〜もしエス〜 もし女子剣道部のマネージャーがインフィニット・ストラトスを起動したら   作:通りすがる傭兵

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IS学園を訪れた箒、M、オータムの3人。
彼らを待ち受けていたのは果たして......?


第43話 新たな出会い?

 

 

 

 

 

「まさかこんなことが起こるなんていや可能性はないわけじゃなかったがそんな天文学的な確率が成立する可能性の方が低いというか低すぎるというかなんというかあばばば」

「一人混乱してないでどうにかしてください!」

「糸使うとこの速度じゃ細切れ肉になっちまうし無理」

『諦めろ』

「なんでそこで正気に戻る!」

「あはははははははははは!」

 

無責任な隣のオータムに殺気すら覚えつつ、全力に近い速度で廊下をかける箒たち。

振り向くと、同じく全力疾走する人物の姿を認めた箒はギアを1段階あげた。

 

「どうしてこうなったのだ!」

『知らん!』

 

話は数分前、彼女達が第3アリーナで出逢った時に遡る。

 

 

 

 

「お前は、誰だ」

 

そう問いかける声も、驚く顔も、全てが同じだった。

 

「......お前は......私?」

 

鏡写しのように瓜二つな少女が2人。その周りの男女も同じく、驚きで固まっていた。

 

「違う、貴様は誰だ!」

 

箒は自分と瓜二つの少女に問いかける。するとあちら側も同様にこう返してきた。

 

「お前こそ誰だ! 名を名乗れ!」

「わ、私は篠ノ之箒だ、それ以上でも以下でもない!」

「嘘だ、そんなはずはない」

 

自信を持った口ぶりで相手がそう断じた。それに若干苛立ちを覚えた箒が言い返す。

 

「何様のつもりだ! 私は篠ノ之箒だ、それに文句をつけられるものなど誰1人存在しない!」

「私が篠ノ之箒だ、同一人物が2人もいてたまるか!」

 

胸に手を当て、もう片方の手を振り感情を露わにする少女は自分の名を名乗る。

「どういう、ことだ」

 

あまりにも突飛な事態に困惑を隠せない箒。そこに助け舟を出そうとするオータムが一歩進み出て言う。

 

「ま、これには深い訳があるわけよ。なっ」

「この前は上手く騙されたがそうはいかんぞ!」

「そうよ、私達を騙そうってたってそうはいかないんだから!」

 

背後にいた金髪の少女も騒ぎ立て始める。

なんのことやら、と首を傾げていたオータムであったが思いついたように手を叩いて、

 

「まあ騙し騙されはよくやるけど今回はそんな企画じゃ......」

「うるさい! 御用だファントムタスク!」

 

なにやら血気だった様子の相手方を見て只事ではなさそうだと悟るM。どうするんだ、という意を込めた目線でオータムの方を見やると、

 

『大丈夫か?』

 

とてつもなく青い顔をしていた。

まるで言い当てられたくないことを言い当てられてしまったような、完璧な証拠を吐き出してしまった犯罪者のような、そんな顔を。

 

「その顔は図星みてえだな、オータムさんよ」

「散々今までやってくれたな、覚悟しろ!」

 

付き添っていた背の低いがっしりとした体格の男が決めつけるように言い、それにもうひとりの箒が加勢する。

ジリジリと詰め寄ってくる相手を見かねて箒はオータムの肩を叩いて助けを求める。

 

「おい、どういうことだ、なんとかならんのか!」

「......な」

「な?」

「なんでそれ知ってるんだよおおおおおおおおお!」

 

オータムは脱兎のごとく逃げ出した。それはもうすごい速度で。

 

「ちょ、待て!」

「逃げたぞ!」

「逃すな、追うんだ!」

 

そして舞台は冒頭へ巻き戻るのである。

 

 

 

 

「......はっ!」

『オータム は しょうきに もどった !』

「おい、一体どういうことなんだ、説明しろ」

 

焦点の定まらなかったオータムの目が正常のソレに戻ったのを確認して、箒が声を張り上げる。

 

「......あー、うん、何を?」

「トボけるな。急に走り出した理由、混乱した訳、色々あるだろう!」

「まー、そっか、そうだよな」

 

急にバツの悪そうな顔をするオータム。これにはMも心当たりが無いようで不審げに顔を見上げていた。

 

「説明しなきゃダメ?」

『しろ』

「......はぁ」

 

曲がり角を半ば壁を蹴り飛ばすように曲がり、階段を上から下まで3段飛ばしで駆け上がる。その全力疾走の中でも息ひとつ切らさないのは訓練の賜物か、恵まれた才のお陰か。

オータムは器用に全力で走りながら、なおかつ腕を組んだり頭を抱えたり忙しい様子でさえも速度を落とさす悩むそぶりをしながら、苦々しい顔で回答を絞り出す。

 

「......若気の至りっつーか、青春のいちページつうか。あん時は頭が茹ってたとしか思えないんだけど......まあ、女性優遇の気運もあったし浮かれてたんだろうな。

 

ぶっちゃけいうとテロリストしてました!

