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21世紀を間近に控えた2000年、電子工学史上最大の発明がなされた。
人間の脳を工学的に再現したAI、『フォルツォイクロン』である。
この発明により、ロボット革命が起こり夢物語であったロボット技術が
現実のものとなった。
そして、後に勝るとも劣らない発明が発表された。
インフィニット・ストラトス。通称、IS。
新たなフロンティアである宇宙での活動を想定し、開発された
マルチフォーム・スーツである。
従来の宇宙服やパワード・スーツを遥かに凌駕する性能を
秘めているがある欠点が存在した。
それは、女性しか動かすことができないことである。
また、ISには核であるコアとなる部品があり、数にも限りがあった。
汎用という重大な問題と、開発したのが10代の奇天烈な格好をした女子学生
ということもあり、誰も真剣に見ようとしなかった。
そして、ISが発表されて一か月後、ある事件が起きる。
日本を射程距離内とするミサイルの配備されたすべての軍事基地のコンピュータが
一斉にハッキングされ、2000発以上のミサイルが日本へ向けて発射されたのだ。
そのミサイル群を迎撃するために、どこからともなく一機のIS現れ日本を
守ったことで、ISの名と力は世界に知られることとなったが、
同時にある存在がIS以上に世界中に響き渡った。
「全く、束の奴め……。
いくら、自分が心血注いで作り上げたISが理解されなかったとはいえ、
こんな馬鹿げたことを……!」
顔の半分をバイザーで覆い、全身を白い装甲……ISを身に纏う少女は
大剣を握りしめながら悔しさで唇を噛み締めていた。
普通の方法や兵器では迎撃しきれない量のミサイルを、ISを使って迎撃することで、
その力を知らしめるという親友の愚考を止められなかったことと、
分かっていながらこの自作自演に乗るしかない自分の無力さに。
「何であれ、絶対に全て叩き斬る!
一夏が待っているんだからな……!」
IS“白騎士”を纏う少女、織斑千冬は目の前に迫りくるミサイルを迎え撃つべく
剣を強く握りしめながら、自分の帰りを待っている弟の元へ必ず帰ることを
改めて決意する。
「行くz……」
ミサイルを迎撃しようとした千冬だったが、ISのハイパーセンサーが
背後から近づいてくる物体を感知する。
「なっ!全長20m近くの大きさで、時速3750km/hだと!?
一体何だ!」
千冬が振り向くとパトカーを連想させる白と黒の装甲で、
頭部にパトライトをつけた巨大なロボットが、こちらに向かってきていた。
「あ、あれは……」
ロボット技術が盛んな現代でも、ビルにも負けない大きさのロボットは珍しいが、
それ以上に飛んでくるロボットは、千冬の知るものと違いどこか人間のような息吹を感じさせた。
『まもなく、ミサイルの迎撃予定ポイントに到着するぞ、勇太、一夏!』
「よし!ジェイデッカー!ミサイルを撃ち落として、日本を守るんだ!」
「がんばれっ!ジェイデッカー!」
『了解!』
この巨大ロボットこそ、多様化、ハイテク化していく犯罪から人々の安全を
守るために警視庁が設立した新しい警察組織――“ブレイブポリス”所属の
ロボット刑事“デッカード”が、サポートメカ“ジェイローダー”と合体した
ジェイデッカーである――。
だが、ロボットであるはずのジェイデッカーが、まるで人間のように通信に
返事をしているのは何故か。
それは、彼がある二人の少年との出会いにより、『心』を持ったロボットだからだ。
当初、『心』を持ったことであらゆる性能が設定された数値を上回ったデッカードだったが、
その代償か合体データを呼び出すことができなくなってしまっていた。
しかも、間の悪いことに自称“闇の魔人”キャトー・ノリヤスによる
東京襲撃が行われようとした。
絶体絶命の中、デッカードは二人の少年と戦闘の中で力を合わせて、
初めての合体を見事に成功させたのだ。
形勢を逆転し、キャトー・ノリヤスを逮捕した彼らブレイブポリスだったが、
警視庁に帰還した直後に息をつく暇もなく、緊急出動の命が下った。
ハッキングと大量の小型ロボットの侵入により、ミサイル発射の危機が知らされたのだ。
犯人はご丁寧にも、この情報をカウントダウンと共に
リークし、日本は大パニックとなった。
“ジェイバスター!”
「何だよ、こいつ……」
ジェイデッカーがミサイルを打ち落としていく姿を、白騎士を通じて見ているのは
インフィニット・ストラトスの生みの親である篠ノ之束であった。
束は、映し出される映像をかじりつくように見つめる。
専用武器と思われるライフルと脚部に収納されたビーム砲で、的確にミサイルを
迎撃していき、巨体に似合わぬ華麗なアクロバット飛行。
どれもこれも現存のロボットを大きく上回り、
下手したら自分の自慢のISより上かもしれない性能だ。
当初、束はハッキングで知ったブレイブポリス……デッカードを
それほど気に留めてはいなかった。
最新のAIで人語を完全に理解するのは、少々関心したがそれだけだった。
何故なら自分が作ったISには、操縦者と意思疎通するには時間と絆を育む必要があるが
既存のロボットとは違い完全な意思が宿っており、
無限の進化の可能性を秘めているからだ。
だが、ISを世に知らしめるため今回の事件や白騎士の最終調整にかかりっきりだった
束は見落としていた。
デッカードが、二人の少年……友永勇太と親友である織斑千冬の弟一夏によって
ISと同じく『心』を持ち無限の可能性が宿ったことを――。
やがて、ジェイデッカーの出現に驚いていた千冬もミサイル迎撃に加わり、
ミサイルは全て打ち落とされた。
歴史に“白騎士事件”と記されるこの事件は、現行兵器を遥かに凌駕する二つの
存在を世界に知らしめた。
一つは、纏うことで空想の中のヒーローの如く人に翼を与える鎧、
インフィニット・ストラトス。
もう一つは、『心』を持ったロボット刑事チーム“ブレイブポリス”である。
――ホールド・アップ!ブレイブポリスだ!
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