〜もしエス〜 もし女子剣道部のマネージャーがインフィニット・ストラトスを起動したら   作:通りすがる傭兵

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時間をちょっとすっ飛ばしてクラス対抗戦です。

ロラン
「忘れられている気がする......」


第17話 河南成政は実況する

 

 

《さあ始まりました! 第十回クラス対抗ISバトル大会〜!》

《イェーーーーーーーーーーーーイ!!』

《実況は私、放送部三年王大河(おう たいが)と》

《解説は一年河南成政がお送りします》

「何してんだアイツ」

「用事と言うのはコレか」

「楽しそうですわね」

 

時は過ぎて5月も終わりがけ。

クラス対抗戦、その当日。

ピットでその時を待つ1組代表織斑一夏と付き添いの篠ノ之箒、セシリア・オルコットの3人は呆れ顔でスピーカーを眺めた。

 

「ハイテンションなアイツ初めて見たかも......あんな事するんだな」

「落ち着いた人ほど本性はと良く言われますわね」

「アレはアイツなりの激励だ。素晴らしく無茶してると思うぞ」

「ならその無茶に答えねえとな!」

「では、私達はそろそろ」

「そうだな。観客席に戻ろう」

「おし、勝ってくるぜ。セシリア、箒!」

「ああ、勝ってこい!」

『それでは、出場選手のにゅーじょーですっ!』

「織斑一夏、白式、行くぜぇ!」

 

声援に応えるように高らかに叫んで、一夏は純白の翼を携えカタパルトからアリーナ(大空)へと飛び立った。

 

《ところで河南くん、なんでIS姿なんです?》

《解説には何かと便利なので》

《そういえば河南くんのISは解析に特化したものでしたね!》

《はい、なのでアリーナ全域のスキャニングをかけてます。これであの2人の情報はまるっと丸裸、な訳です》

《なるほど! 周りに浮かぶ光の輪っかでスキャニングをしていると》

《これなくてもいいらしいですよ? ただの装飾だと聞きました』

《じゃあなんでつけてるんです?》

《だってカッコいいじゃないですか》

 

 

 

◇◇◇

 

 

その長い茶髪を振り乱し、鼻息荒くマイクに向かって渾身の叫びをあげる大河先輩。

女子がそれで良いのか、それで。

 

「一年の部、最初の対戦カードは!

一組代表はIS学園の黒一点、織斑一夏ぁ!

それに対するは、

二組代表は、一年でその地位に上り詰めたさまはまさに流星、中国代表候補生凰 鈴音!」

『どちらも専用機持ちです。派手な試合になるかもしれませんね』

「これは楽しみですねぇ! ところで試合前の前評判はこちらになっております、はいドーン!」

『3:7で凰さんが有利ですか。織斑くんは男子とはいえただの一般人ですし』

「でもでも、イギリス代表候補に勝ったと言う話もありますよ」

『あの場で見てましたけどマグレです。もう一回やれば確実にオルコットさんが勝つでしょうね』

「辛辣なお言葉ですね河南くん! 同じクラスメイトなのにその物言いはどうかと思いますよ?」

『仕方ないじゃないですか本当に弱いんだから。でもセンスはあるんで、この試合勝負は五分五分だとは思ってます。一方的な展開では無いと思いますよ』

「ほうほう、随分入れ込んでるんですねぇ? もしかして......?」

『ただの友情です友情。ああほら、そろそろ始まるんじゃないですか?』

「おやこちらとした事が......

それでは、一年の部第1試合!

今、開始のブザーが......」

《それでは、試合開始!》

「高らかに響くっ!」

 

ここからは解説として、いつものように分析しながら試合観戦だ。

前情報で入手した青龍刀の二刀流対策はしてある。篠ノ之流が二刀流も学ぶ流派で本当に助かった......

謎の第三世代兵器を除けば準備万端、さあ、どう出る凰 鈴音。

 

『たあああああああああっ!』

『やあああああああああ!』

「試合開始から距離を詰めての近接戦闘、文字通り火花を散らす激しい展開だーっ!」

『凰さんの専用機《甲龍(シェンロン)》の青龍刀、双天牙月(そうてんがげつ)ですが、肉厚の幅広剣です。甲龍のパワーと相まって、二刀流の弱点である力の弱さをうまくカバー出来ている。いいスタイルだと思います。

対する織斑くんの専用機《白式》の大太刀、雪片弐型。リーチの長さを活かしてなんとか二刀流の攻撃を躱したいところですね』

「おおっとここで織斑選手引き下がる! 凰選手の気迫に押されたかっ?!」

『いや、これは......!』

『チェストォッ!』

「銀刃一閃、白い流星がアリーナを駆けるぅ! 最初に一撃を与えたのはなんと織斑選手だぁ!」

『白式の高い機動性を活かしたらしい攻撃です。凰さんの出鼻を挫くあの一瞬を狙い澄まして......てかアレ瞬時加速(イグニッション・ブースト)だろ、どこでそんなもん覚えてきたんだ、教えてねえぞ?』

