インフィニット・ジェイデッカー   作:すし好き

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間が空いてすいません。

プライベートで色々と思うことがありまして、
なかなか筆を進めることができませんでした。

更に前後編で終わらせるつもりが、3話構成に(汗)

連日の暑さに加えて腹の調子も悪く、かなりまいります(苦笑)


第5話 おさわがせ娘! 中編

「こちら、アント1。ターゲット確認。

 対象はE-37ポイントを、北へ移動中」

「アントK了解。ただちに捕縛準備にかかる。アント1は、そのままターゲット

 の監視を続行せよ」

「アント1了……まて!ターゲットは、ブレイブポリスと遭遇した!

 繰り返す!ターゲットが、ブレイブポリスと遭遇!」

「っ!アントKからアント1へ、ターゲットと遭遇したのは何体だ?」

「遭遇したのは、1体。

 機体の色は、イエロー……BP-302、パワージョーだ。

 そばには、ターゲットの王女と同じ年頃と思われる子供もいる」

「噂に聞く、二人目の少年警官か……。

 よし、アント1は先ほどの指示通り、ターゲットのプリンセスを

 監視しろ。

 ただし、ブレイブポリスの索敵範囲のギリギリ外からだ」

「了解……」

 

静かに相手に悟られず、悪意は忍び寄っていく――。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ほらほら、あんた達?

 ちゃ~んと、王女様をエスコートしなさい♪」

「ホントに楽しそうだよな、お前!」

『今の状況、わかってんのかね?』

 

本物の王女をシャドウ丸が見つけるまでの間、王女のふりをしてもらうことになった

鈴だったが、呑気に楽しんでいる彼女に一夏とパワージョーは頭が痛くなるのを

押さえられなかった。

 

「いいか、鈴?

 俺達もお前を守るけど、お前自身も気を付けてくれよ?

 そうやって、気楽に考えていると痛い目に合うぞ」

「平気~平気~。心配しすぎよ、あんたは~」

『こういうのを、何かが起きるフラグって言うのかね~?』

「おい、やめてくれパワージョー!

 それは、本当にシャレにならないフラグだぞ!!!」

 

次々と何かが起きる時のお約束とも言えるフラグを立てていく、

鈴とパワージョーに一夏は大声でツッコミを入れる。

そして、一夏は知る……。

 

「GO――!」

 

一度立ったフラグは、止められないと。

 

『っ!

 気をつけろ、二人とも!何か来る!』

「っ!」

 

センサーでこちらに近づいてくる複数の足音を察知したパワージョーは、

素早く一夏と鈴が自分に隠れるように立つと同時に彼らの視界が

煙でおおわれる。

 

「きゃっ!何よ、これ!」

「煙幕っ!?」

『へっ!こんなんもので、俺の目を封じたつもりかよ!

 ロボットの俺に煙幕なんか……がっ!!!』

「パワージョーっ!?」

 

突然視界を遮られて混乱する鈴と一夏だったが、ロボットであるパワージョーは

各種センサーで周囲を探るが、その体に電撃が走り膝をつく。

センサーが後ろの首元に何かを検知し、それが電撃を放っているようだ。

 

『い、一体何だ……!?』

「思った通り……心を持ったことで性能は上がるが、同時に

 人間のような心理的油断が生まれるのが、ブレイブポリスの弱点のようだな」

 

思うように体を動かせなくなったパワージョーの傍には、暗視ゴーグルのようなものや

体中に特殊装備と思われるものを装備した何者かが立っていた。

声や体格からして男だということがわかるが、覆面で顔を覆っているため

それ以上のことは分からなかった。

オマケに何かの機械を使っているのか、声にも雑音が入り解析できなかった。

 

「油断があったとはいえ、

 貴様たちブレイブポリスから流出した隠密回路や白騎士のステルス機能を

 参考にした特殊スーツは、試作段階だがまずまずの性能だな。

 完全に貴様の隙をつくことができた」

『お、お前は……』

「きゃっ!ちょっと、何すんのよ!」

「うわっ!」

 

