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ありがとうございます。
その日、将棋会館で桂香さんと偶然会い一緒にトゥエルブで一緒に昼食を食べる事になった。
「銀子ちゃんと二人っきりでご飯なんて、すごい久しぶりね」
「そうだね」
「あいちゃんが来たりとか色々忙しかったからね」
桂香さんは少し懐かしむように言う
「そうだ!私、銀子ちゃんに聞きたい事があったのよ」
「なに?」
「八一君と何かあったでしょ?」
「……別になにもないけど」
唐突すぎる質問に私は驚いてつい誤魔化してしまった。
「銀子ちゃんの看病に行った時以降、八一君の様子が少し変なのよ、銀子ちゃんと何かあったのかなって思ってたんだけど、違う?」
桂香さんは、ニヤニヤしならが言う
これは、完全に気がついてる時の顔だ
「……桂香さんに隠し事は通用しないね」
「あたりまえよ!それで、何があったの?」
「八一が私の頭を撫でるのが好きみたいで、2人で合うと頭撫をでたいって……」
自分で言っているうちに恥ずかしくなり、自分の体温が上がってるのがわかった。
「思い出すだけで顔真っ赤にしちゃって、銀子ちゃんったら可愛いわね」
「か、からかわないでよ桂香さん」
「それにしても、銀子ちゃんの頭を撫でるなんて八一君、銀子ちゃんのこと好きなんじゃないの?」
「そんな事ない、八一の事だからあの小童共の頭も沢山撫でてるに決まってる」
「そ、それは否定できないわね……」
そう言うとさっきまで元気だった桂香さんは急に黙ってしまった。
「な、なんかごめんね」
「桂香さんは悪くない、悪いのはあのロリコンだから」
悪いのは八一、幼女にばっかり優しくして私の事なんて全然見てくれない、私の頭を撫でたり、可愛いって言うのは小学生に言うのと同じ気持ちで言ってるんだろう
「そうだ!今日、銀子ちゃんに渡したい物があったのよ」
「遊園地のチケット?」
桂香さんが取り出したのは、遊園地のペアチケットだった。
「この前、商店街の福引で当てたのよ、だから銀子ちゃん達にあげようと思って」
「いいの?桂香さんが当てた物なのに」
「いいのよ、明日にでも八一君と行ってらっしゃい」
「でも、明日は日曜日だしあの小童が……」
小童がこの事を知ったら、邪魔してくるに違いない
「その辺りも抜かりないわ、明日お父さんが鏡州さん達と研究会をするらしくてね、家にいないのよ」
「今回は師匠の家じゃないのね」
「なんか、毎回だと桂香に悪いってお父さんがね、それで、私が一人は寂しいからって理由であいちゃん達をお泊りに誘ってるのよ」
「……桂香さんありがとう」
私は桂香さんが自分のためにしてくれた事が素直に嬉しかった。
「それはいいんだけど、銀子ちゃん一つ約束してほしいことがあるの」
「なに?」
桂香さんの雰囲気が変わったのがわかり、私は唾を呑んだ。
「明日、絶対に八一君との関係を進展させること」
「えっ!?」
ずいぶんと拍子抜けしていたので私は驚きの声を上げた。
「そんなに驚く事じゃないと思うけど」
「だって、急に真面目なるから、何かとんでもない約束かなって」
「銀子ちゃんは頑張っても結局最後にはヘタレになっちゃうでしょ、そのたの約束よ」
「わかった、約束する」
桂香さんにここまで用意させて、何もできなかったなんて桂香さんに悪い、だから今回こそは本気で頑張ろうと思った。
「それに、八一君はロリコンと言う重い病を患っている、それを治してあげられるのはもう、銀子ちゃんしかいないの」
「桂香さん、私が言うのも変だけど中学生も世間的にはロリコンの部類だよ」
「小学生よりはマシよ!」
「だから、明日のデートで絶対に八一君を落としてきなさい、今の銀子ちゃんならできるわ!」
桂香さんは周りの事なんて気にせず、大声で言う
「……八一とデート」
急すぎので実感がなかったけど、明日八一とデートするんだ。
そう認識すると自分で顔が赤くなっているのがわかった。
「ほらほら銀子ちゃん、今から顔赤くしてどうするのよ明日は本気で八一君を落としに行くのに」
「で、でも八一とデートだなんて私どうすれば……」
「だから今から特訓よ!明日デートために!」
桂香さんは、今にもやる気でその熱気が伝わって来た
「銀子ちゃん、今からする特訓は銀子ちゃんには辛いかしれない、それでも付いて来れる?」
「私、頑張ります!桂香さん、いえ師匠!!」
私は桂香さんの変なテンションに影響され自分も変なテンションになっていた。
「よく言ったわ銀子ちゃん、それじゃあ今から八一君研究会よ!」
「お願いします師匠!」
私達は注文していた料理が来て自分達がトゥエルブに来ていたのを思い出し我に帰った。
しばらくの間ここに来るのは恥ずかしいから控えようと思った。