俺様だって真剣で幸せになったっていいだろ! (岳人×義経 【習作】)   作:雲寺香月

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デレマスのリズムゲームにはまりました。
MVはだいぶ集まってきましたが、星27以上の難易度がどうしてもクリアできません



俺様と義経と変わっていく日常2

岳人の手をひいた義経が止まったのは、校舎裏の木の下だった。校舎裏はくまちゃんが良く鍋パーティーを開いてくれる場所でもあり、学生に人気の場所なのだが、今は誰もいない。

義経から手が離されると、岳人はぜえぜえと荒い息のままその場にへたり込んだ。

ここまで来るのに何度足が追いつかなくて地面にぶつかったことか。

「こ、ここならいいかな。島津君…って、顔が血だらけだ!一体何があったんだ!」

「気が付いてなかったのかよ!俺様を思いっきり地面にぶつけて走りまわったくせによ。」

「え、でも、島津君は走ってついてきてくれた・・よね。」

「引きずられたらたまらねえから自力でもちなおしたんだよ!」

「そ、そうだったのか。しかし、壁を越えた強さである島津君を怪我させてしまうなんて…。力の加減ができていない証拠だ。申し訳ない、義経はしきりに反省する。」

しょぼんと肩を落とす義経。

これはもしかして、自分が携帯で写真を撮ったことに義経は気が付いていないんじゃないか、と岳人は思った。

「あー、まあ血は止まったからいいけどよ…。いてて。」

岳人にしてみれば、エロのために悪い事したという引け目あり、義経に落ち込まれるとと居心地が悪くてしようがない。落ち込んでいるのが超ど級の美少女となると尚更だ。

困ってほおをかくと、擦り傷の上をかいてしまった。

走り回った間に乾いてくっついた血が爪の間に挟まる。これだけ血を流したのは久々かもしれない。最近はモモ先輩にいじられる時も痣になるだけだし、この前トラックにぶつかったときも血がでなかったからなあ。

無意識なのにこれだけのダメージを与えるとは。義経、そして学園の廊下、恐るべし。

「本当に申し訳ない。義経はこんなものしか持っていないが、少し待っててほしい。」

義経はポケットから取り出したハンカチを、水道まで走って行って水で濡らしてくると、丁寧に岳人の顔を拭いた。身長の関係で地面に膝をついている義経は、至近距離で岳人を見上げる格好になる。

その状態の岳人はというと、美少女のどアップという展開に顔を熱くさせながらも、義経の胸の谷間が見えないか目だけ動かして四苦八苦していた。義経は弁慶と違って制服をきっちり着ているので、残念ながら見ることはかなわなかったが…どこまでもブレない男である。

 

傷を上手に避けて、岳人の顔を拭いおえた義経は、ふうと息を吐いて綺麗な笑みを浮かべた。

「よし、きれいになったぞ!血が止まっていて義経は安心した。…あれ、島津君、顔が真っ赤だけれど、どうかしたか?」

「なんでもねえ、きにすんな!」

岳人は体の前でぶんぶんと手を振って否定した。

貴方の笑顔に見とれてましたなんて、たらしの大和でもないのに言えるかよ。

と、そのとき岳人は義経の手にあるハンカチが自分の血で赤黒く汚れていることに気が付いた。白地に可愛い鳥が刺繍されているハンカチは、既製品というよりは誰かが手作りで作ったようにみえる。

「ハンカチ、汚れちまったな。」

「あっ。」

岳人が指摘すると、義経は慌てた様子でハンカチを後ろ手に隠した。

「すまねえ。絶対買って返すからよ。手作りのモンにはかなわねえかもしれねえが。」

「そんな、気にしないでほしい。義経は島津君をこんな目に遭わせた上に、しかもこれから図々しいお願いをするわけだし。」

「だがよお…。」

「いいんだ。それよりも、その…義経が直江君たちの事を覗き見していたことは誰にも言わないで欲しいんだ。しかも近づいてきた島津君にも気が付かないなんて、不覚にもほどがある。このことが他の人に…弁慶に知られてしまったら、義経は恥ずかしくてもう生きていけない…。」

義経は力なく首を振り、両手で顔を覆ってしまう。指の隙間から見える肌は、先ほどの岳人に負けず劣らず真っ赤だった。

 

その様子は今まで大和に惚れてきた武士娘たちの様子にそっくりに見えた。

そして、『直江君を見ていたことを弁慶に言わないで欲しい』という言葉。これは親友と男を取り合って三角関係という、ギャルゲーお約束の展開なのか!

