あと、1話、2話だと少し味気ないのでサブタイトル付けるようにします。
感想、ご意見頂けると嬉しいです
「ししょう!聞いてるんですか!」
「ご、ごめん、なんだっけ?」
あいの声で俺は現実に引き戻された
「最近、ずっと上の空です!」
「そ、そうかな、ごめん」
「…………女ですか」
あいの雰囲気が一瞬にして変わり俺の方をじっと見ている
「ち、違うって!」
「それならいいですけど」
あいはいつも雰囲気に戻り言う
「……それじゃあ私、学校に行って来るんで」
「い、行ってらっしゃい」
あいはとても不機嫌そうに家を出ていった。
「やっぱりそう見えるよな……」
あいに言われなくても自分が最近上の空なのは気がついていた。
「……姉弟子」
あの日以来俺は姉弟子のことばかり考えていた。
頭の触り心地は今でも忘れられない
あいの頭を撫でて気を紛らわせようとしたが姉弟子への気持ちが治まらなかった。
「やっぱ好きなのかな……」
俺はこの気持ちがよく解らない、恋愛感情なのか、家族愛なのか、それともただ小動物的に可愛がってるだけなのか
俺がそんなことを考えてると、家のチャイムがなった。
誰だろう?今日は平日だし宅配便だろうか?
俺はそう思いながら玄関に向かう
「はーい」
そう言いながら開けたドアの先に立ってたのは予想外の人物だった。
「あ、姉弟子!どうして!」
「元気になったら将棋するって言ったでしょ」
姉弟子はそう言いながら家の中に入る
「今日、平日ですよ学校はどうしたんですか?」
「創立記念日で休みなの」
「姉弟子の学校は創立記念日が一年に何回もあるんですね」
「うるさい、今日のはホントよ」
姉弟子は学校を休む時、創立記念日と言うので今日が本当の創立記念日なのか、わからなかった。
「まあ、いいですよ。体調は本当に大丈夫なんですか?」
「うん、おかげさまで」
姉弟子は将棋盤の前に座るや否や駒を並べ始める
「姉弟子、ひとつ勝負をしませんか」
「なに?」
姉弟子は駒を並べながら聞く
「将棋で負けた方が勝った方の言う事をなんでも一つ聞く、なんてどうでしょう」
「な、なんでも!」
姉弟子の駒を並べてた手は止まり俺の方を見ている
「はい、なんでもです」
「……わかった。受けて立つ」
「じゃあ、五番勝負でいいですか?」
「いいけど、もちろん先行は譲ってくれるんでしょ?」
「いいですよ」
そう言ってる間に駒は並べ終わっており、始める準備は整っていた。
「「お願いします」」
俺と姉弟子は声を合わせて言い対局が始まった
「負けました」
「ありがとうございました」
姉弟子の投了で対局は終わり、結果は俺の3連取で終わった。
「………………」
姉弟子は負けて不貞腐れて黙っている
「そ、そうだ!姉弟子そろそろお昼なのでご飯にしませんか?」
「……うん」
「俺が作りましょうか?それともどっか食べに行きます?」
「……私がやる」
「え?」
俺は耳を疑い聞き返す
「私が作るから八一は座ってて」
「う、家今食材無いですし、どっか食べに行きましょうよ」
「まってて、見てくる」
姉弟子はそう言うと冷蔵庫の方まで行き中身を確認する。
「結構有るじゃない、これだけ有れば普通に作れるわよ」
そうだった。あいが来てから手料理中心になったから食材は買い置きしてるんだった。
「あ、姉弟子は座っててくださいここは、弟弟子である俺が作りますから」
「大丈夫、この前桂香さんと料理の特訓してちゃんとお墨付きを貰ってきたから」
「それならいいですけど……」
姉弟子が料理をすると、料理のような何かを作ってしまうので心配だったけど、桂香さんのお墨付きなら少しは安心できる。
「八一、何か食べたいのある?」
「姉弟子におまかせします」
「そう」
正直いくら料理の特訓をしたとはいえ、どこまで料理の腕が上達したかわからない
少なくとも前よりは酷くないと信じたい。
「あ、姉弟子なにか手伝うことはありますか?」
俺は姉弟子の料理が気になって聞いてみる。
「だいじょうぶ、八一は座ってていいよ」
「うっ、わかりました」
俺は、観念しておとなしく待ってることにした。
「すごく手際がいいな……」
いつもの姉弟子からは、想像できないくらい手際が良くビックリした。