自分の前に現れたのは間違いなく敵で、狙いは王女かとパワージョーが

考えた瞬間、鈴と一夏の悲鳴が煙幕の中から響き渡る。

 

『っ!てめぇら、待ちやがれ!』

「動かない方がいい。今、我らの手には王女だけでなく、貴様達のお仲間という

 人質がいる。

 王女はともかく、あの少年はこの場で消してもいいんだぞ?」

『こ、この野郎っ~!』

「もっとも、動きたくても動けないだろうがね。

 倒すことができなくても、運動回路を麻痺させれば動きを阻害することぐらいは

 できる……」

 

煙幕の中から聞こえた悲鳴で、二人ともさらわれてしまうと、

助けようとするパワージョーだったが、

体に流れる電撃によって動きを封じられた上、誘拐犯の一人から一夏の命をちらつかされ

完全に手を出すことができなくなってしまう。

その間に煙幕は、晴れていくがもうどこにも鈴と一夏の姿はなかった。

 

「では、我らの目的が成し遂げられるまで、しばらくここで休んでいるといい、

 ブレイブポリスよ……」

『うわっ!?』

 

パワージョーの傍にいた男は、パワージョーの目に銃口を向けると

ペイント弾を放ちその視界も完全に封じる。

 

『ちっくしょぉぉぉ!!!』

 

体の動きと視界を封じられたパワージョーは、走り去る足音に

叫び声を上げるしかなかった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「はぁ~。あの子は、まだ見つからないのかい?」

「申し訳ありません。手分けして探しているのですが……」

「いや、謝らなければならないのは、こちらの方だ。

 娘が騒がしてしまって、すまない」

 

会談地の会議室で、勇太はツイール国の国王と共に、ブレイブポリスの

仲間達からの連絡を待っていた。

 

『聞こえますかい、ボス?

 ちょいと、面倒な知らせが……』

「シャドウ丸、どうしたの?何かあったの?」

『ええ。

 パワージョーと一夏から、連絡があったんですが……。

 どうも、王女は人目を避けるために一般人の服に着替えて

 人ごみにまぎれたようで』

「あ~~~、それはまた……」

 

シャドウ丸からの連絡に、勇太は天を仰ぎ国王もため息をこぼす。

会談地の護衛もあるため、捜索に割くことができるメンバーも限られている

というのに、捜索が更に困難となってしまった。

 

『そんなに気を落としなさんな。

 朗報もありますぜ?

 王女が向かったと思われる行先と着ている服の情報を入手して、

 しかも鈴そっくりの顔となれば……』

「そうか!シャドウ丸なら、それだけ情報があればすぐに見つけられる!」

『ええ。

 まあ、その行先もいくつか候補はありますが、一夏から知らせを受けた

 近場から探索を開始していきます』

「わかった。頼んだよ、シャドウ丸……あれ?

 そう言えば、それを知らせてくれたって言う一夏とパワージョーは?」

 

シャドウ丸から続いて入った知らせに、勇太は肩の荷が少し軽くなるのを

感じたが、ふと気になったことを尋ねる。

 

『それなんですが、どうも二人は鈴と一緒にいるそうで。

 何でも鈴が王女様と服を入れ替えたとか……』

「え……えっっっ~~~!!!?」

「何をしておるか……」

『それでは、私は捜索に戻りますのでこれで』

「あっ!ちょっ!シャドウ丸!」

 

軽くなった肩の荷が再び重くなるような情報に、勇太は慌てるが

それを知らせたシャドウ丸は早々に通信を切り、後の対処を勇太へと

放り投げる。

 

「はぁ~全く次から次に……」

「重ね重ね、うちの娘が迷惑をかけてすまない」

 

これからまた厄介なことが起きる予感を感じて、勇太が頭を

押さえるのを見て国王が再び謝罪の言葉を口にすると、勇太の手帳に

また連絡が入る。

 

「はい、こちら勇太どうs」

『すまねぇ、ボス!大変なことになった!』

「パワージョー!何があったの!?」

 

勇太の返事を待たず、切羽詰まる慌てた声を出すパワージョーに、勇太は

ただならぬ気配を感じる。

 

『例の王女様と服を入れ替えた鈴と一夏が、誘拐された!

