チートを貰ったが、異世界では……。   作:月詠 秋水

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こんにちは、秋水です。

今日は少しだけ早めの時間帯に投稿したいと思います(特に理由はなし)



第5章 フェルナ編
第44話 自由な街”フェルナ”


雪咲とアメノウズメは、元アルステン王国から少し離れた街へ来ていた。そこはフェルナ、王国とは少し違った町並みで入国も出国も手続きは要らないフリーな街だ。だがかなりの人で賑わっており、色んな事があって落ち込んでいたテンションは次第に回復していた。

 

「雪咲、あれ美味しそうですね」

 

そう言ってアメノウズメが指さしたのは串焼き、Cランクの魔物”ディルピッグ”の肉を濃いめの味付けのタレを漬けて焼き上げたもの。ディルピッグとは元の世界で言う豚みたいなもので、フェルナでは名産品にまでなっていた。

 

「だね……すいません、ピック串を2つください」

 

雪咲は露店へ立ち寄り、アメノウズメが食べたそうにしていたピッグ串を2本購入する。露店のおじさんは目の前で焼いてくれて、出来たて熱々をくれた。お金を払い、串を持ってアメノウズメの所へ戻る。1本を渡し、いただきますと呟いて湯気を出してる熱々の肉にかぶりつく。

 

「……ふまい!」

 

肉と肉汁の熱さではふはふとしているが、余りの美味さに目を輝かせる雪咲。

 

一見分厚くて硬そうに見える肉だが、口に入れ歯を立てた瞬間ホロリと抵抗なく崩れる。噛みしめる度に中からは濃厚な肉汁が溢れ出し、口の中一杯に広がる。タレの複雑な味と仄かに感じる果物の風味、スパイスのピリッとした感じが口の中で渾然一体になって得も言えぬ至福に包まれる。ゴクッと喉を鳴らし飲み込むが、それでも尚幸福感は消える気配がない。

 

「ん~……」

 

何かしらの不満があるのか、短い声を漏らすアメノウズメの方に視線を向けてみる。すると、首を傾げながら何かを考えていた。

 

「……どうしたの?」

 

「いやぁ……これは如何にも日本酒が合うかなって思いまして」

 

どうやら、既に飲みたい欲に支配されていたようだった。たははと苦笑しながらも、雪咲は肉を平らげる。アメノウズメも食べ終えるが、どうしても酒が頭から離れないようだった。

 

「お酒は夜になってから……ね」

 

「そうですね……」

 

少ししょんぼりと気を落としていたが、他の露店を見るやテンションが上がっていた。やれやれと肩を竦めながらも、次は何を食べようたとアメノウズメと2人でウロウロすることになった。

 

一方その頃でアーシュ・ユリナ・皓・冬望・眞弓・盗賊団員達は、フェルナへ向けて馬車を走らせている所だった。消えた雪咲の行方を気にしながらも、先を目指すことに決めたのだった。馬車の中にはユリナ・アーシュ・冬望・眞弓が乗り、皓・グラン・リーシア・盗賊団員達はそれを囲むような陣形。走っている馬車の中では、色々な情報交換が行われていた。

 

「……そういうことだったのね」

 

これまでの雪咲との旅の話を聞いた冬望は小さくため息をつき、少しだけ難しい顔をしていた。眞弓は小さく頷いていたが、雪咲の名が出てくる度に明らかに表情が暗くなっていた。

 

「はぁ……何と言って良いのやら……」

 

雪咲とアルステン王国皇女姉妹が知り合いだったこと、既にリオーネに行く道中で知り合っていたこと、海を越える最中龍みたいな魔物と戦っていたこと、アルステン王国の反乱を収めたのは実質雪咲だったということ、それを利用し雪咲を国家転覆罪で逆に反逆者に仕立て上げられそうになっていたこと、ヒゲおやじの企みを全て映像として記録した上で知りうる人全てにそれを見せたこと、そしてそれを理由に雪咲は……一国を滅ぼしたこと、聞くだけだと一瞬だが想像すると膨大な時間が過ぎそうな濃密な話を聞かされていた。アーシュやユリナが嘘や話を盛っている雰囲気ではなく、ただ単純に真実をありのまま口にしていた感じだった。

 

そんな目にあっている癖して……なんで私達と行動しようとしないのよ……!

 

心配や安堵や苛立ち等の感情が心の中でごっちゃになり、冬望自身でもどうすればいいのか分からなくなっていた。

 

「……どう思う?」

 

馬に揺られながら、グランが皓に質問をする。

 

「どう……とは?」

 

「雪咲の事だ」

 

「んー……」

 

皓は本当は知っていた、雪咲が何故自分たちと行動したがらないのか……だが、この話は他の誰かに話しても良いものなのか正直分からなかった。

 

「まぁ……あいつとは小さい頃からの付き合いだからな、考えてることは何となく分かるさ」

 

「……」

 

横目でグランの表情を見てみる、主に不安と心配しか感じられなかった。そこまで雪咲の事を思ってくれているならとも思ったが、信憑性が薄いのとそれを立証する術が何処にもない。こればかりは、本人の口から聞くことしか信じられることはないだろう。

 

「……アンタはどうなんだ?」

 

「俺は……取り敢えず急に居なくなった事に関しては、納得できるまで問い詰めるつもりだ」

 

「ははは……余り苛めてやるなよ?」

 

「ふっ……」

 

2人は意気投合し、その後も話を続けていた。次第に馬の速度が落ち、気づけばフェルナが目と鼻の先の所まで来ていた。皓は馬車の隣まで移動し、窓を指で軽く叩く。音に気づいた冬望が、窓を小さく開ける。

 

「どうしたの?」

 

「もうそろそろフェルナに着くぞ」

 

「分かった」

 

短い会話を終え、皓は元の位置に戻る。そして、英雄一行&盗賊団一行はフェルナの街に入っていった。




正直、食レポとかは得意ではないので書くのに少々手間取ったりもしました(苦笑)

後は雪咲と皆をどう引き合わせるか次第なのですが……(悩)
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