リリカルチート物語   作:抹茶ミルク

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第2章 地球へ……編

 ――1――

 

 

 さて、ル・ルシエの里を出てかれこれ二年が経とうとしている。

 

「キャロ」

「ふぐ……なんですか?」

 

 食事中、キャロに話しかける。

 ちゃんと口の中のものを飲み込んでから返事をするキャロはそんなとこだけまともに育ったらしい。

 

「そろそろ、別の世界に行ってみないか?」

「ふぇ? どうしたんですか、急に。行ってみたいですけど」

「いや……キャロも力の制御はほぼ完璧だし、そろそろいいかなって」

 

 実際、キャロはもう殆ど暴走させることはなくなった。

 俺も能力に関しては思いつく限りの事は試したしな。

 

 何より……この二年、訓練と称し暴れまくった所為か、そろそろこの世界の生態系がおかしくなってしまう気がした。というか、ちょっと変わり始めてしまっている。

 地形も所々変わっちゃってるし。

 

 何よりこの二年間、キャロとしか話していない。 

 そろそろ人と関わりたい。

 あと、買い物とかしたい。

 まぁ、能力でなんでも作り出せるんだけど……服とか雑誌とかもないしデザインとか考えるのメンドクサイんだよね。

 

 だから俺は普段着にはこっちに来たときの服を複製して使ってるし動くときには大好きな漫画キャラの服を着ている。

 この世界だとそれほどコスプレって感じに見えなくて堂々と着れるんだよね。

 良く着るのはフジリュー版封神演義の太公望、伏義、王天君から気分に合わせて選んでいる。

 

 そんな俺が幼女の服なんて分かるはずもなくキャロには原作のバリアジャケットと同じものを着せている。

 普段も訓練のときも。

 

「でも、どこに行くんですか? ミッドとか?」

 

 ミッドはマズい気がする。

 なんか面倒事に巻き込まれそうというか……。

 俺もキャロも管理局に属してないわけだし。

 

 あっ! てか、このままじゃキャロの機動六課入りがなくなるんじゃね? 

 それどころか、キャロをどうやって管理局に所属させるんだ……。

 ……ヤベェ、変な汗出てきた。

 ま、なるようになるだろ。うん。

 

「地球行かね?」

「地球……って確かショウヘーさんの故郷でしたっけ」

「そうそう」

「それどんな人外魔境なんですか。行きましょう!」

「あれ? なんかおかしくね? 張り切るのはいいけど、おかしくね?」

 

 なにはともあれ、こうして俺達の地球行きが決定した。

 別の世界であっても地球は地球。年代だって大して変わらないから、とりあえず俺は普段着で良いとして……キャロはどうしよう。

 このままじゃ確実に注目を集めるぞ。

 

「とりあえずキャロはこれに着替えてくれ」

 

 即席でシャツとスカートを作ってキャロに手渡す。

 キャロは受け取った服を引きつった顔で見つめ――

 

「無理です。これは着れないです。ありえないほどダサいです」

 

 突き返してきた。

 え、ダサい……だと。

 確かに俺はセンスがあるとは思わない。

 特に女の服なんか余計にだ。

 適当に作り出したとは言え、ここまで言われると若干へこむ。

 気になったのでキャロから返ってきた服を広げてみた。

 

「…………ダセェ。マジ、ダセェ」

 

 思わず自分で言ってしまうほどダサかった。

 それは……ちびまる子ちゃんの服だったのだから。

 

 

 

 ○

 

 

「良し! 着替えたな?」

「はい!」

「荷物は?」

「完璧です!」

 

 アレから試行錯誤の末、訳分かんなくなって制服にスクールベストというどこの私立小等部ですかという感じになった。

 まぁ好きだけど。

 パーカーでも良かったけど夏だったら悲惨だなと思ってこっちにした。

 

「それじゃ、いくぞ!」

 

 言って、スキマを開く。

 行きたいと思えば多分行ける。

 除いただけだけどル・ルシエの里とミッドは行けた。

 多分地球も大丈夫。

 