 俺がついていながら、すまねぇっ!』

「な、なんだって!?」

 

些細な出来事をきっかけに、事態は動いていく――。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「うっ!」

「――ったぁ~~~。何すんのよ、あんた達!!!」

 

煙幕の中で捕まった一夏と鈴は、誘拐犯達に担がれ車に乗せられると

しばらくそのまま移動し、廃工場と思われる場所に少々乱暴に降ろされる。

 

「噂にたがわぬ、お転婆っぷりだが、

 大人しくしてもらおう。

 交渉のための人質とはいえ、静かにさせるために多少乱暴なことを

 するのも致し方ないからな」

 

自分達の状況が見えていないのか、目の前の相手に食ってかかる鈴だったが、

相手は小動物に威嚇されたぐらいにしか思っておらず、微塵も余裕を

崩さなかった。

それどころか、人質と言えど身の安全も保障しかねると淡々と脅しをかけてきた。

マスクで表情はわからないが、何か信念じみたものを感じて自然と一夏は

身構える。

 

「さて、まずは妙なことをしないように腕を縛るとしよう。

 それから、少年警官君?

 発信機の類を使おうとしても、無駄だと言うことを最初に言っておこう。

 君達を連れてきた車にも、ここにも、電波を遮断する特殊な仕掛けを

 している……」

「電波を遮断ってことは、通信もできないか……。

 お前達の目的は何だ!」

 

アントKと呼ばれていたリーダーらしき男が、手で合図を送ると部下達は一夏と鈴の腕を

後ろで縛って動きを封じると、余計なことをしないように釘を刺す。

残されたパワージョーから、自分達が攫われたことはすぐにブレイブポリスのみんなに

伝わる。だが、自分達が今いるこの場所を探してもらうことも知らせることもできない

状況に一夏は顔をしかめるも、せめてと言わんばかりにリーダー格の男を

にらみながら、誘拐の目的を聞き出そうとする。

 

「わざわざ教えるとでも?

 心配しなくても、君はブレイブポリスを抑えるため、

 王女殿は利用のためという使い道がある以上、命の保証はしよう。

 人質は、生きていてこそ意味があるし価値がある……」

「くっそぉ……」

「ふん!残念だったわね、あんた達。

 色々企んでいるみたいだけど、全部無駄よ!無駄!

 そもそもあたしは……」

「っ!王女様!悔しいのはわかりますが、ここは

 逆らっちゃだめです!」

「はぁ~?あんた、何言って……」

「少年警官の言う通り。しばらくは、大人しくしてもらおう。

 子供を大人しくさせる経験などほとんどないから、何をするかわからんよ?」

 

調子に乗ったり子供だからと侮ったりせず、誘拐犯は一夏に余計な情報は

渡さず取引のための道具として扱おうとする。

負けじと、鈴は目的である王女と自分を間違えて、そもそもこの誘拐が

ご破算になっていることを教えようとするが、一夏に止められ、

そのまま二人そろって物置みたいな部屋に連れていかれ、閉じ込められる。

 

「こらぁぁぁっ!出しなさぁぁぁい!!!」

「落ち着けって……」

「あんたは、何でそんなに落ち着いてんのよ!

 って言うか、何でさっきあいつらの誘拐が失敗してるって

 教えてやらなかったのよ!」

「教えてたら……お前、死んでたぞ多分」

 

腕を縛られながらも悔しさからジタバタと暴れる鈴に、一夏は顔がくっつくかと

思えるぐらい近づけると、耳元でボソッと小声でささやく。

 

「えっ?」

「あいつら言ってただろ?

