〜もしエス〜 もし女子剣道部のマネージャーがインフィニット・ストラトスを起動したら   作:通りすがる傭兵

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もうすぐ終わるといった割には長引くばかりの最終決戦。

スパロボ時空は悪役のバーゲンセールでラスボスの残機が尽きないんじゃぁ......

これだけ大量の情報提供、アイデア出しをしてくれるたけじんさんに感謝を。


第49話 吼えろ、ゲッター!

 

 

 

 

「んじゃ、張り切って行くぜぇ!」

 

戦闘の先陣を切ったのは白式、パイロットは織斑一夏。叫ぶや否や瞬く間に二体、三体と襲いかかる機械獣を切り捨てた。

 

「背中は任せて!」

 

大ぶりの攻撃になりがちで、隙の多い一夏の背中は攻撃防御なんでもござれのシャルロット。ビームをシールドではじき返し、ライフル弾の雨のお返しを食らわせる。

 

「負けてらんないわね、そりゃあっ!」

「背中がお留守でしてよ」

 

一夏に負けじと突っ込む鈴の背中は、セシリアのビットが防御を固める。

「事情は知らんが背中は任せろ。師匠のためだ」

『助かるぜラウラ!』

 

少し疲れの見え始めるゲッターには、経験豊富なラウラがカバーに入る。

 

『しかし、即席コンビなんてそう簡単にうまく行くはずがない。下手に巻き込むことになるぞ』

「確かにそうだ。だが師匠に常識は通用しない、だろう?」

『まったくもって仰る通り』

 

時折くる敵の攻撃をさばくだけに徹していた成政が動く。

 

『しょーじきな話、君たちの世界と比べて、俺たちは平和な日常を満喫している。実戦経験という点では劣るわけだ。

でも、相手を知り、自分を知ればどんな戦いも勝つことができる。そんな諺があるんだよ』

『それは、いったい?』

『こういうこった。解析終了!』

 

一瞬、一夏たちの動きが鈍る。その隙を残酷で冷酷な機械獣が逃すはずもない。

 

『おいっ?!』

『心配ご無用っ』

 

驚きの声を上げる武蔵を成政は笑って制した。

 

『こいつがマネージャーの本気だ!』

 

 

迫り来る弾丸の嵐。

紙装甲の白式が受ければ、SEはあっという間に底をつくだろう。シャルロットのカバーも距離が遠く間に合わない。

そんな状況で、一夏は笑った。

 

「たしかに、受け取った!」

 

一夏が軽く身をひねり、剣を少しだけ振りかざす。

 

それだけで弾丸の嵐は、一夏を通り過ぎていった。

 

「なっ、あの攻撃を避けただとぉっ! ど、どんなイカサマを使ったんだ!」

「そいつは違うぜ」

 

ブロッケン伯爵の驚く声に、一夏が言い返す。

 

「あいつは、敵を解析し、そのデータを俺たちに送ってきた(ちょっと重かったけど)。俺と白式はそいつを活用しただけだぜ?」

「解析、だとぉ?」

「長所、短所、弱点、攻撃手段、その方法、狙う場所の癖。敵のあらゆるモノを全部把握したんだ。俺たちに生半可な攻撃は通用しないぜ?」

「ええい、ハッタリを言ったところでどうしようもない、撃て撃て!」

 

攻撃の雨あられ、ありとあらゆる攻撃は広範囲に降り注ぎ派手な煙を上げてあたりを覆い尽くす。

だが、成政はニヤリと笑う。

 

『そういうのは、得てしてでかい隙を作るもんなんだぜ?』

『おっしゃ、行くぜ行くぜ行くぜぇ!』

 

武蔵の雄叫びとともに、3機の戦闘機、ゲットマシンが煙を切り裂くように飛び出す。

 

「むうっ!? あの戦闘機は、まさか!」

『反撃するなら今だ、チャンスはのがさん!』

『簪、出番だぜ!』

『オッケー、さっきから暴れたくてうずうずしてたから。

チェンジ・ライガー! スイッチオン!』

 

驚くブロッケンをよそに3機のゲットマシンがライガー号を先頭に、ポセイドン号、ドラゴン号の順番に垂直に上昇しつつ、簪の叫びと共に合体。

ライガー号の両サイドから腕が生え、ドラゴン号のメインノズルが伸びては足になるという物理法則を無視したような合体変形を経てはゲッターロボGのスピード型形態の、ゲッターライガーに合体変形が完了する。

 

「えっ、何だ今の?」

「ISが分離して、変形合体したっての!?」

「これは......クラリッサから聞いた事がある、もしやこれがジャパニメーションの誇る変形合体ロボという奴か!」

「いやラウラ何言ってんの?」

「というか、遠目に見ましたが物理法則もあったもんじゃありませんわよね」

『......まあ、細かいことは気にしない!』

 

今のゲッターの合体変形を見て、一夏、鈴、ラウラ、シャルロット、セシリア、そして成政の順に驚きながらの感想を述べ合う。異世界から来た方の彼らが初めてゲッターのあの無茶苦茶な合体変形を見たのだ、それも仕方のないことだろう。

 

