今年も頑張り猿野で応援をお願いします。
あと最終回見ましたが、やはりストライクウィッチーズは最高です。
ズボン盗難事件が発生した翌日、ストライクウィッチーズの隊員全員がブリーフリングルームに集合し、作戦の概要を聞いていた。サイレンが鳴り響く中、ミーナが壇上に上がり話を始める。
補足だが盗難事件が起きたその日に人狼は別の要件で基地から離れていた。そのため少女たちの醜態を異性に曝さずに済んだ。特に安堵していたのはミーナやバルクホルンの二人である。
「ガリアから敵が進行中との報告です」
「今回は珍しく予測が当たったな」
「えぇ。現在の高度は一万五千、進路はまっすぐこの基地を目指しているわ」
「よし、ルーチンの迎撃パターンでいけるな。今日の搭乗割はバルクホルン、ハルトマン、ハインツが前衛。ペリーヌとリーネが後衛、宮藤は私とミーナの直援、シャーリーとルッキーニ、エイラとサーニャは基地待機だ」
「お留守番、お留守番~!」
「ユニットの設定でもするかぁ」
「よし準備にかかれ」
坂本に命じられた人狼とウィッチたちはハンガーへ赴いて、各自の武装とユニットを身に着けて大空へと羽ばたいた。ハンガーの出入り口では待機組となったルッキーニとシャーリーが手を振って見送った。
大空で雲の間を駆け抜けること約二十分、坂本は自身の固有魔法である魔眼の探知能力でネウロイを発見した。
「敵発見!」
「タイプは?」
「三百メートル級だ。いつものフォーメンションか?」
「そうね」
「よし、突撃!」
前衛である人狼たちが最初に降下し、その後に後衛組の二人も降下する。ネウロイの形態はキューブ状のもので所々赤い斑点が存在する。ネウロイも人狼たちの存在に気付いたのか、奇声を発した。
「ええっ!?」
「何!?」
「分裂した!?」
人狼たちがいざ銃を撃とうと照準を合わせたその時、突如としてキューブ状の体がより小さなキューブ状の体へ分裂を遂げて、それぞれが自由に動き始めた。初めて見るネウロイの特徴に隊に動揺が走る。
するとミーナだけは固有魔法の三次元空間把握能力で冷静に空間を把握し、指示を送る。
「右下方を八十、中央百、左三十」
「総勢二百十機分か、勲章の大盤振る舞いになるな」
「そうね」
「で、どうする?」
「貴女はコアを探して」
「了解」
「バルクホルン隊中央」
「了解」
「ペリーヌ隊右を迎撃」
「了解」
「宮藤さんは坂本少佐の直援に入りなさい」
「了解」
「いい?貴女の任務は少佐がコアを見つけるまで敵を近づけさせないこと」
「はい!」
かくして戦闘が始まった。ミーナの指示通り前衛組はネウロイをすれ違いざまに撃墜したりネウロイ数機にドッグファイトで勝ち難なく撃墜していた。お伽噺の再来にして沈黙の狼として幾多の戦場を駆けまわった人狼、模範的なカールスラント軍人にして固有魔法の怪力でネウロイを破壊してきたバルクホルン、天才肌にして僚機を失ったことのない撃墜王のハルトマンにかかればネウロイに遅れを取ることなどほとんどなかった。
「これで十機!」
「こっちは十二機!久しぶりにスコアを稼げるな」
「ここのところは全然だったからね」
「…」
人狼の後ろにネウロイが迫るがユニットに取り付けていた後方機銃を作動させた。放たれた銃弾はネウロイに命中して破壊とまではいかないが怯み、その隙を人狼が逃すわけもなく振り向いて機関砲を撃つ。二十ミリでなおかつ薄殻榴弾は多大な破壊力を生むため、ネウロイは木っ端微塵に破壊された。
「流石だハインツ!腕を上げたな!」
「…」
「この活躍を休暇の際にクリスに話してやるからな。だからもっと活躍して話題を増やさせてくれ!」
「…」
バルクホルンと人狼は肩を合わせて銃撃する中で彼女は告げる。バルクホルンは今まで使用していなかった休暇を使用しクリスのもとへ行き、人狼のことをよく話していた。
「ハインツあれを見ろ。たくさんのネウロイがこっちに来ているな」
「…」
「たまには共同作業といこうじゃないか」
「…」
人狼とバルクホルンの眼前にはイワシの群れのようにネウロイたちが集団となってこちらへ向かっている。普通のウィッチなら怖気づいて逃走するか自棄になる者が多いが、エースの中のエースである人狼とバルクホルンは余裕があるようだった。
人狼とバルクホルンは肩を回したり残弾を確認すると、突撃を行う。そしてその群れに頭から突っ込んだ。
「やあああああ!」
「…」
人狼とバルクホルンは機関銃と機関砲を最大限に活用させながら群れを内部から破壊していく。光線も当然照射されるが息の合った連携プレーで相互に魔法障壁を張って防ぐ。残弾が無くなり弾倉を変える暇がないのなら銃身を持ってハンマーの如く振り回す。魔法力で強化された一撃は重く、ネウロイを叩き壊す。
「そこを退けええええ!」
「…」
人狼たちとバルクホルンが群れから抜けた頃にはネウロイの数は三分の二ほどにまで減少していた。