 人質としても価値があるから、命の保証をするって。

 逆に言えば、利用する価値がなかったら保証しないってことだ。

 そうやって割り切る奴が、赤の他人で利用価値が無い人質にならない

 人質を生かすと思うか?」

 

一夏から告げられる言葉に、鈴はサーっと血の気が失せていくのを感じた。

もし、一夏が止めていなかったら死んでいたかもしれない現実にようやく

理解が追い付き、その場に座り込む。

 

「だから、自分が王女じゃないって言うのは、絶対に言うなよ?」

「う、うん……わかった……」

「よし!それじゃあ、反撃といくか♪」

「反撃って、何する気よ?」

 

部屋の外に声が漏れないよう小声で話しながら、消沈する鈴に不敵な笑みを見せる。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「王女と少年警官を返してほしければ、

 各国に輸出しているレアメタルひと月分を用意し、

 ブレイブポリスは妙な動きを見せるな……要求がなされない場合、

 二人の命の保証はしない……くそっ!

 誘拐犯めぇっ!」

 

国王と勇太達の元に送られてきた誘拐犯の要求に、勇太は怒りを

隠せなかった。

 

『身代金として、レアメタルを要求しているとなると、

 単なる誘拐ではないな。

 レアメタルは、確かに貴重な資源だが、金に換えるとなると

 様々な手続きが必要になる』

『デュークの言う通り、犯人達の目的は金ではなく

 レアメタルそのものということか……。

 だが、この私達が妙な動きを見せるなというのがネックだな』

『そうだな。

 どこまでが妙な動きなのかそうでないのかが、ハッキリしていない

 以上、下手に動くことができない』

 

要求してきた内容に、デュークとデッカードは引っかかるものを感じるが、

それよりももう一つの要求に頭を抱える。

マクレーンが言うように、この要求は動きを見せるなと言っているものなのだ。

 

『それじゃあ、このまま黙って指を加えていろって言うのかよ!』

「落ち着いて、パワージョー!」

『そうだよ。動けるようになっただけで、ダメージは

 まだ残っているんだよ』

 

今にも飛び出していこうとするパワージョーをドリルボーイが、止める。

連絡をしたパワージョーは、何とか自力で機械を外し、カメラアイのペイントを

ふき取り簡単な応急修理をしただけの状態でここにいた。

 

『少しは、落ち着けって。

 焦る気持ちはわかるが、頭に血が上ってちゃ、助けられるもんも助けられねえぜ?』

『ガンマックス……』

「すまない、諸君。

 娘のせいで、こんなことになってしまって……。

 犯人達の要求は、攫われたのが娘なら大臣達を説得できるのだが、

 そうでないとなると、申し訳ないが……」

『そんなぁっ!』

 

国王が申し訳ない顔で、攫われたのが自国と関係のない他国の一般人と警官では、

要求を呑むのが難しいと告げると、ドリルボーイが絶望的な声を上げる。

 

『いえ、一国の王として当然の判断です。

 攫われたのは、私達の仲間とその友。ならば、彼らは私達が必ず助けます!』

「大丈夫さ、ドリルボーイ。

 一夏がいるなら、きっと……」

『来ました、ボス!

 一夏からの発信信号です!』

「よっしゃぁっ!」

 

顔を伏せる国王に、デッカードは力強く二人の救出を成功させると

告げると、彼らが待っていた知らせが舞い込む。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「こんなことあろうかと、色々仕込んであるんだよね~」

 

イタズラ小僧の目をして、一夏は靴底から小さなノコギリのような

刃物を取り出し、器用に手の縄を切っていく。

 

「あいつらが、俺のことをなめてくれて助かったぜ。

 手帳を取り上げただけで、身体検査とかもしなかったし、腕を前に

 縛ってくれたからこれを取り出すのも難しくなかったしな」

「色々って……あんたそんなのをいつも持ってるの?」

 

