かよ子さんの弟は悪の組織のようなヒーローになりたい! 作:ぽんぽん痛い
暇潰し程度になればいい、フリでもなく感想は書かなくていいんですよ。
時間の無駄にならなければいいのですが…。
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内田悠一のフロシャイム川崎支部挙げての歓迎会の翌日。
悠一は毎日の日課である全速力長距離マラソンを早朝よりこなしていた。彼は血反吐を吐く努力の末に今では一時間程度で100km程度は楽々にやっつけてしまえるようになっていた。
ちなみに昨晩の歓迎会はいいお肉を使ったすき焼きで、フロシャイムの怪人達と親睦を深めながらの楽しい時間となったようだ。
早朝に河川敷で稽古をしていた虎型の怪人、本当は強いぞ!アーマータイガーと挨拶を交わし、悠一はフロシャイムアジトへと戻って来た。
「おはようございまーす!」
「あ!ナイトールさんおはようございます!お久しぶりですね!」
「ええ!昨日は歓迎会に伺えなくてすいません悠一君!」
「いえいえ、お仕事じゃ仕方無いですよ。えっと…何か震えてますけど大丈夫ですか?」
「あいや…悠一君ってヒーロー志望のヒーローの卵じゃないですか…」
「えっと、はい…そうですね?」
「別に悠一君のことを嫌いなわけではないんですが、その、ですね…本能的に殺したくて殺したくて堪らないというか…ですね!いや全然、全然嫌いじゃないんですよ!?寧ろ好感が持てる少年だと思っているんですよ!?ただ、すげぇ殺してぇ…んです」
「そ、そうなんですね…」
彼はフロシャイムの新人ナイトールで元ヒーローのナイトマン。騎士のような甲冑スーツに身を包んだ、体はヒーロー心は怪人といった心を患った困った人なのだった…。
軽く汗を流させてもらい、タオルで頭を拭きながら悠一はフロシャイムアジトの居間に向かう。
そこには新聞を読みながらちゃぶ台の前に座ったミイラの怪人、カーメンマンが居た。
「おぉ、悠一。おはようさん、朝から走ってたんだって?いやぁ真面目だなぁー」
「おはようございますカーメンマンさん。あははただの習慣ってやつですよ」
しゃがれた声で日々の研鑽を褒めるカーメンマンに照れくさそうに言葉を返す悠一。
新聞を折りたたみながら、思いついたようにカーメンマンは口を開く。
「そうだ、雄英の試験日はオレの車で送っていこうか?」
「え!?ご迷惑じゃないですか?」
「いんや全然。車は走らせねーと調子悪くなっちまうしなァ」
「中古だしな!」
「うるせーよ!」
カーメンマンの話に横槍を入れるように口を出してきたメダリオはピンク色の巨体を唸らせながらどっしりとちゃぶ台の前に腰を下ろした。
「でもオメー東京なんて道分かるのかよ?」
「馬鹿にすんなよ…何回かは行ったことあるっつの…あーでも、一応道覚える感じで今日ちっとドライブがてら一度近くを回ってみるか?悠一」
「ボクも行きたーい!ね!?いいよねゆー君!」
悠一が何か言う前にパタパタと小さな羽を羽ばたかせながら飛んで来たウサコッツはそのまま悠一の膝の上に着地した。どうやらいつの間にか居座っていたヘルウルフも彼の膝の上がお気に入りの様子だった。
「そうですね、僕も一度あっちに行ってみたいとは思ってましたから。良ければお願いしてもいいですか?」
「おぉ、全然構わんって。あ、ヴァンプ様、今日―――」
丁度紫色のローブの上にゆるふわな白いエプロンを着けたヴァンプが居間にやってくる。銅製のツノ付き兜をカクカクと揺らしながらカーメンマンの言葉を分かっていると言いたげに遮るように頷いていた。
「ふふふ、大丈夫。お話は聞こえてたから。皆、気をつけて行ってらっしゃい!お夕飯までには帰ってこれるの?」
「はい、多分大丈夫だと思いますよ」
「そう、じゃあ今日も腕によりをかけて作るから楽しみにしててねー」
ということで悠一達は急遽東京へ向けて出発することとなった。メンバーは悠一、ウサコッツにヘルウルフ、Pちゃん。運転手にカーメンマンといった具合だ。以前車酔いで酷い目にあったメダリオはパスし、玄関先でヴァンプと一緒に見送っていた。
