〜もしエス〜 もし女子剣道部のマネージャーがインフィニット・ストラトスを起動したら 作:通りすがる傭兵
書き方が少々特殊なんで読みづらいでしょうし、読み飛ばしても大丈夫だと思います。
それでも良い方はどうぞ。
まず、取材を受けてくれてありがとう。
結構胡散臭かったでしょ。
「ぶっちゃけるならそうです、ね」
たはー、結構言ってくれるわね。
「いえ、別にけなしているわけじゃ!」
いつものことだからもう慣れちゃったわよ。
とりあえず、名前と年齢、クラスお願いできる?
「えと、みんな知ってると思うんですけど」
まあ儀礼的なものだけど一応って事で。
「わかりました......
1年1組、織斑一夏、16歳です」
織斑一夏、と。
よし、じゃあバンバン質問していくけど、答えたくないなら答えなくてもいいし、言いたいことがあれば言っても構わないわ。
それと、原稿ができたらちゃんと送るわね。
「そ、そんなに至れりつくせりで......」
いいのいいの。私、他人の嫌な顔ってあんまり好きじゃないから。クリーンで後腐れのない取材を心掛けるようにしてるの。
「じゃ、じゃあ......ありがとうございます」
んー、初々しいわねえ。入学した頃を思い出すわー。
じゃ、本題に入りましょうか。
この学校はどう? 楽しい?
「楽しいですよ。
アイツら、あ、弾と数馬って言うんですけど、そいつらと離れてしまったのは残念です。けど昔なじみと再会できましたし、気の合う奴らもいっぱい見つけられました。
あと、空を自由に飛び回れるってのは、純粋に楽しいっす」
たしかにそうね。
「それと、学食が美味しいんですよ。
料理は出来るんですけど、こうプロフェッショナル、って言うんですかね。技を盗もうにもレベルが高くて、まだ四苦八苦してます」
ハングリー精神旺盛ねえ。確か厨房で働いてる1人が料理部で副顧問をしていると聞いたわ、時間があれば聞きに言ったらどうかしら。
「そんな事が、行ってみます!」
こらこら、まだ取材中よ〜。
「ごめんなさい、つい」
何が貴方をそんなに駆り立てるのかしら。将来の夢はシェフとか、料理人?
「いえ、違いますよ?」
おや、ではどのような。
「だって、みんなが笑ってくれたら嬉しいじゃないですか。俺ができそうな方法が料理だったってだけで、違ったらその方向を勉強しますよ」
泣けるわねえ。
「このくらい当然ですってば」
ところでみんな、って誰の事?
もしかしてガールフレンドとか?
「みんなはみんなですよ。友達とか、千冬ね、織斑先生とか。
恋人は......恋愛感情はイマイチわからないんですよ」
あら残念。じゃあお姉さんが立候補するのもありかしら?
「クラス対抗戦に向けて成政や箒が張り切ってますし、練習でいっぱいいっぱいなんです。ごめんなさい」
あら残念。せっかく彼氏ができると思ったのに。
「本当にすみません」
いいのいいの、冗談だったから。お姉さん彼氏持ちだし。
「え、そうなんですか」
これも冗談。けど付き合いそうな男女二人組はぱっと浮かぶわねー。何か知らない?
「......俺が知っている限りであれば」
あの2人、初日にハグしたって本当?
「そりゃあもう、ガッシリと」
付き合ってるの?
「んー、本人はそうじゃ無いって言ってますし」
......本音は?
「お前らもう付き合っちまえ」
わかる。廊下や武道場によく2人で話しこんでるのを見かけるの。新聞部じゃもっぱらの噂よ? 創立始めての学内カップルか! なんてね。
「なんで付き合わないんでしょうね?」
実はどっちかにほかに好きな人がいるとか。
「まさかー、箒は俺に当たり強いし、成政に至っては男です。無いとは......無いとは......思い、ます、よ?」
普通に疑いだすあたり友達としてどうなのかしら。
「だってあいつ場慣れしすぎなんですよ!
この前なんかうっかり更衣室間違えた時なんか、開幕早々アイツの言った言葉なんだと思います。?
『みんな筋トレ頑張ってるね、感心感心』
あんなの見たら女子に興味がないとしか思えないっすよ!」
今サラッと重大発言しなかった。君は女子更衣室に侵入したって事よね。大丈夫なの?
「あ、あれは事故です! 悪気はなかったんです!」
......オフレコにしとくわね。
「助かります......叩かれるのはもう十分だ」
そろそろ時間ね。まとめに入りましょうか。
「もうこんな時間ですか?!
やべえ、練習に遅れるかも」
だいじょーぶ、あと一つだから。
「それならいいですけど」
ズバリ、クラス対抗戦に向けての抱負をどうぞ!