 転移魔法は使えない。

 だって正確な位置が分からないから登録出来ないし。

 てことで、今出来る唯一の方法がスキマを使った移動なのだ。

 

 俺はキャロの手をとってスキマに飛び込んだ。

 

 

 ○

 

 

「……よいしょ、っと」

「きゃっ! な、なに!?」

「え、えぇ!?」

 

 スキマを潜るとそこには……金髪と紫髪の美女達が驚いた顔で此方を見ていました。

 

「あ、ども」

 

 とりあえず挨拶してみた。

 

「ど、どうも」

 

 紫の方……月村すずかは警戒しながらも返事を返してくれた。

 

「何普通に挨拶してるのよーっ! アンタ何!?」

 

 怒った表情で詰め寄ってくるのは金髪のアリサ・バニングス。

 

「何と言われても」

「急に現れたってことは……アンタも魔導師な訳!? なのはの敵!?」

 

 え? 最初から敵認定?

 

「ア、アリサちゃん落ち着いて。管理局の人かもしれないよ?」

「あ、そうか。で管理局の人?」

「いや、違うが」

「やっぱり違うんじゃない! じゃあはのはの敵なのね!?」

「えー」

「あ、ショウヘーさん! あそこから良い匂いがします! コレは良いスイーツの匂いです! 食べに行きましょう!」

 

 こっちはまるっきり無視で少し先の店に走っていくキャロ。

 その店には『翠屋』という看板があった。

 

「あ、じゃあ、あの店で話しません?」

 

 とりあえずこの二人をどうにかしよう。

 

 

 ――2――

 

 

「それで……アンタ一体何なのよ」

 

 翠屋店内。

 同じテーブルに座り、半目で睨んでくるアリサがそう尋ねてきた。

 すずかは苦笑しつつケーキを馬鹿食いしているキャロの世話をしてくれていた。

 

「何って言われてもね」

 

 何て答えりゃいいんだ……旅人?

 

「旅人?」

 

 そのまま答えてみた。

 

「はぁ!? 何それ! 馬鹿にしてんの!?」

 

 やっぱりこの答えは違ったらしい。

 さて、どうするか……この二人は悪い奴じゃないのは分かってる。

 でも、二人からなのは達に伝わって変な風に管理局に関わられるのは避けたい。

 関わるにしてもこちらから、ちゃんと準備を整えたうえでという風にしたいしな。

 

「ん~、とりあえず……管理局を知ってるってことは魔導師の知り合いが居るってことでいいか?」

 

 知らないふりで質問する。

 

「そうよ! アンタが犯罪者なら突き出してやるんだからっ!」

 

 鼻息荒く捲くし立てる。

 

「犯罪者ではないよ」

 

 今現在、ここの支払いは能力で作り出したお金で済ませようとしているが。

 仕方ないよな。お金ないんだもん。

 

「存在が犯罪ですけどね」

 

 ケーキを食べながらキャロがふざけたことをぬかす。

 

「お前……あ、すいませーん! 伝票別々にしてくださーい」

「わぁ~! ごめんなさいごめんなさい! 嘘! 嘘です!」

 

 店員さんに声をかけると必死になって謝ってきたので許してやることにする。

 

「あの……二人はどういう関係なんですか?」

 

 すずかがおずおずと質問してくる。

 

「どういうって?」

「え~っと……その、ご兄弟には見えないので」

「そうよ! 髪の色からして違うじゃない!」

 

 あ~、確かにな。

 なんかすずかの視線も怪しいものを見る感じが含まれてるし。

 

「関係ねぇ……」

 

 考えながらキャロを見る。

 俺の視線に気付いたキャロがケーキを飲み込んで任せろとばかりに頷いた。

 

「ただならぬ関係です」

「ぶはっ」

「ごほっ」

 

 俺とアリサが同時に紅茶を噴き出した。

 

「ちょ、おま、なんつーことを」

「え、違うんですか?」

「全然違うだろ!」

 

 二人の目つきがやばいぐらい鋭くなってるよ!