☆☆
『次、進行方向右斜。首都高速神奈川1号横羽線へ入リマス』
カーナビモードのPちゃんがダッシュボードの上で機械音声を発しているのをいつもながらハイスペックな子だなぁと感心しながら、僕は車窓に視線を移した。
助手席に座った僕の膝の上にはヘルウルフ君がちょこんと座っている。
後部座席にはスナック菓子の袋を開けてばりばりとポテチを食べるウサコッツさんの姿。
「ちょ、ウサ!オメー菓子クズボロボロとこぼすんじゃねーよぉー!お子様かよ!!」
「はぁ!?ボクは子供じゃないやい!ブッ殺すよ!?デーモンクロ―!」
「ウサコッツさん車の中で暴れちゃ危ないですよー」
「はーい…」
ウサコッツさんが必殺技のデーモンクロ―を発動させるのをやんわりと窘める。
素直に大人しく後部座席にちょこんと座りなおすウサコッツさんにほっこりしながら、もふもふとヘルウルフ君の頭を撫で付ける。はぁ~癒されるなぁ…。
「どれくらいで着くんですかね?前に行ったんですっけ?」
「おぅ、でもあんときゃお盆休みの真っ最中でよぉーもう混み混みだったしなァ…」
『東神奈川、金港JCT、新保土ヶ谷、横浜町田、東京…距離、約38km。所要時間30分、デス』
「本当に…言い方悪いですけど…便利、ですよね」
「アァ、一家に一台Pちゃんだなァ」
「つぅか、ヘル公大人しすぎてよぉ、そうしてっともうただのぬいぐるみだなァ!ひっひ…」
「オマエ、コロチュ」
僕の膝の上ですくっと立ち上がりビシっと腕をカーメンマンさんに向けて言い放つが、愛らしすぎて全く怖くない。
「だーっはっは!怖いでチュね~」
「コロチュ!コロチュ!」
「もう、カーメンマンさんあんまりからかったらダメですよー」
「ワリィワリィ…いやぁ暇でよぉ」
「ユーイチ、チュキ♡」
そこから高速をスムーズに走行し(超安全運転)Pちゃん予測時間を少しだけオーバーしつつも僕らは東京へと到着したのだった。
雄英の場所を確認し、そのまま適当にドライブをしつつ、ついでに何処か観光でもするかという話になり、取り敢えず僕が提案したスカイツリー見学に「悠一オメーベタベタだなァオイ」と笑いながらもカーメンマンさんも他の皆も賛成したこともあって適当なパーキング探すからと僕とヘルウルフ君にPちゃんは先に車から降りることになった。
「んじゃ車止めたら、ウサにお前らの場所見つけてもらうから適当にその辺まわってていいぞ」
「あ、はい!それじゃ後で!」
僕らを降ろすとゆっくりと走り出す車を見送って、肩に乗ったPちゃん、胸に抱えるように抱いているヘルウルフ君と都会の街並みに感嘆しながら歩き出した。
まだ肌寒さが強い季節もあって、カーキー色のロングコートを着てきて正解だった。
まぁ、こういう服装しているといつもよりも女の人に間違われてナンパされることもあるのだが、今日はPちゃんもいるし追い払ってくれるだろう。物理的に…。
お上りさん丸出しでキョロキョロとビル群を見上げながら歩いていたことが悪かった。僕は前方から歩いてきていた人に気付かずその人が避けて通ろうとした方向へと足を向けてしまったのだ。
「きゃっ」
「いたっ…わぁ!す、すいません!!大丈夫ですか!?お怪我ありませんか?」
ぶつかったは黒髪の綺麗な女の子で、綺麗な切れ長の瞳を少し歪めて尻餅をついていた。
咄嗟にヘルウルフ君を片手で抱えたまま右手をその子に差し出すと眉根を下げた笑顔で「大丈夫ですわ、私も少しぼーっとしていましたので」と僕の手を取り立ち上がった。
クリーム色のコートの裾を軽く払うように叩く女の子に僕は頭を下げて謝罪を口に出す。
「本当にごめんなさい!そ、その少し田舎から来たものでキョロキョロしてて…」
「ふふ、そうでしたのね。本当に大丈夫ですから、気にしないでくださいね?…可愛らしいぬいぐるみですわね、お好きなんですか?」