「うわぁ……破壊者のコンビヤバいね。力こそパワーって感じ」
『聞こえてるぞハルトマン』
この様子に思わず苦笑いを浮かべて困惑するハルトマン、長年パートナーとして繋がりを持っていた彼女でもこの光景は刺激的なものであった。
人狼とバルクホルンは同時に弾倉を換えて同時に再度攻撃に移る。幼馴染のコンビはここまで結束が固いものなのだと実感したハルトマンであった。
『全隊員に通告、敵コアを発見。私たちが叩くから他を近づけさせないで』
十分程度戦うとミーナから通信が入る。時間稼ぎを任せられた人狼たちはミーナたちのもとへネウロイが行かないように足止めを行う。核を確認されたとネウロイ側も感じたのか即座にミーナたちを墜としに行こうとするも、それをペリーヌのトネールで薙ぎ払いリーネの狙撃で確実に落としていく。
「…」
残弾がもう無い人狼はその場で機関砲を捨てて、腰のモーゼルに切り替える。すると前方から人狼とヘッドオンになったネウロイと猛烈な撃ち合いを繰り広げる。
光線が人狼の肩や頬を突き抜けるも人狼は絶えず銃撃を続ける。ネウロイの体もボロボロとなりながらも光線を照射する。意地の張り合いともいえるこの戦いは観戦している者の鼓動を速くした。
ついに人狼とネウロイがすれ違った際にこの決着がついたのか、ズタボロとなったネウロイの体が破裂した。
また、ミーナたちも同時刻に核を破壊したのか分裂していたネウロイも自壊を始めた。
「大丈夫かハインツ!いくら傷が治るからといっても一人で無茶はするな!」
「…」
「無茶をされると私だけじゃなく、皆が悲しむんだぞ!」
「…」
負傷した人狼のもとにバルクホルンがやってきた。彼女は怒りと心配が入り混じった感情を露わにして人狼を怒鳴る。人狼に唯一効くのは銀だけなので、傷口はすでに回復している。しかし人狼の秘密を知らず、さらにクリスを喪いかけたバルクホルンにとって心を大きく揺さぶった。
「もう私は失いたくはない……」
「…」
バルクホルンは手にしていた機関銃を離して人狼に抱き着いた。人狼の胴は大樹のように太く硬かったが、大事なものを二度と離すまいとバルクホルンは自然と情熱的かつ力強く抱擁する。多くの隊員にその様子を見られながらも気にせず彼女は続けた。
しかし抱き着かれた人狼は虚ろな眼差しで空から落ちるネウロイの白い破片を眺めていた。
「やっぱりハインツ大尉は……」
唯一、この異常さに気付いたハルトマンは何かに確証した様子であった。
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その日の深夜、ハンガー付近の木陰である人物が煙草を吸っていた。その者は身長百八十センチで痩せ形の男性だ。その男は月を見上げながら紫煙を吹き出す。紫煙は月を目指して上昇していくが、やがて霧散した。
「初めまして。わざわざ来てくれたことに感謝します」
「そりゃあ俺宛に手紙が来たんだし行かないわけにはいかないしょ」
煙草を吸う男の背後から突如声をかけられたため、その男は思わず振り向いた。その際、警戒して拳銃がすぐに出せるようにしていたが、声をかけてきた人物がわかると男は物珍しそうな表情を浮かべて警戒心を解く。
「で、何の要件ですかハルトマン中尉。そんな様子じゃ告白って柄じゃないでしょ」
男の視線の先に居たのは意外なことにハルトマンだった。普段は不真面目で適当な彼女が今は真面目な顔でこちらを見つめるので男も只事ではないと確信する。
「知りたい人物がいるんだ。教えてくれない?」
「……おたく、俺を過剰評価してない?ただの軍人だぜ」
「いや、君はあの人の過去を知っているはずだよ」
「私用の頼みらしいし報酬はどうする。俺の故郷を守ってもらってるのはありがたいが、それはウィッチとして当然だ。個人の報酬じゃない」
「……何が欲しいの?」
「質のいい紅茶。それこそ首相や国王が飲むような」
「……それでいいの?」
「それでいいのさ。紅茶は俺にとって人生で重要なカギだからな。アフリカで重要性をより感じた」
「じゃあそれでいいね。よろしくね――――」
「
不意に月明かりが彼を照らす。そこには片足の英雄としてブリタニアのプロパガンダとして散々利用されながらも高度の空戦技術を有するステック・セラックが居た。
アフリカで間接的ではあるが人狼たちと共闘し、人狼が501の基地に来る時と同時刻に別件で来たが機体が故障して墜落した。そして、なんやかんやあって此処に滞在することになっていた。別名
「さて、じゃあ話そうか。ハインツ大尉の過去を」
ステック少尉は周囲を確認して誰もいないのを確認するとハルトマンに伝えられる限りの情報を話し始めた。
まだ夜は深い。
格納庫
航空機を風雨や砂塵などから守り、中で整備や補給、待機などを行う格納施設のこと。
ハンガーの語源は家畜小屋を意味するフランス北部地方におけるフランス語の方言である。