【完結】死に芸精霊のデート・ア・ライブ   作:ふぁもにか

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sweet ARMS「スリルなデート、始めましょう?」
士道「スリルってレベルじゃねぇぞ!」

 どうも、ふぁもにかです。当初の予定だと、士道さんと志穂さんとのリベンジデートは2~3話で終わらせるつもりだったのですが、今の調子だと5話くらい普通にかかる気がしますね、うむ。



10話 世界がアップを始めました

 

 

 士道と志穂が来禅高校を去った後。士道の服が窓ガラスの破片が突き刺さった影響でボロボロとなり、血まで付着していたため、士道は一旦志穂を伴って近くの洋服店を訪れ、新しい服を購入し、着替えてからデートを再開した。そして、今。士道と志穂はカフェレストランに足を運んでいた。現在時刻は12時を回っており、ちょうどお昼時だったからだ。

 

 

「志穂、食べたい料理は決まったか?」

「うぃ。私はこのミートソーススパゲティにするッス。先輩はどうするッスか?」

「俺はシーフードスパゲティにするよ」

「お、パスタ系でおそろいッスね」

 

 テーブルを挟んで向かい合うように座った士道と志穂は各々食べたい料理を選ぶ。士道が店員に声を掛けて注文を終えた後、士道は昨日のデートにて、志穂が屋内遊園地内のレストランでカルボナーラを食べていたことをふと思い出した。

 

 

「そういや昨日はカルボナーラを食べてたっけか。パスタ系が好きなのか?」

「んー。パスタが好きというよりは、麺類全般が好きなんスよ。だって外れ料理があんまりないイメージだし、それになぜか麺料理からは懐かしの味って感じがして」

「懐かしの味?」

「ま、そんな反応になるッスよね。もしかしたら私の消えた記憶が関係してるのかも、なんて推測してるんスけど、真相は今も闇の中ッスよ」

 

 料理が運ばれるのを待つ間、士道が志穂の食の好みについて話題に出すと、志穂が何やら意味深な言葉を零す。士道が首を傾げると、志穂は苦笑いを浮かべた後、いかにも神妙そうな面持ちとともに腕を組んだ。まるで未解決事件の謎を解明しようとしている探偵のような仕草である。

 

 

「シーフードスパゲティです」

 

 と、ここで。店員が士道の料理を先に運んでくる。志穂の所望したミートソーススパゲティはまだもう少し時間がかかるようだ。

 

 

「先輩、先食べ始めていいッスよ。料理は出来立てが一番ッスから」

「そうか? じゃあ、いただきます」

 

 ミートソーススパゲティが来るまで待つつもりだった士道だが、そんな士道の思考を読んだ志穂の発言を受けて、士道はフォークとスプーンを駆使してシーフードスパゲティを食べ始める。シーフードスパゲティは中々に爽やかな味わいである。士道は喉を唸らせた。

 

 

「お待たせしました、ミートソーススパゲティです。伝票はこちらになります」

「来たッスね。ではでは、いただきまッス!」

 

 と、士道がシーフードスパゲティを食べ始めてから1分もしない内に志穂の分の料理が届けられる。志穂はミートソーススパゲティの味を頭の中で想像しつつ、鼻歌混じりに両手を合わせた後に、テクニカルにフォークとスプーンを両手に装備する。

 

 刹那。士道の脳裏に不安がよぎった。志穂は世界に嫌われている。死の呪いに命を狙われている。ならば、ここで。今志穂が食べようとしている料理を介して、食中毒の形で世界が志穂を殺しにかかるのではないか。そんな可能性がここで、士道の脳裏を駆け抜けたのだ。

 

 

「志穂、待った。……その料理、大丈夫か?」

「ふぇ? 質問の意図がよくわからな――あぁ、そういうことッスか。んー。このレストランはかなり清潔さに気を遣ってるっぽいから杞憂だと思うんスけど……じゃあ先輩、毒見するッスか?」

「へ?」

「はい、あーんッス♪」

「……あ、あーん」

 

 士道は店員に聞かれないよう声を潜めて志穂に尋ねると、警戒する士道の様子に納得した志穂は、手元のミートソーススパゲティをフォークでクルクル巻いた上で、毒見という名目で士道に食べさせようとする。まさか自分があーんされる立場になろうとは。恥ずかしい士道だったが、ここでためらえば志穂は普通にミートソーススパゲティを食べ始めるだろう。今が毒見の絶好のチャンスなため、士道は素直に口を開けて、志穂にミートソーススパゲティを食べさせてもらった。

 

 

「ん。うまいな。問題なさそうだ」

「それはよかったッス。それじゃ、次は先輩の番ッス。せっかくなんで食べさせ合いっこするッスよ。さぁ、この哀れな雛鳥志穂ちゃんにシーフードスパゲティをお恵み下さいませピヨッス!」

「おいおい、語尾がメチャクチャになってるぞ」

「これは仕様にございますッスピヨ。んあー」

「ほい。……おいしいか?」

「うぃ!」

 

