機動戦士ガンダム00IF 些細な因果 作:とある睡魔の榴弾砲
まあ他作品放置をごまかそうと匿名投稿してるので今更ですが。
不幸なことは続くものだ。
何を呑気なことをことを考えていたのだろう。一瞬でも感じた嫌な予感は的中していた。スペインで事件が起きた。
バイトはもとより休み中だけの契約。幸い
道中メディアからは嫌というほど状況が流れて来た。
曰く。死者重軽症者合わせて87名。襲撃された。ガンダムの襲撃である。最近現れた赤いガンダムが映像に映っていた。襲撃されたのは地域の資産家の結婚式である。件の資産家は紛争幇助をしていたのではないか。云々。
死屍累々とした光景が嫌でも思い浮かぶ。東京でのテロ。その時の炎、血の匂い、親の、子供の泣き叫ぶ声。まだ鮮明に覚えているそれが想起され。その中央にルイスが…。
だから速足で踏み入った病室で。病院着でベッドの上に座って、空を見上げているルイスの姿を見て安堵した。
「沙慈…?」
「ルイス…。良かった…良かった…」
「どうして…学校サボって」
「そんなのどうでもいいんだ、ルイスが生きてて。それだけで僕は…僕は」
「どうしたの?沙慈。なんか…変だよ?ッ!?」
感極まって抱き着いてしまう。
「ううん、ちょっと…ね。今はいいんだ。って、ああ!?。ごめん、ん、 あ…」
そして突然抱き着いたことに謝って、離れようとして、違和感と、その正体に気付く。
咄嗟の抱き着きに対して、抱き返してくれたルイスが回してくれた腕。離れかけたときに背中に触れた掌が。その数が1つしかないことに。
たぶんその困惑と気づきの表情を見てしまったルイスは、今にも泣きそうな顔をして。
「ごめん。」
だから、さっきよりも強く抱きしめた。無意識に近い。
目の前の大事な人が居なくならないように。壊れ物を触るように臆病に、それでいてきつく。きつく。
先に涙が決壊したのは沙慈だった。ただよかった、生きていてよかった、と壊れたビデオテープのように繰り返す。
沙慈の姿を見て、ルイスはむしろいつもを思い出し、すこし笑みが浮かぶ。
暫くして。
「沙慈は、泣き虫だなぁ…」
「ごめん。本当は、ルイスのほうが…」
「ホントだよ。私を差し置いて泣き始めるとかおかしいじゃん。」
「うん。ごめん。でも良かった。ルイスが生きてて。」
「無事ではないけどね。でもそっか。生きてれば、いいこともあった…ね。」
今まで沙慈のほうから抱きしめたことは一度も無かった。
「ごめんってば。大丈夫?」
「親戚のみんなが亡くなって…。ママはテロメアに異常が出て大きい病院…。私はこの通り…。 うん、すこしは落ち着けたみたい。沙慈も、何かあったんだよね。」
「姉さんが、死んじゃった。殺されたって…」
互い声が震えている。
「電話した時にはもう、そうだったんだよね。早く言いなさいよ…」
「ルイスは気遣いしすぎなんだよ。お見舞い、ってのもおかしいけど。でもそっか、左手か…。右手出してくれるかな」
取り出した四角い小さな箱。その中には2つの指輪。
「ホント沙慈は変なんだから。だって…私…」
「前に欲しがってたやつ。 さっきは泣いちゃったけど。僕がずっとルイスを支えるから。ルイスと一緒にいるから、ルイスとだけはわかれたくないから」
「こんな時にだけ、かっこつけるんじゃないわよ…バカ。…沙慈はかなえたい夢があるんでしょ、それを叶えてほしいから。受け取れない…。後で辛くなるよ…」
「それじゃダメなんだ。確かに僕の夢はある。でもそれ以上にルイスと一緒に居たい。そうじゃなかったら、また失っちゃうかもって…。だから、右手、出してくれないかな…」
病室で抱きしめあったまま、二人で泣き続ける。
互いが失ったものを補い合うように。あるいはこれからを分け合うように。
二人の右手には銀色の光が温かく輝いていた。
右手の薬指、安心とかあるそうですよ。
ルイスの状態はママさんに受け渡されました。
原作通りの心づもりだったのですが。
ルイスの心理描写を薄くした結果ルイス当人の被害量が減った形ですね。