チートを貰ったが、異世界では……。   作:月詠 秋水

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どうも、秋水です。

最近、夜メインで活動しているため”朝:睡眠 夜:活動”と言うサイクルになってしまい小説を書く時間が中々取れませんでした!

ですがこのサイクルにも何とか慣れ始め、ようやく書き始めた所存です。

今回は雪咲とアメノウズメがメインのお話です。


第75話 知り得なかった感情!

「わぁ、真っ暗ね」

 

「仕方ないよ、あんなに喋ってたんだから……」

 

「私、先帰ってるね。お父さんたちが心配していると思うから……」

 

「うん、分かったよ」

 

 喫茶店を出る頃には既に日は落ち、辺りは真っ暗になっていた。リィナは一足先に家に帰り、雪咲はそれを見送った後別の方へ歩き出す。街を出て少し歩くと、そこは森の中枢と言うにはあまりにも幻想的な光景が目の前に広がっていた。

 

 月明かりが差し込むその場所は、まるでひっそりとした隠れ家のよう。古びた木造の小屋、屋根は半壊状態だが綺麗な星空が小屋の中からでも見える。丁度狙っているかのように月光は小屋の屋根の穴に差し込み、雪咲は月光を浴びながら空を眺めていた。辺りに灯りが一つもないせいか、向こうの世界よりも星々は輝いて見えた。そんな中、アメノウズメは静かに言葉を口にする。

 

「……後悔は済みましたか?」

 

「やっぱり分かってたか……」

 

「それは、貴方の様子を観察していれば分かりますよ」

 

 雪咲のしている後悔、それは”あの日”の……アルザース帝国での選択が本当に正しいものだったのかだった。頭ではそれは分からないことだと理解していたのだが、心がずっとその事を引っ張っているのだ。

 

「後悔……そう言われればそうかも知れないな」

 

「貴方の選択は確かに異例ではあります、ですがまだそれが間違いだったとは限りませんよ?」

 

「それも分かってるさ、盗賊団を立ち上げたあの日から……それは理解しているつもりだよ」

 

「では、何が気掛かりなのですか?」

 

「……」

 

 雪咲は一瞬、何かを言いかけたが声に出す前にそれを止める。そして無言のまま、ゆっくりと空を見上げる。

 

「……では、雪咲は皓さん達と旅をしたかったのですか?」

 

「それは……あるかも知れない、もし死んでなければあるいは……」

 

「仮に雪咲が行きたままこの世界に来たとしたら、その場合はどうします?」

 

「……それは」

 

”一緒に旅がしたいに決まっている”

 

 その言葉が喉の中央辺りまで出掛かるが、またもや口を閉ざしてしまう。ただ一言言えば済む話なのに、頑なに心がそれを言いたがらなかった。

 

”あれだけ身勝手なこと言って、結局は寂しいんですね”

 

 アメノウズメは心の中で思いとどめ、クスッと優しく微笑む。

 

「……何?」

 

「いえ、何でもありませんよ」

 

 ムスッと頬を膨らませる雪咲、アメノウズメは微笑みながらも優しく抱きしめる。

 

「……!?」

 

 動揺して言葉がうまく出せない中、それでも尚アメノウズメは抱きしめ続けた。そして優しく頭を撫でると、雪咲は完全に身動きを取るのを止める。

 

「良いんですよ……寂しがったって、寂しいと思うのは人間だけでは無いのですから」

 

「寂しい……のかな、俺……」

 

「その感情は間違いなくそうですよ」

 

「でも、俺は殆ど一人で……いや、違う」

 

”思い返してみると、いつも皓が一緒に居てくれた。2人だったからこそ、色んな辛いことも乗り越えられたのかも知れない……”

 

 気が付けば、雪咲は小さく嗚咽を漏らしながら涙を零していた。そして、寂しいと言う感情が初めて芽生えた瞬間でもあった。




次話は、雪咲とリィナがメインのお話にしようかなと思っております。
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