チートを貰ったが、異世界では……。   作:月詠 秋水

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どうも、秋水です。

最近新しい服を買い、多少なりと浮かれています。
着る前も来た後も楽しみは残っていましたが、着慣れた今となっては快適しか残っていません(苦笑)

夜の気温も上がり始めてきたので、丁度よいかなと思っています。


第60話 苦難続きの旅

 深い森の中を歩み進んで数分、とある違和感に襲われる雪咲。まるでとても大きな祭りが行われているのかと思えるほどの爆音と自揺れと人の声、それに何を思ったのか雪咲とアメノウズメは歩速を早める。

 

 暫くの間音だけを頼りに歩き回っていると、何かが見え始める。地面に倒れており、それはまるで人のようにも見える。小走りからいつの間にかダッシュに変わっており、倒れている”もの”の所へと急ぐ。間近で見てみると、”それ”は人では無く、人の形をした何かだった。

 

「……一体これは」

 

 ゆっくりとしゃがみ、何かに触れようとした。だが手を差し伸ばした瞬間、、木の根っこの様な蔦のような物に手を弾かれる。蔦のようなものは地面から生えており、その地面には魔法陣が描かれていた。その為、意志のある者がやっているということは火を見るより明らかだった。

 

「アメノウズメ……この人をお願い」

 

「……分かりました」

 

 倒れている”もの”をアメノウズメに任せ、雪咲は走りながら魔力の出処を探る。すると近くの木陰から、微量な魔力を検出。そこに向かって小さな刃物を投げ込むと、カッと木に刺さる音と同時に声みたいなのも聞こえた。雪咲は恐る恐る覗いてみると、今にも逃げ出したそうな少年の肩の服の布を、刃物と木で繋ぎ止めていた。幸いなのか、何処にも外傷らしき外傷は見当たらなかった。

 

「お、お前何者なんだよ……!」

 

「俺は只の旅人だけど……?」

 

 体を縮こまらせガタガタ震えている少年と相対して、雪咲は涼し気な表情で凛としていた。

 

「旅人が……何でこんな所に……!?」

 

「いや、エルティアという街を探しててな……お前、知らない?」

 

「あ……あそこは……もう……」

 

 先程とは打って変わり、小さくモゴモゴと話し始めた。その少年の話によると、エルティアは数日前にかなり酷い有様になってしまったらしい。その原因は旅人で、倒れている所をエルティアの住人が助けたそうだ。しかしその旅人がクズらしく、街中の女性に声をかけてほぼ強引に夜の営みに誘うどころか、図々しくもその街に住むと言い放ったらしい。

 

 しかしそれに耐えかねた街長は、その旅人を追い出すことにした。だがそれから後が最悪だったらしく、街の女性が一歩でも町の外に出れば行方不明になり、活動している人が少ない時間帯を狙い隠密魔法で金目の物を掻っ攫っていく。どんなに結界を張ってもバリケードを建てても、その日の夜中には音もなく壊されている。それがどんどん続き、やがて街の中にも密偵が居ると住人たちが疑心暗鬼になってくる。少年は時折言葉に詰まりながらも、聞いたらしき話を全て口にする。

 

「……それで、その旅人は?」

 

「知らね……俺は昨日エルティアに行ったが、酷ぇ惨状だったよ……」

 

「じゃあ、森の入り口辺りで出会った弓をもった少女は……」

 

「エルティアの騎士……それだけは分かるが、後は知らない……」

 

 話し終えた少年は気力を持っていかれたみたいにぐったりとし始め、口数が少なくなってくる。これはもう無理だと思った雪咲は、感謝の言葉を口にしアメノウズメの所へ戻る。だがその途中、雪咲はとんでもない場面に出くわしてしまう。

 

「え……」

 

「えっ……」

 

 倒れていた”もの”を抱き抱えていたアメノウズメだが気が付いた時には、首元に深く銀色のナイフが突き刺さっていた。血液が噴水の如く吹き出し、その場に倒れ込む。”もの”は少し眼を離した隙にアメノウズメから距離を取り、もう一方の手には2本めのナイフが握られていた。




次話では、アメノウズメがどうなってしまうのか。そして、雪咲と”もの”とのやりとりが……!?

正直、今回の話は只の導入に過ぎないと思っております。そしてエルティア編は、恐らくアルステンよりも長くなるかと思っております。
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