 

「ロリコン……」

「……誘拐?」

「違うから! 二人が思ってるような関係じゃないから!」

 

 くっ、やべぇ……二人の視線が半端なく冷たくなっていく。

 しかも、椅子動かして距離とられるとか泣けてくる。

 

「違うって……俺達は――」

 

 

 

 ○

 

 

 普通に全部説明してしまいました。

 

「キャロちゃん」

 

 すずかは涙ぐんでキャロを抱きしめ、

 

「アンタ……良い奴だったのね」

 

 アリサは俺に微笑んでます。

 

 俺が説明したのは三つ。

 俺は一応魔導師だが訳あって旅をしていた。

 キャロの里に厄介になっていたがキャロが追放されると知った。

 俺が保護した。

 

「話は分かったけど……なんで管理局に連絡しなかったのよ」

 

 アリサが言った。

 

「うん。連絡すれば保護して貰えたんじゃないかな」

 

 続けてすずか。

 

「ま、保護はしてくれるだろうね」

「だったら何で? キャロぐらいの年齢で旅なんてつらいんじゃない?」

 

 心配そうにアリサが言うが、

 

「え? コイツ見てそう思う?」

「どういう事ですか」

 

 意外な事をといった表情を作ってキャロを指差すが、キャロに不機嫌そう手を払われた。

 

「あ、あはは……」

 

 苦笑するすずか。

 

「それに、保護はしてくれるだろうけど……将来は確実に管理局入りさせられてキャロの力を使われるだろうね」

 

 管理局は力があれば子供だろうと何だろうと容赦なく使う。

 裏で違法なことしてるってのも原作知識で知ってるしね。

 

「ま、そんな訳でキャロが自分の道は自分で決められるようになるまでは俺が面倒みようと思ってるわけだよ」

 

 建前ではね。

 実際StS始まったら巻き込む気満々だし。

 その後管理局にいたいってんならそれは俺が口出すことじゃない。

 

「ふ~ん。でもなのは達に言えばそんなことにはならないと思うわよ」

 

 アリサの言葉にすずかも頷いている。

 

「そのなのはって人は知らないけど……所属する組織自体に怪しいものがあるんだから、安心は出来ないな」

 

 今の管理局は上のほうは屑が多いし。

 てか、こんだけ嫌がってるんだからなのは達に言うのはそろそろ諦めてほしい。

 

「あ、アリサちゃん、すずかちゃん! 来てたんだ!」

 

 と、店の奥の方から田村ボイスが聞こえてきた。

 

「…………」

 

 振り向くと、長い髪をサイドテールにした高町なのはが手を振って近づいてきていた。

 

「なのは……いたの?」

「うん! 明日はお休みだから仕事が終わったら急いで帰ってきたんだよ!」

「なのはちゃん、久しぶりだね」

「うん。久しぶりすずかちゃん!」

 

 楽しそうに話す三人。

 

「…………」

 

 俺は冷や汗ダラダラだった。

 

 

 ――3――

 

 

「それじゃ、詳しい話を聞かせてもらおうかな」

 

 アリサとすずかから簡単に俺達の説明を受けたなのはが良い笑顔で仰った。

 くそぅ……なんの躊躇いもなく俺達のこと話しやがって。

 

「…………フ」

 

 ア、アリサのやろう……俺の方見てニヤッて笑いやがった!

 まさか管理局に関わるのが面倒だからって話したさっきの話信じてないな!?

 確かにまともな事言ってるようで適当なこと言ってたけども。

 キャロが利用される? ハッ、今のコイツがそんなタマかよ! 図太い神経しとるわ!

 

「え~、お断りします」

 

 丁重にな!

 

「それじゃあ連行しますね」

 

 だからその笑顔が怖いよ!

 A's終わってるから既に魔王なのか……。

 

「ね、お姉ちゃんと一緒に来てくれるよねキャロちゃん?」

 

 俺では埒があかないと思ったの、かなのははキャロに話しかけた。

 だが甘いな、高町なのは!

