チートを貰ったが、異世界では……。   作:月詠 秋水

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どうも、秋水です。
梅雨も明け、本格的に夏が始まりました!

夏といえば海に祭りに花火!楽しみなイベントが盛りだくさんですねぇ。




第78話 縺れる運命!

 向こうの世界に居た時と全く姿形が変わってない玲那、そんな彼女を目の当たりにした雪咲は激しい目眩と頭痛に苛まれていた。呼吸はどんどん荒くなっていき、足元が覚束無くなってきていた。

 

「気分が悪そうね……大丈夫、お兄ちゃん?」

 

「止めろっ!その声で……その姿で、俺の前に現れないでくれ……!」

 

 ジリジリと、フラフラと、ゆっくり後退りして距離を取ろうとする雪咲。だが玲那はそれをさせず、雪咲が下がった分以上に距離を詰める。そして雪咲の手首を掴み、クイッと引っ張った瞬間2人の間にリィナが割って入る。

 

「いきなり現れて、何なんですか……!」

 

「退いて……貴方には関係ない」

 

「関係無くありません、だって私は……雪咲の事が好きなんです、だからこそ雪咲を守る権利が私にはあります!」

 

「ふーん……」

 

 興味のなさそうに雪咲の腕をグイグイと引っ張る玲那、リィナは連れて行かれないように必死に力を込めていたが雪咲からの抵抗が一切無いように感じた。思わず視線だけ向けてみるも、雪咲は既にパニック状態に陥っていたため抵抗どころか身動き一つすら出来ずただ項垂れているだけだった。

 

「雪咲……!しっかりして!」

 

 リィナは必死に呼びかけてみるも、視線を向けるだけで言葉一つすら返すことは出来なかった。

 

「うるさいなぁ……」

 

 玲那は鬱陶しそうな表情を表に出し、掌をリィナの腹部に向け魔力を集めている。何かを察した雪咲は、引っ張られる引力を利用し玲那の掌とリィナの腹部の間にスッと小刀を間に挟む。

 

「な……何をするつもりかは知らないけど、させない……」

 

「へぇ、そんなものを使って何をするつもりなのかな……お兄ちゃん?」

 

「っ……」

 

 雪咲は小刀の鋒を玲那の喉元に向けているが、手が震えるため狙いが定まらない。それを見越しているかのように、玲那はくすくすと微笑んでいた。

 

「分かったわ、お兄ちゃんがそう言うなら仕方ない……さぁ、行こう」

 

「行くって……何処にだ……?」

 

「勿論、2人きりになれる場所に決まっているじゃない。でも……これはいらないよね?」

 

 すっと雪咲の小刀を握っている手に手を重ねる、すると込めていた握力がなくなり小刀は音も無く地面に深く突き刺さる。そしてリィナが握っている手に衝撃を与え、手を離した瞬間風魔法で遠くへ吹き飛ばした。リィナは少し離れた所にある大きめの岩に背中から激突し、意識を失ってしまう。

 

「リィナ……!」

 

「だぁめ、お兄ちゃんは私だけを見て……?もう絶対に離さないから、じゃないともう許してあげないんだから……」

 

「分かった……分かったから、もう誰も傷つけないでくれ……!」

 

「ふふっ、じゃあ行きましょう。そろそろ”邪魔者”も到着すると思うし」

 

 パチンと指を鳴らす玲那、静かな辺りに響き渡る音。少しすると、辺りに広がっていた闇がどんどん2人の所へ向かってくる。

 

「っ……!」

 

 全てを包み込む闇を目の当たりに、雪咲は歯を食いしばり目を瞑る。だが……向かってる闇が、突然2つへと裂けた。

 

 

 そこに居たのはアメノウズメ、しかし玲那は平然とした態度を終始崩してはいなかった。

 

「あら、意外と早かったのね」

 

「雪咲を離しなさい、貴方には絶対に渡しません!」

 

「お兄ちゃんは私だけのもの、”渡す”じゃなくて”返して”貰うわ」

 

「貴方という人は……!」

 

 アメノウズメは苛立ちを隠しつつも玲那へと刀の鋒を向ける、だが一方で玲那は微動だにすらしなかった。

 

「どうしたのですか……構えなさい、戦いもせずに負けを認める貴方ではないでしょう?」

 

「だって、戦う必要は無いからね……」

 

「それはどういう……」

 

 そう言いかけた時だった、まるで玲那と雪咲が溶ける様に地面へと消えていくのが分かった。アメノウズメは舌打ちをしつつも半溶け状態の玲那を手にしていた刀で斬り裂く、だが手応えを一切感じなかった。

 

「……やられましたね」

 

 2人は消え、アメノウズメは悔しげに下唇を噛む。少し離れた所で意識を失っていたリィナだが、既に目覚め2人が消える様子を遠くからただ眺めていることしか出来なかった。




次話

連れ去られてしまった雪咲、一体何処へ行ってしまったのか!
そして、アメノウズメとリィナの2人はどうするのか?
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