ポニーテールの黒髪を軽く手で肩から掬い上げるように掻き上げる仕草をして、その子はにっこりと微笑んだ。言葉遣い、仕草に気品があり、何となくいいところのお嬢様なんだろうかと推察してしまう。
「…え?あ!いえいえ、この子達はぬいぐるみじゃなくてですね、友達なんですよー」
「…え?ぷっ、ふふふ、うふふふっ…ご、ごめんなさい、笑ってしまって失礼でしたわね!?そのあまりに似合いすぎていて微笑ましくなってしまって、本当にごめんなさいね?」
「あーいえいえ…あはは…そ、それじゃ本当にすいませんでした!失礼しますー」
「あ、…それじゃ」
咄嗟に口に出したとは言え、あまり微動だにしないヘルウルフ君は他の人にはただのぬいぐるみにしか見えないし、Pちゃんもただ肩に止まって大人しくしているし…そんな子達を友達なんです!と発言してしまった気恥ずかしさから僕はその子から逃げるように足早に背を向けてしまった。
足早にその場を立ち去りながら前方に気をつけつつ歩調を早めた瞬間のことだった――。
目の前のビル、バンクと書かれた建物の壁が目の前で轟音と共に大穴を開けて破片と煙を撒き散らした。
♡♡
私は所用で少し街に出た帰り、ふと前方から歩いて来た可愛らしい女の子の姿が目に入りました。その子が抱えている青い犬?でしょうか…とても可愛いぬいぐるみに肩に固定しているような緑色の鳥のぬいぐるみも相まってその子の魅力を増している感じがします。
朗らかな笑顔で辺りを見渡しながら歩く姿は、恐らく観光者であろうと予想できました。
すれ違う瞬間、私はその子を避けて通ろうと足を向けた方向に偶然同じ方向へ足を向けたその子とぶつかってしまいました。
尻餅をついてしまった私に申し訳なさそうに手を差し伸べて謝罪を口に出したその子に苦笑しつつも気にしていない旨を伝えます。
なんとはなしに彼女の抱えたぬいぐるみについて聞いてみると、お友達だと言い切ったそのなんとも愛らしい表情にあまりの微笑ましさについつい笑い声がついて出てしまいました。
いけないいけない、これはあまりに失礼でしたわね。
私は直ぐ様にそのことを謝罪します。
居心地が悪そうにしてその子は口早に謝罪をし直し立ち去っていきます。
私は何を言っていいのか分からず、よく分からない言葉を口に出してしまいました。
何となく、彼女とお友達になれるかもしれない機会を失ってしまったことに思ったよりもがっかりしてしまったようで、溜息を吐きながらも家路につこうと踵を返した瞬間、その爆発音は響きました。
「―――っ!?」
「おい早くしろ!!ヒーローが来る前にずらかるぞ!!っと何だてめぇ!」
「え…?」
私の目に飛び込んできたのは、今さっきまで会話を交わした女の子がヴィランに羽交い締めにされる意味不明な光景、私は突然の出来事に頭が真っ白になりそうになりました。
「ちっ!丁度いい!コイツを人質に連れていきゃヒーローがきても交渉にもなんだろ」
「はっは、そりゃいい。この女、顔もいいしな?へへへ」
――――――っ!?私は、一体今、何を…考えましたの!?
早く、ヒーローを…?私は、目の前で囚われた女の子を見て、そう思いましたの!?
なんて、なんて、無様!!
私は、何になるんですの!?私は――――私は――――っ!!!!
仮にもヒーローを目指す私が、目の前で救いを求める人を助けられなくて、どうするんですの!?
集中、目の前の戦力分析――落ち着くんですのよ私。今出来る最大限を思考し、最高の結果を!!
――――私の『個性』、『創造』!!
目的のモノの創造、材質を思い描く、構造を脳内に出力――――。
フラッシュグレネード。咄嗟に捲り上げた腕に手を当て、創造したソレを身体の内より取り出す。
次のものは武器、何でもいい直ぐ様に創造出来そうなもの!!
何の変哲もない短めの鉄パイプがノータイムで掌から生える。
今動かなくて何になる。今救えなくて何を目指す。
―――――そう!!私は、ヒーローを目指す者なのですから!!
「そこの人!!目を閉じてぇーーーー!!!!」
私はそう叫びながらフラッシュグレネードを上空に投げ放った―――。
ぽんぽん痛くなりたくないなぁ…。