終わり、閉廷、以上、これで解さn」

『そこ詳しく』

「なあああんんでだよMぅ!」

『私が気になるから』

「そういやこれお前知らなかったなくそったれ!」

 

ああもうどうにでもなれ、と顔を赤らめながらオータムは続けた。

 

「昔ファントムタスクっつう名前でスコールと2人でテロリストやってたんだ! そんでウッカリ捕まったところで、兼政に面白いことやらねえかってふっかけられて今に至ります、はい!」

「......そんなに恥ずかしい事か?」

「お前らでいう中二病とかそういうのだ! マジでどうかしてたよほんとに思い出したくもないくらいなんだ!」

「そんなものか?」

「そんなもんだっ!」

 

だいたい人間隠したい過去の一つや二つだな、とオータムが言おうとしたところで、箒が派手に吹き飛ばされる。

 

「ぐふっ!」

「うわあっ!」

 

がしゃんとなにかが砕けるような音がして我に帰った箒は、すかさずぶつかったであろう相手を探す。

 

「うう、メガネ、メガネ......」

「すっ、すまない、前方不注意だった!」

「その声はほーちゃん? ごめん、メガネ探すの手伝ってくれない? メガネないとほんと何も見えなくて」

「そ、そうだな、そうしよう!」

「でも走ってたんなら急いでるんでしょ?

別にゆっくり探すからさ」

「いや、しかしだな......」

「おい篠ノ之急げ! そいつに構ってる暇なんざねえよ!」

 

急き立てるオータムと、覚束ない手つきでメガネを探す青い髪の少女。義理堅い箒がどちらを取るかはいうまでもない。

 

「どんなのだ?」

「最近買い換えたやつ。青いフレームで、またレンズが分厚く......あれ、これ昨日も説明したような?」

「わかった!」

 

しかし衝突の衝撃で遠くまで吹き飛んでしまったようで見当たらない。

 

「......そういえば、なんかほーちゃんよそよそしいね。イメチェン?」

「そ、そう、だな、うむ、そうだ」

「......むー」

 

細めた目をさらに細めて、疑り深い目を向けてくる青髪の少女にタジタジとする箒。

その勢いに押されて一歩下がってしまったところで、なにかを踏んづけたように金属性の音がした。

 

「......まさか」

「あああっ、私のメガネ!」

 

少女が拾い上げたのは、レンズが割れフレームもめちゃめちゃに折れ曲がってしまったメガネ。探し物の無残な姿に、思わず涙ぐむ少女。

 

「......ふえっ」

「なななな、泣くな、泣くんじゃない! 悪かった、私が悪かったから!」

 

だが、今回ばかりは間が悪かった。

 

「いたぞ、逃がさんぞ私の偽物め!」

 

そのタイミングで角から息を切らせたもう1人の箒が走り出てきたのだ。違った方向から聞こえる全く同じ声、混乱しないわけがなかった。

 

「あれ、ほーちゃんが2人。どゆこと?」

「くっ、説明は後だ! 急げ!」

「ちょ、ええっ! 」

 

少女だけでなく箒も若干混乱していた。この後でしっかり説明するからという律儀な性格が別方向に発揮され、なぜか少女を肩に担いで走り出したのだ。

 

「ちょ、パンツ見えちゃうからああああああああああ!」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「よし、なんとかなった!」

 

ふう、と額に流れる汗を拭うオータム。

その目の前には屋上の出口と、そこに山と積まれたロッカーや清掃道具、ベンチなどが積み重ねられていた。

 

『これだけあれば、人間程度ではビクともしないな。ISを持ち出されたらそれまでだが』

「んー、あちらさんの良心に期待すっかな」

『マトモな奴は壁をぶち抜きはせんか』

「......おい、なんでこっち見るんだよ!」

 

またいつものように騒ぎ立てる2人を横目に、箒は今まで担いでいた少女を残り少ないベンチの上に置く。

 

「ほーちゃんがひとり、ほーちゃんがふたり、ほーちゃんがさんにん......」

「ふん!」

「あいたあ! 何するんだよ親父にも打たれた事ないのに!」

 

いつも皆にするように頭を叩いて正気に戻すと、膝を折って目線を合わせる。

 

そして、深々と頭を下げた。

 

「......すまなかった。こんなことに巻き込んでしまって」

「ええ......ええ?」

「だが聞いてほしい、これには深い訳があるのだ」

 

何故かむむむ、と首をかしげる少女。そしてしばらく唸っていたかと思うとパチンと指を鳴らし顔を上げた。

 

「わかった! あなたはほーちゃんの生き別れの双子の姉妹とかそういうのなんだね!」

「..................うん?」

「ふっふっふ」

 

どこからか取り出したハンチング帽とトレンチコートを身につけ、古臭い煙草パイプを口に加えてカッコよくキメポーズを決めた少女。

 

「じっちゃんの名にかけて、この事件必ず解決してみせる! たった一つの真実求める迷宮無しの名探偵!」

「......なんか色々混ざってないか」

「そこ野暮なツッコミしない」

仕切り直すように咳払いをすると、少女はまた名乗りをあげた。

 

「その名は、迷探偵立花リッカ! 私が、1話分持たせてみせる!」

「おい最後」

「ふっふっふ。知らないようだねワトスン君......じゃなかったもう1人のほーちゃん」

 

リッカと名乗った少女はサムズアップすると、てへぺろとちょびっと舌を出して照れ臭そうに頭をかく。

 

「私、事態を(こじ)らせるのに関してはこと天才的なんだよね」

「......」

 

静けさとはまた違う小寒い沈黙が場を支配する中ふと、箒はこんなことを思った。

 

(実はこいつも成政の兄の仲間なのではなかろうか)

 

もちろんそんな事はない。まったくもって赤の他人である。

 

 

 

 

 

「へっくし!夏風邪かぁ? ちょっとティッシュティッシュー、これでいいや」

「ちょ、それ書きかけの設計図あああああああああああああああああ!」

「全く、騒がしいな......」

「ほんとそうだよね、黙れよ」

 

 

 

 

 

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