さらりと忍者みたいに、隠し道具の存在をちらつかせる一夏に

鈴は小声で尋ねる。

 

「備えあれば患いなしってね~。

 勇兄も捕まったりすることが、多かったからな。

 こうやって、捕まっても自力で逃げるぐらいの道具は持っているのさ。

 それに、こういうのを仕込むのも作るのも楽しいしな♪」

「あんた……もしかしなくても、この状況を楽しんでいたりしない?」

 

誘拐されて閉じ込められていると言うのに、どこか楽し気な一夏を

鈴は訝し気な眼差しを送る。

 

「そんなわけないだろ……よし!

 何とか縄を切ることができたな。

 次は……こいつだ!」

 

縄を切って自由の身となった一夏は、次に腕時計に手を伸ばす。

腕時計なんか外して何をと思う鈴の目の前で、腕時計はクモへと

その姿を変える。

 

「な、何なのよそれ……!」

「静かに!これは、色んな機能を持ったポリス・ガジェットの一つだよ。

 超AIは無いけどある程度自分で動くことができる。

 それじゃ、スパイダーウォッチ。

 ここに俺達がいることをみんなに知らせるんだ」

 

スパイダーウォッチと呼ばれたメカは、一夏の言葉に了解したとばかりに

うなづくと壁を伝って、子供ではとても届かない高さにある

格子がはめられた窓の隙間から外へと向かった。

 

「後は、あいつが電波を遮断する仕掛けの範囲から出て、勇兄達に

 この場所を知らせてくれれば、俺達の逆転だ」

「……あんたって、警察官よりスパイとかの方が向いてるんじゃない?」

「うん?」

 

マジシャン顔負けの鮮やかな一夏の脱出劇の下準備に、鈴は呆れ顔で

彼が就いている職業が間違っているのではないかと感じる。

 

「さてと……もう2、3個ほど仕掛けるとしますか♪」

 

一夏は鈴の言葉を気にせず、先ほど以上に“ニンマリ”とした笑みを

浮かべながら懐に手を入れた……。

 

 

 

「王女と少年警官の様子はどうだ?」

「閉じ込めたら、すぐに大人しくなりましたよ。

 王族だ、特例だとか言われても、所詮子供は子供ってことですね」

「そうか……。

 間もなく指定した時間となるが相手は、あのブレイブポリス。

 油断しない方が賢明だろう。

 警戒を怠るな」

「そこまでする必要がありますかね?

 ここが知られないよう逆探知対策は、何十にもやってますし、

 何より少しでも動いたら人質の命はないって言ってますぜ?」

「用心するに越したことは無い。

 万が一ということが起きるのが、この世界だ」

 

ドォォォン!!!

 

誘拐犯達がもうすぐ目的を達せられると気を引き締めながらも緩んだ隙を

見計らったように、爆発音が廃工場に響き渡る。

 

 

 

「なになになに!!!?」

「来たか!」

 

爆発音は、当然一夏と鈴の耳にも届き突然のことに鈴は慌てふためくが、一夏は

来るのが分かっていたかのように慌てることはなく、自分達の足元から聞こえてくる

何かを“削るような音”に笑みをこぼす。

 

「今度は何よ!」

『お待たせ、一夏!大丈夫!』

「ドリルボーイ!」

 

一夏と鈴がいた床が盛り上がったと思ったら、そこからドリル戦車が現れ

ドリルボーイへと変形する。

幸い、二人が閉じ込められていた部屋はロボットが動けるぐらいの

広さはあったため、崩れることは無かった。

 

「おい!今の音は……なぁぁぁっ!?」

『お~っと!そこまでだ、誘拐犯!

