〜もしエス〜 もし女子剣道部のマネージャーがインフィニット・ストラトスを起動したら 作:通りすがる傭兵
彼の2週間、その結果は。
......とまあ、未熟ながらも一夏くんなりに出した答えをご覧ください。脳内ぐっちゃぐちゃで結構纏まりなくて少々捻くれてたりしますけど、そこを責めるんなら作者を責めるんだな!
イッチーを責めるのはお門違いってもんだぜい、さあ、バッチコイ!
「一夏緊張してる?」
「いや全く。むしろ早く戦いたくてしょうがないくらいさ」
タッグマッチトーナメント、当日。
箒や成政に頭を下げて剣を教えてもらった。
鈴やセシリアにも沢山のことを教えてもらった。
俺は沢山の人の思いを背負って此処に立っている。
そして、
「そうだね、僕もだよ。頑張ろう!」
「ああ!」
諦めを捨てて前を向く事を決めたシャルルのためにも。
成政と話したあと俺だって色々考えた。
しばらくない脳みそを振り絞って考えて、ああでもないこうでもないとフル回転させて、結局出たのはその場しのぎの苦し紛れの策がひとつ。
成政だったら。
そう考えてしまう弱気な俺は、捨てた。
たとえゴールと反対方向だろうと道半ばだろうと、その過程を、努力を笑っていいはずがないんだ。
シャルルは頑張っていた。でも頑張りが少し足りなかっただけなんだ。
その頑張りをあいつは切り捨てた、無駄だったと。
でも俺は違う、笑いたくない、誰にも笑わせない。
結果はどうあれ、やったことに間違いはないんだから。
そして、千冬姉を教官と呼ぶあいつ。
あいつは得体は知れないし、教室でも黙ってばかり。休み時間ももっぱら何かを見ているか、目を閉じてボーッとしてるだけだ。
鈴とセシリアを、仲間を傷付けた。その事実は変わらない。
それより、俺はあいつの事が
なんで二人を傷つけたのか。
なんで千冬姉を尊敬してるのか。
なんで俺を憎んでいるのか。
俺がばしっとこうだと決めてしまえばそれまでだ。今まではそれで良かったけど今は胸を張って違うと言える。
成政はシャルルを諦めたと決めつけたけど、本当は諦めていなかった。
(だったら、俺が考えたことも間違えてるのじゃないか?)
突然降って湧いた疑念。
いつもだったらそのまま流してしまいそうになるほんの小さな引っかかり。
しかし俺の直感が告げていた、コレを逃せばきっと後悔すると。
みんなを守る。
そのために俺は努力してきた筈だ。
しかしだ、逆に言えばそれは俺以外のみんなが弱いと
男だから、女より強いから。
違う。
今は世界にはISがある。
限定的だけど、女は男より強い。
現にセシリアには十回やって一回しか勝てないし、鈴とやったらもっと酷い。箒はISだったら勝てる時もあるけど、剣道じゃまだまだ土はつけられそうにない。
俺はきっと舞い上がっていたんだ。
強い力を手に入れて、調子に乗ってたんだ。
......それじゃあいつと同じだ。
力を自分のやりたいように、暴力のために振るうなんて、そんなの俺がやりたい事じゃない!
俺は考えた。
俺は本当にみんなを守れるのか?
劣った力で、ただ邪魔になるだけじゃないのかって。
だから決めた、俺は強くなる、そしてみんなを守る。
目標は変わらない。
だけど俺一人で強くなるんじゃない、みんなでだ。
独りよがりは、もう捨てる。
惨めに這いつくばろうが泥水啜ろうが関係ない。
助けるためならなんだってしてやる。
たとえ敵が強かろうが、みんなの方が俺より強かろうが何があろうが関係ない。俺は前に出て、みんなを守る。
これは俺のエゴだ、ただの俺のわがまま。
それは譲れない、そこを変えてしまったら、きっとそいつはオリムライチカであって織斑一夏じゃ無くなってしまうから。
主人公気取り? 上等じゃねえか。
99を助けて1を見殺しにする、そんなヤツに俺はなりたくないとかじゃない。
俺はただ単純に困ってる人に手を差し伸べたいんだ。
力及ばず助けられないかもしれない。
差し伸べた手を拒絶されるかもしれない。
でも。
それでも。
それでもと俺は言い続ける。
俺は何度だって手を伸ばす。
払いのけた手だって掴んでみせる。
最初の一歩が怖いなら、俺が代わりに踏み出してやればいい。
そうすれば、誰かが俺の後に続いてくれる。
守れなかったと後悔する日はきっと来る。
俺が手を掴んだばかりに不幸になる人もいるかもわからない。
それを逆手にとった罠だってあるかも。
困っている人がいる。
そこに手を差し伸べるのに、なんの理屈もありゃしねえだろうが!
俺はこの戦いで証明してみせる。
この決意が、間違ってないってことを。
そして、あいつの真意を聞きたい。
「あ、一夏!
試合が決まったって、モニター見て見て!」
第1試合
更識・布仏 ペア vs 篠ノ之・ローランディフィルネイ ペア
「のほほんさんと......箒か。応援しないとな」
「ホウキって確かポニーテールの人だよね」
「剣道めちゃ強いんだよ、それに幼馴染で付き合いも長いからな。頑張って欲しいぜ」
第2試合
織斑・デュノア ペア vs 河南・ボーデヴィッヒ ペア
この抽選結果を俺は驚きもなく迎えた。
薄々感づいてたのもあるし、成政だったらきっとこうするだろうと思ってた。
「作戦通りに、だね」
シャルルの言葉に頷いてみせる。
これくらい俺でも予想できていた。
だから、作戦だって立ててきた。
「勝つぞ、そんでもって、ガツンと言ってやれシャルル! お前が間違ってなかったって!」
「うん!」
◇◇◇
「と思ってるだろうから、宜しくね」
「貴様の言うことなど誰が聞くか」
「コレが一番手っ取り早いと思うんだけど」
「否定はしない。
ただ、貴様私が勝つと思っていないだろう」
「モチのロンよ。勝つのは一夏、そんで二回戦で箒と白黒つけてもらうつもり」
「その割には手を抜く様子は無いな。
「さあねえ、手の抜き方なんて忘れちゃったよ。それに全力を超えてもらわなくちゃ困るしね、手加減どころか
ところで対策の方は頭に入ってるよね?」
「当たり前だ」
「さすが軍人、羨ましい限りだねぇ」
「気持ち悪い」
「わあお辛辣」
「おどけるのもいい加減にしろ。......そろそろ試合が始まるぞ」
「あのさー思うんだけど、次の試合のものはピットに閉じこもってろとか、ほんんんんんんんとに不公平だと思わない?」
「準備もあるから当然だろう。何がおかしい」
「だって試合見えないじゃん!」
「見えているようだが?」
「だって中継カメラを手早くパパッとハッキングしたからね! だってこれ本気出せば国防総省くらいはいけちゃうって会社の人言ってた」
「......つくづく恐ろしいな。軍に欲しいくらいだ」
「そりゃ無理。うちの会社は民間企業、コイツの軍事利用はNGなもんでして」
「つまらんな」
「そりゃどうも。そろそろ始まるかな。
頑張れ箒ちゃーん! ふぁーいとー!」