 

「断固拒否」

「な、なんで!? ど、どうしてかな?」

 

 即答したキャロにうろたえるなのは。

 

「怪しい管理局員には着いてっちゃ駄目だって言われてるので」

「ぶっ」

 

 興味なさそうにケーキを食べながら言うキャロに思わず噴き出してしまったが、なのはに物凄い勢いで睨まれたので咳払いで誤魔化す。

 

「え~っと……近くに信頼できる人がいるんだけど会ってくれないかな? ちょっと話聞かせてくれるだけでいいから」

 

 それでもめげずにキャロを誘うなのは。

 この近くにいる信頼できる人って……リンディか?

 

 絶対会いたくない。

 あの人相手に口で勝てる気がしない。

 

 そんなことを考えている間にもなのはのキャロへの説得はヒートアップしていた。

 

「だから、お話してくれるだけでいいの!」

「…………」

「リンディさんなら悪いようには絶対しないから!」

 

 やっぱりリンディか。

 

「旅してるって言うけど、キャロちゃんぐらいの歳でそんな生活は辛いと思うし……学校とか行ってみたくない? 友達も沢山出来るよ」

 

 てかなのは、真剣だしキャロのこと本気で心配してくれてるのは伝わってくるんだけど……キャロ自身がいい加減鬱陶しいって表情になってきてるぞ。

 今の生活が辛いとか本人が言ったわけでもないのに予想で話しちゃ駄目だぞ。

 つーか、コイツ嬉々として亀の甲羅振り回して巨大生物追っかけてるんだぞ。

 

「だからね――きゃっ!」

 

 と、キャロが急に話しているなのはの胸を鷲掴んだ。

 

「その程度の戦闘力(バストサイズ)で私の話を聞けるなんて思わないでください。私の話が聞きたいならもっと揉応えのあるオッパイを用意してきてください。ボン、キュッ、ボンを所望します」

「な、ななななな…………」

 

 胸を隠すように押さえ後ずさるなのは。

 

「あ、貴方! どういう教育してるんですか!?」

 

 怒りの矛先が俺にきた。

 なんでだよ……俺だってこんな風になるなんて思ってなかったよ。原作の純粋なキャロを返してくれ!

 

 

 

 ○

 

 

「なのは!」

 

 赤い顔で睨まれ気まずい空気の中、弾ける様な声で店内に入ってきた人物がなのはに声をかける。

 

「フェイトちゃん!」

 

 そちらをみたなのはも破顔して対応する。

 

「帰ってきてるってはやてに聞いたから急いできたんだ」

「そうなんだ。フェイトちゃんもお休み?」

「うん。たまには顔見せなさいって母さんが言うから……昨日こっちに」

 

 その人物はフェイトだった。

 

「ボン、キュッ、ボン……だと」

 

 フェイトを見てキャロが慄(おのの)いた。

 まぁ……分かる。

 フェイトさん……スタイル凄すぎです。

 もう、なんつーか……プルンプルンしてやがる。

 しかも美人。日本受けする美人。

 思わず結婚申し込んでしまいそうになったね。

 

(キャロ……二人の世界に入ってる今の内に撤退するぞ)

 

 俺は念話(実は使えるのだ)でキャロに言う。

 

(で、でも……折角のアレを揉まずに帰るなんて)

(お前いつからおっぱい好きになったんだ? おっさんみたいだぞ)

(乙女におっさんとかどういうことですかっ! 人間誰しも大きいおっぱいには惹かれてしまうものなのです。ということで揉んできます!)

(ふざけるな! 俺だって揉みたいのに何でお前だけ揉むんだよ!)

(ふふん。私は幼女なので問題ありません。ショウヘーさんは犯罪です)

(ぐぎぎぎぎ……そんなこというならお前を管理局に差し出すぞ)

 

 悔しいので反撃しようとそんなことを言ってしまった。

 だがキャロは――

 

(なっ! 私を売るって言うんですか……あ、だけど管理局に保護されればあのおっぱいを揉むチャンスも増えますよね)

 

 あれ……満更でもない?