 少なくともこのミートソーススパゲティに害があるようには思えない。そう士道が判断すると、志穂は即席で構築した珍妙な語尾とともに、今度は自分があーんと大きく口を開ける。士道がシーフードスパゲティをフォークで巻いて志穂に与えると、志穂はしばしもぐもぐと口を動かし、ビシッと親指を突き上げる。ここのシーフードスパゲティは志穂とも相性がよかったようだ。

 

 かくして。士道と志穂は時々お互いの料理を食べさせ合いながら、カフェレストランでの落ち着いたひと時を過ごすのだった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「先輩先輩。次はどこに行くッスか?」

「あぁ。次は天宮タワー周辺の商業施設を回るつもりだ。天宮クインテットほどじゃないけど、あの辺も人で賑わってるんだぜ」

「ほほう。それは興味深いッスね。今からもう楽しみになってきたッス」

「そいつは何よりだ」

 

 昼下がりにて。カフェレストランで2人分の料金を支払って会計を終えた士道は今、志穂と手を繋ぎ、天宮タワーの方向へと歩みを進めていた。なお、世界が繰り出す死の呪いを鑑みて、さすがに天宮タワーの展望台に上るつもりはない。

 

 士道は志穂に不審に思われない程度に志穂の横顔をジッと見つめる。現状、志穂との散歩デートで志穂と仲良くなれている確かな手ごたえを士道は感じていた。だが、今回のデートは好感度よりも、機嫌メーターよりも、志穂を守り抜くことが優先される。志穂を守れなければ、志穂の封印はできず、好感度も機嫌メーターも関係なくなるのだ。

 

 

「ん?」

 

 今の調子で志穂を守り続けてみせる。士道が改めて決意を固めていると、ふと前方から視線を感じた。士道が前を向くと、2人の中年男性が士道たちを見つめていた。否、正確には志穂を凝視しつつ、何やら2人でひそひそと会話をしていた。

 

 

「どうしたッスか、先輩?」

「あぁ、いや。何か前にいる2人が志穂を見てひそひそ話してるんだが……」

「え? あ、ホントッスね。へんてこな格好をしてるつもりはないんスけど」

 

 士道が志穂に2人の男性のことを教えると、志穂は怪訝そうに首をコテンと傾ける。と、ここで。小声での会話を終えたらしい2人はともに1つうなずくと、さも当然のように懐から拳銃を取り出し、銃口を志穂に向けてきた。

 

 

「は?」

「え?」

 

 日本の、普通に人通りのある道で。まさか拳銃なんて物騒な凶器を見ることになるとは思わなかった士道と志穂は2人そろって呆然とする。が、男性2人が何の躊躇もなく引き金に指を掛けた瞬間、士道はすぐさま志穂の手を引っ張り、志穂を移動させた。直後。乾いた発砲音が周囲に響く。士道が志穂の手を引っ張っていなければ、今頃志穂の頭が銃弾で貫かれていたことだろう。

 

 

「逃げるぞ、志穂!」

「は、はいッス!」

 

 現場にいた住民たちが唐突な発砲音に困惑や恐怖の声を漏らす中。志穂に銃弾を命中させられなかった男性2名は士道たちへと接近するべく走りながら、再び志穂を撃ち抜こうと拳銃を向けてくる。志穂の命が危ない。士道は志穂を伴って近くの路地裏へと駆け出した。

 

 

「次はこっちに曲がるぞ!」

「はい!」

 

 士道は男性2名を撒くために積極的に右に左にと曲がりながら路地裏を走る。その際、曲がる時に志穂にその旨を伝えることも忘れない。背後からは男性2名の怒号がしかと轟いている。男性2名を完全に振り切るにはまだ時間がかかりそうだ。

 

 本当なら、男性たちが再び志穂目がけて発砲してきた時の保険として、士道が志穂の後ろを走りたかった。身体再生能力を持つ士道なら例え撃たれても即死さえしなければ大丈夫だからだ。しかし、天宮市にあまり土地勘のない志穂を前で走らせれば、行き止まりに突き当たりかねないため、士道は志穂を伴って前を走っていく。

 

 

「何だこれ、どういうことだよ!? 世界は人を操って志穂を殺す気なのか!?」

 

 時折、志穂の足元に銃弾が突き刺さる中。士道は混乱していた。今まで士道が目撃した志穂の死は、どれも偶然がもたらした悲劇だった。不幸にも志穂の頭に植木鉢や看板が落ちてきた、不幸にも強盗の威嚇射撃の流れ弾が志穂に命中したといったように、志穂は世界によって不運な死に方を強いられてきた。だがしかし。今回は、明らかに殺意を持った人間が志穂を殺しに来ている。わけがわからない士道だったが、ここで志穂が士道の混乱を解くために口を開いた。

 

 

「いえ、違うッス。あの2人のこと、思い出したッス。中国マフィアッスよ」

「中国マフィア!? 外国のマフィアがなんで天宮市にいるんだ――って、違う! それよりなんでマフィアが志穂を殺そうとしてるんだよ!?」

「……前に私、彼らの重要な取引現場っぽい所に静粛現界したことがありまして。その時に敵対マフィアのスパイだと決めつけられて、手酷く拷問されたんスよ。最終的にズタボロ状態で拷問部屋に放置されて失血死したんスけど、私は死んだら死体や血が消えるッスから……多分、私が狙われているのは、あの時逃げられたスパイと偶然出くわしたから何が何でも殺してやる的なことをあの2人が考えてるからだと思うッス。で、彼らが日本にいるのは、日本にも勢力拡大したからじゃないッスか?」