それに、いつも臭う変な刺激臭もしない、もしかして本当に大丈夫なのだろうか
「八一、運ぶの手伝って」
「わ、わかりました」
どんなものができたか、ドキドキしながら俺は台所に向かう
「……オムライスですか」
「なに、悪い?」
俺の反応が気にいらなかったのか少し怒り気味に言う
「ほら、早く運んで」
「は、はい」
オムライスをテーブルに運び、姉弟子と向かい会うように座る
「い、いただきます」
「召し上がれ」
姉弟子は俺の感想を待っているのか自分は食べずに俺の方を見ている。
見た目は普通のオムライスだったが、味はわからないので、まだまだ安心はできなっかった。
俺は恐る恐るオムライスを口に入れた。
「美味しい……美味しいですよ姉弟子!!」
「……ありがと」
姉弟子は嬉しかったのか少し顔を赤くし眼を逸らして言う
「それにしても、どうしてこんなに急に料理うまくなったんですか?」
「桂香さんが、私は料理をレシピ通りに作らないから美味しくならないって」
「何かアレンジでもしてんですか?」
「八一、食生活偏ってそうだったから、体に良さそうなの片っ端からいれてた」
「そ、そうですか……」
俺は姉弟子が何を料理に入れてたか気になったけど、聞くのが恐ろしくてそれ以上追及しなかった。
「そう言えば八一、さっきの勝負のやつ、私なにすればいいの?」
ご飯を食べ終わり少し休憩してる時に姉弟子が思い出したように言う。
正直自分からは言い出し難かったので姉弟子から言ってくれて助かった。
「じ、実は、頭を撫でさせてほしくて……」
「え!?」
姉弟子はお茶を飲んでいた手を止めて言う
「この前、姉弟子が熱出した時に俺が頭撫でてたじゃないですか、実はそれ以来もう一回撫でてみたいなって……」
姉弟子は俯いてこっちを見ようとしない
「ご、ごめんなさい急に気持ち悪い事言って、やっぱり嫌ですよね!」
「……いいよ」
姉弟子は俺にギリギリ聞こえるぐらいの声で言う
「……隣行ってもいいですか?」
「うん……」
俺は自分の座ってた椅子を姉弟子の隣まで持って行き、そこに座った。
「……それじゃあ失礼しますね」
ゆっくりと姉弟子の頭の上に手を置き髪を撫でる
「んっ…………」
姉弟子は少し声を出すが、恥ずかしいのか、それを隠すようにすぐ黙る
「姉弟子、痛くないですか?」
「……ううん、痛くない」
姉弟子はそう言うと俺の体の方に体重を掛けてもたれかかってくる。
正直超かわいい、なんだこの生き物。
「ねぇ、姉弟子」
「……なに」
「昔、よくこうして姉弟子の頭を撫でてましたね」
「……そうだっけ」
姉弟子は惚けるように言う
「師匠の家で怖いテレビを見て、寝れないから頭撫でてって、俺に言ってたじゃないですか」
「うるさい、いいでしょ別に」
「銀子ちゃんが俺の姉弟子でよかったです」
「きゅ、急になに言い出すのばか八一」
流石の姉弟子もこの言葉は予想してなかったのか少し驚いている
「ごめんなさい、でもありがと姉弟子」
「……なんでありがとうなのよ、変態」
「なんで変態なんですか!何もしてなかったじゃいですか!」
「……私の頭撫でてるじゃない」
「そ、それは…………」
そんな、少し恥ずかしいけど、とても心地の良い空間は突如終わり告げた
「ししょー!ただいま帰りましたって………………あれ?おばさんと二人で何やってるんですか」
「な、なにもやってないよ!それよりあい今日は学校早かったね」
「…………そんなことってなんですか?」
あいの雰囲気はどんどん暗くなり、笑ってはいるが目は笑ってなかった。
どうやら、地雷を踏んでしまったようだ。
「なに?もしかして八一に頭撫でられてるのが羨ましかったの?」
姉弟子はあいの威圧にもおろともせずに言う
「おばさんは邪魔なんで黙っててください」
「邪魔なのは急に八一の家に来た小童、あんたでしょ」
「ふ、二人とも落ち着いて」
さっきまでの心地いい空間は一瞬消え去り、地獄と化していた。
その後の結果は言わなくてもわかると思うが、あいと姉弟子の言い合いが小一時間続きその後、姉弟子が大激怒して帰り、俺はあいにその日ずっと怒られた。
ちなみに、その日の俺の晩御飯は出て来なかった。