「......えと、誠心誠意頑張ります」
面白みのかけらもないし適当に捏造しとくわね。
「もうそれでいいですよ! 時間ないんでこれで失礼します!」
はい、お疲れ様でしたー。
◇◇◇
こんにちわ。
「こんにちわ」
河南成政くんでいいのよね。
「はい、その通りです」
じゃあ取材始めていくわよ。
「お願いします、
礼儀正しい割には織斑君とは違って固くないわね、それとも神経が太いだけなのかしら。
「取材なんて、10回も受ければ慣れちゃいますよ」
高校生で取材慣れしてるなんてどうなのよ。
「マネージャーなのよ」
おっ、成政くんはシャレを理解するタイプ?
「人並み程度ですって、というか早く取材始めましょうよ」
これは失礼。それでは始めちゃいますね。
織斑一夏君にも聞いた事なんだけどね、
この学校、どう? 楽しい?
「楽しいっすね。強い人いっぱいいるんで。
何故かIS学園てスポーツに力入れているわけでなくとも、武道系部活は強いんですよ。それが謎でして」
操縦者志望の子は何かしら学んでることが多いし、必然的にそうなるのよね。
「なるほど理解しました。
それでですね、一人一人おさめてる流派もそりゃバラバラじゃないですか、興奮しないわけがない! と」
マネージャーの面目躍如かしら?
「そんのとーりなんですよ! しかもISは現在注目度の高いスポーツ、観客動員数も関わる人数もぶっちぎりで世界トップ!
競技人口は少ないのが唯一の悩みですが」
やっぱり夢はでっかく世界制覇! かしら?
「そうですねえ、なって欲しいです」
やはり、それは織斑君の事かしら、それとも?
「篠ノ之の事ですけど、邪推しないでくださいよ。アイツとはただの腐れ縁なんで」
その割には抱きついてたりするけど?
「そんくらい海の向こうじゃ日常茶飯事でしょうに。いちいちガタガタ言わないでくれます? というか女子同士はよくて男女はダメなんですか」
お姉さんみたいな人が邪推するからだけど?
「そりゃダメですね」
でしょう?
「この様子じゃ話さないと帰してくれないですし、気になるのでバラしちゃいますね。
十数年ぶりの再会で、ちょいと感極まりすぎてしまって、つい出来心って奴です」
それなら納得できる、かも?
「そこは言い切ってくださいよ」
......
「なんで無言なんですか、ねえ」
さて、そろそろ時間も時間ですし纏めに入っちゃいましょうか。
「そう、ですね。あとで問い詰めに行きますけど」
あら怖い怖い。お姉さん怖くて朝も起きられなくなりそう。
「ちゃんと起きてくださいよ」
別にどうでもいいじゃない、赤の他人なんだし、気にする事の程でもないと思うのだけれど?
「武道をおさめてる時点でもうロックオンしてますけど?
......え?
「変装はできても歩き方は誤魔化せませんよ。特に古武術の体捌き足捌きは独特ですし、すぐわかっちゃいました」
あらー、お姉さんもまだ未熟ね、生徒会長として失格だわ。
「生徒会長とは一体」
さあ、なんでしょう?
「もうひとつ。一夏も昨日取材を受けたって言ってましたけど、あれも嘘ですか」
あれは本当、でも
「目的は一体なんです? まさか面白そうだったからとか言いませんよね」
面白そうだったから。
「......」
じゃ、バレちゃった事だし、お姉さんはお
でも最後に1つ、この質問には答えて貰うわよ。
「どうぞ」
君は、この学校で何をしたいのかな?
何を成そうとしているのかな?
「そんな事ですか。
俺がやりたいことはーーーーーー」
◇◇◇
「いやー、バレるなんて思いもしなかったわね」
「最近の若い子は凄いわねー」
深夜、消灯時間をぶっちぎってなお机に向かい続ける少女が2人。
暗闇の中でPCの液晶画面だけが無機質な光を投射し、キーボードを叩く音が部屋を支配している。
「で、
「んー、織斑君はともかく、河南君がグレーゾーンが多すぎるわね。どこまで使っても大丈夫そう?」
「人の恋路を妨げると蹴られそうだし、当たり障りのないことだけにしてちょうだい」
「らーじゃ」
たたたたたん、と文字列を打ち込む音がまた漆黒を支配する。
しばらくして、キーボードを叩く少女が覗き込んでる少女にふと漏らした。
「ほんと、最近のは頭おかしいわね。
篠ノ之束の妹といい、
織斑一夏君といい、
イギリスの代表候補もそうで、
貴女の妹も大概だし、
厄ネタの不法投棄じゃない。
......でも、極め付けは河南君で決まりね」
取材メモ、最後の一文。
生徒会長、
「そりゃ、例えば俺が死のうが何されようが、才能あるやつを頂点まで引っ張ってくる事ですよ。
俺はハッピーエンドが好きなんでね」
薫子「ところで、織斑くんのキャッチコピーどうしましょうか」
楯無「我が白刃の前に、万物はひれ伏し許しを請うだろう!」
薫子「深夜アニメキメすぎて頭おかしくなったの?」
楯無「だって簪ちゃんに話合わそうと思えばそうなったんだもん!」
薫子「付き合わされる私の身にもなってみなさいよこのシスコン!」