今まで繰り返してきた人生の中では義経が大和の彼女だったことはない。

それで確か、前回の人生では弁慶が大和の彼女だった。で、大和は義経から兄上と呼ばれていた。今回は弁慶(モトカノ)義経(いもうと)が大和を巡って…ぐぬぬ、ちょっとは苦労してしまえ、このモテ男野郎!

前の弁慶の時だって、うらやましすぎて何度血の涙をながしたことかっ。ちゃんと結婚式では祝福してやったけどよ!

全ての武士娘は大和に集まる。理屈はない。この世がそういう風にできているんだ。大和がファミリーの軍師で親友じゃなかったら呪い殺していたところだ。

 

とはいえ、やっかみの気持ちを全て捨て去るほど、岳人はできた人間じゃない。自分がした犯罪まがいのことを棚に上げ、義経をからかってやろうと、少しいじわるな質問を投げた。

「大和を?ははーん、義経ちゃんは、あいつに惚れたのか。」

「そ、そういうわけでは!」

「じゃあどういうわけだよ。正直に言ってくれたら、俺様も協力してやれるぜ。何せ俺様は大和の親友だからな。」

クリスが見たら『気持ち悪い』と物理的に一蹴されるようなにやけ顔で、岳人は義経を見下ろした。

「それは、その…義経にも色々事情があって。うー、とにかく黙っていてほしい。おねがいする、この通りだ。」

義経は顔を赤くしたまま、岳人に頭を下げた。黙っていたらそのまま土下座に移行しそうな勢いである。

岳人は焦った。校舎裏で美少女を土下座させる大男。誰かに見られていたらこの学校から追放間違いなし。ついでにモモ先輩やら九鬼から折檻されて人生が終わる。そんなつまんねえ終わりなんて嫌だ。早く義経に頭を上げてもらわないと。

「わ、わかった。誰にも言わねえよ。男の約束だ。」

「本当か!ありがとう、島津君。」

義経は心底ほっとした様子で、岳人の両手を取って言った。

「まあ、これからは気をつけろよ。」

「うん、不覚心に刻むよ。島津君、今日は本当に、本当にすまなかった。」

「傷は男の勲章っていうだろ?気にすんな。」

「ありがとう。では、義経は行く。島津君、また明日!」

「おう、またな。」

軽やかな足取りで駆けていく義経を座り込んだままの状態で見送って、深く息を吐いた。

岳人としては、怪我をしても、きわどい写真を撮ったことがばれて義経の好感度が下がらなかった分、もうけものだった。

いずれ大和のモノになるにしても、純粋で、しかも今までの人生に比べて好感度が高い義経に避けられるのは心にくる。

だったら写真を撮らなければよかったのに、とはならないのだが。

 

「さてと、じゃあ俺様もこの携帯電話を持ってヨンパチのところにでもいくか。」

岳人が腰を上げかけたとき、

「みーたーぞー、岳人。義経とずいぶん仲良くしてたなあ~。」

「げえっ、ヨンパチ!!」

いつからそこにいたのか、校舎の陰から恨みがましそうな顔を半分だけ出して、こちらをにらんでいる我らが童帝。ホラー映画の貞子のような黒い影が後ろに見えるような気がした。

「俺は、なんかネタになるようなブツを持って来いっていったんだ。それをお前は義経といちゃいちゃして…うらやましすぎるだろー!!お前なんか、お前なんか魍魎の宴から追放だあああああ!!」

「ま、まてよヨンパチ!義経は手当してくれただけなんだよ!ほれ、見ろよ、この俺様の傷を!」

学園生活におけるオアシスの魍魎の宴から追放されたら、岳人のエロい楽しみがほぼなくなってしまう。

必死で傷だらけの顔を指差しながら、ヨンパチに迫るが、ヨンパチは聞く耳をもたず。

「リア充なんか絶滅しちまえばいいんだあああああ!!」

と、血の涙を流しながら叫び声をあげてどこかへ走り去ってしまった。

岳人も必死で追いすがるが、超人的な足の速さを発揮したヨンパチに追いつくことはできず、がっくりと肩を落とした。

 

それからすぐ、魍魎の宴参加者に童帝から島津岳人の追放宣言がかかれた重要メールが一斉送信され、岳人は魍魎の宴に二度と参加することができなくなってしまったのだった。

 

岳人の手に残ったのは、携帯にばっちり撮られていた義経のきわどい写真のみであった…。




今回も楽しんで頂けてたら嬉しいです。
プロットの関係でいままでは格好悪い岳人ばかり書いていたのですが、次からはちょっとだけ格好いい岳人が出てきます。欠点はあるけれど、いい男の岳人をきっちり書いていけるよう、がんばります。
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