しかしそれには構うことなくゲッターライガーを操る簪はスラスターを噴かして空を駆ける。

 

『目標補足、まずは数を減らす。こいつでハイスピードで爆破してあげる!』

 

そう叫んだ簪は、ドワォ! という擬音が付きそうな悪そうな笑みを浮かべた。

原因は姉や実家の事で溜め込んでいたストレス、さらにゲッターに乗った事と動力源のゲッター線を浴びた影響なのか、悪人じみた顔とワイルドさを見せることがよくある。

 

「ええい、ゲッターチェンジしようが構わん! 撃て撃て、叩くのだ!」

 

杖を構えたブロッケンの号令と共に、機械獣たちが一斉にビームや鉄球、あるいは火炎や弾丸を飛ばし、あるいは格闘戦を挑まんと突っ込む。

だがそれでも、

 

『遅い』

 

ライガーはその全てを置き去りにした。

かすることもなく攻撃をかわし、

 

『連続で行くよ、ライガーミサイル!』

 

左腕のパーツが開き、その中からミサイルが吐き出されことごとくが機械獣にヒットしていく。

 

「凄い、なんて速さだ」

「しかもあれだけの超スピードで飛んでいるのに攻撃は正確に、相当凄いよ!」

「あのIS、確かさっきゲッターライガーとか言っていたな。凄まじい性能だが、パイロットの技量もなくてはあそこまでは引き出せん。一度手合わせ願いたいものだ」

『喋ってないで手動かしてくれない?』

 

一夏、シャルロット、ラウラがゲッターライガーの戦いぶりを見てまたも驚きながら考察する。

やはりそれ程までに別世界の彼らから見て、ゲッターは驚異的なのだ。

しかし、それでも倒しきれなかった機械獣もおり、ダメージを受けつつも体勢を立て直そうとする。取りこぼしは一夏や成政が対応しているとはいえ、少し手が回らないのが現状だ。

 

『こいつら、今のでまだ動けるのがいるのか?』

『チッ、しぶといぜ!』

『まだ、終わりじゃない!』

 

機械獣を爆撃したゲッターライガーは止めていた足とスラスターを再び動かし、今度は右手を引っ込めてドリルに変形、高速回転させながら機械獣軍団に音速で迫る。

 

『さっきのは弱らせただけでも充分!これが本命の、ドリルアームッ!』

 

その凄まじいスピードで右腕のドリルを突き出して迫るライガーは、さながら放たれた矢のよう。そのドリルはひときわ大きな機械獣の一体を胴体から穿った。

 

『まだ終わりじゃない!』

 

簪のその叫びを合図に、更にスラスターの出力を上げるライガー。

 

『よし、行けぇぇっ!』

『そのまま貫けぇぇっ!』

 

そして遂にそのドリルで機械獣を撃ち貫き、胴体に大きな風穴を開け、その後続の機械獣も同様に穿っては貫いてゆく。

そしてゲッターが離れて着地した頃には、穿ち貫かれた機械獣の全てが爆発した。

 

『ドリルに貫けぬものは無し。このロマンは、天を衝くロマンなんだから!』

 

直後に何やら決めゼリフのように、ポーズを決めつつ簪は言い放った。

 

『......どうしたんだ簪は』

『あれじゃね? リッカから聞いたけどよ、ドリルは男のロマンてよく言われるけど、自分みたいな女にとってもロマンなのにって、愚痴言ってたってよ』

『それは一部の女子ぐらいなものではないだろうかと......』

 

ヒーローオタクでアニメオタクな簪のこだわりだったが、それに疎い箒には呆れられてしまうのだった。

 

「凄い、あのドリル凄い! 」

「あ、ISにドリルを装備するなんて、聞いた事ないんだけど!?」

「もう驚きません、驚きませんわ......」

「そう言えば以前クラリッサに聞いた事があるな、ドリルはロマンだと!」

「ラウラ、落ち着いて」

『だから働け』

 

そしてこれを見て、興奮と戸惑いを見せる一夏たち。そして近場の一体を若干涙目になりながら撃破する成政。

 

「ぐぬぬ、相変わらずの超スピード戦法ながらあんな大胆な事までやりよるとは!」

 

そして自慢の持ち駒をこの様に連続で破壊されたブロッケンは、ライガーを簪の戦いを認めつつも悔しがった。

 

『もう残りも少ないな......では、少ない残りは私に任せてもらおうか』

『ほいきた、頼んだぜ』

『ふう、それなら任せたよ』

『では、行くぞ。オープン・ゲット!』

 

今度はゲッターライガーからそれぞれのゲットマシンに分散し、ドラゴン、ライガー、ポセイドンの順で合体体勢に入る。

 

『チェンジ・ドラゴン!スイッチオーン!』

 

箒の叫びと共に、ドラゴンに合体したライガー号の左右のノズルが両腕に変形し、最後に合体したポセイドン号の左右のノズルが両足に変形しては、ドラゴン号の機首が開いては頭部パーツに変形、これでゲッタードラゴンへの合体変形は完了する。

 

『さあ、ここからは私が相手だ!』

 

ゲッタードラゴンは装備されている斧、ゲッタートマホークを伯爵へ突きつけた。

 


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