凡そ予想は着くが。皓達は、馬車をゆっくりと走らせアルステン王国だった街の隣街を目指す。

 

 




次の話は、雪咲だけのお話です。

今まで一切綴られなかった心情が、次の話で明らかに……!?
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