初投稿で下手クソなので大目に見ていただけると嬉しいです。 アドバイスや感想お待ちしています。
よく『大切なものは失って初めて気づく』と言うけど、別に失う前に気づく人もいると思ってた。
少なくとも俺は、気づいているつもりだった。
竜王戦で名人に3連敗した時、俺は自分の将棋を否定され失った。
あいにも、姉弟子にも酷い態度を取ってしまった。
でも、そのおかげで、俺は大切なものに気づいた。
それ以降からだろうか、最近姉弟子がとても可愛く見えて仕方ない。
最初は、釈迦堂さんの所で姉弟子のドレス姿を見た時だった。
その時は、見慣れない姉弟子のコスプレ姿が新鮮で可愛いと、感じたんだと思っていた。
だが、最近では、いつものセーラー服の時の姉弟子でさえ可愛いと思ってしまう。
そんな中、今日はあいが師匠の家で天衣とJS研のみんなでお泊まり会をするらしく、家には誰も居ないので、姉弟子と一対一で将棋をすることになっている。
「ししょー!それでは、行ってきますね!」
あいは、玄関で靴を履きながら言ってきた。
「ああ、師匠や桂香さんに迷惑かけないようにな」
「はい!行ってきます!!」
あいは元気よく返事をし、お泊まり道具を入れたリュックを背負い家を駆け足で出ていった。
昨日、とても嬉しそうに準備をしていたし、相当楽しみだったんだろう。
俺はあいを見送った後、将棋を指そうと七寸盤の前に座ろうとした時にチャイムが鳴った。
「どちら様ですかー」
正直来る相手は予想できていたが、もし違う人だったら失礼になってしまうと思い、丁寧返事しながら玄関へ向かう。
「私」
一言だけだがすぐに姉弟子だとわかった。
「姉弟子ですねー今開けますから」
「遅い」
「えっ!結構早く開けませんでした?」
「うるさい、早く入れろ」
「すいません、どうぞ入ってください」
俺もいつものように、軽く謝り姉弟子を中に入れた。
俺はさっき、座ろうとした七寸盤の前に座ると、自ずと、姉弟子も向かい側に座る。
「早速ですけけど、始めて大丈夫ですか?」
「大丈夫よ」
姉弟子の声は、いつもより落ち着いていて勝負モードに入ったのがわかった。
「姉弟子、そろそろ休憩しませんか?」
あれから3時間ぐらい経っただろうか、切りがよくなったので、姉弟子に提案してみる。
「そうね」
流石に3時間ぶっ続けは少し疲れたのだろう、姉弟子
は力を抜き体勢を崩す。
「そうだ!姉弟子、お茶飲みませんか?俺、淹れてきますよ」
「いい、八一お茶淹れるの下手だから自分で淹れる」
「……そうですか」
そう言って姉弟子は立ち上がり台所のほうへ歩いていった。
何か言い返そうと思ったが、俺がお茶淹れるのが下手なのは、事実なので何も言えなかった。
姉弟子がお茶を淹れている間、俺はその姿に見惚れてしまた。
姉弟子の銀色の髪の毛が窓の隙間から入って来た光を反射し、銀色に輝くその髪は、姉弟子がすこし動くたびに、揺れその輝く髪の毛先まで見えた。
それが、とても綺麗で目が離せなかった。
「八一、お茶菓子ある?」
「あ、ありますよ」
姉弟子に急に声を掛けられ現実世界に戻って来た俺は、この間買った栗羊羮を2人分手に取り、姉弟子の方に持っていった。
「栗羊羮でも大丈夫ですか?」
「大丈夫、私も好きだから」
そう言い羊羮の包装を開け、食べやすいように切りはじめる。
「俺、あっちまで運びましょうか?」
「お願い」
姉弟子は、切り終わった羊羮の皿をこちらに渡し湯飲みにお茶を入れ始めた。
俺は、その皿をテーブルに運び終わると、その少し後に姉弟子がお茶を持ってきた。
「はい」
「ありがとうございます」
俺の前に置かれたお茶は、とてもいい香りを部屋全体に広げ今すぐにでも飲みたくなった。
姉弟子が座るのを確認した後、俺と姉弟子は手を合わせて
「「いただきます」」
そう言った後、俺は早速姉弟子が淹れたお茶淹れてを飲む、熱いお茶が喉を通り、ほどよい苦味が舌刺激してとても美味しい。
「姉弟子!このお茶凄く美味しいです!!」
「……ありがと」
俺は素直な感想を言ったが、少し照れているのか、それを隠すようにお茶を飲む姉弟子
「昔、よく2人で食べましたね」
「懐かしいわね」
「あの時は桂香さんがよく、お茶と羊羮を持ってきて2人で食べなさいって」
「そうね」
そう言って姉弟子は羊羮を口に運ぶ
小さな口がもぐもぐ動いて、そんな姿が、とても可愛いと思ってしまった。
思うだけならまだ、よかった。
「姉弟子は可愛いなぁ」
「えっ!?」
「だから、姉弟子は綺麗だし可愛いなって」
俺はさっき思っていた事が口から出てしまった。
いつもなら、思っていても口が滑ることなんて無いのにどうしてだろう?
もしかしたら、この少し懐かしい空間が俺の気を緩めて、つい言ってしまったのかもしれない。
「………………」
姉弟子は顔を真っ赤して黙っている。
いつもなら、すぐに何か罵声を浴びせてくるのに何も言ってこない、これは、相当怒っていると思った。
「ごめんなさい!姉弟子!俺から言われても嬉しくないですよね、気持ち悪い事言ってごめんなさい」
俺は苦笑いを浮かべなが謝る。
「…………ばか」
「なんですか?聞こえませんでした」
姉弟子の声があまりに小さくて聞き直してしまった。
「八一のばか!! だいっきらい!!!」
大声でそう言いながら、走って姉弟子は家を出て行く
「あ、姉弟子!待ってください!」
俺は姉弟子を呼び止めるが耳に入ってないのか、姉弟子は止まらなかった。
「……大嫌いって言われた」
そんな独り言が静かな部屋に響く
さっきまで、とても和やかな空気だったのもあり、その言葉は俺に結構なダメージを与えた。
その日は、姉弟子のことが頭から離れなかったから、将棋をして姉弟子のことを考えないようにした。