「そういうことかよ……!」

 

 志穂がマフィアに追われる理由を知った士道は表情を険しくする。志穂を狙うマフィアが天宮市に2人しかいないとは考えにくい。例えあの2人を撒けたとしても、他の仲間に応援を要請され、追っ手の数を増やされでもすれば、志穂を守り抜くことは一気に困難になる。

 

 

「志穂、まだ走れるか!?」

「私は大丈夫ッス! それよりあの連中に捕まったらマジで洒落にならないッス! ……先輩、いざとなったら私を捨てて逃げてください! 先輩はまだスパイだとは思われてないはずだから、先輩は見逃してくれるかもッス!」

「そんなことできるわけないだろ!」

 

 どうすれば、どうすればいい。士道は必死に打開策を考えつつ、志穂の体力を気遣う。一方の志穂は最悪の事態を想定し、士道にお願いをするも、当の士道は断固拒否した。と、この時。士道たちのいる路地裏にパトカーのサイレンがけたたましく鳴り響く。すると、士道と志穂を追っていた2人のマフィアはもう警察に嗅ぎつけられたのかと目に見えて動揺し始める。そして、警察の手から逃れるべく、士道と志穂を追うことをやめて走り去っていった。

 

 

「何か、警察が駆けつけてくるの超早いッスね。近くに警察署でもあるんスか?」

「いや、この辺に交番や警察署はないはずだけど……」

 

 パトカーのサイレン音に驚いたのは士道と志穂も同様だった。偶然この辺りをパトカーで巡回していた警察官が銃声を聞きつけて駆けつけてくれたのだろうか。そのように士道が推測していると、士道が耳につけている小型インカムから答えが示された。

 

 

『今のパトカーのサイレン音はフェイクよ。ラジカセを持たせたクルーをフラクシナスから地上に転送して、大音量でサイレン音を鳴らしてもらったの』

「そうだったのか。……助かったよ、琴里。ありがとう」

『どういたしまして。あと、現地のクルーが警察に通報を済ませているわ。もちろん、自律カメラで逃げたマフィアの足取りも追跡中よ。確実に警察に彼らを捕まえてもらうようにこっちで取り計らうから、その辺の心配はしなくていいわよ、士道』

「はは。至れり尽くせりだな」

 

 琴里たちがマフィアの脅威から士道たちを迅速に救ってくれた事実に、士道はラタトスク機関がバックアップしてくれることの頼もしさに心底感動する。

 

 

「先輩?」

「まぁ、警察が来てくれたのはラッキーだったな。あのマフィアも逃げてくれたことだし、とりあえず路地裏から出るか」

「りょーかいッス」

『……でも、志穂の顔を覚えていて、今、天宮市にいるマフィアがあの2人だけとは限らないとなると、このまま外をぶらつく散歩デートを続けるのは危ないわね』

「そうだな。天宮タワーへ行くのはやめた方がよさそうだ」

 

 しばし小声で琴里と話している士道の様子を不思議がる志穂を前に、士道はごまかすように言葉を紡ぎ、路地裏から脱出するべく歩き出す。その際、琴里の意見を受けて、士道は目的地を天宮タワーから変更することに決めた。

 

 次はどこに向かったものか。士道が頭を悩ませつつ、志穂とともに路地裏から出る。

 直後。士道と志穂は再び、2人そろって呆然とする。まさかの事態にその場で硬直する。

 

 

「「んぇ?」」

 

 なぜなら。士道と志穂の眼前に、ゴリラがいたからだ。

 黒の体毛を蓄えた、筋骨隆々のゴリラがいたからだ。

 

 




五河士道→好感度の高い精霊とキスをすることで、精霊の霊力を吸収し、封印する不思議な力を持った高校2年生。今まで精霊の天使やらCR-ユニットやら、拳銃よりもヤバい代物を見てきたが、それでもマフィア2人が拳銃を取り出した時はゾッとしたとか。
五河琴里→士道の妹にして、精霊保護を目的とするラタトスク機関の一員にして、5年前にファントムに力を与えられ、精霊化した元人間。あまり表には出てこないが、裏で色々と指示を飛ばし、士道と志穂のデートを完遂させるために奮闘している模様。
霜月志穂→精霊。識別名はイモータル。ここ半年、やたらと天宮市に現界している新たな精霊。なぜか天使や霊装を全然使わず、ほぼ静粛現界で姿を現している。ちなみに、マフィアに拷問された際は、手足の爪を1枚1枚剥がされたり、手足の指を1本1本斬り落とされたり(ry

世界「そろそろ本気出すわ」

 というわけで、10話は終了です。最近は選択肢の存在が影も形もありませんが、原作でも基本的に選択肢は物語が佳境へと進むにつれ存在感が薄くなっていく印象なので、まぁいいですよね?

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