 

「あの!」

 

 キャロが二人の世界に入ってるなのはの袖を引く。

 

「あ、キャロちゃん。どうしたの?」

「私、お話しても良いです」

「ホント!?」

「はい」

 

 な、なんという行動力。

 

「なのは、その子は?」

「うん、実はね……」

 

 なのははフェイトにキャロの事を説明する。

 

 

 

「お、俺を無視して話が進んでいく……だと?」

「アンタ、空気ね」

「ア、アリサちゃん、そんなこと言っちゃ駄目だよ」

 

 アリサに嘲笑われた。

 すずかの優しさが身に染みた。

 惚れてまうやろー。

 

 

 ――4――

 

 

「つまり、貴方は旅の途中、偶然キャロさんの里で宿を取っていた。キャロさんは力を暴走させてしまい里を追放、貴方がキャロさんを保護し、共に無人世界で生活しつつ力の制御を学んでいた……間違いはありますか?」

 

 状況説明ありがとうございます!

 あれからなのは達に連れられハラオウン家にやってきた俺はリンディさんに大体本当のことを話した。

 勿論、俺の正体や能力については話していない。

 さすがに話せないし、キャロにも言わないように言い聞かせてあるし理解してくれている。

 

「本当だったんだ……ちょっと嘘だと思ってたわ」

 

 後ろでアリサがひどい言い草をしていた。

 俺はアリサに近づいていく。

 

「お前、ひどいよな。信じない挙句、人が知られたくないって言ってた管理局の人間に話すんだから」

「確かにアンタとあの子の関係については納得したわ。全部本当のこと言ってるとは思ってないけど大筋はそうなんでしょ」

「だったら、なんで」

「でも、アンタが怪しいってことは変わらないのよ。魔導師のアンタが何で魔法のないこの世界に来たのかとか、管理局に会いたがらないのはやましい事があるからなんじゃないのかとか」

 

 まぁ、管理局についてはなのは達から聞いた情報ぐらいしかないから警察みたいなもんだと思ってるんだろうな、アリサは。

 警察に会いたがらない俺は何かやましい事があるんだろう、と。

 

 

「だから、さっき話しただろ? キャロのことを考えてだよ」

「それは……なのは達なら信用出来るって言ったでしょ?」

「高町さんがそうだといって管理局がそうだとは限らないだろ」

「……どういうことよ?」

「この世界の管理局みたいな組織だってそうなんじゃないのか? 良い奴もいれば悪いことする奴だっている」

 

 とりあえず、なのはの事は高町さんと呼んでいる。

 イキナリ名前で呼ぶとか有り得ないだろ。

 心の中は別として。

 

「それは……そうだけど」

「組織なんてそんなもんだ。俺は色んな世界で旅してきたから管理局にもそんな奴らがいるってことも知っている」

 

 実際は原作知識だが。

 しかもそれが管理局の最高幹部だもんな。

 

「だから知られたくなかったんだよ」

「う…………っ」

 

 ため息を吐く俺にアリサがたじろいだ。

 

「ま、今更どうしようもないけどな。それに確かに高町さん達は信用できそうだし。このさい話ぐらいはしてもいいと思ってる」

 

 俺はともかくキャロのことは本気で考えてくれてたのはわかったし。

 

「わ、悪かったわね……」

「…………」

「な、なによ?」

「いや、まさか謝られるとは思ってなくて」

「私だって謝ることぐらいあるわよ! それに……もっとちゃんと話せばよかったと思ったし。そうすればあの時よりはアンタの言うことも考えただろうし」

 

 と言っても、あの時はあそこでなのはが乱入してきたから話を続けるどころじゃなかったしな。

 ま、ちゃんと話すとアリサも良い奴だってのは分かる。

 怪しい奴が自分の居るところに現れたら普通疑ってかかる。

 しかも相手は魔導師なわけで、もし何か企んでるような奴だったら周りに被害が出る可能性もあったわけだしな。

 

