〜もしエス〜 もし女子剣道部のマネージャーがインフィニット・ストラトスを起動したら 作:通りすがる傭兵
質問あったので一応言っておきますが、ISABキャラの出演は未定ですので、あしからず。
それではどうぞ!
初授業をヘロヘロになりながらも噛り付き、今やっとチャイムがなったところだ。まるで別の世界にいる気分。教科書を見ても目が滑るし、内容は全く頭に入って来やしない。
これは興味がないって事なんだろうなぁ、ISがいくら競技利用、スポーツ扱いって言われてても、明らかにロボだし、兵器だし。どうにも苦し紛れの言い訳にしか聞こえない。考えるたびにズブズブと深みにはまっていくようで気が滅入る。
気晴らしに誰かと話をしようにも、女子は遠巻きにしてひそひそ話ばかり、その視線は織斑と俺を行ったり来たり。ここで織斑に話しかけるにも、そこまでの勇気は俺にないぜ。思わず漏れるため息が止まらない。
「河南、一夏。2人とも少しいいか?」
「箒?ああ、いいぜ。河南、行こうぜ」
そんな時、救世主が現れた。
取り巻く人垣から一歩踏み出たのは篠ノ之。
俺は織斑と言われるままに、篠ノ之の後を連れ立って教室を出た。
「ああ〜」
人目につくから、と篠ノ之が連れ出してくれた屋上。学園は海に面してるから、少し冷えた風が気持ちいねえ。
「ひ、久しぶりだな、一夏」
「久しぶり、直ぐに箒ってわかったぜ」
「ほ、本当か?!」
「ああ、その髪型を見たらすぐにな」
「そ、そうか......ふふ」
てれてれとそのポニーテールを弄りながら、顔を赤らめて話している篠ノ之を横目で眺める。改めて眺めていると、昔とは同じようでだいぶ変わっているようだ。時の流れを感じるネー。
俺と一緒に剣道をしていた頃は髪は縛らずに流していたし、身体つきもだいぶ女性らしくなった。特にどことは言わないが。
しかし、こんな少女漫画でも見ないような事を生で聞かされるなんて、嬉しいやら悲しいやら。話ぶりから察するに、織斑と篠ノ之は幼馴染、おそらく俺が引越しした後に織斑が来たんだろうな。それで仲良く、か。まーるで
「なあ篠ノ之、調子はどうだったんだ?」
「実力はついたとは自負している。
だが、諸事情で段位認定試験も大会も出られてはいないのだ......」
先ほどの楽しげな様子とはうってかわってしょぼくれる篠ノ之。うっ、少し罪悪感が......
しかし、大会も段位試験もできない理由?
「その事情ってのは」
「俺も気になるな、大会も出られないなんて何があったんだよ」
「私の姉だ」
「姉ぇ? お前姉がいたのか......いたっけ、いたような......確かいたな」
なーんかうっすらと覚えているようないないような、どんな人だったっけ?
「篠ノ之
「正直関わりたくない人だな。
狡猾な羊っていうか、なんというか」
「狡猾な羊、ねえ」
織斑の含みをもたせた言い回しがあまり理解できない。無害そうな悪人、という事か?
「ともかく、あんな発明をした人だ。家族を拉致してまでもいう事を聞かせようとする
それで、私は偽名を名乗り、全国を転々としていた、というわけだ。ここIS学園なら安全だから偽名も名乗る必要も無い、転校ももちろんしない!」
「よし、それならガッツリ剣道出来るな」
「だな!」
どちらとも何も言わずにハイタッチ、体はだいぶ大きくなったけど性格はそのまんまだ。
懐かしくて、なんか楽しくなってきたかも。
「......なあ、お前って箒とどういう関係なんだ?」
「なんだ藪から棒に?」
「いやぁ、さっきも抱き合ってたし彼女か何かかと思って」
『会いたかったぞ、河南!』
織斑の言葉をキッカケに、先ほどの光景がリフレインする。
抱きついてきた時にはあまり意識していなかったが、思い返してみると色々な事が蘇る。
女の子らしい、華やかな香り。
モチモチとした腕に、その下に潜むがっしりとしたい筋肉。
そしてかなり特徴的な柔らかいむ......