「ですが試合は凰選手が引っ張っているか? 先程のように距離を取られまいと攻め立てる!」

『やはり近距離戦では双剣の甲龍が有利のようです。単純に手数が多いですからね。セオリー通りといえばそれまでですが、とても有効な戦術です』

「その剣撃をヒラリとかわして距離を取る織斑選手、このままでは先程の二の舞になってしまうが......?!」

 

瞬間、一夏が吹っ飛ばされた。

絶好のチャンスだった上、モーションも前兆も何もない不可視の攻撃。驚く顔がこの実況席からでもありありと見て取れた。

 

「距離をとった途端、織斑選手が殴られたように弾き飛ばされる! しかし凰選手の手の中には銃らしきものはない、一体どういう事だぁ?」

『うむむむ......十中八九第三世代兵器ですけど、何が何だか』

「これには織斑選手も戸惑っている様子。そのチャンスをすかさず凰選手が攻める攻める攻める! 目にも止まらぬラッシュが決まった!」

『距離を取れば不可視の攻撃、近距離では手数で圧倒される。どうする一夏?』

「おおっとここで織斑選手距離を置く。

なにやら凰選手と話しているようですが......?」

『んーとなになに、『お前の衝撃砲のトリックは見破ったぜ!』『ふん、ハッタリかましても無駄よ! ボッコボコにして謝らせて......』あ、はい、ソウデスカ』

「河南くんどうしました? なにやら変なことをおっしゃっていますが」

『動きた止まったんで、唇を読んでみただけです。ISを使えばなんとか読めるんで』

「読唇術ですか?! 一体どこで」

『マネージャーの必須技能です』

「ええ......」

『試合のほうは先程の膠着状態が続き、睨み合いになってるみたいですね』

「......っ、では試合に戻りましょう。

河南くんの言によるなら、織斑選手は不可視の攻撃、こと衝撃砲は見切ったと」

『本人曰く、『攻撃が来るのは視線の延長線上、かつ意識を集中するんだから動きも止まる。セシリアのビットと似たようなもんだろう!』との事です』

「いやそれ理屈はともかく戦闘中にわかるものなのですか? 」

『本人がわかるならわかるんでしょう』

 

正直なところ出来る奴は大概化け物だと思う。あれだよ、漫画みたいに『ハッ、殺気!』とかいって攻撃躱すフィクションじみたもんでしょ。どうしたらわかるちゅうねん俺は殺気どころか視線にすら気が付いたことも無いってのに。

 

『とはいえ、凰選手には遠距離攻撃の手段がある。これだけでも織斑選手にとっては一気に苦しい展開になります』

「あれ、でもなんで近接戦闘の時、衝撃砲を使わなかったのでしょう?

素人考えですけど近い方が当たりますし何より威力も高いのでは?」

『恐らくですが、相応の集中力を必要とするのではないでしょうか。接近戦のような一撃一撃に気を使うところでは使えないのでは?

それに白式には切り札の零落白夜がありますし、気を抜いたら即敗北ですから』

「なるほど、弱点はあるんですね!」

『はい、そこをうまく突けば逆転もあり得るかと』

 

2人のSE残量に目をやる。

白式が残り4割、対する甲龍は7割といったところ。

勝負は圧倒的に鈴ペースではあるが、一夏は零落白夜をまだ使っていない。それを使えばSEが10割だろうと紙のように斬って捨てることが出来る。

ならこの勝負、鈴ペースに見えて一夏が押しているんじゃなかろうか。

 

「おおっと織斑選手、ここで切り札零落白夜を起動! 一気に勝負をつけるつもりか?」

『自身のSEを喰いつぶす諸刃の剣ですからね。ここで切らないと負けると踏んだのでしょう』

「場内の緊張が一気に高まる! さあ、この勝負の決着は......!」

 

その時、不意に後頭部あたりがチリチリと何かを感じ取る。そして全域に張り巡らせていた探知の網になにかが引っかかった。

 

《attention! attention! 上空に高エネルギー源を感知!》

 

突然視界に浮かぶ赤い文字。

躊躇するまもなく俺は放送をアリーナ客席のみから全体へ切り替え、マイクに叫んだ。

 

『全員頭下げて身を守ってください!』

 

言い終わるか終わらないか、それくらいだったろうか。

アリーナのシールドが上空から降り注ぐレーザー光に叩き割られる、甲高い音を聞いたのは。

 

 





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