 ブレイブポリスだ。大人しく投降しろ!』

「くそっ!」

「おじさん、足元にご注~意を~」

 

異変に気付いた見張り役が部屋の中に入ってくるが、

ドリルボーイは素早く一夏と鈴の前に立つと投降を呼びかける。

分が悪いと見張り役は悪あがきとその場から逃げ出そうとするが、

一夏はそんな見張り役に忠告を告げながら“なにか”を

地面に置く。

 

「あん?何だこりゃ?」

 

一夏の言葉に思わず自分の足元を見ると、見張り役の足コンコンとぶつかっている

ミニカー?らしきものがあった。

 

「おもちゃか?」

『……~♪』

 

場違いなソレに唖然としているとミニカー?は、人型へと変形し

手に持っていたものを投げつけた。

 

バババババババン!!!

 

「だぁっ!!たたたたた!!!?」

 

ミニロボットが投げつけた爆竹に驚いて、見張り役は情けない悲鳴をあげる。

 

「今の内だ、ドリルボーイ!」

『わかった!』

 

見張り役が驚いて出来の悪いダンスを踊っている隙に、

ドリルボーイは一夏と鈴を抱えると再びドリル戦車に変形し、

そこから脱出を図る。

 

「ちょっ!何してんのよ//////!?」

「仕方ないだろ、ドリルボーイに乗れるのは一人なんだから!」

 

ドリル戦車となったドリルボーイの搭乗席で構造上、鈴は

一夏の膝の上に抱えられる形となっていた。

お姫様抱っこに見えなくもない体勢に、否が応でも鈴の顔は赤くなる。

 

『二人とも、イチャイチャしている場合じゃないよ!』

「バカなこと言ってないで、急いで!

 さっきの爆竹は、音がすごいだけで相手を驚かすだけなんだから!」

「だ、誰がこいつなんかとイチャイチャしてるのよ////////!」

 

狭い席の中で騒ぎながらも、二人を乗せてドリルボーイは脱出を

開始した。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「状況を!」

「はっ!正面入り口に、ブレイブポリスが現れ攻撃を受けています!」

「奴らどうやってここが……いや、それより何のつもりだ。

 人質がいることを忘れているのか……?」

 

奇襲を受けた誘拐犯達は、自分達に攻撃を仕掛けている相手に驚愕する。

人命を優先するブレイブポリスが人質に構わず、攻撃をしているのだ。

 

「待て。今姿を見せているのはビルドチームだが、一体……

 地中を移動できるドリルボーイという機体がいない……。

 それに攻撃も突入や殲滅と言うより……。

 すぐに王女と少年警官を確認しろ。

 まんまとやられたかもしれん……」

 

アントKは、ビルドチームの攻撃に引っかかりを覚え、

一夏と王女(鈴)の様子を確認しようと部下を走らせる。

電波遮断の仕掛けは自分達の間の通信にも影響を及ぼし、

自らの目と足で連絡と確認しるしかないのだ。

そうやって、二人の様子を確認しに行った者達が、一夏が仕掛けた

ミニカーロボによって見張り役と同様に混乱させられ、内部間の

連絡網がズタズタになるのは数分後のことであった。

 

 

 

『全く、ボスも大胆な作戦を立てる……!』

『そうでありますな。

 ドリルボーイの力を使って、自分達が奇襲を仕掛け、

 その間にドリルボーイが一夏と鈴を救出する』

『で、俺達は敵の目を引き付ける囮役……っと!

 こんな作戦、一夏が相手を出し抜かなきゃできないぜ』

 

マクレーン、ダンプソン、パワージョーの三体は廃工場には

当たらないようにしつつ自分達に注意を向ける程度に弾丸を放っていく。

 

『恋愛方面とは別に、一夏の将来が不安になってくるな』

『噂の箒の姉ちゃんみたいにならなきゃいいよ……な!』

『流石にそれは無いと……願いたいであります……』

 

一夏が作ってくれたチャンスだったが、その手腕に一抹の不安を感じる

ビルドチームであった。

 

 





一夏が作ったポリス・ガジェットは、ダブルのメモリガジェットが
モデルです。
他にも色んな道具を作って仕込んでいます。
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