「あああああああああ違う、違う!」
「そうなのか?」
「そそそんなことは断じてない!な!」
「そそそうだな、私と河南はただの古い友人だ!」
「昔一緒に剣道してて、気があってってだけだよ」
「そうなのか!でも俺はお前のこと知らないぞ?」
箒とは幼馴染なのになんでだ、と首をかしげる織斑に篠ノ之が代わりに説明してくれた。
「一夏が来る前に引っ越してしまったんだ。
河南がファースト
「成る程、そういやあいつ元気してっかな」
遠い目をして空を見上げる織斑、別れてしまった友人の事を思い出しているんだろうか。
東京だし、寮暮らしだもんな。そう会いに行ける訳でも無いんだろう。
あいつらも元気にしてるだろうか......
「2人とも、感慨に浸るのはいいがそろそろ時間では無いか?」
言われてみれば結構な時間が経ってるはずだけど......あ。
「やべ、そろそろ2時間目始まるわ」
「うっそだろ!?次の授業千冬姉が担当なんだぞ」
「それはかなり不味い、急ぐぞ一夏!」
「おい、手引っ張るなってってか足速っ!」
どさくさに紛れて手を掴むその大胆さ、嫌いじゃないよ。俺は
時間ギリギリだからか人の波もだいぶ引いていて、走る分には問題はなかった。1年1組の教室が見えてきて、そのまま前扉の開くのを待たず滑り込むように飛び込んだ。
「セーフ、セーフ!」
「アウトだ貴様ら。3分前には着席していろ」
「がっ!」
「あべしっ!?」
「あっふん!」
出席簿は竹刀よりも痛い、知りたくない事実だったね。
そして3時間目、相変わらず殺人レベルの授業進度である。ノートを平然ととっている周りに習って文字は書き並べてはいるが、何が大切でそもそも何をしているかが分からん。
そもそも俺は今何をしているんだろうか。
「と、ここまででわからない人は居ますか?」
授業をしている山田先生には申し訳ないが、聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥とも言う。
ここは恥を忍んで一から十まで説明を、
「はい!」
「織斑くん、どうしました?」
「先越されたっ!?」
高々と手をあげる織斑が次に言い放った一言は、
「ほとんど全部わかりません!」
俺の言おうとしていたこととほぼ同じだった。
ブルータス、お前もか......これ使い方違う気がするけど。
「ほ、他にわからない人は」
「一から十までわかりません!」
「ふえええええええ」
そのまま織斑に便乗する形で手を挙げたが、涙目になって情けない声を上げる山田先生を見ていると申し訳なく感じる。
「織斑、河南。参考書は読んだか」
先ほどより3割り増しで冷めた口調の織斑先生がそう問いかける。参考書ってあの赤い表紙のやつよな。
「読んだけど全然サッパリで......自分の努力が足りないんですかね」
「アレは初歩の初歩なのだがな。まあいい、放課後に補習枠を設ける、1ヶ月以内に追いつけ」
「あら優しい」
「生徒を見捨てるのは教師として失格だろう?」
そう言ってシニカルに笑う織斑先生は、流石元世界最強とでも言うべきだろうか、とても板についていた。
(バンバン生徒の頭ぶっ叩いて無かったらかっこいいセリフなんだけどなあ)
余計な事がなければ、の注釈はつくけど。
前から視線を感じたので向き直ると、前の席の織斑が何故か青い顔で脂汗を垂らしながら此方を向いている。
それだけで何があったかだいたい理解した。
大方読んでないか家に忘れたか、そもそも存在を知らなかったか。ま、ご愁傷様だな。
「織斑、黙ってないでなんとか言え」
「で、電話帳と間違えて捨てちゃいました......」
「馬鹿か、必読と書いてあっただろうに」
「あんの分厚さで参考書だと思うかっての!」
「貴様の常識などここではカス以下だ。郷に入れば郷に従え
「あいたぁ!」
また無慈悲な出席簿が頭に振り下ろされる。
織斑の頭、卒業の頃には割れてるか禿げてるかしないか心配だな。