「なんにしても、初めからなんの疑いもなく人を信じるような奴よりお前の方がずっと信用できる人間だってのは分かったよ」

「っ!? ……な、何言ってんのよ! バカじゃないの!?」

 

 

「コホン……何故すぐに管理局に連絡しなかったのですか?」

 

 今まで他人には聞こえないぐらいの声で話していたのだが、最後にアリサが大声を出したところでリンディが話をも元に戻しにきた。

 てか、やっぱこの手の質問かよ。

 なんて答えよう……なんか、何て答えても碌なことにならないような気がする。

 正直キャロについては全部話してもいいんだよな。原作でもフェイトに保護されてからのキャロは幸せそうだったし。

 なんならこの場でキャロをフェイトに預けてもいいぐらいだ。

 

 キャロのことと言い訳して、なんだかんだでフェイトに定期的に連絡をとることで二人の中は親密に……あれ? これ、メッチャ良い案じゃね?

 

「よし、キャロ!」

「……なんですか?」

「なんで冷たい目線をくれてやがるのかは知らんが、お前さえ良かったら俺じゃなくてここの人たちに面倒見てもらうか?」

「どんなこと考えてそんな結論に至ったのかは、そのだらしない顔を見れば大体想像はつきますけど……バカですか? 私みたいな子供を利用するとか腐ってますね」

 

 なんかマジですげぇ冷たい視線なんですけど。

 

「利用とか、お前人聞きの悪いこと言うなよ」

「実際そうでしょう」

 

 そうだけど。

 

「あの、そろそろ話を戻してもらっていいかしら」

 

 すぐに脱線する俺達に笑ってない目で話しかけてくるリンディさん。

 

「ちゃんと力は制御できるようになりましたか?」

 

 リンディさんはキャロに尋ねる。

 

「完璧だし」

 

 不敵な笑みのキャロだし。

 

「あなたは魔導師だということですが……ランクは?」

 

 キャロはスルーして今度は俺に問いかけてきた。

 

「ふ、俺のことが知りたいのか?」

「ええ、知りたいわね」

「ま、教えてもいいんだけどね。どうせ、いつかは教えるつもりだし」

 

 原作キャラゲットだぜ、を狙ってる俺には避けては通れない道だしな。

 

「でも、ただで教えるのもあれだし……ちょっとゲームしません?」

「ゲーム?」

 

 リンディさん以外にもこの場に居るキャロ以外全員の声が重なった。

 俺はキャロに近づき――

 

「俺たちは逃げますんで、捕まえることが出来たら全部話しますよ」

 

 そう言ってキャロを抱えあげる。

 

「逃げられると思ってるの?」

 

 なのはとフェイトがそれぞれ待機モードのレイジングハートとバルディッシュを取り出す。

 

「思ってます。では」

 

 そして、俺はスキマを開いた。

 

「ふ、サラバダー」

 

 スキマに入る直前、キャロが言い残した。

 サラダバー。

 

 

 

 ○

 

 

「うわー! マジ焦ったー!」

 

 スキマで元いた無人世界のログハウスに帰ってきた俺は安堵のため息を吐いた。

 

「実はさっきの緑髪の人にマジでビビッてたショウヘイヘーイでしたとさ」

 

 うっせ!

 マジ迫力あんだもん。

 笑ってるのにさ。

 さすが提督だね。

 

「ま、なのは達と出会えたのは良く考えりゃ幸運だったな」

 

 会えないより会えた方が良いに決まってる。

 それがどんな状況だってな。

 何も知らないより、実際会って何をしたかによって今後とれる対策も考えやすくなるからな。

 

「とりあえず風呂にでも入ってよく考えよう」

 

 変な汗いっぱいかいたし。

 

「ほう……私の背中と髪を洗いたいと申したか?」

「自分で上手く洗えないくせに何言ってんだか……まぁ、洗ってやるからさっさと用意しな」 

「わ~い! お風呂ー!」

 

 着替えを取りに駆けていくキャロだった。

 

 俺はロリコンじゃないぞ?

 まだキャロには欲情してないからな!

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